
この日は,Nikon 1 J1 (以下 J1 ) が実際に風景でどう使えるかを試しに,いつもの根来寺へ行ってみました。
そして… この為に カスタム ピクチャーコントロール を作成していました。
純正の VIVID では黒階調(シャドー 部)が少し潰れ過ぎるのと,色が濃い過ぎる場合があり,思った コントラスト から少し外れる事が有ったので,D2x モード Ⅲ を参考にこれに出来る限り近づけた トーンカーブ を作成。
今までこの画に慣れているので,まずはこれを基準にし,そこから J1 に合った カーブ に変更する予定です。
(以前の ブログ 内では画質設定に対する カスタム 性に欠けると書きましたが,ピクチャーコントロール の一段回奥の階層に詳細な設定がありました。 W/B の設定も,座標 で細く調整可。 又,ファンクション ボタン は誤りで,F フィーチャー ボタン が正式名称でした。)
操作性についての追記ですが,フォーカス モード を シングル ポイント に設定した場合,画面内で フォーカス 位置を変更する事が可能です。
操作方法 → 撮影 モード 中に,ロータリ マルチセレクタ 中央の OK ボタン を押すと,ロータリ マルチセレクタ にて フォーカス 位置を自由に変更可能で,位置設定後に OK ボタン を押すと選択画面終了。 (これが世界最多 AF ポイント の 73 点に当るそうです。)
今回は久しぶりに PENTAX ist* Ds2 (以下 Ds2 ) も持って行き,小型 デジタル 一眼 レフ との機動性の差や,J1 の優位性,又は弱点を確認する事としました。
出かけた時間帯は,15 時頃なので少し慣らし撮りをしてから夕日を狙っての撮影とします。
又,作例はこちらに貼ると面倒なので,リンク 先にて観覧願います。
Nikon 1 J1 → 作例
No.001 /
No.002
PENTAX ist* Ds2 → 作例
No.001
今回は主に逆光を撮影していますが,あえて ホワイトバランス は全て AUTO です。
現像は,以前と同じく Capture NX 2 を使用し,1 枚を除いて ノンレタッチ です。 (1 枚は高画質 2012 ノイズ リダクション を適用。)
レンズ 等の詳細は作例の コメント 欄で確認してください。
PENTAX ist* Ds2 は,SMC PENTAX の マニュアル フォーカス レンズ を使用しています。
まず,J1 の機動性ですが電源を入れてから撮影に入る事が出来るまでの時間は一眼 レフ 機に劣ります。 しかし,これは慣れてしまう事で問題ありませんし,祭りでもこの起動速度が気になるような事はありませんでした。
Ds2 でも起動までは少し待たされるので,一眼 レフ と言う感覚からするとこちらの方が気になってしまいます。
以前は コメント していなかった J1 の AF ですが,祭りでは大体なんとかなった事と,風景撮影ではこの辺りの感覚が変わってくるので前回は AF については避けました。
AF については,Nikon は ハイブリッド AF (位相差 AF / コントラスト AF) とし,位相差 AF としては世界最速で世界最多 73 点の AF ポイント だそうです。 (コントラスト AF ポイント 数 : 135 点)
Nikon の AF はどうしても他社に一歩譲る感じがあり,その事からも MF の無い Nikon 機はかなり厄介な物でした。 (ある程度癖を掴めば撮れるのですが,動いている物に対しては最悪。)
それが,今回はいきなり世界最速 / 世界最多ときましたが半信半疑でした。
どうしても Coolpix や D2x の トラウマ が抜けない…
D2x ならば,フォーカス リング で調整可能ですが,J1 の レンズ には フォーカス リング がありませんから,実質的には調整しようがありません。 (MF は ロータリ マルチセレクタ を使用。)
今回はそんな理由から,根本的に AF を見直してきたのが Nikon 1 のようです。
実際,祭りでは数回 AF が異常になった以外では暗めの シーン でも フォーカス を外す事無く,又これを気にする事無く撮る事ができました。 (AF-S モード時)
実際の AF 速度も,今までの Nikon 機では考えられない速度で合してくれます。
動いている被写体に対し,半押しの連打で追いかけても合わし続けてくれました。
コンティニュアス AF は利用しない方なので,半押しでこれだけ追随してくれれば十分です。
ただ,AF-A モードではやはり思った通りの フォーカス ポイント とはならないので,狙って撮る場合は AF-S で使うのが良いと思います。
今までの コントラスト AF の場合は,夕暮時などの植物に ピント が合わない事が多々あり,全く使い物にならなかったのですが,J1 は D2x よりも素早く正確に狙った ポイント に フォーカス を合してくれます。
ただ,もろに逆光を入れてしまうと,なぜか後 ピン になってしまい一度違う箇所で ピント を合わし直す必要がありました。
それでも,もろ逆光で全く フォーカス が合わなくなってしまう D2x や,他の Nikon 機と比べると圧倒的な信頼感があります。
一眼 レフ では,プリズム を覗いているので,逆光が入る角度によると ファインダー 内がほぼ真っ白になってしまい ピント 合わせどころでは無くなってしまいます。 (目に悪いので注意)
そこで,少しずらした位置か,憶測で ピント を合して大体で撮る事があるのですが,J1 では液晶 モニタ を確認しながらの撮影な上に,このような状況でも フォーカス が合う事が多いです。
液晶 モニタ を見ながらの撮影なので,屋外 フィールド での視認性がかなり気になるところですが,Xperia arc のように液晶 パネル の空気層を樹脂で埋めてくれてある為に視野角も相当広く,マルチ アングル モニタ の必要性をあまり感じさせない仕様となっています。
又,上記の空気層が無いので,パネル に日光が当たっても内部で乱反射する事が無く,著しい視認性悪化は認められませんでした。
この サイズ で光学 ファインダー を付けてもらっても,実際には見え方が小さく,これこそ感覚になってくるので,液晶 モニタ での撮影で何ら問題を感じませんでした。
カメラ 本体のほぼ真上から見ても,シャッター・スピード 等の表示や,画角の確認は十分可能です。
アングル ファインダー を持ち歩いたり,付け替えたり,液晶 モニタ を見やすい角度に合わせたりする手間が無いので,こう言った機動性は群を抜いています。
(液晶 モニタ がこれでなければ ファインダー は必要です。)
AF の次に厄介な ホワイト バランス (以下 W/B) ですが,D100 で大変な目にあってからは本番撮影は必ず プリセット モード を使用し,尚且つ RAW 現像で ホワイトバランス を調整していました。
D2x や S710 でもこれは健在で,AUTO W/B なぞ信用できたものでは無かったのです。
この事から,J1 も祭りでは プリセット を使用しましたが,日陰や日中や,夕日やと,移動する度に変化する色温度には当然追随できません。 (いちいち プリセット 変更できない。)
なので,RAW 現像での W/B 調整が重要でした。 (プリセット はその日,その場の基準。)
しかし,J1 ではこれが相当優秀との評判を見て,恐る恐る W/B を 自動のまま撮影。
W/B で画の印象は大きく変わる事があり,特に夕日間近の光の色温度はかなり重要。
先にも書いた通り,夕日間近や,季節の夕日によってはどうしても W/B が合わない事が多々あります。 調整しても,プリセット しても合わない シーン が自然光では多いので面倒…
(ネガ フィルム から デジタル 機を使った時に非常に戸惑い,この事象について調べてやっと W/B の都合だと言う事を知りました。)
特に イベント での混合光は最悪で,水銀灯等と夕日など大変な事になるのでその画角から考えないといけない… こんな事から デジカメ 嫌いでした。
部屋の中でも,都合上電球と蛍光灯 (昼白色) を混ぜた光で撮影する事が多い (そもそも間違いとか指摘は無しで。) ので,蛍光灯の光で出来た光の影は真っ青になります。
フィルム ではそんな事気にせず,又この色温度の差を利用していた位なので…
と,ここで本題。
J1 で W/B を AUTO で撮影した結果… ほぼ問題ありません。 今までの AUTO の概念はほどほどに捨ててよさそうです。 特に混合光は素晴らしく,いくら プリセット してもここまでうまく合わす事はできません。 と言うか,デジカメ の概念が変わりました。
ただ,どうしても合わない W/B がありました。
先に ダラダラ と説明臭く書いたのはこの為なのですが,夕日の日陰に当る シーン での事です。
もしくは,夕日の木漏れ日の シーン で W/B が合いません。
現実は薄い黄色で,ふわっ とした実に気持ち良い シーン 。 木漏れ日の差し込みが微妙な階調を醸し出しています。
これはどうなるのか? と撮影してみると… 夕日の黄色が無くなり,日中のような仕上がりに。。。
感じ的には,富士 フィルム の第4の感色層技術を使った ネガ フィルム に似ています。
黄色階調が弱く,青に転びかけるのです。 Kodak はその点,黄色に転ぶので夕日は得意です。
これがどうにかならないのか?と,W/B の微調整を何度も繰り返したのですが,赤や青,マゼンタ に転ぶばかりで,肝心の薄い黄色発色とはなりませんでした。 (J1 の モニタ 上で確認)
ただ,不思議な事に撮影前の ライブビュー 状態では見たままの色なのですが,撮ると晴天になります。 なので,RAW データ を触るともしかすると再現可能かもしれません。
(W/B モードでは,曇り 辺りが近い事は近かったですが,まだ黄色が足りません。)
同じ時間に,場所を変えて何度も試したのですが,やはり結果は同じでしたが,それより少し時間が経ち,色温度が更に下がった辺りからは再び色を再現できるようになりました。
これは個体差等では無く,デジカメ の癖なのかと。 D2x であろうと,同じような (もっと酷い) 経験を何度もしていますので注意して使えば良いでしょう。
又,Nikon 1 では レンズ に W/B の情報を持たせているそうなので,これからの レンズ 次第ではこの辺りが解決する可能性があります。 (これは Nikon 1 のみの特徴)
同じ シーン を Ds2 で撮影すると,W/B AUTO でもそれなりに黄色発色をしてくれたので,やはり暗いところは PENTAX が強い印象です。
高感度 ISO は,3200 までで その次が Hi となりますので,実質的には ISO 3200 です。
実際,ISO 3200 で撮影したものを Up してありますので,良ければ確認してみてください。
Capture NX 2 で,高画質 2012 ノイズリダクション を 13 % 程かけていますが,それでほぼ ノイズ が取れていますし,羽の ディテール も再現出来ています。
ISO 800 でも十分な実用域で,ISO 400 は常用域ではないでしょうか。 ノイズ リダクション をかけると,ISO 100 よりも暗部 ノイズ が少なく思います。
(鳥の画像が ISO 3200 )
最後に,一眼 レフ との差ですがやはり コンパクト で グリップ が無いので,それを生かして場所が悪くても水辺 ギリギリ まで付ける事が可能。
シャター ボタン が グリップ に有ると,グリップ を持たない スタイル での撮影時に シャッター ボタン を押す事が困難なのですが,軍艦部に シャッター ボタン があると,持ち方に関わらず シャッター ボタン を押す事が可能です。
そして,J1 はこの時の バランス が良いのが特徴です。
F3 はこのような撮影が普通に出来たのですが,F4 からは シャッター ボタン が グリップ のみになったので少し使い勝手が悪くなっていました。(下位機種も数種類は同じ。 例外有り)
最近では,F3 のような スタイル の カメラ らしい カメラ は,FM10 だけになってしまい少し寂しい感じはしていたのですが,今回 J1 で復活したと思っています。
総合的にみても,非常に バランス の良い機種なので,この バランス を崩さないように J3 まで作っていただきたいと思います。
本当に F3 の デジタル 版と言う感じで使っています。 J3 ではもっと良くなると良いのですが。
この日の画像は,根来寺の池で撮影したものです。