カーセンサーの中古車検索アプリには車の画像から車種を自動判別してくれる機能があるそうですが、車好きには古い写真や映画・ドラマなどに映った車の一部分から車種を特定してしまう方々がいらっしゃいますよね。実は私も、細かい年式やグレードまではさておきその手の車名当ては割と好きな方です。
少し古めの車であれば、海外のよほどレアな車でない限りたいていは当てられる自信はあったのですが、みん友のキャニオンゴールドさんが1年ほど前に「何シテル?」に投稿されたこの写真の車だけはどうしてもわかりませんでした。
※キャニオンゴールド様 転載許可ありがとうございます。
撮影年は1971年 現在の札幌サンプラザ付近とのこと。何気ない日常のひとコマですが、NHK「新日本紀行」に出てきそうな、昭和生まれの私達には何とも郷愁を覚えるいい写真です・・・
お題は左端に映っているエンジ色の初代カローラと思しき車の右隣に映っている白い車。緊急事態宣言に大雨で暇な休日、今回はこの車についてもう一度徹底的に考察してみることにします・・・ かなりどうでもいい内容なうえに少々長くなりそうなので、ここからは本当に古い車の好きな逝っちゃってる方だけお付き合いください(笑)
さて、私は最初にこの写真をパッと見た時、白い車は
いすゞフローリアンのバンか何かではないかと思いました。
丸目4灯の顔やライト枠の雰囲気、リアピラーの角度などから何となくそう見えたのです。しかしその後、隣のカローラに比べてタイヤが貧弱に見えるので軽自動車ではないか?という意見が出て来ました。
「三菱ミニカ」「ダイハツフェローセダン」「フェローmax」「初代レオーネ」「後期型510ブルーバード」「FIAT131」・・・ さまざまな方の間で諸説飛び交ったのですが、決め手がなくとうとう迷宮入りに。
あれから1年経ちましたが、まずはここから自分なりに再度情報を整理して絞り込み直すことにしました。
タイヤサイズから軽自動車ではないか?という点は、私もそう思いました。遠近による影響を考えても、確かに隣のカローラよりは車格が下のクラスと考えて間違いなさそうです。
ちなみにフローリアンはフロントガラスの縁が丸みを帯びているところもちょっと違う。
レオーネが4灯化されるのは73年にハードトップが追加されてからなので年代が合わない。
510ブルもカローラとのサイズ比からまず無さそう。
ここでターゲットを軽自動車に絞ってもう一度考えてみますが、半分だけしか見えないとはいえどうしてもこの顔と全体的なプロポーションの雰囲気に合致する車が思い当たりません・・・ ハテ、この車は一体ナンダ??
あんまり詳しくない愛知機械工業の
コニーライトバンなども調べてみたもののやっぱり全然違う・・・
考えあぐねて画像をぐーっと拡大してみると、実は丸目4灯に見えていた顔は手前の路面電車のバンパーの一部が被さって騙されているのではないか?ということに思い当たりました。
ライトそのものの形が頼りにならないということは、端がスクエアに切り立ったライトの枠、角張ったフロントガラスの形、バンパーの下についたウィンカー、後端がキックアップした特徴的なサイドウインドウのライン辺りだけがかすかな手がかりと言えそうです。
そこでこれらの特徴を際立たせるように、カローラのフェンダーミラーと重なってあやふやになったウィンドウのライン、路面電車のバンパーと重なったボンネット先端のラインを整形し、ライトの形を思い切って角目に変えてみると・・・
これまでの印象とは違うこの車の姿が見えて来ました。
うーん、何となくフェローmaxみたいだな・・・
ダイハツフェローmax(別冊CG 自動車アーカイヴ 70年代の日本車篇より)
ちなみに
初代フェローのセダンはライトの上のおでこが広く、車全体の雰囲気も60年代的で違う。
フェローmaxもよく調べるとフロントフェンダー先端が少しくの字に膨らんでいて、ライト枠の形が合わない。フロントバンパーも角の部分しかなくて違うしリアウインドウのキックアップ具合も弱い。
ミニカ70はもし丸目4灯だとしても良く似ていて最後まで迷ったが、ライトとバンパーの間の隙間が狭く塗装されたパネルがほとんど見えないのと、ボンネット後端のフロントガラス近くにあるエアインテークが写真の車には無い。またリアクオーター角部にも黒いグリル状のものが付くが、写真の車には無い。
三菱ミニカ70の丸目4灯グレード(2012年の八王子いちょう祭りにて撮影)
キックアップの辺りだけ注目すると
ミニカスキッパーが近そうだが、スペシャリティ軽として生まれたスキッパーはフロントガラスの角度がもっと寝ているしサイドウインドウの前後の比率も異なる。
他にもいくつか調べては消えていったのち、最後に導き出した自分なりの答えは・・・
パッと見 あまりそうは見えないのですが、この車は
スズキフロンテ71なのではないか?という結論に至りました。そのココロは・・・
・フロントガラスの形やサイドウインドウの前後の比率、リアのキックアップ具合がほぼ一致する。
・写真でははっきり見えないが、リアクオーターガラスの角の特徴的な黒いグリルが付いていたとしても違和感がない。
・ヘッドライトとバンパーの間にボディ同色のパネルが見える。また丸目4灯の内側のように見えていたレンズがわずかに黄色がかっており、上級グレードに付いていた?角型フォグが付いている可能性もある。
・バンパーの下に付いているウィンカーの位置・形状も一致する。
・路面電車のバンパーと重なっているので正確にはわからないが、フロントバンパーがナンバーの横辺りで切れて左右二分割になっているようにも見え、これもフロンテ71の特徴と一致する。
スズキフロンテ71(別冊CG 自動車アーカイヴ 70年代の日本車篇より)
ただ、それでもなお腑に落ちない点がひとつだけ・・・ それはフェンダーに付いたサイドマーカーの高さが、フロンテ71の写真ではもう少し上の方に付いているように見えるのです。
うーん、力及ばず私の考察もここまでか。
ホントのことはもはや当事者と神のみぞ知る・・・ ですが、史実を調べる歴史学?の面白さをちょっとだけ垣間見た気がしました。というのは冗談ながら、すごいどうでもいいことに4時間ぐらい費やして没頭してしまいました(^^; オチは特にありません。長文をお読みいただいた方には誠に申し訳ありませんでしたが、まっ ほんの暇つぶしということでご容赦を・・・
【2020.4.20 写真を追加しました】
Posted at 2020/04/19 22:08:20 | |
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