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2022年11月10日 イイね!

【夏のど真ん中】 さよなら絶境の地 【秘境・酷道・険道・鉱山・廃墟】

【夏のど真ん中】 さよなら絶境の地 【秘境・酷道・険道・鉱山・廃墟】














【前書き】
ここは僻地や辺境なんてもんじゃない、「絶境」の地。しかもこれで関東だというのだから驚く。俺氏が選ぶ関東ナンバーワンの絶境の地で、大自然・酷道・険道・廃墟、すべてが揃っている。廃墟マニアならその名を知らないはずがない、そんな場所。
 
廃墟群が数多く遺っているが今年の9月までは現役の鉱山で稼働していた。鉱脈が発見されたのは400年前でその後にはあの平賀源内も訪れたという。本格的な採掘がはじまったのは100年前。
 
しかし今年の9月についに閉山となり採掘は終了、そして12月末をもって工場は閉鎖予定とのこと。100年の歴史の終焉だ。これは俺氏にとっては衝撃的な知らせだった。もしかすると工場そのものも廃墟群も撤去されてしまうのかもしれない。文化遺産のように保存されたら嬉しいのだけど。
 
ここは過去にも何度も訪れている。オートバイでも来たし、周辺のオフロード林道は自転車でも走ったし、登山もした。真夜中に来たこともあった(アホです)。俺氏にとってはたいへん思い出深い場所です。
 
閉山前にもう一度行っておこうと思い立った。ちなみに今日現在はアクセスルートの途中で大きな崖崩れがあり、一般車両は長いこと通行止めとなっている。(LINK)
 
 
街から遠くかけ離れた絶境の地にあり、さらには狭く切り立った険しい峡谷の奥であるにもかかわらず、昭和時代の最盛期には約2,000人が住んでいた。
鉱山労働者とその家族、それを支える職業の人々。社宅・学校・病院・共同浴場・娯楽施設・商店などが備わり、鉱山集落が形成されていた。
当時の航空写真を見ると狭い谷間にたくさんの建物が密集していた。この規模だと集落というよりちょっとした町だよね。近年は誰も住んでおらず従業員の方々は通勤してくる。
 
当時の交通インフラの脆弱性からしてまさしく陸の孤島だったと容易に推測がつく。驚くことに初期のころは車道が通じておらず、人は登山道で、物資は索道で運ばれていた。いまでも大雨が降ればすぐに通行止めだし、崖や路面の崩落・崩壊も絶えない。足を運んだこの日も大掛かりな補修工事が行われていた。数年前の大雪では鉱山関係者がトンネルに閉じ込められる遭難もあった。
 
そんな場所へのツーリングです。画像いっぱい貼りますので雰囲気だけでも楽しんでいってください。
 
 
 
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【本編】
 
真夏。某日。未明~早朝。
 
ようこそ、この先は秘境です。かつては宿場町だったらしい。

 
道中、鹿と何度も出くわした。
 
いまはバイパス道路ができたので廃道になった名物トンネルです。トンネル内部は三叉路になっていて、信号機による切り替えで一方通行方式でした。そのせいで最長15分くらい待たされるんですよね。

 
ここはすでにかなりの山奥。夜なので肉眼では見えないけど急峻な土地に張り付くように集落があり、その景観はチベットを彷彿とさせる。道は狭く離合が困難で、クルマを停めて置ける場所もほぼありません。ちなみにこれでも国道です。

 
集落を抜けて降りてきました。かつてはここが国道の終点で、食事処や宿泊施設などもありちょっとした賑わいがあったのですが。振り返ると先ほどの集落が見えます。東側の空が明るくなってきました。

 
ここまでは準備運動みたいなもので、いよいよここから本日のメインイベントです。いくらか遠回りしましたが長いトンネルで山の反対側へ向かいます。
 
夜明け時のダムと湖。初めて来たときはこの快適な道(橋)もダムもまだなかった。

 
ここから先はトンネルを潜るたびに森が深くなっていく。

 
険しさと湿度の高さ、まさに密林です。

 
それは転がってる石ですか、それとも降ってくる石ですか・・・。

 
周辺には岩肌をなめる滝や吊り橋があります。

 
トンネル口が木々で隠れそう。

 
朝もやが立ち込める峡谷を進んでいきます。道路のすぐ下は渓流です。平野部では連日、日中の気温が40℃に迫ろうとしている時期ですが、ここのただいまの気温は16℃。「涼しい」を通り越して「寒い」です!

 
先述のリンク先にある通り、土砂崩れの現場はこのロックシェッドです。どうやら通行可能になるのは来年の夏の見込みだそうです。

 
除雪車。ここ結構雪積もりますからね。
土砂崩れで現在も2つの集落が孤立していて、そのうちのひとつはここ、住人数はわずか2人。もう一つの集落は住人14人。もうすぐくる冬季にはドローンでの支援物資搬送を検討しているそうですが、技術的な壁、法的な壁があり、簡単な話ではないそうな。なんにせよ十分な生活支援と早期の道路復旧を願うばかりです。

 
山の上のほうには朝陽が当たりだしました。谷間は濃い湿気が立ち込めたままです。このコントラスト、視覚的にも体感的にもまさに山の朝という感じで好き。

 
中央分離帯に残された木。切り倒されなかったのには何か理由があるのか。

 
静まり返ってます。他に誰もいません。

 
岩々の合間を流れてくる。紅葉の時期になると渓谷全体が色鮮やかに染まります。

 
この道でもっとも好きなビューイング区間がここ。道はクネクネしてるけど見通しがよく、いっときの解放感にホッとします。

 
真夏ゆえの葉のボリュームで見えないけど、ここは屏風のように迫り立つ岩壁が続きます。

 
ところどころ岩場で川幅が狭くなります。苔の生えてない部分を見るとそこまで水位が上がることがわかります。

 
ここから先はおどろおどろしいトンネルをひとつ、またひとつと潜るたびにタイムスリップしていく気分がたまらない。道も景観も険しさが加速度的に増していきます。

 
崖面がオーバーハングしてます。ただでさえ谷そのものが切り立っていて狭いのに頭上に迫り出してくるとかなりの圧迫感を受けます。

 
だんだん苔が目立ってきました。見た目が似てるけどそれぞれ別のトンネルです。

 
こりゃ、天狗くらいいるよね絶対。

 
何が出てきても不思議じゃない。

 
おっこと主も獅子神様だっているね。実際数年前にこの近くで2m級の巨大なイノシシと出くわしたことあったし。

 
この道はあちこちで崖崩れが起き、頻繁に修復が行われている。

 
路面も悪化してきた。

 
さて、このトンネルを抜ければいよいよ鉱山に到着です。鉱山と集落の廃墟群、それはまるでタイムカプセルのようなもの。

 
素掘りのトンネル。かつてはこの中を索道が通っていたらしいです。

 
倒壊寸前。

 
こちらも屋根が拉げてきてます。

 
昭和の残り香。

 
給油設備。手書きの文字がいい。

 
現役で稼働中の工場。手前には石灰が積まれてます。
(このブログをアップするときにはすでに操業停止してます)

 
朝露が滴る物静かな朝です。

 
郵便局跡。日本一秘境にあると言われた郵便局で何年か前までは営業していたけど、すでに看板やポストなどはすべて取り払われていました。マニアはここから自宅へ郵便を送ったらしい、すると「秩父鉱山郵便局」の消印が手に入るわけです。

 
吊り橋のような何か。

 
あの橋を渡れば工場です。

 
札のようなもの。何か書かれていたのかも。

 
以前訪れた時よりだいぶ傷んでます。

 
坑道の奥行きは数kmにもなり、一部は高さ30mの吹き抜け構造になっているとのこと。坑口は山中に無数にあり会社も把握しきれていないそうです。

 
早朝なのに煙が出てる建物がある。24時間操業なのか。

 
社宅跡かな。それと屋根だけが見える廃屋。現存はしていてもこのように木々に覆われていっていて、訪れる度に見える数が減っていってます。

 
悪路すぎでしょ。

 
この林道は過去に何度か来ているが、現在は数年に及び通行止めになっている。
表示は見落としたことにしてください。

 
この少し先はかつて社宅がたくさんあり生活エリアだったと思われます。森に飲み込まれ、苔が美しくファンタジックな空間です。

 
社宅跡。

 
見えてきたのは共同浴場跡。

 
何年か前まであった「男湯」・「女湯」の看板はなくなっていました。出入り口も厳重に塞がれてました。以前は浴槽も見えたんですけどね。

 
だいぶ朽ちてきてます。

 
かつては浴場の前で道が90度に折れ、ここに橋が架かっていた。

 
商店跡。いまでいうコンビニだよね。初めてここを訪れたとき、この店はまだ営業していた。


 
訪れるごとに石垣が苔で覆われていっている。とても美しい。

 
廃道、その先には何らかの工場跡。どうしたらこんなにグニャるんだ、いったい。

 
日差しが当たって鮮やかな緑の中に隠れるように廃屋が。社宅なのかな。オシャレな洋館っぽい雰囲気がある。

 
石垣と石段と苔と森と。これを建てたときこんな幻想的な佇まいに変貌すると予想してたでしょうか。

 
こちらも社宅跡。

 
この先にもまだ遺構や廃墟が点在してるのですが険道レベルが跳ね上がります。進んでも通行止めなので今回はここら辺で引き返します。

 
石の苔むすまで・・・。

 
苔が眩しい。

 
橋の先にも社宅や保育園だった建物が多くあるはずですが木が育って見えなくなってます。

 
もう燈ることのない街路灯。寂しげだな。

 
積まれた石灰の向こうに社宅跡が見えます。本来はもっと横に長い建物でしたが数年前の積雪で大半が倒壊したようです。ここも木々が育って飲み込まれていってます。ちなみに赤いシャッターの建物は消防設備。

 
木々がどんどん育ち、緑のトンネルになっている。陽が届かなくなりひどくじっとりしている。

 
苔で覆われた石垣が溜息が出るほど美しい。かつて栄え賑わった鉱山集落はいまや深い森と苔に覆われたファンタジーワールドと化している。

 
いずれすべて森に飲み込まれてしまうんだ。

 
集落の中に滝があることにも驚く。

 
繁栄と衰退。そしてこの夏でついに閉山となり100年の歴史に幕が下りた。
 
さて完全に陽が上り、急激に気温が上がってもう暑いです。未明は16℃で寒かったというのに。

 
ではこれで帰ります。

 
タイトルには「さよなら」と入れたけどいずれまた来ると思う。しかしそれはもう閉山後で、工場も廃墟群も解体されてしまっているかもしれない。この日に見た光景はもうないのかもしれないと思うとなんとも寂しい気分になるのでした。
 
おまけ。
何やら小屋が。「第一警備員詰所」って書いてありました。

 
トンネルをひとつ、またひとつと潜るごとに現代へ帰っていく感じがまたたまらない。


 
路面から立ち上がる水蒸気が朝陽に当たり、密林の雰囲気満点です。

 
かつて走った道はいまダムの底に沈んでいる。

 
この圧倒的な夏感に打ちのめされて悶絶する。日差しが熱いというより痛いです(笑) 猛暑到来。
 
保冷バッグに入れて持ってきたキンキンに冷えたアイスコーヒーがあるんだった。この景色の中で追憶に浸りながら一服する。サイコーじゃん。

 
 
 
【後書き】
いまは鉱山の下流側に大きなダムが造られ、それに伴い2車線完備の立派な道路が敷かれた。トンネルも多く造られ直線的かつ快適にアクセスできるようになり、秘境感が大幅に下がってしまった。当時の道の大半は廃道となり湖の中へ沈んでいるが、ところどころでその痕跡を垣間見ることができる。かつては鉱山から鉄道基地までを往復する大型トラックが連なって走っていた。道幅はけして広くなく離合が困難な区間も多かった。
 
秘境というのはアクセス困難なほうがありがたみが増す。とはいえ高速降りてからも長いし、鉱山の辺りまで来ると今もなお深く険しい山と森が待っている。「やはりここが関東ナンバーワンだ」。
 
後日、こんな書籍を手に入れた。
中身は主に最盛期(昭和中期)の写真が多数、当時の従業員へのインタビューやデータなども充実していて非常に読み応えがある2冊となっている。元従業員で存命の方々もかなりの高齢者となり、編纂には多大な時間と労力が要ったと思うが後世に伝え残したいという筆者や協力者たちの熱い使命感が感じられる。
秩父鉱山マニアのためのバイブルと言えるでしょう。

 
 
 
そんな西暦2022年の真夏のエピソード。
 
ではまた。
 
( 突貫で書いてUPしたので後で読み返して必要に応じて校正します) 
 
 
 
Posted at 2022/11/10 22:10:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | ドライブ | 日記

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