お正月休みの3日は映画行ってました。
と言っても「007/スペクター」の2回目です。
2回見ると色々と確認できたりしてそれはそれで面白いものです
1回目では気づかないことってあるんですよ
オープニングの超ロングカット(「死者は生きている」のテロップからボンドが銃を構えるまでは1カットです)は見事ながら、これはデジタル技術の賜物なんだろうな・・・
さて、
「スペクター」はシリーズ過去作へのオマージュがタップリあります。
もともと007シリーズはそういうオマージュが好きで必ずありますが、今回は特に多かったと思います。
トリビアや基礎知識も絡めてまとめていきます
中には勘違いとかその意図は無かったというのもあるかもしれませんがw
さて
思いっきりネタバレしていますので、未見の方でこれから見るという方はご注意ください!
逆に、見た方は「へ~、そんな意味があったのか!」と感心していただけたら嬉しいです
思いっきりマニアックな内容になっていますw
●ガンバレル・シークエンス
ボンドを狙う銃口をイメージした有名なシーンだが、オープニングに使われるのはダニエル版ボンドになって初めて(エンドシーンや途中で使われていた)

この構図は007シリーズの象徴にもなっている。
●ソファ
スキアラを狙撃した後、爆発の影響で崩壊した建物から落ちるボンドがソファの上に落ちて助かるというシーン
「007は二度死ぬ」でシューターを滑り落ちたボンドがタイガー田中のオフィスのソファの上に落ちる。
●タコ
スペクターの紋章はタコがモチーフになっている。要員はその紋章が入った指輪をはめている。
シリーズ初期では丸の中に紋章が刻まれた大ぶりの指輪だが、「スペクター」では丸がなくなりシンプルな形状に。

余談だがMI6の地下でボンドがオーベルハウザーを撃ったときの防弾ガラスの割れ方がタコの形(予告編ラストに出てくる)になっている。
●新任のM
00課の責任者M
前作「スカイフォール」でジュディ・デンチ演じる前任のMが殉職したため、「スペクター」からは新任のMとして登場。
そしてMのオフィスの雰囲気も昔をなぞっている。

前任のMは「スペクター」でもビデオでボンドにメッセージを残している。
●Missマネーペニー
「スカイフォール」でボンドとコンビを組んだイヴはラストで現場を引退し、Mの秘書となる。
その際名乗る苗字がマネーペニー。このシーンで思わずにやっとしました。
マネーペニーはMの秘書としてレギュラー。ボンドと互いに気があるものの一線は超えない微妙な関係。
Mの部屋に入る前に交わす会話が絶妙。

(「ドクター・ノオ」より)
●Q
Quartermasterのこと(軍隊用語で需品[補給]係将校)
主に00(ダブルオー)部門のための武器や用品を供給する。
いわゆる”秘密兵器(ガジェット)”や”ボンドカー”はQの発明・開発によるもの。現在のQは3代目、初代のデスモンド・リュウェリンは「ロシアより愛を込めて」から「「ワールド・イズ・ノット・イナフ」まで36年間も演じた(Dr.Noにも登場するがQとは呼ばれていなかった)

クレイグ版ボンドになってから2作はQの登場は無かったが、「スカイフォール」で新任のQとして登場。

007に対して「必ず無傷で返却すること」と念を押すがまず帰ってこない。特に”ボンドカー”は必ずと言っていいほど破壊される。
●アストンマーチン
「スペクター」ではDB10が登場。これは映画オリジナルで市販されない。
本来は009用の車だが、ボンドが勝手に拝借。そのため、装備が不十分なのがギャグになっている。
エアー(脱出装置)はDB5へのオマージュだが、DB5のは助手席の敵を排除するためのもの。
また、特別な機能のトグルスイッチ(プッシュボタンでもタッチパネルでもなく)はDB5のオマージュ
●アストンマーチンDB5
初登場は「ゴールドフィンガー」。タイヤ粉砕装置、シートエジェクト、発信機追跡装置等を搭載。
DB5はシリーズのアイコン的存在で「サンダーボール作戦」、「ゴールデンアイ」、「トゥモロー・ネバー・ダイ」、「カジノロワイヤル」、「スカイフォール」で登場。
特に「スカイフォール」のDB5は「ゴールドフィンガー」のと同じ装備になっている。終盤で破壊されたが「スペクター」でQが修理している。
●オメガ
ボンド愛用の腕時計。「カジノロワイヤル」ではロレックス?と聞かれ「いや、オメガだ」というセリフがあるほど。
「スペクター」では久々に”特別な機能”が搭載。(Qは時間が分かる。というがw)
腕時計が”ガジェット”になるのはほぼ定番になっている。
バンドが金属で無く布製(通称NATOストラップ、NATO軍正式採用のためこう呼ばれる)でグレーとブラックのコンビは「ゴールドフィンガー」でのロレックス・サブマリーナと同じ。
仕掛けを作動させると文字盤が赤く光るのは「死ぬのは奴らだ」ロレックスと同じ。
なお、オメガがシーマスター、ロレックスはサブマリーナとダイバーズウオッチなのはボンドが海軍中佐だから?
●ボンドの両親
少年時代に登山中の事故で死亡。
これは原作でも語られる数少ないボンドの過去。「ゴールデンアイ」でもチラッと語られる。
●ボンド、ジェームズ・ボンド
ボンドが名乗るときの定番”My name is Bond,James Bond"という言い方をする。
因みにこのセリフが一番遅いのは「カジノロワイヤル」でラストシーンにある。粗削りで半人前のボンドがようやく007となった。と思わせる粋な演出である。
●アメリカの友人
ボンドはスキアラの妻・ルチアを匿うため”アメリカの友人・フェリックス”を紹介するが、これはCIAのフェリックス・ライターのこと
シリーズの殆ど(消されたライセンス以前とクレイグ版2本)でボンドに協力するが本作と「スカイフォール」では登場無し

(「慰めの報酬」より)
●スペクター
クレイグ版ボンドになってから、背後に暗躍している組織の存在が有りましたが、それが今回”スペクター”と判明する
スペクターとはSPECTRE, SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion、「対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関」の意
シリーズ初期でボンドと戦うテロ組織が遂に復活。
●スペクターの会議
城の大広間であったスペクターの会議。ここで発言する女性幹部はローザ・クレッブ(「ロシアより愛を込めて」)か、イルマ・ブント(「女王陛下の007」)か?
また、この会議では不正をはたらいたものや失敗をしたものはその場で抹殺されるのも定番。
この場ではブロフェルドは擦りガラス越しで顔を見せないのも普通。
「スペクター」ではオーベルハウザーが逆光になって顔が見えない。
●Mr.ヒンクス
演じるのはデビッド・バウティスタ。WWEの元チャンピオンのプロレスラー。
殆どセリフのない役だが、「ゴールドフィンガー」のオッドジョブ(演じるのはコチラも元プロレスラーのハロルド坂田)を連想する。
●雪山の上のクリニック
マドレーヌの務めるホフラー・クリニックは雪山の山頂にある。
これは「女王陛下の007」のスペクターの本拠地と同じ。
しかし、あんなところにあったら不便でしょうがないと思いますがw
●ウォッカマティーニ-Shaken, not stirred
ウォッカとベルモットのカクテル。
通常はジンベース、ステア(掻き混ぜる)で作るがボンドはシェイクで頼む(ステアーでなくシェイクで)
シェイクで作ると空気が混ざり、冷たくなるので口当たりが良くなる。と言われてます。
「スペクター」では雪山のクリニックのバーで頼むが「(クリニックなので)アルコールは置いてません」と断れられた。
列車でのディナーでマドレーヌが注文。ちゃんとシェイクで来るのがミソ。
●白いタキシード
列車でのディナーでボンドが着てくるのは白いタキシード(正確にはディナージャケット)。
これは「ゴールドフィンガー」の冒頭で着ている。胸の赤いカーネーションも同じ。
因みにそのゴールドフィンガー」のシーン(水中から潜入してウエットスーツを脱ぐとタキシード姿)はシュワちゃんが「トゥルーライズ」まるまるパクっている

(「ゴールドフィンガー」より)
●後ろにご注意
マティーニが運ばれてきたシェイカーに写った影により、ボンドが後ろから近づくMr.ヒンクスに気づく。
「ゴールドフィンガー」では抱いた女の瞳に背後の男が写るシーンがある。
●列車内での格闘
Mr.ヒンクスに列車で襲われるが、列車内の格闘は「ロシアより愛を込めて」や「死ぬのは奴らだ」「私を愛したスパイ」でもある。
何故かボンドは列車での移動が多い
●ヴェスパー・リンド
ミスター・ホワイトの隠し部屋で”ヴェスパーへの尋問”というビデオテープを見つけるボンド。
ヴェスパーは「カジノロワイヤル」でボンドが愛した女性。情報部を辞職し彼女との生活を始めるボンドだが、彼女は”組織”に操られておりボンドを裏切ってしまう。最終的に彼女はボンドの助けを拒み自ら死を選ぶのだが、このことがボンドのトラウマになっている。これによりボンドは女性を全く信用しない。
●スペクターの基地
今回は砂漠に隕石が作ったクレーターの中に作られているが、過去には火山の中なんて突拍子もないことも(「007は二度死ぬ」)
スペクターの基地でボンドが厚遇を受けるシーンは度々ある。
マドレーヌのドレス(チャイナドレスっぽい)が部屋に用意してあるのは「ドクター・ノオ」と同じ(「ドクター・ノオ」ではチャイナ服が用意されている)
ついでにオーベルハウザーの服もスタンドカラーでドクター・ノオの服に印象が近い。
●悪役オーベルハウザー
スペクターのボス。
後半で別名が
エルンスト・スタブロ・ブロフェルドと判明する。この名前はシリーズ初期と同じ。
ボンドの脱出の際の爆発で右目を失明して顔に傷を負うが、この傷跡は「007は二度死ぬ」と同じ。

(「007は二度死ぬ」のブロフェルド)
●白いペルシャ猫
ボンドがオーベルハウザーにより拷問される時に膝に乗ってくる。
シリーズ初期ではブロフェルドは顔を見せず、膝の上に座らせた白いペルシャ猫を撫でている。
「オースティン・パワーズ」のドクター・イーブルなどパロディも多い。
●ヒルデブラント商会
MI6に戻れないMがQ達と「かつてのアジト」とカギを開ける古いビル
原作の短編”珍魚ヒルデブラント”に由来
また、かつてボンドはユニバーサル貿易という会社を隠れ蓑にしていて、MI6とは別の建物に出入りしている
●CはケアレスのC
Cがデスクの引き出しから銃を取り出してMに向けるが、Mがあらかじめ銃弾を抜いておいてある。
「カジノロワイヤル」での冒頭でボンドも同じことをしている。
●ラストシーン
ボンドが辞職して愛する女性と去っていくのは「女王陛下の007」に似ている。
しかし「女王陛下の007」ではブロフェルドに妻を殺され復帰する。
多分、これでも気づいていないのがあると思います。
あ、そういえばプロデューサーのマイケル・G・ウィルソンは必ずカメオ出演しています。
ローマでの葬儀のシーンの参列者の一人でした