
被災地のボランティアに参加し、東京に戻ってきました。現地に行かないと分からないことも多々あります。トップ画像はボランティアセンターにあった、鳥取県の給水?タンク。
私は1月に石川県の公式サイトに登録した後、自分のスケジュールに合わせ、2月の募集にエントリーしました。全国の社会福祉協議会が中心となってボランティアを運営してましたが、私のような「社会福祉協議会って何ですか?」という素人はキチンと調べましょう。かなりシッカリした団体のようです。
他のNPOやNGOもボランティアを運営してますが、これらの一部は極端なイデオロギーを持っており、可能なら石川県のボランティアに参加した方が良いと思います。なかには政府批判したいのかボランティアしたいのか分からない集団もおり、実際にボランティアを騙った政治団体・宗教団体への勧誘、詐欺などの犯罪も発生しており、石川県からも注意喚起されてます。
半壊・全壊した建物の近くで作業する場合、前もって社会福祉協議会が現場の安全調査をしています。全国から集まる車や、購入備品(スコップやネコ車など)の管理だけでなく、ボランティアの安全や休憩場所を確保して、ようやくボランティアの受け入れが可能になるわけです。…とはいえ、私を含めて全国から来る不特定多数の集団を、各地域のボランティアセンターで管理するのも簡単ではなさそうです。
SNSだと「もっと迅速にボランティアを受け入れろ」という意見を目にしますが、安易だと思います。窃盗や詐欺だけでなく、女性への暴行目的で現地入りする犯罪者もいる状況で、身元の分からない自称ボランティアを大規模に認めると、それは治安の悪化と犯罪被害者を増やすことになります。現在の体制を批判する前に、ボランティアの受け入れに時間がかかる原因が、このような治安悪化の予防作業であることを認識すべきと思いました。
そういう意味では災害ボランティアも「量より質」というか、参加者の身元やボランティア保険加入の確認、現場の安全調査や人員と物品の配置の検討、人同士のトラブルや二次災害を如何に防ぐかなど「単に被災地に行けば良い」わけではないことを痛感しました。これは東日本震災の時の課題について、少しずつ取り組んできた結果なのではないでしょうか

朝は金沢駅西口の団体バス発着所に集合しました。車で金沢に行く場合、駐車場がある別の集合場所を利用することになりますが、私は新幹線で現地入りしたので、金沢駅から同じバスに相乗りします。ボランティアが1人車1台で来ても、現地で渋滞や駐車スペース不足になりかねず、金沢市内からのバス移動に限定するのも当然かもしれません。

のと里山海道をバス移動の途中、有名な千里浜なぎさハイウェイ(※前から行きたいと思っていましたが…)の近くでトイレ休憩。連休中は渋滞したそうですが、平日は比較的流れていた印象です。今回の参加は 2月の石川県にしては暖かく、海が近いせいか雪も殆どなく、軽装で作業できました。パーキングエリア内では警察が監視してますが、怪しい来訪者に職務質問したり、車中泊をさせないためにいるようです。

他のボランティアさんに聞いた話では、現地レンタカーで少人数で現地訪問したり、他県ナンバーで現地まで移動すると、警察から職務質問等を受けるそうで、それだけ多くの犯罪者が被災地を出入りしてるのでしょう。パトロールする警察も多く、やはり治安悪化が色々な負担を強いている実態を見せつけられます。
県のボランティアセンターからは「被災地の写真撮影は禁止、特にSNSへの投稿は厳禁」であることを繰り返し注意されます。なかにはボランティア同志でケンカを始めるとか、「俺のやり方に文句言うな」というクレーマーボランティアみたいな人もいるそうで、社会福祉協議会のスタッフは本当に大変そうです。「頑張って下さい」とか「大変ですね」といった、被災者との距離を明確に表す言葉遣いも避けるように指示がありました。被災者を「気の毒な人たち」として、自分とは違う存在にみなす言葉は適切ではないことを、私も初めて意識しました。

ボランティアセンターに着いたら、エントランスで最初の説明を受けます。まずは車の運転担当者を決めるんですね。センターの外には全国から軽トラやバンなどが提供されてました。こうなると外車やマニュアル車はお呼びではなく、オートマ軽トラの独壇場です。その後、ドライバー担当者を中心に8人前後でチーム分けされます。
行き先や作業内容が分からないまま、とにかくチーム分けされます。そもそも金沢駅から現地までの移動に2時間弱かかるので、往復の移動時間を考えると最低限の説明だけ行動開始せざるを得ません。やはりSNSで「現地にボランティアが泊まれるようにすれば良い」とか言う人がいますが、キャンプとか車中泊する場所の確保や、風呂・トイレの問題もあるでしょう。医療体制も確保できてません。そもそも社会福祉協議会の関係者は泊まり込みで運営してて、その宿泊場所の確保だけで精一杯だと思います。
今回のボランティアへの参加枠?は個人と団体がありました。団体といっても「〇〇市役所3名」などの少人数ですが、彼らは同じチーム所属になります。私のチームは全員が個人参加でしたので、初対面の者だけで編成されます。チーム全員が初ボランティアだと大変かもしれませんが、経験者がいてリーダーシップを取ってくれたので助かりました。以上をホワイトボードで説明を受け、依頼者=被災者の自宅へ向かいます。

1日目は車3台に分乗して10名で行動しました。所々で通行止めや道路が波打ってますが、ちゃんとGoogleや Yahoo!のナビが通行可能な道路を案内してくれるのはスゴい。作業は半壊した家屋内から落下物や剥がれた石膏ボード、割れたガラス類を含む災害ゴミの搬出です。これらを軽トラに載せて、地区内のゴミ仮置き場までの運搬します。一般家庭でも納屋があると雑貨類も多く、転倒した家具や本棚を元に戻そうにも、物が散乱してる室内では足場の確保が難しく作業も進みません。小さい家庭用品は散乱しても整理できますが、大きな家具が転倒すると簡単には戻せず、室内移動を困難にします。
2日目は全壊した蔵の木材・瓦・シャッターや家具の分解と搬出です。瓦はそのままだと嵩張るので、割って小さくしてから搬出しました。たまたま鬼瓦を割ることになりましたが、鬼が少し気の毒になりました。倒れたブロック屏の下敷きになったニュースを耳にすることがありますが、私は「実際は何とか這って脱出できるのでは?」と思ってました。しかし実際に倒壊したブロック屏を持ち上げようにも本当に重く、想像以上に危険でビックリしました。ブロックは細かく砕かないと運び出せないし、運び出すにも1回に持てるのはブロック2,3個分です。それが数十個も降ってきたら、やはり圧死すると思います。本当に危ない。
普段はやらない不慣れな事でもあり、2日間で4時間ずつの作業でもクタクタになりました。帰りのパーキングエリア休憩中に飲んだリアルゴールド、マジうめぇ。

ちなみに私は寄付があまり得意ではないので、今回のようにボランティアをしました。都合が合えば、来月も行こうと思います。
倒壊した建物の前で自撮りしてる人や、一部の被災地だけを見て行政や政府を批判する人は、どういう目的でボランティアに参加してるのか、そしてどのような団体に所属してるのか疑問があります。現地には様々な被災者がいて、自衛隊から個人まで適材適所に人員配置するのも簡単ではないでしょう。運営側の苦労を少しでも知ることができ、社会福祉協議会という組織に関心を持つことができ、今回参加して良かったと思いました。
Posted at 2024/02/15 09:47:55 | |
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