Air cool cylinder sleevingってやつです。
アルミシリンダーに鋳鉄のスリーブを圧入する際の寸法をどう考えて決めるのか?
復習です。
(ま、ト〜シロ〜ですので経験に基づくノウハウはあまりないので話半分です。)
スリーブとシリンダの間に隙間が出来てしまうとエンジンで発生した熱がスリーブからシリンダにうまく伝達できなくなるので、確かに密着していた方が良いとは言えるわけです。
ご老体のZなんかはスリーブが緩んじゃってることも有るのでオーバーヒートしちゃうか?なんてこと気にしている方もいるかと思います。
で、熱伝達(異なる物に熱が伝わる)は電気の流れのように考えられ、まあ密に接触していれば伝わっていくという理解。
(なので表面がザラついていたりして隙間が出来ちゃうと伝わりにくいハズ。)
なので、スリーブ、シリンダともに接触面はツルピカの方が良さそうですね。
じゃあ、圧入代はどう考えるのか?
① 材料の熱膨張を考える
シリンダは120~140℃ぐらいまで温度があがっちゃうと考えると、この温度域でもシリンダとスリーブの間に隙間が生じないような交差で圧入しておく必要はあると思います。
材料の熱膨張(線膨張率)を考えると、アルミが23x10-6、鋳鉄が11x10-6ぐらい。
同じ寸法でスリーブとシリンダを作ったら隙間が開いちゃうわけです。
60mmのスリーブを例にすると140℃で
鋳鉄スリーブ (60x11x140)/1000000(10のマイナス6乗なんで割る)=0.0924mm伸びる計算。
アルミシリンダ(60x23x140)/1000000=0.1932mm伸びちゃう
つまり0.1mmガバガバになるわけ。
なもんで、最低でも0.1mmは締め代としてキツクしておく必要があると考えます。
乱暴に行っちゃえば3/100で鋳鉄シリンダを圧入するのは考え無しで、ちょっと危ない。
②材料の弾性を考える
じゃあ、キュ〜って締めてもらった方がいいのか?となるわけで・・・
キューってしまる根元は何かと考えると、ゴムと同じように金属が伸ばされた時の弾性で締めていると考えられるので、圧入した場合伸ばされるアルミの弾性について調べてみます。
アルミがゴムのような弾性を持つ伸び範囲は明確ではなく0.2%の伸びぐらいまでと決めているので
60x0.002=0.12mm
これ以上伸ばしても伸びて元に戻らないってことになる印象ですね。
無論、鋳鉄にも弾性は影響し、圧入後寸法が変化(シリンダの剛性があると縮められる)ボーリング修正するなんてことがあります。
で、もうひとつ
③その他
アルミは高温でクリープする。という性質があるのですよ。(変形、ヘタリ)
150℃ぐらいから柔らかくなってヘタル感じかしら。
シリンダが高温になると徐々に締め付けが緩む。
うだうだ書き連ねましたが①〜③について考えるといいんじゃあないかと・・・・
ワタス的には
熱膨張差を見込んで、さらに圧入代は締め上げるのであれば0.2%変位以下、圧入時の温度管理は150℃以下にするという感じで決めていきたいなあと思います。
そうだ。モ、ひとつ。
スリーブもうすこし磨いとこ。(笑)
ご参考
https://www.knowyourparts.com/technical-resources/engine/installing-cylinder-sleeves/
https://dartonsleeves.com/pdf/dsCatalogue2018-web.pdf
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Posted at
2020/05/11 11:24:20