
Victorのプリメインアンプ達を少し紹介… と書くと大げさですが,一応当時のハイエンド プリメインアンプ達です。
今回は,Victor JA-S75 A-X9 A-X1000を試聴比較した感想を少し書いてみます。
A-X1000は以前に書いているので,A-X1000に比べてどうか等の書き方になると思います。
又,飛び入り参加でJS-S41DCも聴いてみました。
SPはVictor S-M5で,ソースはXL-V1100とBRAVIA 40X1をD/AコンバータとしたPS3です。
電源は壁コンセントから電源をとったGS.EE製 BM1500FNX/REI。
まずJA-S75から。
JA-S75は家に3台有りますが,1台は改造の為不動で残り2台はノーマルです。
このAMPも基本鳴らないAMPで,少し前はAMラジオみたいな音でした。
JBL D130と075で聴いていた時にも一度聴いてみましたが,どうしても高域がうるさく感じられる上に低域の量感が出ないのであまり聴く事がありません。
このAMPの主な特徴は,A級B級独立電源にL・R独立電源を加えた強力な電源部と入力コンデンサを排除した事です。
L・R独立電源はこれ以降あまり見られないので,Victorとしてもあまり良い結果では無かったようです。
試聴した感想は,それほどワイドレンジではないもののVictorの高級機である質感は持った音です。
エネルギー感はA-X9とは少し違う方向で,横への広がり感よりも前に向かってくる傾向があります。
低域の量感はA-X9とA-X1000と比べても一番有りました。(S-M5の場合)
細かい音はA-X1000やA-X9と比べてしまうと少し団子になる傾向がありますが,音が少し粗めなのでそれをあまり感じさせないチューニングです。
元気の有る音ですが,その中に落ち着きを持った音ですがセパレートモデルに気を使ったのか,何か抜けと情報量が足りません。
続いて,A-X9です。
A-X9はVictorが「プリメイン型だから音質がよいと言い切れる」と言うキャッチフレーズだったので,よほど自信があったのでしょう。
A-X9の他にA-X5も有りますが,今回は出してきていません。
このAMPの主な特徴は,大型トロイダルトランスと全段ダイレクト・サプライ方式のローインピーダンス独立2電源となんといってもスーパAです。
Victorはトロイダルトランスが好きなのかそうでないのかイマイチよく分からないのですが,これは珍しくトロイダルトランスを搭載しています。
石はVictorでは非常に珍しい富士通コンポーネント製です。
試聴した感想は,A-X1000よほんのり少しレンジが狭い印象ですがVictorの高級感漂う音質です。
エネルギー感は横方向に有り,前に飛んでくる分があまり強くはないです。
このAMPは高域に特徴があり,MOS-FETとトラの間というか良いとこ取りしたような繊細でありながらもカチッとした力強さも出ます。
それでもA-X1000と比べると定位感が甘い事と,音の抜けが後少し足りません。
トランペット等が真っ直ぐと飛んで来ない辺りは耳当たりを気にしたのかもしれませんが,10番や1000番でない理由はここにあるのかとも思います。
A-X1000は以前にも紹介した通りです。
情報量豊かで,音場感は広く部屋を包み込むような鳴り方の中にも芯があり,定位感もしっかりとしています。 強いて言いますと,A-X9の高域が欲しかったかな…
しかし,A-X1000の癖の少なくエネルギーのある高域もまた良いものです。
この3機種,違った回路や電源構成ですが基本の音は殆ど変わっていません。
年式が新しくなる程にワイドレンジで,情報量豊かになり,音楽をより豊かに奏でる方向になっています。
この時代のAMPは,1985年頃より以前のVictorのSPと組み合わせると相性が良いように思います。
これよりも新しくなると,音の傾向が変わっているようで,バランスが悪くなる傾向にあります。
逆に,1985年頃より以前のVictor製SPと1986年以降のAMP(AX-1100等)を組み合わせると,低域が無くなってしまったり中域が凹んでしまうので,とてもバランスが悪いです。
しかし例外もあり,S-3000はAMPをあまり選ばずにそのAMPの癖や鳴り方を忠実に再現しているように思います。 これはやはりモニタSPならではの絶妙なチューニングでしょう。
又,AX-Z921はA-X1000に近い音なのでこれ以前のSPと繋いでもまずまず鳴ってくれます。
最後に飛び入り参加のJS-41DCです。
これは名機?JS-41のパワーアンプ部を完全DC化した物です。
JS-S75とほぼ同時期に発売されていたAMPなので,JA-S75はJS-41DCの上級機に値します。
試聴した感想は,普及機なのに高級機のような味付けがされている印象ですがJA-S75との差別化の為かゆったりと鳴る感じは抑えめになっています。
低音の量感もJA-S75よりも少ないですが,張りがあり力強さはさほど変わりません。
音量を上げた時にJA-S75よりも良いところを見つけることは困難ですが,小音量時のまとまりの良さと抜けの良さはこちらに分があります。
この日の画像は,今回試聴した感想を書いた3種のプリメインアンプです。