
毎日のように届く紅葉リポート。
今までになく予定が立て込んでいるため出かけるチャンスは限定的だ。しかも天気予報を見ながら最小公約数に当てはめなければならないので諦めかけていた土曜日の午後のことである。
今や週8回するほど打ち込んでいるテニスでだが、私の強烈なハイボレーが見事に決まり予定の3ゲームが2時間ほどで終わってしまった。プジョーに乗り込み自宅に向かいながらラジオに耳を傾けると「10/26は何の日か知っていますか?」と投げかけてきた。直ぐ「そりゃあイーオフロだろ」と心の中で呟くと、私の温泉愛が暴れ出し欲望が抑えられなくなったのだ。今から行けるイーオフロと言えば福島の高湯か土湯あたりか?それとも草津か万座まで頑張るか?などと調べてみたがハイシーズンの土曜日の当日の宿なんてそうそう空いているモノではない。
そんな中で気になる宿を発見。土曜日の宿泊で素泊まりではあるが7000円というリーズナブルなプライス。早速AIを駆使してリサーチすると渓流を見ながらの貸切露天風呂なるモノがあることが分かる。しかも源泉かけ流しである事も。これはイーオフロではないのか?と準備を整え16時に自宅を出発した。
今日の目的地は川俣温泉の国民宿舎渓山荘である。
日光霧降経由で150km。最終チェックインの21:00には十分間に合う計算だ。
18:00香楽着。現在夜の部はテイクアウトのみで、レバ定をテイクアウトして宿でいただこうと企てたが残念ながら間に合わなかった。
気を取り直し日光駅近くの裏通りにひっそり佇むレストランmakoに向かった。昔ながらのナポリタンで腹ごしらえし夜の霧降越えに備えた。
霧降の名の通り、途中所々で霧が発生していて慎重にハンドル操作をしながら進むと目の前に大笹牧場が現れる。大笹牧場前の丁字路を右折したことは何度もしたことがあるが、左折は今回が初めてとなる。いよいよ白地図ロードのスタートである。
左折し進むと路面も整備されていて中速コーナーで軽くGをかけながら気持ち良く駆け抜ける。BMW製1600ccターボエンジンは3000回転付近を維持しつつ軽快にシフトを繰り返す。
川俣温泉が近付くと所々1.5車線に狭まるが対抗する車は無い。
時々道路脇から睨みをきかす鹿をかわしながら渓山荘には20:00を少し回ったあたりで到着した。
日光を出てからコンビニや商店などに遭遇する事が無く風呂上がり用のビールを購入出来なかった事が悔やまれるが今夜はただただ源泉かけ流しの風呂と対峙することが目的だからと自分のご機嫌をとった。
チェックインを済ませ部屋に入るとバス・トイレは無く綺麗と言ったらお世辞になってしまうが今日の目的はイーオフロなので部屋に拘りは無い。むしろハイシーズンの週末に7000円で泊まれることに感謝したい。
渓山荘には内湯と露天風呂の他に貸切露天風呂がある。もちろん全て源泉かけ流しだ。
先ずは内湯を味合うことにした。流石にハイシーズンの土曜日で満室とは聞いたが風呂場は誰もいなかった。
湯温は40度ほどだろうか?ぬるめに調整されており、ゆっくりと浸かるタイプと思われる。
さらりとしたシンプルな温泉だが微かに独特の温泉臭を感じる。
内湯から30メートルほどの渡り廊下を下りると露天風呂が広がっている。
湯船を照らす明かりしかないので景観が全く分からないので、その楽しみは明朝に持ち越すことにして貸切露天風呂に向かうことにした。
貸切露天風呂はロビーから外に出て50メートルほど離れた湯小屋にある。ロビーから湯小屋入口の微かな明かりの元に草履が無いことを確認して貸切露天風呂に向かう。
大人2人がギリギリ入れるほどの小さな檜の湯船が鎮座していて檜の香りに溢れた湯小屋の中で注がれる源泉の音と暗くて見えないが目の前を流れているだろう渓流の音だけが心地よく響き渡っていた。
貸切露天風呂利用のルールに従い20分で切り上げたが、イーオフロとの出会いで心満たされ部屋に戻るといつしか眠りに落ちていた。
翌朝、渓流の音が目覚まし替わりとなり目を覚ます。東側の空が明るくなり始めていた。
昨夜持ち越したリバービューの絶景を楽しもうと、先ずは身体を清める為に内湯に向かう。貸切露天風呂には洗い場が無いため身体を清めてから入浴するのがルールとなっている。
昨夜は暗くて全景が分からなかった湯小屋の様子を確認する。
山の木々が色付いていて湯小屋の脇のもみじがエリクサーレッドに負けないほど赤みを帯びている。
湯小屋に入り朝の清らかな空気と色とりどりの紅葉と渓流の音。
私の今考えられるイーオフロの構成要素を全て満たす素晴らしいオフロは私の期待値を遥かに超える優れたモノだった。
イーオフロの日に出会ったイーオフロに感謝し、この日の白地図ロード埋める為に山王林道方面に向かうことにした。
山王林道の分岐点に来ると渓流から舞い上がる湯煙が目に入り車を停める。
(只今お休み中の間欠泉)
(川俣大橋)
(栃木百景100選の川俣ダムから眺める瀬戸合峡)
山王林道に入ると1.5車線の山道となるが舗装されているので対向車にさえ注意すればそれほど過酷な林道ではない。
途中、広くなったところで撮影しながら光徳方面に向かう。走るセクションにより立ち並ぶ樹木の種類が変わり紅葉の進み具合を楽しんだ。
広葉樹がカラマツに変わり光徳エリアに入ったことに気付く。
湯ノ湖で今シーズン最終の紅葉を楽しみながら湯元に向かった。仕上げの風呂に湯元源泉を選び温泉寺に向かうが外国人に占領されていたので次に源泉に近い「ゆの香」にすることにした。
建屋の裏にある湯畑から引いた乳白色の硫黄泉は一度入ると翌日まで香りが残り成分の濃さを感じる湯元を代表する温泉だ。
(湯元源泉から見たゆの香の建屋)
(振り返ると源泉建屋が散在している)
(温泉寺もこの距離)
湯元源泉で仕上がり時計を見ると9:30。空を見上げると先ほどまでの青空とは変わり重い雲が湧いてきた。奥日光の紅葉スポットはどこも混雑必至なので温泉神社に2日間の御礼を込めて参拝し帰路についた。
予想通り竜頭や華厳の滝付近は既に渋滞しており早めのスタートを切ったことが功を奏しスムーズにいろは坂を下る事が出来た。
朝から温泉卵しか口にしておらずランチは鹿沼のきん太の「さつき定食」で白地図ロードを締め括ることにした。
きん太の大冒険を歌いながら30分ほど待つと今や閉店となってしまったさつきのポークスタミナ焼き定食が目の前に現れた。
〜 完 〜
最後までお付き合いいただきありがとうございました🙇