
この間、WALKMANを買う時に一緒に買おうと思っていた物を本日買ってみました。
それはVictor HA-FXC71-Bです。
世間の評価は様々でしたが、良いと評価する人も結構いる事と、やはりVictorと言う事で決定。
なによりも、SONYと正反対の方向性の製品なのが面白いではないですか。
と言うのも、SONYはφ13.5mmやφ16mmドライバーを押していますが、こちらはトップマウント構造なのでφ5.8mmとかなりの小径です。 実際に見てみると、こんな小径振動板にどうやってボイスコイルを捲いているのか… と疑問に思いますが、そこはカートリッジメーカであったVictorでしょう。 MC-L1000なんてとんでもないカートリッジを量産出来たのですから。
しかも、今回は振動板がカーボンだそうです。 もう色々手を出しまくっていますね…
アルミ蒸着に始まり、木を使ったと思えば今度はZEROシリーズ時代のカーボンです。
ちなみに、アルミ蒸着ドライバー仕様はVictor HP-S82Fを持っていますが、アルミの音など全く感じさせない音でした。 高域も繊細で、凄く聞きやすかったです。 残念ながら、アームが折れてしまったので現在は使っていません。
Victorは単体SPでは最近、マグネシュウムを振動板に使っていますね。
アルミも平行して販売していますが、そろそろアルミにも飽きたのでしょう。 良い傾向です。
戻ってカーボンと言えば、SX-1000やSX-900のウーファーがカーボンでした。
実際にカーボンのSPを聴いた事が無いので、どんな音なのかは未知です。
しかし、Victorが再び採用したのですから多分!多分…良いのでしょう…
HA-S800はカーボンコンパウンドとの事なので、HA-FXC71もそうなのかな…?
ところで、このトップマウント方式ですが、SONYと違う点がもう一つあります。
それは、反射音を聴くか直接音を聴くか。
SONYは大経振動板を採用している為、ドライバーは鼓膜から約90度違う方向を向いて付いています。
よって、ドライバーの音は本体の管等を通って耳に入ります。
その間には音を整える為のイコライザーが色々付いています。
Victorのトップマウント式は、ドライバーの音をより鼓膜の近くで聴く事になります。
よって、ドライバー前のイコライザーは最小限です。 筒の長さもほんの少しです。
両者の違いは大きいと思います。
ドライバーの音を直接聞ける方が、オーディオ的には面白いですが、その分誤魔化しが効きません。
変わって反射音を聞く方は音場感を作りやすいので、ヘッドホンをしているかのような音作りが出来ると考えられます。 そして、低音の再現が一番変わってくると思います。
MDR-EX90SLは、管を通る音とドライバーの直接音(耳の外から)を聞けるようになっていたので音場表現が自然だったと考えられますが、音漏れが問題でした。
MDR-EX90SLはハイブリッドな考え方の大経ドライバーだったので良かったのですが… 完全な後継機種は未だ出ていませんね。 世のニーズは音漏れ低減一直線なのでしょうか… 残念です。
MDR-EX90SLはSONYの昔の携帯ラジオに付いていたイヤホンに似ていますよね。
これを書きながら、NW-S754でHA-FXC71をエージングしつつ聴いているので少しインプレしてみます。
まず印象的なのは、高域の素直さ。
トップマウント式なので、当たり前ですがこれは重要です。 反射音を聴くタイプをずっと使っていたので、この素直な繊細さは驚きです。
低域は十分過ぎる程出ていますが、どこどこタイプでは無くソースに忠実です。
MP3ソースの低域がおかしいのが良く分かります。 WAV音源では、しっかりとした低域で、耳の奥にドライバーを配置しているのを忘れる程です。
そして、やはりVictorのイヤホンの音!これが一番心配だった点ですが、無事にVictorの音を奏でてくれています。
音場感は、素直なのですがトップマウントと言う事で、高級ヘッドホンの様な広がりを期待するとかなりがっかりするかもしれません。 特にVictor HP-DX3の空間に包まれるような鳴り方とは別物です。
付け加えると、これはイヤーピースを自分に合った物を付けないととんでもない音に聞こえます。
低音が出ないや、高域がキツイと感じる場合は、まずイヤーピースのサイズを換えてみる事をお勧めします。
そして、本体を耳の一番奥まで入れる様に押し込みます。
左右で音が違う場合は、本体を耳に入れた状態で色々な角度に動かしたり、耳に押し当てたりしてみて下さい。 又、左右でイヤーピースのサイズを変えるのも手です。
人によっては、少し動いただけでも本体がずれて左右で音が変わってしまう事もあるので、付属のクリップで線を固定してみてください。
そして、付属品ですが、良くできていますね。
全てに大きく「JVC」と刻印されているのも高評価。 線を固定するクリップは、線のどの位置でも確実に掴んでくれるので、無くす心配もなさそうです。
そして、この価格帯に小さなキャーリングポーチを付けてくれているのも良心的です。
付属品とイヤーピースが入っている袋がチャック付きと言うのもVictorらしい気配りです。
コードに関しては、Y字線にした事と、1.2mOFC線を標準にした事によって音質に与える悪影響を排除できています。 ネックチェーンタイプの配線は左右で大きく線の長さが変わるので、良いとは言えませんでした。 それと、今までの0.5m線タイプは延長ケーブルで大きく音が変わるので、好きではありませんでした。
MDR-EX90SLは付属の延長ケーブルを使うと一気に情報量が減ってしまい、使えなかったのでJVCの延長コードを使っていました。
結果的にHA-FXC71は、まだエージング中と言う事を考慮してもかなり良い結果です。
これでピークが出るのでしたら、DAPか音源そのものが悪いと思います。
DAPは殆どの場合、PC転送なのでPC自体を高音質化しないと始まらない気がします。
リッピングに関しても、ドライブによって音は大きく変わりますから。
最後に… ソースの音に忠実な傾向のVictorサウンドですので、評価は環境によって大きく変わると思います。
この日の画像は、HA-FXC71-Bとその付属品です。