石川県のボランティアはこれまでの日帰り型に加えて、奥能登ベースキャンプ(奥能登BC)を利用した1泊2日型が追加されました。私は焚き火は好きですが、あまりキャンプの経験はありません。それでもシュラフやウォーターバックなどは持ってるので、中能登町(日帰り型)と能登町(1泊2日型)に参加することにしました。
日帰り型の集合場所は、3月から県民海浜公園に変更されています。この公園は金沢駅からの公共交通機関によるアクセスが悪く、私が調べた限り朝7:05着の52示野線バス1本しかありませんでした。その場合、県民海浜公園から相乗りするボランティアバスの出発時刻に間に合うのは、中能登町のみです。ボランティアの殆どは車で金沢市まで来るので、駐車場確保を最優先した結果と思いますが、金沢駅から行くには注意を要します。ちなみに帰りは海浜公園と60金石線バス停の間に天下一品ラーメン金石OMEGA店があるので、そこでラーメン&ビールしながら金沢駅行きのバスを待つ予定でした。3/12(火)は雨天のため中能登町ボランティアは中止となり、3/13(水)〜3/14(木)の1泊2日型(能登町)のみの参加になりました。1泊2日型の集合場所は、これまでと同じ金沢駅西口です。
バス移動中に見かけたEIZOの社屋。業務用の液晶モニターでは有名な会社で、旧社名は七尾市に由来するNANAOです。同社のモニターは私も愛用させて頂きました。EIZOさん、頑張って下さい!
西山PAでトイレ休憩を挟み、バスは奥能登BCに到着しました。SNSでは奥能登BCは「ショッカー」とか呼ばれてます。この建物は日本航空学園の向洋校舎ですから、架空上の設定とはいえナチスの残党であるショッカー呼ばわりは少し失礼だろうと思いましたが……
…ん⁉︎
こっ…これは…!
確かに似てる!…というわけで、今夜からショッカーにお世話になることになります。この校舎は体育館が2階にあり、そこに男性用テントが張られてます。テントの場所は入館受付の時点で指定されるので選べません。「壁際は寒そうだな…」と恐れていましたが、あっさり壁際に当選しました。※実はこの場所、夜になってラッキーだったことが発覚します。
廊下には注意事項も掲載されてます。11項で飲酒は禁止されてますが、煙草は解禁されておりました。ちなみに6項に『施設内を濫りに撮影し、SNS等に投稿…』と注意書きがあるので、肝に銘じます。
石川県は奥能登BC利用者限定でアンケートをしており、恐らく全国スモーカー連合の阿鼻叫喚がアンケートを通じて県を動かしたのでしょう。ただし!多数の銘酒を輩出している石川県が、酒を禁じてタバコを認めるのには違和感を覚えます。石川県産の日本酒だけでも、キャンプ内で販売してくれればなぁ…。天狗舞のミックス酒、東京で飲んだけど美味しかったし。
BC内は寒さが厳しいこともあり、アンケートの結果なのか、希望者には毛布が無料配布されてました。ただし…
使ったら持ち帰る義務があり、これも断水で洗濯やクリーニングが難しい事情があるんだろうと思いました。持ち帰るのは大変なので、今回は断念しました。
BCにチェックイン後、約20分で荷物を整理したのち、各ボランティアセンターに移動し、そこから被災者宅へ行って作業に従事します。今回は地震で屋根が損傷したお宅へ伺いました。天井は雨や雪の影響で崩落し、布団や畳だけでなく押し入れの中の写真や表彰状なども廃棄せざるを得ない状況でした。地震だけでなく水害は本当に恐ろしいと実感しました。
今回の軽トラはATとMTが半々でした。久々に軽トラを運転しましたが、やっぱマニュアル車の運転は楽しいですね(※愛車は入院中)。布団や毛布は可燃物なのですが、ぬいぐるみが廃棄処分場で別に集められてまして、プーさんやリラックマたちがいました。
廃棄物ですが、ひっくり返したりせずに全てのぬいぐるみがキレイに置かれてるのが印象的です。現場の作業員さんも何かしら思うことがあって、こうしてるのでしょうね。
今回の作業でも瓦は重くて・数が多く・割れると形がバラバラになり・非常に嵩張ることを痛感します。割れてない瓦だと、私でも1度に6枚までしか持てないほど重く、運搬も大変です。今後の屋根は一体成形できる軽くて丈夫な素材に切り替わり、瓦という文化は日本から消えていくと思いました。また、液状化現象は埋立地でしか起きないと思ってましたが、能登町は内陸の山側でも起きており、地盤次第で何処でも発生しうることを知りました。
作業を終えてBCに戻るとオリエンテーションがあり、弁当を食べた後は22時消灯まで自由時間になります。BCは上水道・下水道ともに断水してますが、電気やネット環境は問題なく、Space X社によるSTARLINKの接続速度も良好です。Verizon社はアメリカ大手の携帯電話事業者で、日本国内では展開してないはず。もしかしてアメリカ国内用の回線を能登半島で開放してるのでしょうか?
しかもアンテナは正方形で小さい!これで衛星回線を通じてネットできるとは、スゴい!!
BCには電子レンジと電気ポットがあり、お湯を使う場合は未開封のペットボトル水を寄付するルールになってます。つまり2Lペットボトル水を寄付すれば、現地の電気ポットで2Lのお湯を使えます。私はこのルールを勘違いしてて、カップ麺やコーヒーのためにペットボトル水は350mL×2本と500mL×1本をバラで持参しました。カップ麺やコーヒーごとに毎回ペットボトル水からお湯を沸かすと誤解してたのです。現場には未開封のペットボトルが20本近く置いてあり、石川県の職員が随時お湯を沸かしてました。今回は生活用水として水道水を4000mL持参しましたが、2000mLは余ったので清掃用水としてBCに置いてきました。
このように上水道はペットボトル水でカバーできるものの、下水道は代用できません。トイレは勿論ですが生活用水も流せないので、顔を洗う場合はBC外の駐車場でウォーターバッグの水を使用しプチ行水のような感じになり、歯磨きも駐車場で行って最後のガラガラペーは仮設トイレ内で済ませます。自分が被災した場合、下水道の代用=簡易トイレとかの確保は重要だと思いました。
BCでは理科室と家庭科室のような教室が談話室として開放され、各机にコンセントがついてるので、消灯までは電気やお湯などに事欠きません。女性たちは初対面でも仲良くオシャベリしますが、男どもは互いに牽制し合い、距離を置いて離れて座り1人でスマホをイジることが多く、何やら『野生の王国』みたいな雰囲気です。弁当だけだと足りないので、21時過ぎに持参したカップヌードルを食べつつ、やはり持参したインスタントコーヒーとプロテインバーを摂って、22時消灯前に体育館のテントに戻ります。そして夜には、奥能登ベースキャンプがショッカーと呼ばれるべき、ある出来事が起こってしまうのです……。【後半へ続く】
Posted at 2024/03/14 17:18:51 | |
トラックバック(0)