某日・某所。早朝。ツーリングは続く。
この路線は明治時代の初期に開通したそうだ。
まだまだ朝早くて陽が当たらない区間も多かった。
陽が当たっている部分と当たっていない部分での明暗差が激しくて、目が疲れる。
来るたびに新道区間が増え、トンネルもまた増えている。ここでも新たに建設中だ。
いよいよ目的地だ。
そこには戦国時代に鉱山での採掘に携わった人々がそのまま居ついたごく小規模の村落がある。山奥のあまり耕作も難しく、山論も経験し、苦労が絶えなかったそうだ。道路網が発達した現代においても陸の孤島そのものでありまさに秘境村。今のように自動車はないし、あっても馬車や牛車くらいなもんで、そのような時代からこんな山奥に人の営みがあったことに驚くばかりだ。
そしてさらにその奥地にはいずれ大河川になる源流も存在する。
その二つを見に行きたい。
こういった山奥にはよくある事例だけど数々の伝承が残り、そのうちいくつかは背筋が凍るような恐ろしい内容だ。もちろんどこまでが史実なのかは不明で、おそらく永久に解き明かされることはないままだろうね。
険道と秘境村と源流スポットへの入口に到着。駄菓子菓子!
えっ!? 通行止め・・・? ええ~、せっかく意を決してやってきたのに通行止めか~;
えっ!?なんですって? 反対側の迂回路から行けよって!? そのクルマで行けるかどうか知らんけどね、ってそんな笑顔で言わなくても(笑)
うはぁ~、迂回路か~。そっちの区間はめっちゃ荒れてるって読んできたんだけど・・・
先日、心のどこかから聞こえてきた声がよみがえる・・・
「行けばわかるさ」
だよねー。
とりあえず迂回路の様子だけでも確認しに行ってみよう・・・諦めが悪い。なぜか行く気満々です。秘境村へはルートがないわけではないけれど今日は断念し、源流探訪だけにする。
では突撃~!
道のわきで朽ち果てて森と同化していく小屋。いつもと違って不安を煽る光景なので嬉しくない。
狭そう・・・。
ところどころアスファルトが剥がれてガタガタになっていた。
先に進むにつれどんどん荒れていく。もう写真を撮ってる余裕がない。何度かバンパーを擦ってしまって気分悪いが割れなきゃOK。
途中にあった峠。なんとも物騒な名前がついていた。長居はしたくない。
途中に展望スポットがあった。いやー、山深いですな!
ここから先は標高が上がるにつれアスファルトの状態が良くなっていった。しかし、幅が狭い。路肩には落ち葉が積もっていてどこまで踏んで大丈夫かわからず当てにできない。
対向車が来ないように祈るだけ。
対向車とは一度も出くわさずにやってこれた。ここがこの林道の最深部かつ最標高地点だ。木々に囲まれていて展望は開けなかった。しかしついにミッシングリンクは解消できた、やったー。うぇーい。
道脇には岩の間を縫いながら流れるせせらぎがあった。源流だ。クルマで遡るのはここが限界だ。このせせらぎはここから130km以上もの長い距離を流れて太平洋に注ぐ。
一滴の水が集まりせせらぎになって、滝となって岩場を流れ落ち、渓流になって、ダムで一旦堰き止められ、それから丘陵地帯を抜け、平野部に抜け、最後は都市部を抜けて海へと流れ出る。「大河小説」の由来であるとおり、それって立派なドラマだと思うんだ。
険道の最奥地でシルビアに乗りながら思いを馳せるひととき(謎)。 窓から吹き込んでくる風の冷たさが季節とここが山奥であることを感じさせる。
さて、本日ここでの目的は果たした。秘境集落へはまた来年以降に計画しよう。通行止めでないことを願う。それでは来た道をまた戻る。先ほどからずっと携帯の電波が入らないでいる。麓の主要道に戻るまで油断はできない。
途中で林業関係者と思われる軽トラと出くわした。軽トラの姿が見えたときはギョッとしたけれど、落ち葉と土の中まで車体を突っ込んで道を空けてくれた。ドアミラーを擦るかもというくらいスレスレの離合だったけれどとても助かった。
その際、お互いに窓を開けていたこともあって話しかけられた。「こんなクルマでこんなとこきちゃダメだよー!」って。
ははは。さーせん;
その次は本当にたいへんだった。
おそらく登山者だろう。この林道は登山コースの起点にもなっているので。
この離合にはかなり時間がかかった。離合可能な退避スペースまでシルビアが下がるとなると、自分の記憶によれば100~130mくらいはある。正直、嫌です(笑)
同じく記憶によればワンボックスが下がってくれれば50mくらいのうちにスペースがあったはず。
でも相手も下がりたくないという。まぁ、わかる。
写真では伝わらないかもしれないけど左脇は泥沼のようになっていたり大きな穴が開いていたりしてシルビアでは通りたくない。
さいわいなことに相手のクルマには同乗者がいて、その人が降りてきて2台を誘導するからここでやろうということになった。そもそも十分な道幅がないじゃないかよと思ったけど、ワンボックスが路肩の斜面に乗りあがってくれて(このあとバンパーがさらに土の斜面にめり込んでたけど;)、シルビアも数回切り返してどうにかこうにか・・・ギリギリいけるかな、ぬかるみと穴には入ることになるけど。
と、その最中にもう一台やってきてしまった。がーん。あー、もう修羅場なんですがががが。
そもそもこんなRがキツくて狭いヘアピンだと内輪差やフロントオーバーハング部分の突き出し量が大きくなってさらに難しくなるんだよ・・・。何分もかかったけどどうにか無傷で離合に成功。汚れはしたけど。相手は・・・あとでバンパーのダメージを知って嘆いたことだろう。
あー、嫌な汗をたくさんかいちゃった・・・。
源流地点付近では貧弱だったせせらぎも数多の支流が合流してもうこんなに太い流れになってる。
それにしても落ち葉のせいで道が狭く感じるなぁ。
ようやく麓の道まで戻ってこられた。あぁ、よかった。ホッとしたよ(笑)
今日の険道区間は二度と行くまい。
いやー、センターラインがある広い道ってホント素晴らしいですね!(笑) 快適快適~♪
次の峠が見えてきた。ここはけっこう標高が高い。峠ではNDロドスタが記念撮影をしていた。見た感じ、70代の老夫婦だった。
一昨年の暴走老人Zを思い出した(笑)
秋空の向こうに富士山が見えた。うーん、素晴らしい。
撮影によいポジションを占有されてしまっていたのでシルビアは長居しなかった。ロドスタの爺様が本気撮影モードに入ってしまって時間かりそうだったので。いいなぁ、あの歳でロドスタ、しかもルーフオープン。その心意気、とってもカッコヨス。
峠を越えた先の区間も整備が進み以前より格段に走りやすくなった。険しさはもうどこにもない。いまや快適な観光道路みたいなもんだ。
すっかり陽が昇り、秋晴れならではの暖かい景色が広がる。この時期はホント大好き。
次の休憩スポットにて。さきほどの険道での景色や出来事はいったい何だったんだろうかというくらい開放的な気分だ。天候も相まって安堵感が心地よい。

↑なんという停め方だよ。
バンパーなどの状況を確認したかったもんで。
泥跳ねは険道とセット。先日履き替えたばかりのNewタイヤで特攻。使い方これで合ってますかね?うーむ;
ふと気づいた。ここからも富士山がよく見えた。
近くに自販機があった。こういうところの自販機で買うと賞味期限切れのものが出てきたりするからちょっとドキドキする。賞味期限を確認し、安心して熱い缶コーヒーで一服。至極の瞬間です。
秘境村という課題は残ってしまったけれど、長年の険道ミッシングリンクを解消することができてとても気分がよい。この上々の気分と今日の秋晴れをもっと楽しみたいと思う。ガソリンの残量を確認する。もう一走りできるな。
エクストラステージへ向けて再スタート。
To be continued...
The extra stage is coming soon.
ではまた。