某日・某所・某時刻。
深夜の暗闇の中に浮かび上がるパーキングエリアを見下ろす。
ただただ長く真っ暗なハイウェイを孤独に走ってきたその先でしばしの休息ができる施設。
こう見ると本当にオアシスの様なんだ。
深夜のトラフィックス。こんな時刻だから交通量も少ない。ときおり通過していくクルマのライトの光跡をただぼんやり眺める。みんなどこの誰だか知らないし、なんのためにどこへ向かうのかもわからない。みんなそれぞれの暮らしがあってみんなそれぞれの人生を送ってるんだ。
しかし普段気にすることもない当たり前すぎる日常も、あるときふと気になってしまうといろんな物事に強烈な違和感や疑問を覚え、止めどがなくなってしまう。これもきっとゲシュタルト崩壊のひとつだと思うんだ。その究極は・・・「オレ」って一体なんだっけ? まじでわからねぇ。まじで思い出せねぇ。みんなにもそんなことってない?(笑)
パーキングエリアからここまで少し距離もあるし周囲は森林ということもあり、走行音は吸い込まれてここまでは聞こえてこない。ただただ静かだ。山間特有の適度にひんやりした夜風が心地よい。
ずっと何年も前、現役時代のオレはトランポに機材を満載して毎週末ここを通ったもんだ。途中から高速代を浮かすために下道通いに切り替えたけど。誰よりも熱く激しく、そしてそれがどんなに短いものだとしても誰よりも図太くを実践していた時代ね。いままわりにいる細く長くの諸兄には永劫に理解してもらえないのは仕方ない。それはそれはあまりにぶっ飛んだ世界すぎて。そんな世界を一度でも体験した人間はもう世俗には戻ってこられない。世俗に表向きの体裁を合わせることの空虚感に苛まされてそのうち心の置き場がなくなってしまう。一線を越えられない人々を心底馬鹿にしていた時代があった、でも今は違う。一線を越えない・越えられないというのはそれもまたその人の才能なんだと。だって平凡で退屈な繰り返しはオレにはとても耐えられないから。
そういえば、何歳になってもオレのハートは大衆モーターフィットネスには絶対に傾かないし染まる気も一切ない。武士は食わねど高楊枝ってね。フィットネスじゃ本心はちっとも昂らないんだよ。落ち武者が園芸を嗜んでみてるというだけであって農業を生業にしてるわけじゃないんだよ。諸兄には理解できないだろうけどね。
居心地がよくてつい長居してしまった・・・次の目的地へ急ごう。
かつてよく通った道を走る。覚えていた風景もあったし、すっかり忘れてしまっていた風景もあった。きっと明るい昼間だったなら景色の変化に驚かされたかもしれない。でも夜でいい、多くのことを闇に隠してくれる。
到着。ここはちょっとした夜景スポットだ。当時のオレはそういうことに興味がなかったし、惹かれることもなかった。何度も通っていたけど記憶には無い場所だ。
おわかりいただけただろうか。
シルビアさんはここにいます(笑)
よく知ってる場所なのに初めて見る気がした。
そうこうしてるうちに夜が明けてきてしまった; 思ったほど撮影がうまくいかず不完全燃焼な気分だ・・・。
おや、夜景より明け方の様子のほうがいいじゃないの(笑)
帰りは全部下道で帰ろう。早朝のワインディングを快走して帰路につく。
途中でいつものカフェに立ち寄った。ここの主人とは深い話をしたことは一度もない。たぶんこれからもないだろう。別に言葉を交わさなくても感じ取れる気持ちがあるからそれでいいと思ってる。このカフェはオレのトラフィックスの中の一部。走り行く景色の中でちょっと立ち止まってみただけの場所で、そしたら気に入ったのでたまに立ち寄っていく。主人にとってもオレはトラフィックスの中の一部で、またあの客がいつもの元気さで来てくれたなと思ってくれればそれでいい。
オレここでいつも同じもの食ってるな。
まだ朝だというのに、木の葉の隙間を突き抜けて注ぐ日差しがとても強烈だ。もう夏だな。
ではまた。
Posted at 2018/08/06 20:50:56 | |
トラックバック(0) |
ドライブ | 日記