
先日から少しづつ LP を CD 化し,元との比較を繰り返していました。
システム は以前にも書いた通り,レコード 再生は Victor AX-V5500 + QL-5 + MD-1020B + DT-34E とし,CD 再生はVictor AX-V5500 + XL-A77 (COAX接続) としました。
CD-R の作成 は Victor XL-R2010 に AX-V5500 から アナログ で接続。
TDK XA 74min に焼き,この ディスク を マスター とし,PC で取り込み後 トラック を作成し再び TDK の CD-R 650min に焼くと言うものです。
比較は,この トラック を切った CD-R で行いました。
比較方法は,LP を再生し 同時に CD-R も再生。 リモコン の入力切り替えで切り替え,差がどれだけ出るかを数分間隔で聞き比べると言うものです。
過去にもこの方法で比較試聴しているのですが,差はしっかりと出ています。
今回の比較用の SP は Victor S-3000 Monitor としました。
この理由は,湿度と気温が下がってきたため,S-3000 がやっと本調子になってきた事と,SX-L33 では ソース の差を聴き比べる事が難しいためです。
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SX-L33 は機器の部品を交換・改造した場合にはその差が明確に出るのですが,なぜか悪い ソース でも普通に鳴らしてしまう傾向が強く,音源の差が S-3000 に比べ非常に分かりにくいのです。
例えば… L33 では SONY の録音でも,Victor の録音でも,基本抜けが非常に良くて スカッ と鳴るのですが,これを S-3000 で聴き比べると明らかに SONY 録音が詰まった(曇った)音になり,Victor 録音は基本 L33 で聴いていたのと同じ傾向となります。
ライヴ の DVD 等でも,曲によって バックバンド の音が変化しているのが S-3000 では明確に聴き分ける事ができるのですが,L33 ではこれがまず分からないのです。
この辺りは,S-3000 が Monitor SP として作られているので特殊なだけだと思います。
実際,上記の ライヴ DVD の曲による差を聴き分ける事ができるのはほぼ S-3000 だけでした。
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比較試聴時の音量は ハウリング の都合もありますが,S-3000 の特性上なるべく上げています。
AX-V5500 の表示読みで,0db以上での視聴となります。
-結果-
レコード との比較試聴はほぼ同じ音で,大きな変質は無しとなりました。
ただ,これは CD側が Extended K2 (CCコンバータ) が ON で,レコード 側が ANALOG DIRECT の場合です。
Extended K2 を使用しているので,曲調や場面によって元と ニュアンス が変化してしまったり,元よりも音場が広く再現される事もありますが,全体的に見ると差は少ないと言えます。
ただ,低域が多く入っている曲等では CD 側では再現が不可となり,迫力があと一歩となってしまいます。 結構頑張ってはいるのですが… レコード に含まれる低域には及ばないようです。
高域は Extended K2 のおかげで大体の場合は元と同じ位出ています。
それでも曲によっては足らない事が有り,CD の限界を思い知らされます。
ちなみに,Extended K2 を OFF にした場合は,レコード と比べるまでも無く CD が劣ります。
明らかな情報量不足と,低域不足に見舞われてしまい,普段聞いている CD 音源特有の ザラ つき感が出てしまい,出ていない帯域も有るので,S-3000 では聴きたく無い音と化します。
これは,市販の CD でも同じ事なので決して今回の CD-R が不出来な訳ではありません。
この CD の音が嫌いで,最近は DVD の ライヴ ばかり聴いています…
念のため,LP の CD-R マスタ 制作機を marantz CDR610MKⅡ にしてみたのですが,これが最悪の結果となり,音が大きく変化してしまっている上に,帯域も狭く抜けはどこえやら…
当時は 100万円程もした業務用 CD-R レコーダ ですが,Victor XL-R2010 の足元にも及ばないと言う悲しい結果となってしまいました。
(この事からも,再生時に差はしっかりと確認できていると言えます。 PC で CD-R を焼く際の ソフト による音質差も大きく現れていました。)
それにしても,今回の テスト では Extended K2 ver.2 の正確な再現性が見事に現れてくれました。
マスタ 音源まで回復させる事が目的とされる Extended K2 ですが,今回は LP が大元 マスタ 音源となりますので,その音とほぼ同じに再現出来たと言う事は凄い事ではないでしょうか。
まだ曲によっての再現性の不一致が出てはいますが,決していやらしくなく,逆にこっちも有りなのでは?と言える方向に持って行ってくれます。 原音再生としては方向違いになりますが,完全なる再現は難しいでしょう。
しかし,その音が元と ズレ てしまう曲と言うのは,大体が ボーカル に エコー を大きく入れている場合や,雰囲気を良くする為の加工をされている場合であって,生に近い音源ではほぼ ズレ る事はありませんでした。
そう言った意味では,原音を忠実に再現していると言えるのかもしれません。
さて,次に DVD-Audio の作成です。
CD では規格か メディア か何が悪いのかは ハッキリ 分かりませんが,素では LP の音を全て録音出来ていないと言う事は分かりました。
そこで,以前に CD を DVD-Audio (以下 DVD-A) 化して遊んだ事を思い出し,レコード を DVD-A にすれば 192KHz 24bit で記録出来るではないですか。
この事を少し調べただけでも,数件同じ事をされている方々を見つける事ができましたので,一部では流行っていたようです。 ←最近の記事はほぼ無い。
最近は,DSD 化する方が面白いようですが,VAIO か SonicStage STUDIO が無いと出来ない上に,SONY 系ですし,プレーヤ も無いのでこちらは パス。
逆に,DVD-A なら フリー の ソフト だけで作成できる上に,DVD-A 自体 Victor が主体となって出来た規格なのでこちらの方が都合が良いです。
幸い,DVD-A 対応 プレーヤ は 10 台以上持っていますし…
今回使用した ソフト は,全て フリー ソフト です。
DVD-A オーサリング → dvda-author-package-09.02
WAV 編集 → SoundEngine Free
取り込み → SoundEngine Free
ISO 焼き → ImgBurn
基本はこの 3 種類の ソフト だけで作成可能です。
-方法-
① AMP の REC OUT から PC の サウンドカード の LINE IN に入力。
② SoundEngine Free の [録音] にて 192KHz 24bit を選択し,入力 レベル を確認し,録音開始。
③ SoundEngine Free の [編集] にて,各 トラック で切り出し保存。
この時,マーク を各 トラック に付け,最後に ファイル → その他保存 → マーク で分割保存 とすると楽です。
④ 出来た .wav ファイル を dvda-author-package-09.02 に D&D し,Option → Create ISO file with mkisofs に チェック を入れ,右横の Browse… から保存先を選択。
(ISO 出力したい場合は,毎回この作業をします。 記憶されません。)
⑤ Encode アイコン (ディスク の中に音符) を クリック すると,オーサリング が開始されます。
⑥ 出来た ISO ファイル を ImgBurn で DVD に焼きます。
以上で,DVD-A の完成です。 DVD-A 対応 プレーヤ で再生出来れば成功です。
又,dvda-author-package-09.02 では,ISO ファイル 以外にも AUDIO_TS / VIDEO_TS フォルダ を インストール した ドライブ 内の output フォルダ に作っています。
これは,毎回上書きされるので保存したい場合は,移動するか名前を変更しておきます。
SoundEngine Free では,録音 デバイス を選択する機能がありませんので,規定の録音 デバイス からの入力となります。
RecPcmWin や WaveSpectra を使用すると,WASAPI 排他 モード で録音することが出来る場合があります。 (Win7 以降のみ)
今回は特別な サウンドカード は使用せず,ASRock G41MH/USB3 R2.0 オンボード の VIA® VT1705 を使用しています。 (192KHz 24bit DAC/ADC)
上記方法で録音し,DVD-A 化した物を CD の時同様の システム で比較試聴しました。
DVD-A の 192KHz 24bit は同軸で送る事は出来ないので,XV-A77 の ANALOG OUT から AX-V5500 の EXT 7.1CH の フロント 入力に入れています。 (ここの入力はちょっと特殊)
入力の都合上,Extended K2 は使えない状態なので,どちらも ANALOG DIRECT モード となります。
-結果-
CD の時は Extended K2 を入れているおかげで,大きな音質変化が無いと言う結果でしたが,今回は誤魔化し無しです。
正直驚きました。 CD ではどうしても入らなかった低域もしっかりと再現されています。
当然と言えば当然ですが,高域の雰囲気も再現されていて,CD ではどうしても取れない ザラ つきもほぼ無いと言ってい良いです。 (正確にはまだ有りますが,CD と比べると…)
出ていない帯域もじっくりと聴かないと分からない程度まで来ていますし,音の抜けの再現も元にかなり近いです。
オンボード の サウンド チップ だったので,全く期待はしていなかったのですが,なぜか元に相当忠実でしたし,変な癖も付きませんでした。
癖は ソフト による物の方が強いようで,録音・編集 ソフト を変えるとそれぞれ癖が変化します。
今回紹介した SoundEngine Free は強い癖は持っていないのですが,中域が元よりも クリア になってしまう傾向があり,中域で エネルギー を強く押し出す録音では少し物足らなくなります。
有料系では色々とありますが… ここでは紹介しません。
主に エネルギー 感が変化する事が多いように思います。
中には元とほぼ同じ音で録音できる物もありました。
Extended K2 を使用しない分,曲による ニュアンス の変化もおきませんし,エネルギー 感の変化も起きません。
DVD-A はほぼ十分に レコード を録音できる規格であったようです。
当たり前ですが,DVD-A にした方が良いと言う事はありませんし,もしそうなった場合は忠実な録音・再生が出来ていない事になります。
中域が クリア になると,元よりも良く聴こえてしまう場合があるので要注意。 出ていない音があります。
今回の テスト で最も驚いたのは,低域の量感で,CD ではどんな録音でも S-3000 から本当の低域を出す事が出来なかったのですが,DVD-A では出るんです…
もちろん,LP では S-3000 から地響きのような低域から,迫ってくるような低域,生太鼓で体感できる腹に響く音が面白いように出るのですが,デジタル ソース ではこれが全く,本当に全く出ませんでした。
レコード でも,デジタル 録音盤ではこの低域が非常に出にくくなっていて,CD に似た音となっています。 大体の デジタル 録音盤はただ硬いだけの音ですね…
もちろん,レコード が全て良いと言う訳ではありませんが,滅多な事が無い限り最近の J-POP CD よりかは良いです。 最近のと比較すると昔の J-POP CD の方が断然良くなってくるので見当違いですが…
なぜか低域に関しては CD は圧倒的に不利なようですね。
CD はとにかく アタック 音とその強烈な エネルギー が出ない。 なぜか LP だと歌謡曲のような録音でもそれが出ている。
CD で S-3000 の バスレフ ポート を活かして鳴らすのは相当大変な事ですが,LP だと普通に出るんです。
そして,それが DVD-A では再現できて,CD では出にくくなる。
プレーヤ は同じなので,比較として不公平は無いはず。
現に今まで S-3000 で CD を聴いて今回の LP 再生や DVD-A 再生ほどの低音を聴いた事はありません。
これが 192KHz 24bit の実力なのか… DVD-A 規格のおかげなのかは分かりません。
DSD でも同じような現象がおきれば 192KHz 24bit のおかげと言えそうですが…
DVD-A もそうですが,今回使っている AMP,AX-V5500 なんですがこれの実力って凄いんですね。
ある意味,V8000 よりも凄いのでは? と思ってしまいます。
デジタル 入力ではどうしても S-3000 を鳴らしきるまで行きませんでしたが,アナログ 入力では… 驚くほど低域の エネルギー が出ます。 V8000 でこのような聴き方はしていないので,比較できないのですがこれで問題あるとはちょっと思えないです。
と,すっかり V5500 が メイン に座っていて,V8000 は別室に出張中です。
V7000 は… 部屋で立っています。
ダラダラ と長くなってしまいましたが,今回の レポート は DVD-A の実力? と V5500 の実力に驚いた結果となりました。
この日の画像は,QL-5 と XV-A77 と AX-V5500 と XL-R2010 です。