今回のボランテイア対象地区は珠洲市・輪島市・穴水町・七尾市・志賀町・中能登町・羽昨市でしたが、現在は能登町も追加になっています。このなかでも珠洲市・能登町・輪島市・穴水市は奥能登と呼ばれる地域で、金沢市からの移動に3〜4時間を要します。移動にかなりの時間を要するため、石川県は2月15日にボランティア宿泊拠点の整備を公表しました。
私は志賀町のボランティアにエントリーしました。定員が多めだったことと、金沢市からのバス移動が2時間未満だったことが理由です。私は体が大きくてバスの座席が窮屈なことが多いので、初めての災害ボランティアだったこともあり、移動距離が短い所を希望しました。
石川県の公式サイト経由でボランティア登録をしたのち、1月下旬から日曜・火曜の夕方に登録先アドレスにメールで募集が通知されます。エントリーは翌日の月曜・水曜の正午から始まり、数分で満員になります。土日祝は希望者が多く、エントリー開始から1分以内に定員が埋まりました。月金を除くと火水木は希望者は少なめで、定員が埋まるまで2,3分ほど要してました。エントリーそのものは、正午にPCやスマホを構えてダッシュで入力すれば可能ですが、問題は往復の新幹線やホテルの手配かもしれません。新幹線もホテルもエントリー前から予約は済ませてましたが、金沢市に前日入りした2月12日(月祝)は、連休最終日だったこともあり新幹線は満席でした。
私はそこそこ体力に自信がある方でしたが、被災地でのボランティア活動は作業だけでなく移動やホテル宿泊でも疲弊しますので、初めての場合は2〜3日に留めておいた方が良いかもしれません。もともと火水木の3日間の予定でエントリーしましたが木曜が急遽中止になり(※作業の進捗に合わせ、ボランティアセンターが人員配置の再計画をするため)、ホテルは20%のキャンセル料を払って1日早く帰京しています。2日間の活動でも疲労困憊でして、今日は自宅で休んでいます。
今回、初めて知ったことをいくつか列記しておきます。
①当日
【バス】参加者の9割は金沢市内まで車で来てたようで、その場合は石川県地場産業振興センターの駐車場に車を停めて、そこからバスに乗ります。バスは金沢駅西口を経由し、私のような県外から電車等で来た参加者を乗せて現地に向かいます。
【持ち物】石川県がリストアップしている持ち物のほか、バイクやスケボーで使う肘/膝のプロテクターはあった方が良いかもしれません。瓦礫の上でしゃがんで作業する時、膝をつけるのは安心です。防刃手袋とはいえ、釘の上に手をつくのは避けたいので、少しバランスを崩したときもプロテクターがあると肘•膝を使えます。私自身は持参して良かったと思いました。一般のWeb情報だと雨具は上下セパレート式が良いとされますが(※石川県はカッパで良いとしている)、恐らく避難所での配給品の移動や仕分け作業に限った話だと思います。家屋や建物の作業は、雨天だと倒壊や周囲の土砂災害を避ける必要があるため、ボランティア活動そのものが中止されることが殆どのようです。内履きは避難所の作業では使うかもしれませんが、災害ゴミの作業だと室内であっても釘や割れたガラスなどあるため、安全靴でないと危険です。天気予報が雨だったので「長靴+踏み抜き防止インソール」で参加しましたが、ちょっと重かったです。あとゴーグルは何かしらあった方が良いと思います。私は安い透明なアイウェアを持参しましたが、実際に使う状況は限られるものの、瓦やコンクリートを割る作業や石膏ボードを剥がす際など、破片や埃が眼に入る恐れがある時だけ使用しました。
【不要品】断水していると思い、初日は水8Lとポータブルトイレを持参したのですが不要でした。他の参加者に聞いた話ですが、災害ボランティアの殆どはライフラインが復旧している所に配置されてるそうです。ただし、奥能登は分かりません。
【その他】疲れると甘い物が欲しくなるので、作業の合間に森永ハイチューを口にしてました。ライフラインが確保されていれば、休憩場でお湯を頂くことができます。その場合は昼食にカップラーメンやカレーメシのような、お湯だけで食べれるレトルト品を持ち込めるので、気温が低い時は重宝するかもしれません。
②運営側も全国から集まっている。
【社会福祉協議会】被災地にあるボランティアセンターにいる運営スタッフの多くは、日本全国から集まった社会福祉協議会の方々です。彼らも面識のない状態から運営を始めており「誰がどこまで説明したか」「ボランティアから受けた質問や報告を、誰が確認中か」など、多少ドタバタしています。参加者のなかには普段の感覚で「少し待っててと言われたど、いつまで待たせるんだ」みたいなノリで尋ねるのは失礼な気がします。やはり被災地では確認や連絡など、普段より手間がかかります。むしろ参集メンバーを中心に、社会福祉協議会も良く運営できるなと感心しました。今後は被災地と支援自治体をペアにすることで役割が明確化される予定で、東京都は輪島市を支援する(
自治体ペア対口支援)そうです。ちなみに私はボランティア休暇を利用して参加したので、ボランティアセンターで参加証明も発行してもらえました。
【運営に迷惑をかけない】禁止されてるにも関わらず、なかにはボランティアセンターまで自車で来る人もいるそうです。石川県の正式な手続きを踏んでない場合、本人確認や保険加入など各地のボランティアセンターは独自でやらないので(※そもそも時間がない)、すべてお断りするそうですが、なかには居座ってゴネる人=余計な仕事を増やすボランティアもおり、運営に迷惑はかけたくないですね。
③自主性が重要(※スマホ必須)。
【自分らで計画を組む】ボランティアセンターから被災者の住所や電話番号は教えられますが、そこまでの移動ルートや現地での作業手順などは、全てボランティア側で判断しなくてはいけません。軽トラにナビはついてませんので、助手席に乗った人がスマホ片手にナビる必要があります。ボランティア当日は最初にQRコードから参加登録を済ませる必要があり、実質的にスマホなしでは足手まといになります。災害ゴミは仮集積場に運搬しますが、地域に1,2ヶ所しかないので1日に3〜4往復できるかどうかでした。
【リーダーが重要】ボランティアセンターから指示書が1チームに1,2枚配布され、連絡先や大まかな作業内容が記されています。1人1枚ではないので「あれ?さっきまであった指示書、どこにある?」状態になりがちです。お互い名前も分からないので、なんて声を掛ければ良いかも分からない。チーム内LINEグループもない状態で、リアルタイムに連絡も取れません。2日目にリーダーをされた方は自身が被災経験のある職人さんで、指示出しから時間配分までキッチリこなされ、さらに指示書にない他のチームとの連携まで同時に行ってました。ロープワークの南京結びを教えてもらったので、次回までに練習せねば。2日間ともリーダーが適任者で良かったものの城戸沙織(:聖闘士星矢)や海のリハク(:北斗の拳)のような人がリーダーになると、作業は進まないかもしれません。
④自助・共助・公助
政府の防災計画では自助・公助について触れることはありますが、共助については具体的なマニュアルがありません。災害も地震だけなのか水害も加わるのか、水害も河川によるのか下水を含むのかで、悪臭や腐敗の進み具合も異なるようです。そういう意味で今回は東日本震災・熊本地震と同じ地震や津波でも、被災内容は異なるでしょうし、北関東や房総半島の水害もそれぞれ異なるようです。
正月に発生した震災は備えの必要性を実感しました。面識のない人たち(※2,3人ですが外国籍の方も参加されてました)と共同で作業する留意点だけでなく、徴兵制や軍がない日本が実施する共同作業の実際の現場を見聞きできました。
Posted at 2024/02/15 17:12:00 | |
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