~前回からのあらすじ~
かつて賑わっていた釜石大観音仲見世通りの閑散ぶりに絶望する私。
そこから次の行動を起こそうとするがまたもや記憶が途絶え…。
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廃れていた釜石大観音仲見世通りの駐車場で歌ったひょっこりひょうたん島の主題歌のフレーズ。
それに対してテトが興味を示した。
テト『その続きの歌詞は?』
「えーと…だ~けど僕らは挫けない♪泣くのは嫌だ♪笑っちゃお進めー♪かな…」
テト『いい歌だな。今の君には相応しい歌じゃないか。道に迷った狸みたいな顔して落ち込んでる場合じゃないだろ?君の…君の大切な何かを探しに来たんだろ?』
「…うん…でも…」
その大切な何かが思い出せないのだ。
「テトさん、私を思いっきり殴ってくれないか?」
私の提案にテトは目を細める。
テト『は?正気か?』
「ああ、殴られた衝撃で何か思い出すかもしれない!さぁ!思いっきり!」
テト『じゃ、思いっきりいくぞ!コークスクリュー…』
「あ、いや、やっぱりちょっと手加減して」
テト『ドリルパーンチ!!』
突然、ふと何かが頭の中を過ぎった。懐かしい声で同じように誰かが励ましてくれたのだ。病的なまでの記憶喪失の鍵が開いた気がした。
もう時間は残されていない。
「ひょうたん島だよ!やっぱりあそこに行くしかないんだ!」
テト『その場所は?この近くか?』
テトの言葉に私はハッとした。漠然としか覚えていない。景色は朧気に覚えている。
しかし、そこに辿り着くまでの経路が失念してるのだ。
「そういえば…自分でそこに行ったんじゃないんだよ…誰かに…誰かに連れていってもらったんだ。なんのために…だっけ?」
まるで夢の中から目覚めたように思い出しては忘れていく。何故なのかはわからない。
テト『ふ…君が失ってる思い出はとても大切なものなんだな』
「え?」
テトは少し微笑んだかと思うと空を見上げた。
すっかり夏は過ぎて秋の空が近付いていた。空が遠く高くなっていく。
テト『大切な思い出ほどなかなか思い出せないんだよ。忘れてるだけで無くしたわけじゃない。きっとその場所に行けば思い出すお』
とりあえず場所を思い出さなければ意味がない。私は頭を振ったり掻いたりして記憶を探るが全く思い出す気配がない。
テト『地元の人に聞けばわかるだろう?』
「そうだ!早速聞いてみよう!」
偶然通りかかった人にひょうたん島について尋ねる。
女の子「もしかして…蓬莱島の事かしら?」
「ほうらいじま?」
女の子「ええ、地元の人はみんなひょうたん島って言ってるから本当の名前は馴染みがないの」
「ありがとうございます。蓬莱島か…すぐにナビに入れれば迷う事はないだろう!」
車に乗り込みナビに入力する。
テト『良かったな。あと少しだぞ!』
続く
4話はこちら!!
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テトテト散歩~哀愁釜石編 | 日記
Posted at
2019/10/13 17:35:20