今回の1号車で、自分の期待値のはるか上を行ってくれたのがこの新しい自然吸気直噴3.5V6エンジン。カバーは黒塗りでレクサスなどより見た目はるかに地味ですがこのエンジン、実用エンジンとしてなかなか凄いんです。
最高出力225kW(306PS)/6,500rpm、
最大トルク370Nm/3,500~5,250rpm
JC08モード 12.4km/L
「最先端の直噴技術「BlueDIRECTテクノロジー」を駆使し、成層燃焼(リーンバーン)と理論空燃比による均質燃焼、成層燃焼と均質燃焼を組み合わせた均質成層燃焼の各燃焼モードを切り替え、すぐれた燃焼効率と出力・トルクの向上を実現しています。さらに最新の高効率7速AT「7G-TRONIC PLUS」や「ECOスタートストップ機能」(アイドリングストップ)とあいまって、高速走行から市街地走行にいたるまで、燃費経済性、環境適合性を大幅に高めました。
・ 新開発ピエゾインジェクター(最大圧力200bar)とスプレーガイド式燃焼システムの第3世代直噴システムによる、1万分の1秒の反応速度で1回の吸気行程に最大5回の燃料噴射を実現
・ 1千分の1秒以内に最大4回のスパークを発生させるMSI(マルチスパーク・イグニッション)システムにより、従来よりも大きなプラズマ拡散を発生、ピエゾインジェクターと併せ燃焼時間を約4%短縮。
・ エンジン負荷に応じて、成層燃焼(リーンバーン)と理論空燃比による均質燃焼、さらに成層燃焼と均質燃焼を組み合わせた均質成層燃焼の各燃焼モードを制御
・ Vバンク角を従来の90度から60度に変更しクランクシャフトに発生する二次振動を低減。バランサーシャフトが不要となり、スムーズかつ優れた静粛性を実現
・ 新開発のチェーンドライブシステムを採用。 2 本の短い 2 次チェーン(各シリンダーバンクに 1 本)を 1 次チェーンと中間スプロケットを使って駆動するもので、 3 本のチェーンそれぞれをチェーンテンショナーにより個別に調整することにより、張力が小さく、チェーンの動きが少なくなったことで、正確なタイミングと騒音の低減を実現するとともに、摩擦もさらに低減
・ クランクケースとシリンダーヘッドをアルミニウム製とするとともに、コンパクトな設計や樹脂パーツの使用によりエンジンを軽量化」
などなど小難しい事が書かれていますが、とにかくいろんな技術がいっぱい詰まったエンジン。
実際に乗ってみて理屈は抜きにして素晴らしく良く出来た自然吸気エンジンであることが体感出来ます。今までのメルセデスノーマルエンジンの「縁の下の力持ちでしっかり必要な仕事はするが、数値的にもフィーリング的にも決して他と比べて突出したものでは無い」というイメージを覆してくれました
1.フィール
バンク角が90度から60度になったことも大きいんでしょうが、回転感が緻密でスムーズ。ただ軽薄にスムーズに回るのでなく、トルクがちゃんと付いて来て良い意味での重さを感じさせる欧州製エンジン特有の質感ある回り方をする。音もいい。ホンダエンジンのように4000回転以上で一気にトルクが盛り上がるドラマチック演出はなくトルク特性はフラットですが、低速から充分トルクがあって非常に扱いやすい。これならV8エンジンはもはや要らないんでは?と思わせるものを持ってます。
もちろん、パワーを追い求める人にとっては、E550のV8ターボなどと比べるとそのパワー感は大人し過ぎるかも知れませんが、多くの人にとってはこのパワーで充分でしょう。普通に流して本当に気持ちのいいエンジンです。
欧州では最近燃費を稼ぐのに直噴ターボがトレンドになって、あのBMWですらNA直6を捨てて過給機付きになってしまいました。現行5シリーズが出て早々に535iを試乗したんですが(試乗記参)、パワー感は凄かったのですが、フィーリング面で従来のBMW直6の気持ち良さが損なわれているように感じて、もともと自然吸気好きというのもありますが、その時点で自分の次期車候補から535iが外れました。絶賛評価の多い雑誌レビューの中、間もなくして確かCG誌の記事にも自分の感じた事とまったく同じような事が書かれていて、自分の感想は間違いでは無かったんだとちょっとほっとした記憶があります。もちろん自分が乗ったのはデビュー早々のもので、今のバージョンでは改善されている可能性も充分ありますが。
2.燃費
前の記事にも書きましたが、同じ3.5V6だった前愛車と比べてハイオク指定ということを差し引かなくてはいけませんが、自然吸気3.5V6エンジンとしては驚くほどいいです。1.8t超えの車重で、渋滞の多い街中でも8km/L台をキープし、流れがいい道を走っていると知らぬ間に10km/Lを超えてます。高速は普通に走って13km/L程度、燃費を意識すればおそらく15km/Lくらいは行くんじゃ無いでしょうか? 燃料タンクが80Lという大容量でもあることから、無給油1000km走行も可能ではと思える手応えがあります。機会があればいつか是非挑戦してみたいですね。
今
まで自分が体験した実用車自然吸気V6エンジンの中ではトヨタ直噴2GRエンジンと今は無きレジェンドの3.7V6エンジンがフィール面では双璧でしたが、フィーリング面でもそれらに肩を並べ、燃費性能まで含めるとM276エンジンはマイベストV6に躍り出ました。2GRエンジンのGS350は車重がE350に比べて約150kgも軽いのにも関わらずJC08モードは9.9km/L、一方M276エンジンのE350はアイドリングストップ、出来のいい7ATの恩恵もあるでしょうが、何とJC08モード 驚きの12.4km/Lなんですね。その燃費の良さが実走行で存分に体感出来ています。
ただし、ダウンサイジング+過給機付きが大きな流れであるこのご時勢、近々あるとされているフェイスリフトでこのエンジンもひょっとしたらBMW同様過給機付きになってしまうかも知れません。そういう意味では自然吸気最後の傑作V6エンジンになってしまうのかも
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Posted at
2012/08/29 17:35:19