
我が家の比類無きMDコムポも、ダビング成功打率が2割を下回り、
粛々とフィナーレを奏で始めた。
是非も無し、と、
通勤用のアルトでは既存のCDMDでお茶を濁してはいたが、
僅かな通勤時間とはいえ惰性的に運転し、無為に過ごすよりも、最新の音楽事情を把握する時間に充てたいたいもの也。
そこで思い立ったのは『FMトランスミッター』。
某クション内を散策してみれば、格安にてのご提供があちらこちらに、
正に、「売るほど」在る。
こういう時の為にあるものではないか。
初体験の良い機会である。
決断には時間を要しなかった。
FMトランスミッターは間も無く来た。
送料込み\750。
精密機器産業を震撼させるに充分な価格といっても過言では無い。
円高の影響は甚大である。
送料にまつわる事業仕分けを計った結果、パッケージ及び、取説無し。
本体とリモコンが裸にプチプチ巻きで茶封筒に入っていた。
豪気である。
正に保安船に体当たりのナイス度胸である。
本体を見れば、各ボタンの煌びやかな鍍金処理が眩しい。
手に取ってみる。
驚き果てた!
驚きのあまり、失禁した上に下顎の歯が全て抜け落ちるかと思った。
軽い。
まるで質量を持たぬかの如く。
分析するにこれは恐らく、
量子力学を始めとするあらゆる超科学分野からのエキスパートを招集し
幾多の試行錯誤の末に得た産物に違い無い。
僅かな重量の変化と云えど、
スーパーライトウェイトスポーツ、アルトに於いては、思わぬスピンを招く要因となりかねない。
開発陣は全世界随一の技術を結集し、一切の妥協を許さず、当製品の開発を完遂したのだ。
感慨無量の境地で改めて手に取る。
いやしかし軽い。しこたま軽い。
この素材はもしや、現地球上では解析はおろか、認識すら難しいと言われる、「ダークマター」から成る物ではなかろうか!!
興奮を胸に、徐にシガーソケットに突き刺す。
サクッ。
緊張に震える指先で周波数を合わせる。
世界が一瞬、静寂に包まれる…。
カオスを越えて、終局が迫るかの如く!
…おおお!
これがガンダーラか!
誰も皆、行きたがるが、
あまりに遠いガンダーラか!
若しくは、
昔の記憶の中に現れいづる、
怪しく横たわる見える筈の無い大地、
エル・ド・ラ・ドなのか!!
ズギャア!!!
端的かつ合理的に言い現すならば即ち、
音質は
FMラヂヲ>FMトランスミッタ>>AMラヂヲ
である。
音量を上げれば、
モスキート音の様な高周波のノイズが若干ではあるが、乗っているのが確認出来る。
気にしなければ気にならないが、
まあでも、この辺りのノイズが許されるのはギリギリ、コンパクトカークラスまでだろうか。
感応分野で人にも寄るが。
受信状況は、電波が途切れて曲が途絶える、という事はない。
思いの外、安定している。
更に驚くべきはイコライザ機能が付いている事である。
なんと6種類もの音場を提供してくれるのだ。
この6種類のチューニングというのが、耳の痩せた愚民どもには聞き分けられぬ、絶妙なものだ。
当然ながら身分の卑しい私には何とも感想の述べようも無い。
我泣き濡れて、ぢっと手を見る。
取り敢えず、Vo音域が良く聴こえる設定という、ひたすら無難な道を選んだ。
そして、更にインテグレートなのは、
電源を落としてもイコライザ・ボリューム・再生曲を記憶している、
レジューム機能付な点だ。
しかもこの「再生曲」というのが、次回ONで必ず頭出しとなり、
チョイ乗りを繰り返すと、いつまでも同じ曲を聴かされ続ける、というフェイク付きだ。
何と愉しませてくれるではないか。
以上の操作は全て、付属のリモコンで行える。
リモコン用の電池も付いてきた。
嬉しいではないか。
嬉しさ指数で云うと、
「スーツ2着目半額」以上、
「ミスドの全品\100」未満、
といった所である。
そしてこのリモコン、
実に、射程距離が10~15cm。
驚天動地の事実が発覚した。
この数値は何と、中国拳法、
発頸から派生する必殺技、『寸頸』の射程距離と同値である!
ジークンドーの始祖、あのブルース・リーの必殺技、
限り無くゼロに近い距離から驚異の破壊力を放つ、
『ワンインチパンチ』に同義である!!
これは偶然か必然か、
因果律に定められた宿命なのか…。
考えるな、感じろ…。
さて、
夜になると、何故か例の高周波ノイズが増した。
調査の結果、フットライトに使用しているネオン管のインバータが影響している模様。
アルトに於ける唯一なムーディ~アイテムなだけに、悩ましい。
ノイズを取るか、ムーディ~を取るか、
抜き差しならないジレンマを、
敢えて携え、今日を生きるのである。。。
(ソケットだけに。)
Posted at 2010/11/17 03:52:24 | |
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