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2025年06月14日 イイね!

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.33~角田裕毅選手が得意とする「ブレーキング」の奥深さ〜

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.33~角田裕毅選手が得意とする「ブレーキング」の奥深さ〜みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。

千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。

今回は、スポーツ走行でとっても大切な「ブレーキング」についてのお話です。

++++++
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山田弘樹(以下・山田):ちょっと古い話になっちゃうけど、角田(裕毅)選手に会ってきました! ……いや、見てきました(笑)。

編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):4月2日にお台場であった「Red Bull Showrun × Powered by Honda」ですよねッ!?

いいなぁ~。私も行きたかったんですが、その日は別で撮影だったんですよ(涙)。

山田:あのときは角田選手のレッドブル入りが発表された直後のイベントだったんだよね。

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TAKASHI:鈴鹿も控えてましたから、本当にワクワクしましたよね!

でもその後はちょっと苦戦が続いていますね……。

山田:色々と歯車が噛み合わないよね…。でも角田選手、応援しています。
私は死ぬまでに、日本人がF1で優勝する姿が見たい!!

TAKASHI:私も表彰台で君が代が流れるのを聞くために、毎戦観ているようなもんです🇯🇵


山田:そんな角田選手がね、自分のスタイルについて語るとき、一番自信があるのは「ブレーキング」だって言うんだ。

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TAKASHI:それ、私も記事でも読んだことあります!

山田:ということで今回は、ブレーキングについてお話します。

TAKASHI:そこに持っていきましたか!
でも確かに、クルマを走らせる上でブレーキングって、とっても大切ですよね。

山田:そう。まず安全面で言うと、目の前で何か起こったときは、まずブレーキを踏む。いまはほとんどのクルマにABSが付いているから、タイヤのロックよりも強いブレーキ踏力を与えることが先決。

つまりどんなときでも、何かあったら思い切りブレーキを踏めるように、正しいシートポジションを取ったり、そういうときの心構えを持っていることが大切です。ガチガチに構える必要はないけど、リラックスしながらも、そういう事態を想定して運転することが大事だね。


TAKASHI:でも赤パン(山田所有の赤いパンダ・トレノ AE86)、ABS付いてないですよね?👀

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撮影:市健治


山田:またそういうこと言う~。
だからそういうときでも、ロックしないように心がけてるよ。

TAKASHI:おおぉ……普段からサーキットを走っている成果ですね!?

山田:そんなこと言ったら、F1にだってABSは付いてないよ?

身近なところで言うとジュニアフォーミュラにも付いてない。あとGT500マシンにも付いてないな。
ポルシェ911 カレラカップも海外だと、ABSないみたいだね。

TAKASHI:確かにッ! そう考えると角田選手が「ブレーキングが得意」だと言えるのって、すごいことなんですね。5Gを超える世界でタイヤをロックさせずに、フルブレーキングできるんですね。

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山田:逆を言えばロックさせられる踏力もすごいし、そこからのコントロール能力も優れているんだと思う。

TAKASHI:私カートですらブレーキング難しいと思っちゃうのに……。
ところでなんで最新のレーシングカーなのに、ABS付けないんですか?

山田:それは、運転技術を競うのがレースだからでしょう。マシンの速さも大切だけど、速いマシンを人間が操ることが、すごいわけです。

TAKASHI:最近はAIで自律走行するスーパーフォーミュラなんかも走り出しましたけど、やっぱりそうですよね。だからレーシングドライバーに憧れるんですもんね。

山田:そこで今日の本題ですが、ブレーキングがうまいと、どうして速く走れたり、うまく走れるのでしょう……かっ!?

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TAKASHI:短い時間で減速できるから、より奥まで突っ込めるようになって、タイムが早くなります!

山田:あとは?

TAKASHI:あとは……フロントタイヤに荷重を掛けられるようになるから、コーナーが速くなります!

山田:おっ、いいね。もうイッチョ!

TAKASHI:えっ…あ~。えーとー。

山田:ブレーキの仕事は、まず車速を止めること。

TAKASHI:はい。

山田:そして、クルマの姿勢を作ることなんだ。

TAKASHI:クルマの姿勢? コーナーに入るときのですか?

山田:そう。それを「ターンイン」って言います。減速してから、ターンインにかけての姿勢を作るために、ブレーキとサスペンションが重要になります。

たとえばすごく曲がりにくいクルマがあるとするよね? そしたら減速したあと、タイヤに掛かった荷重を乗せ続けるために、ブレーキを徐々に離してハンドルを切って行く。

さっきTAKASHI君が言ってた「フロント荷重」だね。そうすることでタイヤはグリップ力を発揮してくれるから、カーブで曲がりやすくなります。

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ではもし、減速を終えたあとブレーキを、ポーンと離してしまったら?

TAKASHI:フロント荷重が抜けて、曲がらなくなる!

山田:そう。いわゆる「アンダーステア」の状態だね。

一般的なクルマは安全のために、アンダーステアが基本。だからサーキットで走らせるときは、フロント荷重を意識して運転します。

じゃあ逆に、曲がり過ぎちゃうクルマだったら?

TAKASHI:ブレーキは残せないですね。スピンしちゃうかも(汗。

山田:だよね。減速したあと、クルマの姿勢を整えてターンインする。
「ブレーキを残す」って言い方はドライビングテクニックとして割とポピュラーな表現だけど、きちんと言うとブレーキでクルマの姿勢を調整するんだ。リアタイヤにも必要な荷重をキープできたら、スピンしにくいよね?

TAKASHI:なるほど! 大切なのは前後のバランスなんですね。

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山田:そう。そしてサスペンションのスプリングを硬くしたり、ダンパーの縮み方や伸び方を調整するのも、クルマの姿勢を作るため。足周りとブレーキでクルマの姿勢、つまり挙動をコントロールするんだね。
 
TAKASHI:ちょっと難しい(汗。

山田:そこは徐々にわかって行けばいいよ。

つまりブレーキって、止めるだけじゃなくて運転しやすくするための装置でもある。それを知っておくと、スポーツドライビングの幅はぐんと広がるんだ。
だからブレーキは、まず扱いやすいことが大切。きちんと踏み込めて、抜いて行くときのコントロールがしやすいことが求められます。

TAKASHI:速く走らせるにはガッツリ効いて熱に強いブレーキパッドが必要なのかと思ってました。

山田:グリップの高いタイヤを履いたら、それだけ止めるチカラも必要になるから、効くブレーキが欲しくなる。でもそのとき、コントロール性が悪かったら姿勢が作りにくいでしょ?
純正のブレーキパッドみたいに扱いやすくて、フェードしないパッドがあれば一番いいよね。


写真:トヨタ自動車


TAKASHI:つまり、純正のブレーキパッドはとてもいいバランスなんですね。

山田:そういうこと。むしろ普段の運転では、サスペンションやクルマの動きを体で感じることができると思うよ。

とっさのときは別にして、ガツーン! と乱暴に踏むことばかりがスポーツドライビングじゃない。

TAKASHI:それ、ロードスターだとよく感じます!

山田:だよね。アクセルを踏んだり緩めたりするのも、実は一緒。4つのタイヤにどういう風に荷重を乗せていくか、そこからハンドルを切って、どうやってアクセルを踏んで行くか。クルマとタイヤの動き方を感じながら運転するんだ。

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写真:マツダ


別に速く走らせなくても、そうやってクルマと対話すれば、運転はすごく楽しくなるんだ。その一番速度域が高いのが、サーキットという話。

TAKASHI:とってもよくわかります! あぁ、ロードスター乗りたくなってきた。
ちょっと走りに行ってきまーす!

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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
2025年05月09日 イイね!

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.32~TAKASHI君、憧れの佐藤琢磨選手のカート大会に出てパ○ツがずぶ濡れに!?〜

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.32~TAKASHI君、憧れの佐藤琢磨選手のカート大会に出てパ○ツがずぶ濡れに!?〜みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。

千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。

今回は、佐藤琢磨選手が主催するカートイベントにTAKASHI君と一緒に参加してきたお話です。
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編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):
山田さん、ボクはいま、モーレツに感動していますッ!!

山田弘樹(以下・山田):なんですか、そのヒューマ的なリアクションは?

TAKASHI:ん? ヒューマってなんですか?(真顔)

山田:いや……なんでもない。ところでなんでそんなに興奮してるの?

TAKASHI:だって、「ナマタクマ」ですよッ!?

山田:ナマタクマ(汗。佐藤琢磨選手のこと大好きなんだね?

TAKASHI:自分がF1を見始めたときの日本人ドライバーが、琢磨選手だったんです。

山田:(ジェンソン)バトンと組んでいた頃かな?

TAKASHI:はい、ホンダ第3期で、ボクにとってはヒーローでした。

それからもずっとファンで、インディ500もテレビでですが毎年観戦していましたし。そんな人の走りが間近で見られて、しかも一緒に走れちゃうなんて!


写真:本田技研工業


山田:というわけで今回は、「佐藤琢磨ファンミーティング2025」に参加したお話です。

TAKASHI:もともとは昨年末に行われるはずだったミーティングが、スーパーGTが延期した関係で今年にずれたんですね。

山田:そう。そこで琢磨選手が、以前からファンの人たちに要望されていたカート大会を、どうせだったらやっちゃおう! となったみたい。

TAKASHI:そんな大切なファンの集いに呼んで頂けて、おまけにカート大会まで出場させてもらえるなんて……恐縮です。




山田:ところでレースは土砂降りで、大変だったね(笑)。

TAKASHI:はい。かなり雨が強かったから「自分は走らないでいいのかな…」なんて思っていたんですが、しっかりエントリーされていて☔️
急いでホームセンターでビニールのカッパを買ってきたんですが、1周目でパ○ツまでずぶ濡れになりました🫣

山田:カートは低いから、地面からの水をフロントのタイヤが巻き上げて水をかぶるんですよ。だから足首とか、お腹周りはきっちり防水しないと大変なことになる(笑)💦

TAKASHI:先に教えてくださいよ~(泣。




山田:ごめんごめん。他のチームになっちゃったから、話すことができなかったんだよ。雨のカートはどうだった?

TAKASHI:生まれて初めて、しかもかなりのヘビーウェットを走ったんですけど、やっぱりドライとは違いますね。

山田:東京シティサーキットのEVカートは、前に乗ったことあるもんね。
でも意外と、グリップしたでしょ?

TAKASHI:はい。ミゾなしのスリックタイヤなのに、驚きました。

山田:EVカートは普通のカートと比べて重たいから、タイヤに“面圧”が掛かりやすいんだろうね。あとは速度も速すぎないから、ハイドロプレーンが起こりにくいんだと思う。




TAKASHI:でもドライだと70km/h近くでますよ?

山田:100ccのエンジンカートだと、直線によっては100km/h近く出るからね。

TAKASHI:失敗するとアンダーステアやオーバーステアがハッキリ出るので、難しいけれど勉強になりました。

山田:速度も低いから、安全に色々試せるしね。

TAKASHI:好んで雨の時に走ろうとは思わないですが(笑)、それだけに貴重な体験ができました!




山田:ところで予選はどうだったの?

TAKASHI:前が詰まってしまったのと、黄旗が出てしまったので45秒668でした……。でも予選グリッドを決めるプレ耐久は1位になりました!!
山田さんはどうでしたか?

山田:私も予選は前との間隔を空けたんだけど、追いついてしまって42秒153でした。

TAKASHI:うぐぐ……ぐやしい。総合でも12番手じゃないですか!

山田:ビミョー(汗。一応メディアチームではトップだったよ(笑)。
でもさ、カートは個体差もあるから。こういう厳密性が低いときは、純粋に楽しむのが一番! そしてくれぐれも、安全に。

TAKASHI:安全性といえば、「FCY(フルコースイエロー)」は画期的でしたね!

山田:だよね! 誰かがスピンしたりクラッシュしたら、スピードリミッターが自動で掛かるのは安全だし新鮮。EVカートだからこそできる制御だね⚠️




TAKASHI:実は私、レース中にスピンしました(汗。
幸いクラッシュはしませんでしたけど、コースを区切っている樹脂製のボックスも面白いですね。

山田:あれならコースレイアウトを変えやすいし、万が一ぶつかったときも衝撃を和らげてくれそうだよね。適度に動きそうだからマシンも人も、ダメージを受けにくそう。

TAKASHI:だんだんインが広がってきたり……(笑)。
雨でも縁石をまたぐわけじゃないから、カートもコースアウトしにくいですよね。

山田:ギリギリを攻めたときに“チッ チッ!”でタイヤを擦るのが刺激的(笑)。
あとEVはカートも市販車と同じでトルクがリニアに立ち上がるから、走らせやすいよね。

TAKASHI:はい。ガソリンのレンタルカートだと、一回アクセルを抜いてしまうと加速するまで時間が掛かるけど、EVはリカバリーもしやすいし。すごく繊細な操作も受け付けてくれるから、走らせていてどんどん楽しくなって行きますよね。

でも、決勝レースで山田さんのチームに負けちゃったのは悔しかったなぁ。

山田:桂伸一先輩と、カー&ドライバー誌の山本義隆統括編集長、鈴鹿で走りを鍛えたシニアカーターの方々のおかげで、3位になれました。えっへん。

TAKASHI:でも、すごく嬉しかったのは後ろから琢磨選手が迫ってきたんですよ!
「うわぁ! 佐藤琢磨キターーーーッ!」って、ドキドキしました。




山田:追いかけられて喜ぶってのもなんだかすごいな(笑)。
でもさ、佐藤琢磨選手ってすごいよね。今回なんかひとりで耐久レース走ったでしょ? あれって結局、全てのドライバーと一緒に走ったということじゃん。

あと琢磨選手は「Takuma KID's Kart Challenge」という活動もして、若い子供達にチャンスを与えている。

TAKASHI:もともとは、東日本大震災の復興チャリティとして始まった活動なんですよね?

山田:うん。最初は震災で被害を受けた子供たちに運動をさせてあげたくて、色々なジャンルのサポートをしてて、カートもそのうちのひとつだったみたい。

いまは全国のサーキットでレンタルカートのタイムアタックをしてもらって、ファイナルステージ(モビリティリゾートもてぎ)を勝ち進んだ選手にスカラシップを与えて、レーシングドライバーへの道を開こうとしているみたいだよ。




TAKASHI:鈴鹿サーキットレーシングスクールの校長先生もやっているのに、すごいですね。

山田:あっちは小さい頃から英才教育を受けてきたサラブレッドたちの学校。キッズチャレンジはそういう経済的な余裕がない子供たちに、夢を与える活動だと言えるよね。

TAKASHI:だからこそ、角田選手のようなドライバーが育つんですよね。
今年もインディ500、応援しなきゃ!!



写真:(C)SPORTS BIZ
2025年05月07日 イイね!

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.31~GRカローラの進化が凄かった!〜

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.31~GRカローラの進化が凄かった!〜みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。

千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。

今回はワタクシ山田が、進化型「GRカローラ」を雪上で乗ってきた際のお話です。

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山田弘樹(以下・山田):この前(といってもだいぶ前)、苗場スキー場でGazooRacingのイベントがあってね……

編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):ユーミンのコンサートとジョイントした「SNOW DRIVE 2024 in naeba」ですね!?
親や親戚が『私をスキーに連れてって』世代だったので、小さい頃はユーミンを聴きながらスキーに行ってました⛷️


山田:北海道の試乗会から駆けつけたから、残念ながらコンサートは見られなかったんだけどね。
だけど遂に新型GRカローラ、乗ってきました!

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TAKASHI:おぉ! これって2022年に500台限定で発売されたモデルの「進化型」ですよね? ってことは今度も限定ですか?

山田:いいフリしてくれるなぁ。

TAKASHI:えっへん。だってみんなが買いたいモデルですから。

山田:今度はきちんと、カタログモデルです!

TAKASHI:やったー! 新型が出るってウワサもありますけど(汗。

山田:それはひとまず、置いといて。まだ工場出荷の目処とかはハッキリしないところもあるんだけど、限定ではないとのことでした(※後日あえなく受注停止になりました…涙)。

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TAKASHI:で、速くなってましたか? 良くなってました!?
これって同じ進化型となったGRヤリスと、いろいろ共通しているんですよね!!??(超前のめり)

山田:どうどう。詳しいレポートは「月刊 自家用車WEB」をぜひ見ていただきたのだけど、前期型と比べて全方位的に手が加えられたね。

出力も上がっているんだけど、それよりもモータースポーツを楽しむための用意が整って来た! という感じ。

一番いいのはやっぱり、GRヤリスで採用された8速ATがGRカローラにも用意されたことだよね。

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TAKASHI:「GR-DAT」(Direct Automatic Transmission)ですね。
私は乗るなら断然MT派ですけど、これで沢山の人がGRカローラを楽しめますよね。

山田:うん。やっぱりGRカローラは5ドアハッチだからさ。家族がいる人にとっては、希望の1台になると思うんだよね。

TAKASHI:確かにGRヤリスだと3ドアだし、シビックタイプRもATはないですもんね。

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でも、そもそもGRカローラって普段乗りできるような乗り心地なんですか?
前期型も日常的に使うには、ちょっと(だいぶ?)硬かったような……。

山田:今回のテストコースはデコボコな雪道で、しかもタイヤがスタッドレスだったから、正直乗り心地はきちんと評価できない。

でも、ボディにはすごくシッカリ感があって、足周りも短いストロークの中できちんと動いていたよ。段差を乗り越えたときとか、アシが伸びたあとの着地なんかとても良かった。

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TAKASHI:それは期待しちゃいますね。

山田:うん。ボディ自体に変更はなかったから、そもそもカローラの剛性が高いのかも。すごくいいクルマになっている感じがした。
 
TAKASHI:ところでカオつきも、かなりアグレッシブになりましたね。

山田:バンパーが“ぐわっ”としたよね(笑)。

これは右側にエンジン冷却用のサブラジエター(RZにメーカーオプション)、左側にGR-DAT用のオイルクーラーを置けるスペースを作ったから。ラジエター脇はブレーキダクトになってるんだ。

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スポーツカーって改良するとハイパワーになるのがセオリーで、今回もGRカローラはそのトルクを400Nm/3250~4600rpm(+30Nm)まで上げているんだけど、大切なのはそのパフォーマンスをきちんと持続させることなんだよね。

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TAKASHI:速いクルマじゃなくて、タフなクルマにすることが大切なんですね!

山田:良いこと言う(笑)。

TAKASHI:GRカローラはGRヤリスよりも一回り大きいボディに同じ出力のエンジンと4WDシステムを搭載しているわけじゃないですか。

だとするとやっぱり、GRヤリスの方が速いんですか?  山田さん的にはどっちがオススメ?

山田:当日は進化型GRヤリスにも試乗できたんだけど、直接同じステージで乗り比べることはできなかったんだ。だからどっちが速いかは、わからない。

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TAKASHI:わからないこと多いですね(冷たい目)

山田:今日はグサグサくるね(笑)。
でも、条件が違うのにフィーリングだけで判断できないよ。

TAKASHI:じゃあ、フィーリングでお願いします!(笑)

山田:軽いなぁ。TAKASHI君も言ってた通りカローラはボディが大きいでしょ? だからその分ホイルベースも80mm長い。これが雪上路面だと、扱いやすさにつながっていたよ。

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積極的にアクセルを踏んでオーバーテアが出たときも、サイドで曲げたときも、流れだしが穏やかでコントロールしやすかった。GRヤリスは雪上やダートだと、このときの動きが素早いんだ。
そこが楽しいんだけどね。

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TAKASHI:だとしたらドライのサーキット路面だと、アンダーステアが強い傾向なんですかね?

山田:低速コーナーはそうかもね。でも高速コーナーだと逆に、慣性重量が大きくなってリアが流れるのかな? って思った。

というのも今回の改良は主にサーキットでのポテンシャルアップで、富士スピードウェイのAコーナーや100Rみたいな高速コーナーで、「腰砕け感を抑えるセッティングをした」って開発陣が言ってたんだ。

具体的にはダンパーがリバウンドスプリング内蔵式になった。スプリングも16%ハイレートになって、リアのトレーリングアームの取り付け点を従来よりも上げて、よりトラクションが掛かるようにしたって言ってた。

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TAKASHI:ちょっと難しいかも(汗。

山田:ぜひともサーキットで試してみたいよね!

TAKASHI:「GR-DAT」と「6速iMT」はどっちが好きですか?

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山田:これも甲乙付けがたいんだよねぇ。この6MT、ショートストロークなのにとっても扱いやすいんだよ。タッチは硬めでカッチリしてるんだけど、コクコク入ってミスしにくい。

TAKASHI:オートブリッパーも便利だし、刺激的ですよね。

山田:かたや8速ATは、左足ブレーキが使えるから運転の幅が広がる。シフトとクラッチの操作がないから、運転に集中できるし。

惜しいのはレブリミッターに当たるとエンジン保護のリタードが入ることで、そこは次の課題にしているとのことだった。

TAKASHI:「GRーFOUR」のモードはどれが一番好きですか?

山田:個人的には駆動配分を50:50に固定する「グラベル」モードが運転しやすかった。

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TAKASHI:「トラック」モードは前輪を60~30、後輪を40~70まで連続可変させてくれるんですよね? そっちの方が走りやすそうに思えるけど……雪だったから?

山田:それもあるだろうね。開発の坂本(尚之)さんは「ドライバーの好み」だと言ってたよ。

TAKASHI:自分にはどっちのモードが合ってるのかなぁ? 早く乗ってみたいなぁ。

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写真:トヨタ自動車

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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
2025年03月13日 イイね!

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.30~氷上トレーニングで出会った「FRプレオ」に衝撃!〜

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.30~氷上トレーニングで出会った「FRプレオ」に衝撃!〜みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。

千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。

今回はワタクシ山田が、この時期ならではの氷上トレーニングに行ってきたお話です。そこで出会った「FRプレオ」が衝撃的でしたよ。

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山田弘樹(以下・山田):突然ですが、八千穂レイクに行ってきましたッ!

編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):ホント、突然過ぎますよ〜!
氷上トレーニング、私も行きたかった…😭😭😭

山田:ごめんごめん(笑)。大井(貴之)さんに、突然「走りに来ない~?」って言われたんだよ。自分でも久しぶりだったから、なんとしても行きたかったんだ。

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TAKASHI:でも、山田さんは雪上試乗会にも沢山行きますよね。それでも行きたいと思わせる魅力が、氷上にはあるんですか?

山田:試乗会は、お仕事だもん。もちろん雪上を走るのは楽しいけど、試乗会で一番大切なのはタイヤやクルマの性能をチェックすることだからね。

TAKASHI:確かに。

山田:でも氷上トレーニングは、自分のクルマで走れるでしょ? それにドライ路面ではできないことが、色々試せる。

あと純粋な氷上を走れる機会って、なかなかないよ。クルマで走るのが許されている湖って、八千穂レイクと女神湖くらいじゃない? どちらも運営は大変だと思うけど、続けて欲しいよね。

TAKASHI:温暖化のせいなのか、氷が張らなくなってきたって言いますしね。うー、ますます行きたかったっ!


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改めてなんですが、氷上って自分も2回くらいしか走ったことないんですけど、具体的にはどういうところがいいんですか?

山田:とにかく低い速度で、ハイスピード領域で起こる挙動を体験できることだよね。路面状況にもよるけど、スピードなんて30km/hくらいしか出ないよ。

TAKASHI:確かにそうでした! 雪上よりも全然速度が低いんですよね。そして、すっごく滑る!!

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山田:それでも、リスクがないわけじゃないからね。

八千穂の場合はコースが雪で区切られているし、凍った雪カベに当たればクルマが傷付くこともある。決して「当たり放題」ってわけじゃないからね。

TAKASHI:そこは、真面目に走らないとダメってことですね。でも、やっぱり普通にサーキットを走るよりもリスクは少ないですよね。

山田:うん。タイヤも減らないし、ブレーキも消耗しない。

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TAKASHI:ガソリンは?

山田:今回なんて一日たっぷり走って、赤パンで満タンからひと目盛り減ったくらいだったよ。

TAKASHI:それは最高ですね! 最近ガソリン高いし…☠️

山田:むしろ気をつけなければいけないのは、自分。

スタックしてクルマから降りようとした時とか、他の人を助けに行こうとした時に、慌てると転んでしまうんだ。頭を打ったり、手首を骨折して救急車で運ばれてしまうことも、実際にあるんだよ。

だからボクは、こういうの履きました。

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TAKASHI:おぉ! 最近の滑り止めはスタッドレスなんですね!? 使い心地はどうでした?

山田:ゴムが柔らかくて、かなりきちんとグリップしてくれます。スタッドレスって、こんな感じなんだな~って思った(笑)。

TAKASHI:ところで八千穂には“赤パン”で行ったんですか? いくら速度が低いとはいえ、やっぱりもったいなくないですか? 道中の融雪剤とかも心配に…。
※赤パン:山田さんの愛車“赤いパンダトレノ”

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山田:確かに、知り合いからは「もったいない、錆びちゃいますよ!」って言われた。でも、赤パンは“ハチロク”だから。やっぱり元気に走らせないと。

一緒に行った友達にも運転させて、雪カベに突っ込んでたな(笑)。

TAKASHI:心臓に悪い…😱

山田:あとね、当日は面白いクルマに乗ったよ。なんと「FRのプレオ」

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TAKASHI:あっ、噂で聞いたことあります!
4WDの軽自動車からフロントのドライブシャフトを取ってFRにしちゃうヤツですね!?

山田:そうそう。横置きエンジンのFR!(笑)。

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TAKASHI:横置きFRって響きにロマンがありますね(笑)。走りはどうだったんですか?

山田:それがね、すごくきちんと出来てるんだ。正直なところ、赤パンよりもシャキッとしてた(汗。

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特にこのプレオは2ドアボディだから、4WDでも車重が800kg切っちゃうんだよ。

TAKASHI:ロールとか激しくないんですか? カーブで転んじゃいそう…。

山田:それが足周りもシッカリしててさ。プレオってもともとハンドルがすごく切れるみたいで、スピンしないんだよ。

自分がうまくなっちゃったかと思った。もう、走っている間笑いっぱなし。

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オーナーの久我さんいわく、「純正の足周りでジムカーナを走っても、まったく問題なかったです!」って。サーキットを走れる仕様の足回りにもできて、それで鈴鹿のフルコース走ったら、コーナリングスピードが速すぎてアタマの血が偏ったらしい(爆)。

TAKASHI:うわーそれヤバ過ぎじゃないですか(笑)。ちなみに、どのくらいの予算でクルマ作れるんですか…?(前のめり)

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山田:久我さんは最初からきちんと走りたかったから、ショップさんのコンプリートカーを購入して200万円くらいだったみたい。ちなみに購入したお店は静岡の「チキンカーズジャパン」さんとのことです。

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オーナーの久我さん


TAKASHI:うっ、思ってたよりちょっと高い…(汗。

山田:だってこれは、チキンカーズジャパンさんがデモカーとしてきちんと作ったクルマだったからね。プライベーターでやればもっと安くできるよ。でもこっちの方がいいと思うけど(笑)。

TAKASHI:なるほど、直ぐに走り出せるクルマと考えれば賢い選択なんですね。徐々に手をかけていく楽しみもいいですが、最初からコンプリートされていた方が結果的にラクなのかも。

山田:そうそう。構造的には4WDのドライブシャフトを取っちゃうわけだけど、溶接しないでもセンターデフロックできるパーツとか、強化されたトランスファを最初から組み込んでくれてるんだ。

あとダイハツのギアをうまく組み合わせるとクロスレシオになるみたいで、すごく楽しいんだよ。正にね、現代版のKP61スターレットといった感じ!

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TAKASHI:ふむふむ……プロバイルという会社からパーツがキット化されてるみたいですね。ということは、やる気になれば自分たちでもクルマ作れそうですねぇ。

山田:プレオの中古車、MTだとタマ数はそんなに多くないみただけど安いよね。あとはミラとかFR化してる人たちもいるみたい。ダイハツ系ならできちゃうんだろうね。

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TAKASHI:うわー、これってまさに我々(みんじどコラム)が求めていたクルマじゃないですか!!!! 乗ってみたいいいいいいい!!!!!

山田:なんかレースとかもあるみたいだし、軽4GPとかにも出られたら面白いかもね。カービューチームで1台作ってみたらいいんじゃない?

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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
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2025年01月20日 イイね!

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.29~EVとG16Eコンバートのハチロクには無限の可能性があった(後編)〜

【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.29~EVとG16Eコンバートのハチロクには無限の可能性があった(後編)〜みなさんゴキゲンよう!
モータージャーナリストの山田弘樹(やまだ・こうき)です。

千里の道も、一歩から。初心者でもクルマを目一杯楽しんで、最後の最後は「ニュルブルクリンクへ走りに行こう!」というこのコラム。

今回はワタクシ山田が、最新のハチロクに乗った時のお話の後編です。EVになったハチロクはこれからのEVに対するヒントが隠されています。

◎こちらも合わせてチェック!
>>【コラム】そうだ、ニュルへ行こうよ! Vol.28~EVとG16Eコンバートのハチロクに試乗! これは大アリ!(前編)〜


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編集部TAKASHI(以下・TAKASHI):前回は「G16E」を搭載したハチロクの楽しさを教えてもらいました。そして今月は……

山田弘樹(以下・山田):「EVになったハチロク」です!

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写真:トヨタ自動車


TAKASHI:2023年に土屋圭一さんの愛車“マメ号”と対決していた車両ですね。

◎こちらも合わせてチェック!
>>【マメ号 vs BEV】86/BRZスタイルで実現した勝負の行方は!? 40th記念車&新グレードも



でもー。ハチロクがEVになったら、面白みがなくなっちゃいませんか?


山田:TAKASHI君も、懲りないねぇ……。

TAKASHI:なんだなんだ、その遠い目は! って前回と同じことしないでください。だってさすがに、EVにしちゃうのはちょっとやりすぎでは……?

山田:いやいや大切なのは、EVで何をするかなんだよ。

TAKASHI:と言いますと?

山田:EVってさ、CO2を排出しなかったり、静かであることばかりが注目されるでしょ?

でもモーターとバッテリー、そしてここが大事なんだけど、最新の電子制御にはもっともっと沢山の可能性が秘められているんだ。

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TAKASHI:ペトロヘッドな私の脳みそではいまひとつピンと来ません。詳しくお願いしますmm

山田:たとえばこの「AE86 BEV Concept」……長いから「BEVハチ」にしよう。このBEVハチ、走らせると笑っちゃうくらい面白いんだよ。

キーをひねるとね、クランキングした後「ボボボボボ…」ってアイドリングする。

TAKASHI:そこまではなんとなく想像つきますね。でも、そんなの子供だましじゃないですか。“ベブハチ”なんてカワイイ名前に騙されませんよ!!🐶

山田:おっ、いいねその辛口! そしてクラッチを切って、ギアを1速に入れる。

TAKASHI:ふぇっ?

山田:そうなんだよ。BEVハチには本物のトランスミッションが付いてるんだ。残念ながらAE86の「T50」じゃなくて、GR86用の6MTなんだけどね。

TAKASHI:へー!

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山田:そしてね、クラッチを無造作につなぐと……エンストするの!

TAKASHI:キターッ! そういうしょうもないギャグ機構大好きです。急に親近感が出てきました(笑)。でも、なんでわざわざEVに機械式のMTを装着したんですか?

山田:それこそが、この企画のミソなわけ。本物のトランスミッションを操ることが、「クルマを操る楽しさ」を感じるための大事な要素だと開発陣は考えたわけだね。シフトの手応えや、クラッチを切ったりつないだりする感覚。

もちろんこうした感触を、スイッチで疑似的に再現してもよかったんだろうけど、手っ取り早く本物入れちゃったわけだ。この大胆さがいいんだよ。

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写真:トヨタ自動車


TAKASHI:で、運転してどうなんですか?(前のめり)

山田:もう、本当に「うはは!」って笑っちゃうよ。

そもそもこのBEVハチはさ、シャシーバランスもすごくいいんだよね。コンポーネンツはレクサス「NX」のPHEV用パーツを流用してて、18.1kwhのバッテリーが後部座席からトランクにかけて収まってる。

TAKASHI:ハチロクのボディだから、普通のEVみたいにフロアにバッテリーが敷けないんですね。

山田:そうだね。でもフロントにコンデンサーや補機バッテリー、駆動モーター&インバーター、そしてトランスミッションを配置しているから、前後重量配分は48:52とすごくバランスがいいんだよ。

とか言って、今回は一般道だからそこまでよくわからなかったんだけどね。とにかく走らせるだけで、面白かった!

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写真:トヨタ自動車


TAKASHI:フロントに駆動用モーターということは……まさかトランスミッションとプロペラシャフトを介して後輪を駆動するんですか!?

山田:エグザクトリー!

だから操作感や乗った感じはすごくガソリンエンジン車っぽくて、しかもそこにサウンドがシンクロする。

もちろん“生音”には敵わないんだけど、逆に「ここまでやるか!」って感じで楽しいんだ。

ちなみにモーター出力は95kw(約129PS)/150Nmと、ハチロクの4A-Gとほぼ同じ。車重は1070kgだからハチロク(960kg)より110kgも重たいけど、現代的なライトウェイトスポーツカーとして考えれば軽い方だよね。

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写真:トヨタ自動車

TAKASHI:ロードスターで一番重たい「S Leather Package V Selection」と同じ重さですね。

アクセルを踏んだ感覚は、どうなんですか? モーターが低速トルクをモリモリ出して、どこからでも加速しちゃう的な?

山田:ちがうんだよ。敢えてガソリン車っぽい制御を与えてるんだ。

TAKASHI:強大なモータートルクでドカーン!!な最近のEVとは真逆ですね!

山田:高回転までエンジン……じゃなくてモーターを回して行くと、トルクが落ちこむように制御されてるんだ。シフトアップを促されるという仕組み。

実際は街中だけの試乗だったから、1速でしか疑似レブリミットまで回せなかったし、トルクの落ち込みを感じる間もなくシフトアップしちゃったけど、それでもすごく楽しかった。

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写真:トヨタ自動車


TAKASHI:まるでEVでガソリン時代のハチロクを再現したって感じですね! ただのコンバートモデルじゃなかったのか〜。

山田:それそれ。実際BEVハチを運転した元ハチロクオーナーだったり現ハチロクオーナーたちも、この運転感覚にはかなり肯定的だったらしいよ。そして「こういう形でハチロクを残せるなら、ありかも」って意見が多かったみたい。

TAKASHI:なるほど、4A-Gの代わりに「G16E」を搭載するのと同じで、ハチロクを残すためのEV化でもあるんですね。

山田:その通りだよ。そしてBEVハチはさ、これからのEVに対するヒントでもあるんだよね。EVでも、楽しいクルマは作れるぞ!

ヒョンデの「アイオニック5N」とかもそうだけど、本当のクルマ好きが作ったEVは楽しいんだよ。そして、どんどん楽しくなっていくと思うよ。

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写真:ヒョンデ


TAKASHI:パワートレインで区別しなくてもいい時代が来そうですね!

で、現役ハチロクオーナーでもある山田さんの意見は?

山田:どちらかを選べといわれたら、今は愛車を選ぶよ。だって手塩に掛けた5.5AGだからね。

でも今後バッテリーが進化してもっと小さくなったり、航続距離が伸びたり、もっとパワーが出せるようになったり、もっと面白い制御ができるようになったら、ありかもしれないなぁ。

なんかうまく言えないんだけど、「アキラ」の世界観というか。ノスタルジックなのに、未来的な感覚が面白そう。

TAKASHI:なんだかBEVハチ、未来を切り開いて行きそうですね! 乗ってみたいなぁ。

個人的に将来的にロードスターがEVになっちゃったらどうしようって心配していたけど、悪くないかもしれないですね。

山田:クルマ好きが未来を作って行くのだよ。

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山田弘樹(やまだ こうき)モータージャーナリスト
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦。
こうした経験を活かし、現在はモータージャーナリストとして執筆活動中。愛車は86年式のAE86(通称ハチロク)と、95年式の911カレラ(Type993)。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

プロフィール

「下田選手が出演するYouTube『運転大好き!わくわくチャンネル』がスタート‼️ お笑いコンビ香呑(かのん)さんがMCだそうですよ>>①https://youtu.be/y2n87A7-a1M ②https://youtu.be/oIpcuRjtNKQ
何シテル?   07/29 18:18
2021年夏、「ピットイン」改め『みんなの自動車部♪- みんカラスタッフブログ・スピンオフ!』始めました! Facebookグループ(https://ww...
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