
夏季休暇初日となる、
2020年8月7日、つまりマルッと二週間前のことである。
当地 Boulangerie(仏、ホトケではないフランス、って前にも書いたな。そのフランス語で言うところのパン屋)への
First strike作戦、
敵情報収集不十分で準備不足のまま
無謀な特攻をかけた結果、敢無く敗退した。

いや、つまりはこういうことである。
上官殿の情報索敵網に引っかかった、当地でオイシイと評判のパン屋、
sido boulangerie(シド ブーランジェリー、日本名:シドのパン屋)" へパンを買いに出かけた。
(*注:sido boulangerie公式HPナイようである。本ブログ写真の名刺見るか、インスタ、Retty、食べログなんかには載ってるようである)
ココへは、以前よりゼヒ連れて行くよう、上官殿より仰せつかっていた。
モトモト勤務先で定められていた小生の夏季休暇は、8月8日からである。
がしかし、昨今の情勢下にあって特別決定あり、前日の7日、金曜日も追加休日に加えられた。
なかなか、休日が一致しない上官殿と小生、この日なら二人とも休みが合うぢゃないか!
何たる奇貨、それに奇しくも
店名のsidoは、小生名のSidと読みは同じ"シド"
である。

これは早速突撃せねば!
ということで、その7日、
開店一番乗りで
sido boulangerieへ、
パンを買いに行こうと計画立案。
で、当日は開店時間のヒトマルマルマル(10:00)まで30分を前にする、
9時30分に愛機O-Lineで現着。
※通常、パン屋の朝は早い。当店も朝8時が開店時間のハズ。
でも10時なんである。
いくら情報収集不足とは言え、定休日くらいは最低確認する。
上官殿が勤務先の若い子たちを尋問した(うそ。単に教えてもらった)結果、
金曜日は営業日、そしてやはりこの情勢下にあって時短、つまりは10時開店に
繰り下がってるくらいは事前調査済みである。
ソトは暑っついので、エアコン効かせたO-Lineの車中で、ZIP(日テレではない。
FM)のFRIDAY MUSIC PUZZLE、リサちゃんの心地よいナビゲート聴きながら
待つことシバシ、
9時50分になった。でもなんか
オカシイ。
ココは当地でも売り切れ続出・続発の人気店のハズ。
ゼンゼン動きがない。店内は暗いままだし、他に客もやって来ない。
いやなオカンが...
店の前まで行ってみる。
って、あかんやん。
『夏季休業のお知らせ 8/5(水)~ 8/12(水』
撃墜された瞬間である。
しかし、当方夏季休暇は 8/16までである。
イヨッシ! リベンジに来れるぞ!!
一先ず撤退。
上官ともども、それぞれが
I shall return. (敵とは言え名言、the Supreme Commander for the Allied Powers のコトバである)
の思いを胸に、実際はスゴスゴ退散。
で、8月14日、リベンジマッチとなる、
Second strike作戦を敢行である。
前回敗北で敵情は十分に把握している。
マルキュウヨンゴー(09:45)現地着で、やはり一番乗りである。
その5分後、にはO-Lineのトナリも、そのまたトナリも、と陸続と後続が駐機する。
9時55分になったところで動きがあった。お店の人が出てきた。
回転、いや間違えた、小生、オトナの玉入れ屋に来たワケではナイ、
いよいよ開店である。
ついに帰ってきたゾ
We have return.
した瞬間である
我らペアは一番乗り。そしてスデに後ろには行列ができている。
そして一時での入店許可は5組、with マスク着用もルールとなっている。
いざ、入店、で買うパン、選ぼう。
なのにまた
なんかオカシイ。
お気づきであろーか?
各種並べられてる焼き立てのパンどもの前には、さっきまでいた客がダレもいない。
我らだけである。なぜ混雑店・時間帯でこんなジックリ写真が撮れんだ!
後続部隊はドコ行ったのか?
視線を巡らす。
いた!
みな、レジカウンターに殺到してるではないか!!
キツネにつままれたみたくな気持ちで観察する。
すると聞こえる店のおねーさんの涼やかなコエ。
「※※様のご予約分は、・・・・・」
えっ、予約!
「なぁ、上官殿(普段の会話はこんなもんである)、いま予約って言ったよな」
「うん、言った」
「ココ、予約できるんか?」
「そーみたいね!」
やられた!!(別にやられたわけじゃないが)
そこはかとない敗北感が漂うが、スグ持ち直す。
ちゅーことは、5組限定の混雑してない店内でジックリ品定めできるってーコトだな。
そう、物事はpositiveに考えると、人間、happyになれる。
というこで、
イッパイ購入
本日のランチ

(なお赤い飲料はトマトジュースではない。上官殿が購入してきたblood orange = 血のオレンジ。
おドロおドロしい名だがうまいゾ。高いが)
本日のディナー
いやー、堪能した。
ごちそうさん!である。
で、
終わらなかった。
小生には疑問が残ってた。
店内に掲げられてた黒板に書かれた暗号(ではナイ。たぶん)

Boulangerieを名乗る以上、これがフランス語で書かれた何カシラン、であろーことは、まず間違いなかろう。
うーん、知りたいゾ、ナニ書いてあるか。
でも如何せん、小生、英語ならたぶんワカル。
よしんばイタリア語だとしてもなんとか想像力も駆使すれば、
近づくこともできよう。
しかし、ダメだ、フランス語は。サッパリわからんちん。
でも日ごろの行いの良い小生、神様は見ていてくれてる。
知り合いに解読者が現れた!! 天から降臨せし協力者である。
なんとそのヒトはフランス語達人(hereinafter:フランス者)というではないか。
しかもそのフランス者、小生の心に灯った小さな疑問の火、これをキッカケに
専門文献まで当たってくれた。感謝である。
ココでも再度、ありがとうと言っておく。
パンもウマかった。
上官殿に聞くと、も一回食べたいとのことである。(リピ決定の瞬間である)
前回情報を得たので、予約注文しとくから今日引き取りに行ってきて、
との特別命令も出た。
ついに、
Third strike. Attack on sido boulangerie 作戦再発動である。
で、暗号解読文(うそ。解読者より送信受けた内容をテキスト印字した
ハードコピー)を手に、さっき行ってきた。
目的地予定到着時刻は、ヒトナナマルマル(17:00)である。
とーぜんである。
混雑してる時間帯に行っては、相手してもらえんだろーし、
してもらえても迷惑この上ない、バカに小生がなってしまう。
その点は抜かりない。夕刻の5~6時頃なら比較的空いてますよ、
と事前に電話入れて調査済みである
さ、解読者も皆さんも戦況結果報告をお待ちであろう。
けっかはっぴょーである。
いやー
オドロイた!!
今、明かされる驚愕の事実!!!
ホンマ、
ビックリして腰抜かすか思たわ!!
ほんで、
泣きそうなったわ!!!
お待たせしました、以下、
戦闘報告リポート!
予約したパンどもを受け取り、お会計を済ましたら、
レジのおねーさんに聞いてみる。
「オーナーさんに聞きたいことあるんだケド」
「はい、なんでしょう?」
「イエね、あそこの黒板の文字、あれなんて書いてあるか知りたくて...」
「てんちょー!、今、お時間だいじょーぶデスカー!」
「ちょっとお客さん・・・」、パン工房に大きなコエで呼んでくれるおねーさん、
「ハイ、何でしょうか?」店長(オーナー登場)
「すいません、お忙しい中お呼びだてして。あの黒板の文字、フランス語ですよね?」
「ハイ、そうです」
「実はどうしても意味知りたくて、知人のフランス者に訳してもらったんです」
ハードコピーをお見せして、
「これで合ってるでしょうか?」
「ええーと、そうですね。こんなカンジです」
しつこく確認、
「これで、合ってると?」
「ハイ、間違いないです」
小生、思わずガッツポーズである。
「それで、そのフランス者が言うには、日本にフランスパン広めた一人者の、フィリップ・ビゴ、その彼の、"P・H・Bigot" のサインがあると言うんですが」
「ええ、私、ビゴさんに師事してたんです」
あかん、もー眩暈がした。へにゃへにゃなって地べたに崩れ落ちるか思た。
でも、ココで終わっちゃ、小生の仕事も
三流である。
「えっ、そーだったんですか!!!、失礼を承知でお伺いさせてください」
「どこでご一緒に仕事されてたんですか?」
「銀座プランタン(現マロニエゲート)の『ドゥースフランス』です」
「ビゴさん、もうお亡くなりになったんですが...」
スゴすぎ!
愛弟子さんであった。
その後、sidoの由来を伺うと、これは予想に違わず、本名お名前とのことで、
小生も自分の名刺をお見せして、私もSidで、シドなんですよ、
なんてお話なんかもさせてもらう。
そして、写真撮影にも快く応諾くださった。しかもマスクも取って。
イヤー、
ほんまもんのオトコマエの職人さんである。
しかも上記写真ネット上にアップロードすることも快諾くださった。
興奮冷めやらぬままに、O-lineに乗り込み家路を急ぐ小生であったが、
信号待ちしてる時、大失態をしてることに気付づいてしまった!
このままじゃ、
二流どまりである。
リカバーすべくスグ、O-Lineからハンズフリーで電話する。
そして、自らを名乗り、大変申し訳ないが電話口に、
店長sidoさんを呼び出してもらう。
「あっ、さっきの」と言いつつ、快く取り次いでくれる、
おねーさんもステキである。
小生、同年代の未婚だったらホレてたかもしれんゾ。
で、sido店長である。
「先ホドはどーもありがとうございました。
もうヒトツ、とても大切なことお伺いするの忘れてました」
「ハイ、なんでしょう?」
「あの文章は、sidoさんが考えられたんですか? 何かから引用とかヒント得られたとか?」
「いや、あれは、ビゴさんです」
「あっ、やはりそうでしたか! どこ(ナニ)でのオコトバなんでしょう?」
「いや、ビゴさんが書いたんです」
「はぇぇぇぇー、今なんと?」
「15年くらい前だったかな、この店、オープンの時、ご自身で書いていかれたんです」
「今、なんと?」
「ビゴさんがお見えになられて、オープンを記念して直筆で書いていかれたと!」
もーほんまにあかん。
ジコおこしそうや。
そーか、シッコスちびりそーや。
しっかし、今回は思いもかけないほどの
大戦果、
興奮したまま、ウチついて、
今、こーしてブログ書いてるトコである。
最後に、ビゴさんこと、偉大なパン職人、P・H・Bigot氏

(
ビゴの店HPより)
の冥福(2018年ご逝去)を祈りつつ、
sido boulangerieに彼が残したフランス語メッセージ、
知人フランス者日本語訳(ママ)で締めくくる。
合掌。
人生、自然
健康、仕事、
(日々の) 生活とシドの美味しいパンを愛でよう
友愛をもって
P・H・Bigot