
少し前に,Victor SX-L3 を試聴していますが,システム (AX-V5500) に合わず,現在 SX-L3 は別室の AX-V8000 と組み合わせて使用中です。
そして,昨日は SX-L33MKⅡ を試聴させてもらえる事になったので,その結果を書き留めておきます。 これで,SX-L3 シリーズ は全て聴く事ができました。
今回の SX-L33MKⅡ は,預かり品のようなもので家の物ではありません。
家の L33 を聴いて L33MKⅡ を買われた方が,自宅で全く鳴らないので個体不良ではないか?と疑われての持ち込みでした。 (あまりに家で聴いた音と違った為)
鳴らないと言われている症状は,「音が全く前に飛んでこず,音が吸われているよう。」 と言うもの。
AMP は AX-V5500 と AX-V8000 を持っておられ,L33MKⅡ は AX-V5500 と組み合わせているとの事。
プレーヤ は,XV-A77 等の Victor 製品ですので,家と同じ組み合わせが可能となっています。
電源も,家から貸し出していた常時 インバータ 式 UPS を使用していました。 (現在,家では UPS を通していません。)
上記条件でも鳴らないと言う事で,家で一度鳴らしてみて欲しいとの事からの試聴となりました。
AMP : AX-V5500 / CDP : XV-A77 / PHONO : QL-V1
その時の結果からいきますと,最初は低・中域の解像度が悪かったのですがしばらく エージング をするとその辺りは改善され,SX-L3 シリーズ らしい鳴り方となってくれました。
中でも,EP 盤から DVD-Audio (192kHz/24bit) に起こした物を XV-A77 で再生したところ,北島三郎 / 歩 がかかった際に物凄く ハマ って鳴ってくれたようでこれには驚かれていました。
この事から,この SX-L33MKⅡ の個体が悪い訳ではないようです。 シリアル も連番でした。
そして,なぜか SX-L33MKⅡ を持って帰られなかったので,この日にひと通りの リファレンス CD や DVD や EP をじっくりと聴いてみました。 (普段は TV 用)
まずは リファレンス DVD の ミルキィホームズ SECRET GARDEN と 武道館 ライブ を視聴。
この DVD は,DVD-P の チューン にも使用していたので,相当数聴いていますし,音の傾向も大体分かっていますので,リファレンス としました。
SECRET GARDEN 盤は,低域がかなり少なめで,録音も随分生録っぽい雰囲気があります。 ただ,バックバンド は居ません。 DVD の ライヴ 物としては結構音が良いです。
これは,曲によって バック の音が変わるのですが,その辺りがどう表現されるかや,ボーカル と 会場の雰囲気がどう表現されるかが聴きどころです。 勿論,音の強弱は潰される事無く収録されています。
武道館ライブ 盤は,SECRET GARDEN より低域が多く入っていますが,ドテドテ とした音は一切無く,締りの良い低域のみです。 これも バックバンド は居ませんが,SECRET GARDEN の時のように曲によって バック の音が変わる事はなく,より バック の音が良くなっています。
都合,SECRET GARDEN ほどの生々しさはありませんが,これも良い録音です。
この 2 枚を SX-L33MKⅡ で視聴したのですが,見通しは良く細かい音をどんどん出してきますし,音場感は良好です。 L33 と比べると非常に音が多く聴こえます。
客席からの声も一声一声聞き取れるような解像度があります。
低域は出ていない方ではそれなりに表現するので,オーバー に表現するような事は無いようですが,低域の解像感はイマイチ。 正確には解像度は高そうなのですが,音が平と言う方が合っています。
ボーカル も,マイク の癖が良く表現されていますし,声が大幅に変わるような事はありませんでしたが,声が前に出るような表現はせず,バック と同程度の レベル で鳴ります。
SECRET GARDEN で曲による バック の音の変化が分かるかどうかですが,結果は イマイチ で,L33 の方が断然良く分かります。
バックバンド の録音は強弱がしっかりとしている ハズ なのですが,そのような鳴り方は全くしてくれず,とにかく大人しく無難に綺麗に細かい音を潰さずにを モットー とした上品な鳴りです。
次に,リファレンス にしている EP 盤ですが,これは 岩崎良美 / 愛がひとりぼっち としました。
カートリッジ は,Victor 2E SUPER としました。
この録音は,かなり エネルギッシュ で,生録とは違った音造りが特徴的ですが,バックバンド もしっかりと録れていますし,ボーカル も馬力があり,カートリッジ の差が非常に良く出る傾向があります。
又,この エネルギッシュ な音が全く無くなり面白くなくなったり,逆にこれでもか!と言う位に馬力が出たりと,システム の差を見るのに役だっています。
この EP は当時最高の状態を DVD-A 化もしているので,XV-A77 でこの DVD-A を再生して試聴もしています。
先に EP を試聴したのですが,違う EP をかけたのかと思う位まったりとした音になってしまい,音は少なく音場は狭く,エネルギッシュ な音はどこへやら…
A 面と B 面では録音が全く異なるのですが,その差を殆ど再現する事ができませんでした。
次に,DVD-A ですが,シバタ 針で録音してある為か,情報量は多くなり,抜けもそこそこ出ていますし綺麗に鳴っていますが,ボーカル が引っ込んでしまいます。 相変わらず,エネルギッシュ な音は欠片も感じられませんでした。
最後に,CD を試聴。
これは リファレンス が色々あるのですが, リー・リトナー / OVERTIME (全) ・ リー・リトナー / ON THE LINE {オリジナル デジタルレコーディング盤 と K2HDリマスター盤 (3)} ・ 三森すずこ / 約束してよ?一緒だよ! (1) ・ 松田聖子 / TinkerBell (1/6) ・ 奥井亜紀 / Wind Climbing (2) ・ やしきたかじん / その時の空 (1/2) { (/) 内は曲番 }
CDP は,XV-A77 (COAX CC有) / XL-V501 (改)
CD は リファレンス と言える枚数が多いので今までのような説明は省きます。
リー・リトナー / ON THE LINE は,当時の オリジナル デジタル レコーディング 版と,K2HD リマスター 版を比較試聴しています。 今回,xrcd24 と GENTLE THOUGHTS は除いています。
OVERTIME は,全体を BGM として試聴する事が多いのですが,今まで聴いていた音とは違い,より大人しく上品に鳴る印象。
約束してよ?一緒だよ! は,1 曲目のみ満タン録音では無いので,リファレンス として入れています。 バックバンド の楽器が多めで賑やかですが音場が広いので分離と纏まりの バランス が良く鳴っています。 団子になりがちな音源ですが,L33 よりもかなり音場感を表現できている印象。
TinkerBell は当時物なので,EMPHASIS CD です。 (XL-V501 で確認可) 高域に ピーク が出やすい CD ですが,意地でも繊細に鳴らそうとします。 低域はあまり出ませんし,解像感もしいてよくありません。 ボーカル は曲と同等程度で,前に出る感じはありません。
Wind Climbing は,雰囲気良く中域重視で音場が広がり,高級な鳴りっぷりを見せますが,ボーカル が凹んでしまいます。 低域の押し出しはありません。
その時の空 は,過去に何度も挑戦している程鳴らない CD ですが,いきなり広めの音場を見せました。 バックバンド の ドラム が有った事をやっと確認できた事と,たかじん の声が バック と団子にならなずに自然 エコー が効いている事を初めて知りました。 後半の バック コーラス (子供 100 人) は今までと変わらず,殆ど聴こえません。
CD では最後になりますが,ON THE LINE では意外な結果が出ています。
オリジナル 版よりも,K2HD 版の方が良く鳴るのです。 と言うのも,オリジナル 版は詰まった (曇った) 感じの鳴りで,楽器の解像感も悪いのですが,K2HD 版は オリジナル の悪いところを払拭したまさに謳われている通りの リマスター サウンド になるのです。
これの何が意外なのかと言うと,L33 でも S-3000 でも,これは逆の結果だったのです。
逆と言うと少し意味が異なりますが,K2HD 版は馬力が無く スッキリ としているだけで楽器の持つ良さや音楽性が無くなており,オリジナル の方が元気良く鳴っていたのです。
ただ,L33MKⅡ では,どちらの CD からも元気良さや エネルギー 感は聞き取れませんでした。
おまけ。
これを書きながら,録画物の GIRL ROCK FACTORY 12 の miwa 出演部分を見ているのですが,S-3000 で聴いていた時と全く印象が異なります。
L33 で聴いていた時とも違う印象で,とにかく上品です。 全体を通して miwa さんが ダラダラ 歌ってるように聴こえ,バックバンド は凄くしっとりしています。
音の解像感はかなり高く聴こえるのに,不思議と miwa さんの ギター 音がほぼ聴こえて来ません。
これは,L33 や S-3000 と真逆の傾向です。
S-3000 では,かなり エネルギッシュ な音で驚いた ソース なのですが… L33 ではちょっと限界と言う印象だったので,S-3000 で楽しんでいました。
実はこの ソース ,結構な照明 ノイズ が乗っているのですが,これは S-3000 でしか確認できていません。 L33MKⅡ でもこの ノイズ は確認できませんでした。
普段の TV 鑑賞では特に問題視するような事はありませんでした。 レベル を上げすとも声は聴き取れますし,ピーキ さもありませんし,低域が ブーミー になるような事もありませんでした。
L33 に比べると,高域のきらびやかさが無いので,物足りなくは感じます。
今回はかなりしっかりと試聴したつもりなのですが,最初どうも音の傾向が分からず困惑しましたが,何となく分かった事をまとめておきます。
一つ共通しているのは,何を鳴らしても大人しい音になります。 これは少し語弊があるかもしれませんが,大人しいと言うのは楽器の音に強弱があまり無い事や,ボーカル が前に出てこない事と,ボーカル の声に強弱があまり出ない事を指しているつもりです。
言い換えると,馬力が無いや,平な音となります。 無難な音とも…
ピーク や 馬力を出す事による癖を極端に嫌った例だと思うのですが,細かい音を潰さないようにと頑張りすぎた結果かもしれません。 (実際には肝心な音が抜けています。)
レコード 再生時に,部屋を歩いてもその音が SP から出て来なかったので,演奏中の ターンテーブル を軽く叩いてみたのですが,全くその音が反映されませんでした。 こんなの初めてです。
(ターンテーブル を畳に直置きしているので,歩くと床の音が SP から出てくるのが普通です。)
その割には,高域辺りの細かい サラサラ とした音は面白い位出てきます。
どうも,中域から下にかけての反応を随分悪くしている気がします。
その為か,ドラム の音が一部抜けて聴こえるのです。 この辺りの音を消すと,確かに綺麗に鳴っているように聴こえるのですが,結構肝心なところでもあるので音楽性が失われます。
中抜けと言う訳でもなく,意図的に何か細工されているように感じます。
高域に関しても,シンバル の音や,トランペット の強烈な音が全く出ません。
ただ,綺麗に鳴っているだけと言う印象です。 ただ,ここも解像感が高く聴こえるので気にならないどころか,こちらの方が好きな方も多いかと思います。
しかし,不思議な事に最近の鳴らなかった録音は今まで以上に鳴っているように聴こえるので,最近の音作りに合わせた チューニング になっているとも解釈できます。
ただ,その為に昔の録音や ライブ 系は全く面白くなくなっています。 最近の録音が鳴ると言っても,ただ鳴っているだけで聴きたいとは思いません。
もしかすると,クラシック なんかを聴くには丁度良いのかも… クラシック も元気に鳴ると全然違って面白くなるのですが,それでは ダメ なんでしょうね。
生楽器がこんなしおらしく鳴る事は無いのですがね。
トランペット や シンバル が スッキリ と聞こえては意味ないです。
ドラム に関しては,PA 用なのか良く分からないのが出てきているのでなんともですが。
そんなに ドラム が邪魔なら電気楽器にしてしまえよと…
もっと言うと,AMP が合っていないのかもしれません。 もっと強烈な音の キツイ 馬力の有る海外製の AMP で鳴らせば良いのかもしれません。 今は Victor に AMP 無いですし…
SX-L3 シリーズ を現行まで全て聴きましたが,新しくなる度に大人しくなっていく傾向がありますね。
外装の色も少しづつ暗くなっているので,音の イメージ に合わしているのか?と思ってしまいます。
希望としては,SX-L33 の音をもっと元気良くして欲しかったですね。 そこから,音場を追加して…
L33MKⅡ は L33 の Monitor 的音質に高級 オーディオ 要素を取り入れたような感じに受け取れました。
トータル でみると,SX-L33 が一番好きです。 MKⅡ はちょっと期待はずれ。
L3 は AMP を選ぶ印象ですが,L33 のような音では無いので パス。
L33 を初めて聴いた時の感動と驚きは未だに超えられていません。
この日の画像は,SX-L33MKⅡ を セット した時のものです。
インシュレーター には,TAOC (Victor) を使用。