
今更ながら『紅の豚』を観た。
偉ェ良い映画だった。
σ(*´Д`)が10代の頃公開され、確か金曜ロードショーで観たが、
全く良さが解らなかった。
解るワケがないのだ。
子どものために作品作りをする宮崎駿監督が、
このとき初めて中年男性向けに作ったそうなのだ。
「飛ばねえ豚はただの豚だ」
やたらこの台詞が耳に付き、
如何にも狙った様な、CMで使い易そうなフレーズだぜと、
当時ひねくれ盛りだったハイティーンのσ(*´Д`)。
この台詞の後にジーナの「馬鹿っ!」と
続くのだが、
ここのやり取りに於いては本当に馬鹿な台詞なのである。
『馬鹿を承知で言っているんだ』と気付くのに30年以上掛かった訳である。汗
σ(*´Д`)
どうか、未見、或いは今イチ良さが解らなかったといわれるヲッサン方はゼヒ、
今一度落ち着いてゆっくり鑑賞する機会を設けて欲しい。
豚が恐ろしく格好良く見えるから。
そして豚の様に出た己の腹を擦って感慨に耽って欲しい。
共に格好良い豚を目指す同志となろうではないか。

マダム・ジーナ
3人の飛行艇乗りと結婚し、いずれも死別している。
ジーナは始めからマルコの事が好きだったのではないだろうか。
そしてそれはマルコも同じだったのでは…。
悲しませたくがないゆえに遠ざけ、
そして何たる因果か結果的に寂しい想いをさせ続ける…。
そんな自分勝手な考察も愉しかったりする。( ´,_ゝ`)

フィオ・ピッコロ
ジブリには毎回の如く強い女性は登場する。
だが、この幼さでこれ程までの胆力を持つフィオは断トツなのでは。
飛行機好きの普通の女の子(?…ちょっと変わってはいるが)だが、
男でも狼狽える様な差し迫った状況で
えげつない肝の座りよう。笑
豚と親の会社の為に身を差し出す決心をする。
これ、男ならたぶんムリ。笑

マンマユート団
フィオに骨を抜かれる荒くれ達。笑
フィオ曰く、
「彼らの一番大事なものは金でも女でもない。名誉。
飛行艇乗りの連中ほど気持ちのいい男達は居ない。それは海と空の両方が奴等の心を洗うから。だから飛行艇乗りは、船乗りよりも勇敢で、陸の飛行機乗りより誇り高いんだ。」
これを言われて奮起しない男は居ないだろう。
以下は作品を見終えてのσ(*´Д`)の超個人的考察。
豚は或いは亡霊なのではなかろうか。
ジーナ、ピッコロの親父、マンマユート団、etc.
戦争を体験した彼らがそれぞれ作り上げた、亡霊ではとも思えた。
大切な人との死別の辛さのあまり、豚という幻を見ているのではと考えれば、
それは一層哀しい寓話となる。
また、
サムネ画でマルコの顔が塗り潰されている。
一人生き残ってしまった自分を忌み嫌い、本人が塗り潰したとされる有名な画だが、
同時に、マルコは生きていないという暗喩と受け取れなくもない。
ポルコ(豚)=人間ではないマルコ=マルコは死んでいる…。
フィオに聞かせた話でも、
「神様がまだ来るなって言ったのね」…
散った仲間の下へも行けず浮かばれぬ亡霊。
拙い考察に過ぎないが、
戦争とは物理的破壊に留まらない。
見える筈のないものを延々見せたとして、
恐ろしい所業の一つに過ぎないのかもしれない。
Posted at 2024/09/14 17:50:53 | |
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