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2024年12月10日 イイね!

1988年式ブルーバード+1991年式ギャラン+2001年式プリウス ミニ感想文

ハチマルミーティング2024に参加した際に歴史的に重要な5ナンバーセダン3台に乗せていただいたので、ごくごく簡単ながらメモを残す。


1988年式ブルーバードH/T SSS ATTESA

~作った人たちもブルーバードが好きだ~
ブルーバードの話題に触れる前にとにかくCMを見て欲しい。開発責任者が語る形式と手ぶれを許しながらライブ感ある映像が見る人のハートを鷲づかみにする。



いまだったらこんなCM絶対に作らせて貰えないだろう。日産の施設で何度もリハーサルを繰り返して作ったのだろう。いまならYoutubeで専用動画なんかはあるかも知れないが・・・。ほとんどCGで誤魔化されてしまうんじゃないだろうか。

今回の主役のブルーバードが売られていた1988年当時、バブル期と言うこともあって人々の購買力も上がり消費マインドも高く、そこに排ガス規制を乗り越えて技術力を蓄えた各メーカーが意欲的な新機構を次々に送り出した。普及型DOHCやパッシブ制御のサス、そして今回の主役フルタイム4WDシステムなどである。

現代の目線で見ると面白いのはこうした技術が積極的にセダンに織り込まれていたと言うことである。当時の自動車市場の中心はセダンであり、その中でもブルーバードはそれまで20年以上コロナとの販売競争を続けてきた日産の支柱とも言える小型車だった。



試乗したのは1988年式の前期型ハードトップSSS ATTESAである。もうハードトップというのも今や聞きなれない専門用語になりつつある。オープンカーが当たり前だった戦前の世界、雨を凌ぐための幌(ソフトトップ)に対して鋼板性や樹脂製のしっかりした屋根を取り付けた車をハードトップ(H/T)と呼んだ。対候性が良く、時としてオープンエアも楽しめるのだが、いつしか固定式の屋根であっても、セダンには備わるピラーを取り去って窓を下げたときの解放感を残したピラーレスH/Tが産まれた。(その場合ロッカーやクオーターとルーフを強化する)

ドアサッシュを廃止して窓ガラスを支える機構をドア内部に持たせることで見た目にも開放感があるだけでなく、車高を低くしても乗降性を悪化させないメリットがありスタイルを追求するためにサッシュレスドアを採用したクーペやセダンもH/Tと呼ばれ始めた。性能のためにピラーを残した「ピラードH/T」なんて今では当たり前ながら当時はきっと理解しづらかっただろう。

かくしてブルーバードにはスタイル派の為のH/Tセダンの設定がありイメージリーダーでもあった。従来は2ドアだったが、セドグロやローレルがピラーレスH/Tを採用する中で1982年には910系ブルーバードで4ドアH/Tセダンを発売し、高級車のみに許されていた世界観を下方展開させて人気があった。競合車のH/Tは2ドアばかりでセダンがなく、今よりもっと熾烈だった販売競争では4ドアH/Tの存在はライバルにはないブルーバードの強みだった。

当時幼稚園児だった私もブルーバードはカッコイイ車として認識していたし、街でよく見かけた910系と並んでカッコイイブルーバードだと私は思う。同じマンションに後期のセダンがいた関係もあり個人的にも馴染み深いブルーバードだ。

H/Tを今の目で見ると低い全高と傾いたA・Cピラー、水平基調で長さを強調したプロポーションは80年代ならではの美意識で逆に新鮮だ。長めのオーバーハングも重さよりエレガントさを感じさせ、加飾によるエモーショナルの表現よりクリーンで控えめな表現でありながら黒く縁取りされたラジエーターグリルやRrコンビランプは個性的で遠くから見てもブルだと分かる。



一点だけ、エンジンフードとAピラーのつなぎとトランクリッドとCピラーのつなぎの線の段差感が残ってつながりが悪いと思ってしまうがそんなことは些細な問題でありハードトップの魅力を分かり易く表現したグッドデザインだと思う。スタイリングでも高い評価を得ていたが、競合するトヨタはカリーナEDによってブルーバード4ドアH/Tもそのデザインでスマッシュヒットを飛ばしていたので日産としてはブルーバードのデザインを磨くだけで無く、基礎体力とも言える動的性能「走る」「曲がる」「止まる」を鍛えた。

この観点で目玉となったのがATTESA(アテーサ)だ。ATTESAとはフルタイム4WD技術の名称で「Advanced Total Traction Engineering System for All」の頭文字である。

前後回転差を吸収するセンターデフを持つフルタイム4WDにビスカスカップリングを組み合わせており、基本的には前後50:50でトルク配分するが、前後輪がスリップしたときはビスカスカップリングがトルクを適切に配分するのでとにかく安定した走りが可能となる。ビスカップリングがない場合は、センターでフロックを使って機械的に直結させる必要があったが、ATTESAは更なるイージードライブを実現している。



1980年にアウディがラリーに勝つためのメカニズム「クアトロ」として発表したフルタイム式4WDからたった7年で一般の人の手に届くATTESAに進化したのは当時の勢いを感じてしまう。

試乗車はこのATTESAとCA18DE型1.8LツインカムE/G(135ps)と4速ATの組み合わせであり、まさにブルーバードが実現しようとしていた高性能とイージードライブを兼ね備えたスタイリッシュな4ドアを体現している。

是非、というオーナーの勧めに従って鍵を受け取って乗り込んだ。



運転席は特別何か特徴的な装備が有るというわけでは無いが、ラウンドしたメーターバイザーが助手席まで滑らかに滑り落ちていくような大らかな意匠で、メーターは中央に速度計、右に回転計、左に燃料系と水温計、シフトポジションインジケータが配置された。虚仮威し的な意匠性よりも質実剛健とした視認性を与えながらも旧来的な絶壁インパネから脱している。



後期型では意匠が替わってしまう四角いATセレクターレバーをDレンジに入れる。
スポーティな性格を持ったブルーバードだが発売当時(1987年)に既にAT比率が5割を超えていたのでMT同様にATにも力が入れられていたし、前述の「新型ブルーバードSSS ATTESA 技術開発NOTE」を知っていれば寧ろATに乗ってみたいという気持ちになってしまう。

運転姿勢は自然でATゆえ左足のスペースも充分ある。FF一世代目までは足元が広いことをアピールする意味もあってフラットなフロアを目指し、センタートンネルも小さく作っていたが、FFベースとは言え後輪も駆動する4WDではそれなりのセンタートンネルが求められる。特に4WDは凹凸が車内に張り出すような場合もあるがブルーバードは問題ない。

後席はH/Tとしては標準的で現代のエモーショナルセダン(笑)並にヘッドクリアランスが小さい。特に頭上がバックドアガラスに来てしまうので直射日光で暑いという弊害がありそう。後席には小柄な人か子供であれば問題はなさそうだが、標準身長の大人4人乗車は厳しそうだ。

確かにブルーバードの走り出しはイージーだ。デフロック操作不要のフルタイム4WDなのにタイトコーナーブレーキング現象は無く滑らかに曲がれるのは技術の賜物だ。ただし135ps/6400rpmを誇るCA18DEを以てしても1300kgを越える車重はさほど軽快感は無い。パワーウェイトレシオは9.7kg/psとなり、最後のブルーバードシルフィ(9.47kg/ps)に少し負ける程度だ。当時の水準でもカムリやマークIIを少し凌ぐパワーウェイトレシオであり、アクセルを踏み込めばしっかり車速は上がるのだが。



当時としては画期的な4駆とATの組み合わせとは言え、コンベンショナルな油圧式ATのため車速とアクセル開度だけでギア段が決まってしまうので、登坂時にロックアップが作動したり、意図せずシフトアップしてしまうことから駆動力不足が生じて実力よりも遅いと感じてしまう感はあった。一歩先ゆく運転感覚を身に着けるためには電子制御化されたE-ATの搭載が待たれていた。積極的に走るときは7000rpmまで回せる恩恵にあずかってO/D OFFと2レンジを使った方がいいだろう。

加速時に少し駆動系と思われる比較的低めで唸るようなノイズが気になった。これはコンポーネントが増え、複雑な4輪駆動ゆえに多数の共振点と伝達経路を持ってしまうため仕方ない事だ。

車速が上がってきて誰でも感じられるブルーバードの良さはタイヤの接地感である。ATTESAなんだから当たり前、と怒られそうだがフルタイム4WDの良さはまさに4輪で路面を掴む感覚で私が初めて4WD車を所有したときに感じた感動が得られる。車体が低いので多少大きくロールしても恐怖感がなく、べったりとタイヤが路面をとらえている。そしてこの高いシャシ性能を発揮させている縁の下の力持ちがボディのしっかり感だ。ピラーレスH/Tでありながらサイドドアガラスからパキパキ音も出さずに剛性感が感じられたのには驚いた。過去に試乗した他社のピラーレスH/Tと比べると日産の経験が生かされているのだろう。あくまでもニュートラルな旋回性能や安定感ある加速などボディがしっかりしているからこその実力だ。

エンジンよりシャシーが速い状態こそが安全な実用車だとするならばSSS ATTESAはまさにそれである。これよりモアパワーを求めるとCA18-DET型ターボE/Gを積んだLimitedが用意されているし、NAでもう少しスリルが欲しいなら、ビスカスLSDが備わるFFを選ぶ選択肢もある。この時代はH/Tとセダンが同列に位置付けられていて販売上の序列付けを行っていない点も選ぶ人に優しい。

今回試乗したブルーバードH/T ツインカム1.8SSS ATTESAは新車価格248.6万円。

当時新車で売られていた私のカローラ1.6GT(MT)は153.2万円、ビスタH/T2.0VRフルタイム4WD193.6万円、コロナ2.0GT-Rは212.4万円、レオーネ1.8GT/IIが225万円なのだから、ブルーバードのプライスは決して安くない。それだけこのハイテク技術に自信を持っていた現れなのだろう。

それでもこのブルーバードはヒットしよく見かけた。それは日本人をターゲットに企画され、当時の技術アピールがうまく当時の顧客にマッチした結果と言える。



当時のCMを見ても読ませるカタログ本文を見ても意気込みとブルーバード愛を感じた。このクルマに携わった人はみんなブルーバードが好きだったんだろうなと伝わってくる。それだけに次世代で北米のニーズやバブルに目が眩んだ商品企画のゆがみが残念でならない。

ブルーバードのような技術アピールは現代では流行らない。流行らないだけで自動車メーカーの中の人は今も変らずに開発に勤しんでいると思うのだがもう少し技術をただしアピールする努力をした方が良いのでは?と感じた。世の中の全員がクルマに興味を無くしたわけでも無いのだし、技術のアピールは古くさいと脊椎反射的に言われがちだが最近こういう取り組みを続けているのはスバルくらいかなと思う。走行製造のCGの駆動輪を青く塗って「チュイーン」というモーター音のSEを追加して一丁上がりでは物足りない。

日産が本当に技術でガチンコ勝負をしていた時代の作品に触れられてオーナーに感謝申し上げる。


1991年式ギャラン 1.8ヴィエント

~ハイテク満載の背高セダン~

ブルーバードに乗った後で、当時のライバルだったギャランを運転する機会を得た。試乗車は後期型のお買い得仕様1.8DOHCを積んだヴィエント。N兄氏のご実家で愛用されてきた家族間ワンオーナー車でE35Aを名乗る。



1987年にデビューしたギャランは、「インディビジュアル4ドア」というキャッチフレーズがつけられていたが、これは80年代後半からの個人主義の進展をクルマで表現したもので、既にモノ揃え消費も一段落しつつあり、質の高さや自分らしさを表現するツールとして三菱が産みだした運転する喜びを生みアクティブな生活をもたらす新技術を散りばめ、従来の価値観と一線を画す存在感のあるスタイルで包んだ新型車である。

ここで「フルラインハイテク」の三菱らしい最先端メカニズムを軽く紹介したい。イメージリーダーだったVR-4は2.0L直4ターボE/G(205ps/30.0kgm)を搭載。元々三菱が得意としていたターボ技術とサイレントシャフトに加え、DOHC16バルブとしては世界初のローラーロッカーアームによって摩擦ロスを低減し、高回転まで気持ちよく回るスポーツエンジンを搭載。

更にシャシ性能も飛躍的にアップしており、「ACTIVE FOUR」と名付けられたギャランのシャシーはビスカスカップリングを使ったフルタイム4WD、当時流行していた4WS、Rrサスにダブルウィッシュボーン式を採用した4輪独立懸架、4輪ABSから構成されている。

4輪駆動を主役に安全で速い技術をセダンに包み込む思想は当時のスバルや日産でも行われていたが、三菱の場合FF用にもハイテク技術を開発してギャランに実装している。例えばアクティブECS(Electronic Control suspension)は車両姿勢を走行状態に合わせて空気バネを使って制御することで操縦性と乗り心地を両立しようと試みた。オリフィスを切り替えて減衰力を切り替えられるダンパーによってシャシの性格を変える試みは既に行われていたが、エアサスに手を出すとは当時の三菱らしい。

ステアリングセンサやアクセル・ブレーキセンサの感知でロール制御(外輪に給気し、内輪側を排気)、アンチスクワット、アンチダイブ制御を行う動作モードは他社でも実績があるが、アクティブECSはショックアブソーバーだけでなく空気バネの内圧を調整する点で効果を出しやすい。



更にエアサスならではの車高調整機能も備わり、高速域では車高を下げて安定性や燃費に配慮するだけでなく悪路を検知すると自動的に車高アップを図るだけでなく、整備用に車高を上げるとオイル交換が簡単にできたと言う。

アクティブECSはAUTOにしておけばクルマ任せで最適な状態に調整してくれるが、違いを分かり易くしたかったのか性格を割切りすぎたのか各モードの制御が極端だったと言おう当時のオーナーの声もあり、このあたりは現代のドライブモードが持つ悩みと変らないのだなと親近感が湧く。

ギャランは更に当時としては最先端のEPSをも一部グレードで実用化している。燃費性能のためのEPSではなく、SPORTモードを選べば操舵力をノーマルと中高速域で手応えの向上をスイッチ操作で切り替えられる特性のための採用をしている。現代のドライブモードでも行われるEPSチューニングを1987年の段階で実用化しているというのは先進性に恐れ入ってしまう。

更にギャランは単にハイテクを駆使しただけのオタクっぽいクルマでも無かった。
一目見てギャランだ!と識別できる全高1430mmというセダンの相場を無視したかのような背の高いフォルムはそれまでの背高セダンの先駆けだった1982年の初代カムリの1395mmをも越えていた。これまでの背が低く繊細で流麗なフォルムを是としてきた日本のセダンのトレンドに反し、マッシブで背が高いギャランならではの世界観を持っていた。

ビッグキャビンを実現するなら全高を上げるしかない。しかし、全長4.5mクラスのセダンで全高を上げてしまうと、ずんぐりむっくりのちんちくりん(悪口)になってしまう。同レベルの全高のままバランスが取れている車種は、例えば初代センチュリーが挙げられ、全長5mクラスで全高1450mmをマークしているが伝統的なセダンプロポーションを維持している。このことからギャランがいかに「異様な」プロポーションだったかが分かるだろう。



そのパッケージングを魅力的に見せる秘策はウエッジシェイプと逆スラントノーズ、サッコプレートとS字曲面である。

昔から背が高くキャビンが大きく見えすぎるクルマはその違和感を消すためにウエッジシェイプ(前下がり・後上がり)を多用する事例が多い。ギャランの場合、フェンダー先端からドアまでで傾斜させ、ウエッジシェイプ的だが、ベルトラインを極力水平に引きながらトランクリッドもその勢いで繋いでいるのでRrタイヤが小さく見えすぎる弊害を最小化している。プロポーションをよく見せる為にフロントエンドは逆スラントである。これによりE/Gフードを長く引っ張ってプロポーションを調整している。

そして前後バンパーの上下見切りを維持する形でサイドプロテクションモールとサイドマッドガードが融合した「サッコプレート」でボディを薄く見せている。ツートーン塗装やサイドプロテクションモールだけでも近しい視覚効果は得られるが、樹脂部品による成型自由度の高さを活かして平行線をたくさん入れている。ドアハンドル直下のキャラクターライン上は太陽光を受けて明るく見えハイライトにしている。ライン下は凹面で暗く見せることで実際のドアよりも薄く見せている。当時としては大胆な凹面を使ったくびれが類い希で有機的で力強い個性を持っていた。



「うねりのフォルム」と三菱自身が呼んだギャランのエクステリアデザインは競合関係にあったブルーバードやコロナ、カペラなどがまだスマートで流麗なプロポーションの美を追究していた時代にギャランだけが逆張りとも取れる背高フォルムを採用しながらも、数々の処理によって有機的でマッシブな力強さに変換して新時代のスポーツ4ドアに見せた。本来はスポーティから後退するパッケージングを見事に個性に置き換えた偉業は快挙だったと言っても過言では無いだろう。



2000年前後にセダンでも背の高いフォルムを提案する動きがあったが、ギャランほどの鬼気迫る絶妙なバランスを実現したクルマは無かった。彼らも追究すればギャランになってしまうし、当時はツートーンカラーやサッコプレートはオールドファッションであるとして使いづらかった面もあるがいずれにせよ一種の奇跡がギャランに起こったと言えよう。



今回試乗した1.8DOHC仕様はギャラン発売後に追加されており、それまで2.0のみだったDOHCのボアを縮小してを最量販帯域に展開した実質的主力エンジンである。2.0DOHC(140ps/17.5kgm)からは少々スペックダウン(135ps/16.2kgm)していたがサイレントシャフトやローラーロッカーアームなど先進的な機構を引き継いでいてお買い得感が高い。

1989年のマイナーチェンジでは2.0DOHCは145ps/17.8kgmに性能アップを果たし、のちに160psを発揮するプレミアム仕様になったため、1.8DOHCこそがレギュラーガソリン派に向けた実質的上級E/Gである。

試乗車はVientoというお買い得グレードである。2.0譲りの1.8DOHCの新E/Gを積み、過剰なハイテク装備をそぎ落としつつ、上位グレード相当の内外装のエッセンスを移植されている。14インチアルミホイールやマッシブなエアロバンパーや4シーター風スポーツシート、そしてA/Cとカセットデッキが装備されて175万円という価格は全く以てバーゲンプライスと言うほかない。

およそ実用面で引け目を感じさせず、ギャランの特徴を厳選して織り込んだお買い得量販グレードの鏡のようなサービス精神は三菱以外の各社が持ち合わせており、令和の自動車マーケッター達に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいだ。

鍵を借りて当時珍しかったバータイプのアウトサイドドアハンドルを強めに引いて乗り込むとクラスを越えた快適なキャビンの居心地の良さが感じられた。セダンなのにタイトさが一切無く、開放感があり明らかに快適だ。



正面には大型のメーターが目に映る。このあたりは初代FFカムリの影響(特にタコ無しの大型速度計)も受けているのでは無いかと個人的には推測するが位置を追究してドライバーに見えやすく・近づけられた操作系は私個人は三菱重工が昔作っていた自動車教習所用のシミュレータでお世話になった事がつい昨日のことのようだ(20年以上前だが・・・)。

インパネは低めで包まれ感より開放感を重視している。オーディオ用2DINスペースが一番下にあり、冗談にヒーターコントロールがあり、一等地は空調ダクトが占めている。当時らしく全吹出し口にシャットダイヤルがつけられている。

当時のカタログを見てびっくりしたのは本目パネルがディーラーオプションとして設定されているのだが、これってまさにDreizack-Stern?



E/Gを指導してスタイリッシュなガングリップタイプのATを操作すると選択したシフト位置がメーター中央のシフトポジションインジケーターが動く。当時、AT普及期に誤操作によって暴走事故が増えていた時代だったのでシフト位置がどこにあるかをメーター中央にシフト順に直感的に表示したギャランは親切である。

近年稀なオフセット配置されながら手元に近いPKBレバーを下ろし、静々と走り出したギャランは極めて真面目だった。中は広くて快適で走りは真っ当。欲しい加速ができてブレーキも現代の車と較べて少しも不満が無い。

7000rpm以降がレッドゾーンとなる4G67はとにかく軽快な印象で加速が軽い。直前に試乗していた4WDのブルーバードとの対比で特にそう感じたのかも知れないがE/G音も比較的済んでいて小気味よい。具体的なフリクションの値は分からないが本来サイレントシャフトの影響でフリクションロスが増えるはずだが、ローラーロッカーアームによって幾分か取り戻したのだろう。

大型エアロバンパーに組み合わせてあるデュアルロードランプは、フォグランプなのに4灯式でLOビームだとフォグランプが点灯し、HIビームだとドライビングランプに切り替わるという贅沢な補助ランプである。ガラスレンズのハロゲンヘッドライトでも充分明るいはずだが、LEDはおろかディスチャージも無かった時代なので灯火類を積み増すことで光量を確保し安全性に寄与しているのだが、なんとも贅沢さを感じた。

試乗はアップダウンのあるコースで行われたが、ATは電子制御AT(2モード4速ELC)は良い働きをした。2つのシフトスケジュールを持つことが出来るので普段の燃費を意識した早めのシフトアップ(ECONOMY)と引っ張り気味の(POWER)を任意で選択できる。



シフトスケジュールだけでなくロックアップ作動も制御するので上り坂での走りっぷりは大きく変わる。スイッチで選択するタイプは見た目にも「有り難み」がある一方でイージードライブ派(ほったらかし)の人たちは存在に気づかないまま生涯を終える可能性もある。そこで90年代中盤以降でスイッチ操作を行わなくても車両側が登降坂や曲がり角やコーナーを検知して自動的にシフトダウンを行えるように進化をしていった。ギャランのELCは存在を知っている人だけが積極的に操作することで意のままの走りを手に入れることができる。オーナーも上り坂では積極的に操作しているそうだ。

ギャランのサスペンションはFrマクファーソンストラット/Rr3リンク式トーションアクスルという形式でいわゆるトーションビーム式を採用している。これは駆動輪から切り離された後輪を活かしてワイドトレッドやキャンバー変化の小ささに目をつけた為である。

前後方向入力はトレーリングアーム、横力はラテラルロッドが受け持ち、左右逆相の場合は左右を繋ぐアクスルが捻れることで、半独立懸架的な立ち位置の車軸式懸架である。単純なリンク機構のためラゲージスペースが広くなるメリットもありギャランのFF系は3リンクトーションアクスルを選んだ。この方式に弱点が無いわけでは無く、ラテラルロッドが水平配置と言えどもストロークするとロッドが円運動するためにスカッフ変化があり車体とタイヤの位置関係がズレてしまう問題がある。

余談ながらこの問題をスグリを入れたブッシュで解決しようと試みたのが日産が1994年に市販化したマルチリンクビームサスペンションである。

一方、ハイパワーを受け止める4WD系はマルチリンク式と差異があるがFFも決して悪くない。不快な突き上げ感なども無く充分レベルの高い走りを実現していた。

ギャランは、先代までのマークII的なハイソ感覚から脱却して生命的な力強さを表現したボールドなセダンという新しい立ち位置で勝負をした。そこに三菱らしいハイテクが散りばめられておりカーオブザイヤーを受賞するのも納得の力作だった。
試乗車は複雑な機構は控えめで信頼性が高く、基本がよくできた真面目なセダンだった。



このギャランが以降のギャランの方向性を決定づけ、2005年に国内販売が終了するまでのイメージ的な原典になったが、特に痛かったのは試乗車の次期モデルに当たる92年発売の7代目が全く不評で評判を落としてしまったことである。バブル景気の最中にイケイケで開発されて大きく上級指向になって女性からの支持を得るためにデザインを変えて、キャビンも小さくしてしまった。同じようにカペラもアコードも3ナンバー化で失速し、ブルーバードもコロナもバブルで踊らされてしまった。(オースター後継という控えめなキャラゆえに地に足の着いたプリメーラはモデルライフ的にもバブルに踊らされずに済んで被害が少なかった)

このクラスのセダンがマーケットのボリュームゾーンで良い技術が集まってきた、という素晴らしい時代の頂点にあった一台がギャランであり、先に試乗したブルーバードだったんだなとしみじみ思う。三菱の名作に触れることが出来てオーナーに感謝申し上げる。

2001年式プリウスプレミアム21

~0→1にした革新的なクルマ~

1997年、「21世紀に間に合いました」でデビューしたプリウスは世界初の量産ハイブリッド乗用車である。世界初のシリーズパラレルハイブリッドTHSを搭載して当時のガソリン車の約2倍の燃費を達成した。日本国内で発売し、世界中の注目を集めた。

初期の改良点を織り込んだ上で2000年に初のマイナーチェンジを実施した。このマイナーチェンジ版は燃費を向上させながらバッテリーの小型化でトランクスルー機能の追加やトランクスペースの拡大(362L→392L)、ウォッシャータンクの容量拡大(2.5L→4.1L)など地道な改良が施された。このモデルから欧州や北米に輸出されて自動車先進国はハイブリッド車を知り、恐れをなした。



プリウスの特徴的な心臓部であるTHSはE/Gと駆動用モーター、発電用モーターを持っている。後退と発進はモーターによる駆動のみで行われるが、モーター性能を超える場合にE/Gからの動力を混ぜて足し合わせて走行している。なのでハイブリッド車の最高出力はシステム出力で示されてガソリンE/G+モーターの最大出力を掛け合わせた(≠単純和)値になる。例えば今回試乗した2001年型プリウスは100ps程度とされる。

モーターだけで駆動の全てを賄うシリーズハイブリッドはシンプルだが、これだと最高速度までカバーする大きなモーターが必要になるのと高速域でE/G単独運転ができなくなる。

一般走行時にE/Gがかかっているが、この時の運転状態は効率MAX状態なので穏やかに加速していたとしてもE/G回転数は高め一定で回っている。

E/Gには燃費が最良になる「燃費の目玉」という領域があるがここをめがけて運転している。それが例えばN回転/Pキロワット、などと決まっている。

走行するときに必要な駆動力を算出し、最大効率点のE/Gパワーよりも要求が小さければ、駆動力を全て電気に変換してモーターだけで走らせるか、必要なパワーだけでE/G駆動する。余剰動力は発電モーターを使って電気に変換して貯めておけば無駄にならない。一時的に踏み増したときは駆動力がE/Gの動力を上回る場合、バッテリーからモーターを駆動して補助するが、全開加速時はバッテリーに蓄えられた分の電力も動員してモーターを使う。

プリウスの低燃費の本当の秘訣はアイドリングストップでも発進時のモーター走行によるものでも無く、E/Gを常に燃費最良点に固定して使用している点であることは意外と知られていない。

いままでのICE車とは違い、E/Gが直接動力性能に寄与しなくて良いので極端に低出力低燃費の性格に振り切っていたのが初期モデルだ。現代も残る1NZ型にアトキンソンサイクル(遅閉じミラーサイクル)を組み込んだ1NZ-FXE型E/Gは58psしか発揮しなかったが、モーターが33kW(44.9PS)と組み合わせれば、およそカローラ並の動力性能を持つとされていた。ただ、前期型は動力性能が実用ギリギリで伊勢湾岸道を走らせると亀マーク(出力制限警告灯)が点灯して速度が思うように出なくなった苦い思い出がある。



今回試乗したマイナーチェンジを受けた後期型ではE/Gを73psまでパワーアップさせ、モーターも一時的にアップする制御や回生強化を行った結果バッテリーも小型化しながらもカタログ燃費は28.0km/L→29.0km/Lまで向上させた。

前期型には幸いにも運転経験があるが、後期型は運転したことが無かった。今回は駐車場からの移動時にドライバーを買って出て短時間だけ運転させていただいた。

試乗車はハチマルミーティング2024にエントリーしていたプリウスである。ユーロPKG風だが、Rrブレーキがドラムなので丁寧に仕立てられたユーロPKG風である。車高が少し落とされていたり、ピンストライプが入っていたり、北米仕様の本物部品が着いてたり、オーナーの色にしっかり染まっているものの、初代プリウスの良いところがスポイルされない範囲に留めてあるのはオーナーの見識である。



ちなみに実際のユーロPKGはRrディスクブレーキやRrバンパーR/F(左右を繋ぐブレースとして活用)を装着して欧州で見られる走行条件に適合した成果を日本仕様で味わえるセットOPTである。

久しぶりに運転席に座るとプリウスのパッケージングの気持ちよさは1mmたりとも色褪せていない。着座姿勢そのものがアップライトで気持ちよく、視界も開けている。アップライトでキャブフォワードでセンターメーター、という2000年前後のトヨタが空力性能(前方投影面積が悪くなって不利)をCD値低減で相殺して実用化したインテリジェントパッケージだ。

アメリカはカリフォルニア州に設立されたCALTYでデザインされた初代プリウスは3BOXセダンの形態を取りながら異様とも言えるずんぐりむっくり度合いはお世辞にもカッコイイとは言われなかったが、一目でプリウスだ!と分かる個性を持っていたし私はとても好意的にこのクルマを見ていた。

キーをさして捻るとセルは回らないが「READY」の表示が出る。デスクトップPCの様なスタートスイッチが現われるのは2003年の2代目まで待たねばならない。

左手でDレンジに入れた。ガングリップタイプのコラムシフトは操作しやすく
サイドウォークスルーをも実現していた。後年のミサイルと称された交通事故が増えた時期でも、初代がニュースになる事はよっぽど無かった事実がこのシフト機構の優秀さを端的に物語っている。

2023まで継続採用されていた足踏み式PKBを解除し、ブレーキを離すとEMVはEVであることを淡々と表示していた。この走り出しで一体何人のオーナーがドヤ顔をしてきたのだろう。

初代が売られていた当時、THSの原理などをよく知りもしないまま強めにアクセルを踏んでしまっていた。ジワッと踏んであげればちゃんとEV走行で走り出すことが出来るし、60km/h程度までちゃんとモーター単独で走行が可能だった。ショック無くE/Gが始動すると、EV走行が終わった「がっかり感」はあるものの、NVもよく躾られていた。当時としては珍しい2点+トルクロッド式のE/G懸架方式が採用されて振動伝達には有利な方式が採られていたのである。新しい時代の乗り物を感じさせるNV性能は、現代のTNGA群にも引き継がれて欲しい美点だった。



ルートは上り坂があったりカーブがあったりしたが「ホントにEPSなの?」と思うほどラックEPSのフィーリングは自然だし、登坂時にアクセルを踏み増しても、暴力的な加速はしないまでも、スーッと車速は上がってコーナーも不安感無くクリアした。ここはオーナーの手が入っている部分だとは思うが、初代前期型の低転がり一直線のタイヤはウエットグリップに難があって急制動時にABSが作動しても障害物を避けられるもののその手応えが希薄で冷や汗をかいた思い出もあったくらいだったので、こんなに気持ちよく走ることが意外だった。



我が儘を言って予定よりも長く10分程運転させていただいた。後年のもっと燃費も加速も良くなった世代が持っている不自然さや不快さが顔を出さないことは私にとってはとても意外だった。それだけ初代は在来型E/G車ばかりの市場で全く新しい動力源のクルマの味を作り込んだというエビデンスなんじゃ無いかと思う。初代プリウスがハイブリッド乗用車の世界を「0から1にした」功績は大きい。物体を引きずるときも静摩擦係数>動摩擦係数ゆえ、動き始めるときの方が大きな力を要するものだ。

一旦プリウスが世に出た後は「こうした方が燃費には良いんです」と理屈を並べれば不便で不自然なことでも平気でやってのける。でも最初から違和感の塊のようなクルマを世に出しても受け入れられずに大事な技術が花開かなくなったはずだ。

動力性能不足やカックンブレーキは初代でも指摘をされてきたが、その他のヘンな感覚を「特別なハイブリッドカーだから」と様子見で済ませ続けた結果が空前の大ヒットを記録した後で指摘が増えた3代目プリウスのブレーキ抜け問題だったのかもしれない。

肝心の燃費は21.6km/L。そんなにエコ運転に徹したわけではなかったが、2000年前後のモデルを集めても上り坂もあるコースをたった10分サラッと乗っただけで21.6km/L出せる車種はプリウスくらいだろう。



私は「所有するならMT限定」という宗教的縛りを課しているが、もしもこれに背くなら初代プリウスは所有してみたいクルマの一つだ。今回の試乗で歴代全てのモデルを単独運転した経験を得ることが出来たのだが、初代の力作っぷりは特筆ものである。何回も書くが、欧米先行の自動車技術のなかで日本人の英知を結集させた世界初の量産ハイブリッドカー、という名に恥じぬ実力を今も失っていない。

是非、THS車のオーナーもそうで無い人もオーナーの方が2002年に製作されたプリウスドライビングシミュレータも面白いので体験してみて欲しい。



ただ、私のようにこのクルマに興味を持ったとしても初代プリウスのチーフエンジニアだった内山田氏が会社から離れたと同時にニッケル水素電池の補給が途絶えたらしいので維持しにくくなっていることは間違いない。初代が27年前と言うことを考えれば立派なクラシックカーゆえ仕方が無いという理解もできる。ただ1970年代までの旧車とは違い、電子部品のちょっとしたNGだけで走れなくなってしまうハイブリッドカーに代表されるエコカーをネオクラシックとかヤングタイマーと呼んで維持する事は今後とても難しくなってきてしまうのではないかとも感じた。

貴重な初代モデルに載せていただきオーナーに感謝申し上げる。
Posted at 2024/12/10 23:23:35 | コメント(4) | トラックバック(0) | 感想文_車レビュー | クルマ
2024年11月24日 イイね!

20241117_ジャスティ・レオーネ40周年ミーティング

20241117_ジャスティ・レオーネ40周年ミーティングふたつの40周年


名古屋市の東山動植物園にコアラがやってきて40周年とのことで家族を連れてコアラを見に行ってきました。激混みで園前の駐車場なんて長蛇の列で止められやしないので近隣のコインパーキングに駐車し普段は歩きたがらない娘を歩かせて20分。ようやく園内に入りましたが、とにかく人だらけ。



普段、人混みが嫌いで地方の閑散とした地域に出かけることが多い我が家には大変ハードルが高い動物園でした。(のんほいの方が良いなぁ・・・)

そんな中、コアラさんとご対面。背中だけでカワイイですね。



他にもゾウやキリンも見たのですが、ひたすら歩き疲れて午後には車に戻りフリー状態に。そこで参加を見送っていた首記のイベントに行きたいと交渉したところ許可が出たのでファミリーカーのデミオで行ってきました。

なんとジャスティと三代目レオーネが同時に発売40周年、終売30周年なのだそうです。10年作り続けたのは両車ともなかなかの長寿ですね。今だとそんなでも無いですが1980年代から1990年代は時代の流れが速いのでかなり長い間作られていたように感じます。

そんなわけで40周年イベントのハシゴをして参りました。

全ての参加車にはフォーカスできませんが、参加車とギャラリー車を紹介します。

まずは、奇跡的に前期5ドアと後期3ドアが並んだジャスティです。





マイナーチェンジだと言いつつも、フェイスリフトは徹底的で例えばAピラー根元やカウルルーバーもしれっと変っています。ちょっと旧い部分を匂わせつつもアップデートしています。外装への手の入り方は中々気合いを感じます。K11マーチベースのジャスティが世に出ていれば・・・・。当時の日産はFFでもビスカス式LSDだけでも必要充分な駆動力が得られると思っていたフシもありましたね。

興味深かったのはRrランプハウジング部分付近のシーラー処理です。シーラーはパネルとパネルの継ぎ目に塗られて隙間を埋めて乾燥炉で硬化させます。この時、シーラーを塗った分盛り上がるので、相手物とぶつかることを避けてスクレーパー処理されることがあります。その方が綺麗に見えるのでスクレーパー処理の方が偉い!という感覚を持つ方が多いと思います。ただ、長期間の使用の中ではボディのねじれ入力などの影響で硬化したシーラーが割れてしまうトラブルもあるのではないでしょうか。こういう懸念がある場合、シーラーそのものを掻き取ってしまうと
残りの少ないシーラーが変形に耐えねばならないので切れやすくなります。

前期はスクレーパー処理で後期は打ちっぱなしです。




欧州車のブリブリモリモリのシーラーは作業が雑なのではなく、耐久性を物量で補っているわけですね。そもそも変形の少ない剛性の高いボディもシーラー割れに対しては有効でしょうがあんまり剛性を強くし過ぎるとスポット溶接破損にもつながりかねないので何事も過ぎたるは及ばざるが如し。




更に面白かったのはボンネットをあけてE/Gルームを見せて頂いているとき、カウル前端に取付けられたシールゴムはボンネットのシールのためですが、形状的にシールしきれなくなってからはわざわざ別部品が設定されて車両幅方向をシールしています。こういうシール部品はフードヒンジのせいでシール線が切られてしまうのでそこから音が侵入する、だからどうせやるだけ無駄、と言わんばかりに対策されないケースも散見されますが、ジャスティのようなエントリーカーでも「やるべきところはやる!」というスバルの意地をこの部品から感じました。高周波のE/Gノイズには有効性があるかも知れません。

つぎに、もう一台の主役、レオーネ達です。私のとってのレオーネはこの世代ですね。アルシオーネを除いてレガシィがスバルで一番立派な乗用車だったのですが、
元々はスバル1000が発展していったので、サニー、カローラクラスだったのが
徐々にブルーバード・コロナクラスへ大型化しています。




マニアックなメカニズムで割高な車を売るにはどうしても上級車という扱いにしないと商業的に難しいという事情もあるのかも知れません。だからこそジャスティは直列エンジンなのでしょうし。



青いレオーネはターボで4WDと何でもありのハイテクマシンですね。80年代らしいぱっきぱきの直線基調、乗降性に有利なサッシュレスドアととにかく個性的。





ここからは、その他のスバル車達です。

私が幼い頃はもう一世代旧いレオーネもまだたくさん走っていました。アウディのような縦置きFFでポルシェのような独立懸架を採用した航空機メーカーの作る理系的ロマンあふれるマニアックな実用車が庶民の手が届く範囲内で売られていたというのは幸福な時代だったんだなと思います。月販数千台レベルでは売れていたようなので大したものだなと思います。




このタイプのフューエルリッドは70年代的ですね。初代カリーナ後期とかもこういうデザインでしたね。




また、「雪の征服者」ステッカーも自信の表れですね。当時はFRが主流でFFでも走破性をアピールできた時代に4WDですから過大広告では無いでしょう。スタイリング的にもスバル1000時代のクリーンなテイストでは無いものの、プロポーション的にバランスが取れてきてぐっと一般受けしそうになってきたと思います。

遊びに使える走破性に優れたステーションワゴン・・・・東北電力の要請で開発され、ブルーバードのデフを使いながら実用化された全天候型ワゴンの可能性を高く評価していたのはAMC(イーグル)でありトヨタ(スプリンターカリブ)でしたね。

忘れてはならないのはスバルレックス。RR方式のモノコックボディというスバル360以来の方式を残しつつ時代の空気を付与したレックスは時代性取り入れたがゆえにシンプルでタイムレスなスバル360よりも時代を感じますね。(当たり前なんですけどね)




このモデルはバンで大きなバックドアがありRrラゲージスペースが充実しています。またハイルーフなので個人的にはプロポーションもよく見えます。セダンよりルーフが高めなので同じく高めのベルトラインとマッチングが良いのかなと思います。





E/Gはほとんど横置きと呼べるほど斜めに傾けて搭載されてRrデッキ高さを確保しています。FF車と較べるとローディングハイトで不利なものの、RRのレックスにはフランクがあり荷室の多様性では負けていません。




水冷E/Gを搭載するのでクーラントを冷却するためにラジエーターは効率の良いFrエンドに配置されていました。冷却水路が長くなるのは少し不利(例えば詰まるリスクや漏れるリスクが増大する)ですが真面目に水冷RRを成立させていました。

そして個人的には後期型の初代レガシィが懐かしかったです。(何回も見に行ってしまいました)定番のGTでは無く、TiタイプSX。1.8LOHCを積んだグレードですが装備水準は高く、ちょっと日本車離れしたセンスをも感じさせてくれるのはデザイン面でビハインドがあったスバルの改心の出来映えと実直な技術追求型のモノ作りが美しくマッチしたからではないでしょうか。



4WDのワゴン故、少し強気とも取れる割高な価格設定(ネット調べで税抜211~220万円)ですがそれがしっかり売れていたというのがスバルの経営に貢献したことは嬉しい史実です。ナンバーも八王子56とワンオーナーっぽい。見た目にもヤレが少なく、こういうレガシィを至る所でよく見かけました。



小学校の同級生のTさんちもレガシィだったし、中学時代、面白い授業をしてくれた国語のN先生もこれと同じ色のブライトン220に乗っていてとても大切にされていた記憶があります。

個人的には、FMCして2代目になってもしっかり良さが引き継がれていた点はとても重要かつ現代の自動車業界も学びたいポイントでは無いでしょうか。ヒット作のヒット要因が自己分析できた(まぐれ?)なんて本当に難しい事だと思います。

RVブームの中で本格SUVを持たなかったスバルが提携関係にあったいすゞから供給されたスバル・ビッグホーンがまさかやってくるとは思いもしませんでした。このイベントの「ヤバさ」が本物である証でしょう。スバルビッグホーンなんて伝説上の車(ランボルギーニ・イオタ級?)ゆえ、「本物?」と疑ってしまったくらいなのだが他の方のレポートによると本物の証拠が残されていたそうです。見せて戴けば良かった・・・・。40年以上生きているとこういう車にも遭遇させて頂けるんですね。







そしてクラシック調モデルが流行した90年代中後期を思い起こさせる2台。ビストロはSCにMTを組み合わせたレアな限定車なのだとか。カサブランカも懐かしく、ビストロとの共通性も感じられて良い並びですね。ヴィヴィオは私もef-sを保有していたので本当に懐かしく嬉しかったです。

ああ、誤ってハザードスイッチ吹き飛ばしたい!!!(錯乱)

ヴィヴィオはカーライフを始めたばかりの私にとって可能性の塊で本当にお世話になったモデルです。アイドル振動の良さ、雨打ち音の静けさ、4輪独立サスの走りなど「シンプル・リッチ」を実感しました。



98年の規格改正時にヴィヴィオに代わりデビューしたプレオ。ハイトワゴンの快進撃でヴィヴィオ路線は先細ると判断したスバルの「中を取った」ワゴンはレガシィを軽自動車で再現したような真面目さで独自性がありました。販売競争で優位には立ちませんでしたが小さくても立派な「スバルの軽」であることが一目見て分かる完成度でしたね。



前期型は試乗させて頂いてますが、参加車は後期のRS。MTも設定されて何でもアリの良い車ですね。

スバル・ギャラリー車最後はこちら。



R2とR1が商業的に苦戦したので1年程度の短い開発期間で送り込まれたのはR3と呼ばずに徹底したBMCの末に世に出たステラ。メカニズム的には充分な先進性を持ったR2でしたが、一般ウケしそうな安全パイを狙った外装は、ムーヴそっくり。Mビシも他社そっくりの車を出していたのですが、まさかスバルがやるなんて当時の私はびっくりしました。背に腹はかえられない戦いだったのだと思いますが、あまりにも一般向け過ぎてスバルらしいコダワリも少し大人しくなったので、カスタムにMTでも設定していればもう少しプレオ代替需要も取れたのかなと思うと残念です。

参加車はムーヴになりたいと祈っていたら、夢が叶ってしまった代わりにシリンダーから1気筒抜かれてしまった2代目ステラ、軽自動車界の栗田貫一だと私は思っています。

もう軽自動車から撤退してしまい、ダイハツのOEMになってしまった。OEMが悪い訳ではないですが、スバルの撤退に後ろ向きな発言をしたのは旧い話になるのですが、私はその昔「軽自動車が開発したい」と言って富士重工の入社試験を受けた経験があるんです。

他の応募者がWRCとか水平対向と言っている間に「軽自動車がやりたい」、「軽規格でいいものを作って欧州車と渡り合いたい」などと青臭い意見を三鷹で披露して来たのは若気の至りとは言え、良い思い出です。

他メーカーのギャラリーもマニアックでした。

まず、ST171コロナのEXサルーンGですよ!5穴ですよ!



前期の欧州調から一気にビュイックリーガルみたいなグリルになってびっくりした後期型です。1.8で充分満足出来る商品性を確保しながら「G」では投資に見合った+αの満足感が得られるという「あるべき姿」だと思います。名古屋70のナンバーも懐かしいです。最終型でも1992年式ですから32年選手・・・。よく維持されているなと頭が下がります。



我が家のデミオの祖先とも言えるNL30系カローラII。



1.5L水冷ディーゼルターボの5ドアマニュアルという共通点があります。内装の質感の高さはスターレットとの違いがハッキリ出ていますね。ターボランプや立体的な燃料・水温計が魅力的です。E/Gルームも見せて頂きました。



ギッチギチに詰め込まれた3D知恵の輪のようなレイアウトです。詳細な摺り合わせ調整力が求められます。特にバッテリー周りは芸術的ですよね。ラジサポアッパーサポートが屈曲しているのはリトラを納めるため、と言うのは有名なエピソードですね。

ブレビスAi250。オーナーさんは他にも車をお持ちで別の欧州車の話でめっちゃ(私が)盛り上がりました。



ちょっと引いてしまわれたかも・・・・。でもそれくらいその欧州車が好きなんですよ。明らかに影響を受けた初代ヴィッツを買ってしまうくらいに・・・。

私「ブレビスってペダルの前後調整機構ありましたよね?」
オーナーさん「あ、これには着いてません」
というやりとり。

プログレでありがちな「ウォールナット内装の・・・」「レーダークルーズコントロールの・・・」「カーテンエアバッグの・・・」と話しかけて下さっても「全部着いてないんですよね」というその気は無いのに話の腰を折るような感じが共通してて、ものすごくシンパシーを感じました。結構話し込んでしまいすみませんでした。



みん友さんのシャレードソシアル。




時価板金塗装の記事がアップされていましたが、近づいても分からない完成度で凄いなと思いました。天津第一汽車夏利1.3のエンブレム・・・・どこで見つけてこられたのか!オリジナルでは無いがつけたくなる気持ち分かります。

最後に気づいたのがこちら。



レアな直噴ディーゼル仕様では?PULSERエンブレムが妙に似合います。チェリーバネットとかありましたし、パルサーセレナ?

このイベントは想定よりも参加・観覧者が多かったそうですがお洒落なチラシのデザイン性も高く、しっかり準備されたイベントでした。綺麗で当時ナンバーの参加車が多く、スバルオーナーの一途さがよく伝わってきました。車とオーナーが相思相愛なんだろうなとみて分かりました。

今のスバルはどうでしょうか。水平対向E/GとAWDをヘリテージとしながらも
随分と国内市場よりも海外市場を重視して私達から遠ざかったように感じてしまっています。肝心のレヴォーグも月販1000台レベルでレイバックと共食いしていやしないか?と疑ってしまいますが、レガシィの精神的後継車なのにすこし寂しすぎませんでしょうか。個人的にはMTのレヴォーグがあればファミリーカーとして購入を強く検討したかったのですが、コアなユーザー層をあっさりと切り捨てたのは軽自動車撤退の時と同じくらい残念です。

一方でXV(クロストレック)やフォレスターは今の流行に沿った企画でスバルの良さを体感しやすく、新プロジェクトXでも紹介されたアイサイトも新しいスバルの技術的支柱になっていますが、今日参加されていたような一途な方々予備軍に突き刺さるような企画・仕様設定が欲しくなるのは私だけなのでしょうか。

現地では久々にお会いする方々のご挨拶が出来て本当に良かったですし、初対面の方とも車を通じて楽しくお話が出来るのもいい刺激になります。あっという間に日が暮れて帰宅しました。帰りにAEONのフードコートで夕食を食べて翌日に備えましたとさ。

主催者の皆さん、ありがとうございました。当日お会いした皆さんありがとうございました。
Posted at 2024/11/24 19:05:14 | コメント(3) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2024年11月08日 イイね!

20241103ハチマルミーティング2024見学

20241103ハチマルミーティング2024見学~超多忙からのハチマルミーティング~

仕事が超多忙で自分だけの時間は帰宅後、家事を終えた23時から1時半くらいまでしかありませんでした。翌朝6時半に起きてという日々は体力的にも辛いですが、
晩ご飯を23時以降に食べる関係で、食ったら即寝が出来ないんですね・・・胃もたれしちゃいますし。

コロナ以降、テレワークやWEB会議が常識となり上位への報告スタイルが大きく様変わりしました。

今やってる仕事で、現状を役員に報告しないといけないのですが、

「ベンチマークもろくに出来ないのか」
「パワポ資料は許さん」
「エンジニアなら図面で説明しろ」
「ポンチ絵の一つでも書け」

という正統派昭和型の役員が居りまして、どうしてもご理解・ご承認頂かなくてはならない案件があり、私に白羽の矢が立てられました。

私は昭和生まれですが平成後期に入社してますので、気分的には若いつもりでしたが、上司達は昭和の残党なので紙ベースの仕事の仕方を現役でやっていた最後の世代に近いです。

自部署のボスから「ノイマイヤーさん、平成時代からタイムスリップしてきたつもりで報告してくれ」というリクエストがあったので軽いノリで報告を引き受けてしまい忙しさが倍増・・・。

昔を思い出しながら写真を切り貼りして、手書きでポンチ絵を描き、自分で図面を書いて断面図を作成し(もう紙図面なんて廃止されてしまって久しいです)、もうカラープロッターは廃却されたのでモノクロで印刷して色鉛筆で塗り塗り・・・。

かつ、ベンチマークのために類似する社内外製品の同一箇所を集めた資料を作成し、問題を再現したモデル(裏紙で)もつくりました。

ここまでやれば文句ないでしょ!とばかりに報告資料を完成させた結果・・・・・
ターゲットに馴染みやすい報告スタイルのため大好評で30分の持ち時間が10分で終わるという有様。

「懐かしいなぁ、言いたい事がスッと分かるよ、よく分かったありがとう」

と先週までの荒れ模様が一転しました。役員の合意が得られたので自部署の業務は大きく前に進むことになりました。頑張った甲斐がありました。

時には準備に時間を掛ける事も必要だなと思いましたし、確かに紙をボードに貼付けたスタイルだと報告の全体像が掴みやすいメリットもあるんだと思います。何でもかんでもペーパーレスでやろうとした弊害は確かにあると思うのですが、何とかペーパーレスの時代にこの分かりやすさを持ち込みたいなと思いました。紙スタイルの報告に戻るのは時代錯誤だと思うんですよね。

ちょっと意地悪な同僚からは「お前のせいで今後、めんどくさい報告スタイルが定着したらどうしてくれるんだ」と冗談でチャットが飛んできましたが、私からすると上司の指示で平成からタイムスリップしてきたサラリーマン役を演じただけなのでそれを言われましてもね・・・・。

準備に随分エネルギーを費やしたのですが、お陰で祝日の月曜は休めることになりました。

そうなると、妻が会社に行けるので日曜に自由時間が貰えることになるので多分5年ぶりくらいにハチミーの見学に行けるようになったという訳です。仕事頑張って良かったです。

カローラやRAV4ではエントリーしたこともあるのですがが、今回はすっかり車への興味が無くなったお兄ちゃん(7歳)を連れてプログレで見学に向かうことに。

~往路~

朝、軽くプログレを洗って給油して出発。9:30に出発したが道路は思いのほか空いています。伊勢湾岸→新東名という旅行速度優先のルートを選んでいますが、以前より100km/h~120km/h巡航が楽になったのはiR仕様のショックアブソーバーが効いているのでは無いかと思います。車速が上がると運転席ドアのリーク音が大きくなりますが、100km/h程度だとさほど気になりません。以前より明確に高速ツーリング性能が引き上げられたと感じます。市街地より明確に燃料系の針の動きは穏やかです。

最寄りの新御殿場ICはかなり御殿場の中心地から離れていて混雑とは無縁な場所にあります。R246をひた走ると知らない道の駅が出来ていたので、息子とここで昼食を採りました。とろろご飯の定食を食べましたが安くてうまい。息子も茶そばを残さず完食し大満足の昼食でした。

~富士スピードウェイに駐車し、ギャラリー見学~

入場してすぐに爆音に気づきました。レーシングカーの爆音では無くもっと汚いパラリラ系のブリブリ音です。シートベルトも締めずに暴走する珍たち(後席に子供乗せてる夫婦には絶句)と距離を置き、早々に駐車場にプログレを止めました。



こういうイベントは駐車場も見逃せません。
20カムリの集団は素晴らしかったですね。







カムリワゴンのリアビューって初代カルディナのネタ元?って勝手に思ってます。
V6で大量の荷物を積んで旅行なんて使い方はお洒落で豊かさを感じ憧れます。


この同年代のライバル通しの並びも意志を感じて良いですね。



ランティスは私が中学3年生の頃、「グランツーリスモ」でお世話になった車。
当時のマツダのCIマークは初期の菱形がルノーに似てるって事で丸っこく変更されて最終的にカモメマークに変わったという記憶があるのですが、まさか・・・と思って某社の90周年ムービー見てたら気づいてしまいました。アライアンス先から来たCOOが関係する車内で何かに似てるネックレスが発端で喧嘩になるって言うのがもうね・・・・。



閑話休題

駐車場では審査に通らないような違法改造車の周りでアルコールを飲んでいたり、空ぶかしをしているような輩がたくさん居ますがその合間にも善良なハチマルカー達がギャラリー参加していたのでしっかり見学します。




AT210カリーナの後期は私にとっては馴染み深い車で友人が新車で買って乗っていました。たまに運転させて頂いたのですが高回転まで気持ちよく回るしその気になれる走りと端正なセダンスタイルが同居した完成度の高い車でしたが、このオーナー手作り?の「アイ・ラヴ・ラン」ステッカーは前期のCMに出てた役所広司を思い出しますね。(このカリーナは後期なので同時に山下達郎のCM曲が脳内で流れます)



他にもアルテッツァAS200のMTもアルミが上品でオリジナルモデルよりも高バランスな外観になっていると思いました。




U12ブルーバードはアテーサです。あのTV-CMは当時リアルタイムで見ており
カッコイイよなぁって素直に見入っておりました。久しぶりにYoutubeで再視聴しましたが最近あんなに気合いの入ったCMって無いですね。TVがお茶の間の主役から外れて広告費が配分されなくなったからでしょうか。



ギャラリーじゃないのですが最後にこの一台。

サンバー4WDはサーキット内の構内車の様ですが、カレラ4って貼ってあるところが洒落が効いてて面白いなと思います。



~ハチミー本会場へ~

ギャラリーへの入場料500円を支払い入場。昨年までは1000円取られてたそうですが少し安くなってラッキーでした。個人的には1000円でも良いかなとは思います。だってその分、変な人は来なくなるかなと。

審査を通過した選ばれしハチマルカー達を見学させて頂きました。

各社、素晴らしかったのですが最初に目を引いたクルマは













もう私の脳内では「傷だらけの天使」が鳴り響きました。

こんな綺麗なプレーリージョイなんてもう走っていません。スラントノーズの前期型に乗っている人が近所に居ましたがジョイは国情に合ったSR20DEを積んでバタ臭さをお化粧直しをしてファミリーカーっぽく仕立て直した急ごしらえのモデルではありました。RVブームの中で読みが当たってよく街で見かけるモデルでした。次世代のプレーリーリバティにもバトンを繋ぐことができましたが、気づくと一気に数を減らしてしまいましたね。

よだれを垂らしながら(比喩)近づくと

お友達が・・・・。みんな引き寄せられるんですねwww

そして、プレーリージョイと甲乙つけがたい今回の私的注目車はこちら。



ネ申仕様。カッコイイ、マジで。



エボの純正アルミを履き、現代的なモードも身に付けつつ迫力に圧倒されました。
こういうマッチョなデザインは現代なら普通だったなと思います。

有名なネ申のGTOはAT、エントリー車はクラシックな三菱用シフトノブ付きのMTなのですがV6のNA(225ps)で4WDなのだからターボじゃ無くても充分以上に速いでしょうね。タービンがあるかないかでそんなに変わったらアホ臭くてだれもNAなんて買わないでしょ。個人的にはNAでも十分に速い、と想像します。



昔カードラ誌の特集でGTOのインプレを読んだ際、「もし私が悪天候の中で病人の命を救うためのワクチンを急いで運ばねばならないとき、私は迷わずGTOを選ぶ」という趣旨の記載がありGTOの特徴を分かり易く表現していて妙に納得した記憶があります。

三菱マニアのN兄さん曰く、用品がヤバいと言うことでレースの半カバーやクオーターガラスのサンシェードなど、私の好みに合致するGTOでした。



素晴らしすぎてオーナーの方に声を掛けてしまいました。
サンシェードを光らせてくれたり、その節は大変お世話になりました。



早いですが、今回の私的優勝車はこのGTOですね。
二十歳そこそこの楽しい時代にあのコピペを楽しんでいたので・・・。


そしてサリュー。



プレーリージョイの近くにビッグマイナーつながりでアベニールサリューが居るではありませんか。



当時のMAG-X誌では「レガ似ール」なんて書かれてましたが前期型の欧州風でありながら少しシンプルすぎた意匠が、市場に受け入れられやすい見た目になったかなと思う次第です。

レガシィをライバル視していたのでターボの四駆もラインナップされてこの時代のステーションワゴンは各社とも力を入れていましたね。ああ懐かしい。

噂をすれば・・・ではありませんがステーションワゴンブームの立役車として初代に続いて大ヒット作した2代目レガシィ。前期型GTがエントリーしていて涙が出そうになりました。同じマンションの6階の住人が2代目カリブから買い換えて長らく乗っていたんですよ。

280psを達成した後期の白(GT-B)はもちろん格好いいですが、前期の250psもたまりません。このクルマのヒットは当時のスバルを勇気づけたと思います。良い車を作ってそれが評価されてもっと良い車を作る原資が手に入る・・・良い時代だったと思います。





ハチミーは全国規模のイベントなので地方在住の私には普段お目にかかれないマニアックな車もエントリーしています。

例えば2代目ソアラのエアロキャビン。そもそもの販売台数500台が産まれながらの希少車ですが、完全に屋根を開けずに作動途中で止めてくれていたのでそのメカニズムが手に取るように分かります。マニアゆえに展示の仕方もマニアックな人向けなのかも知れません。










なるほどリッドの部分を別系統で開け、ルーフは2枚に折りたたんで格納するわけで現代の格納式ハードトップ車と動きがよく似ていました。

ルーフは平板で短くなければ限られたスペースには入りませんし、やり過ぎると
せっかくのソアラのプロポーションが崩れてしまう難しいバランスですね。立派なのはラゲージスペースもきちんと確保されていることです。一定の実用性が必要なのは高級車ならでは。

他にもこんなクルマ達が居ました。(順不同)





















久しぶりに会う友人達と再会し、クルマ談義をしたり、あーでもないこーでもないと盛り上がる至福の時を過ごしました。もはや歌番組とかじゃ無くて、昔のバラエティ番組が見たいなんて話もしましたっけ。今やテレビ嫌いの私も、ティーンエイジャーの頃はたくさんのテレビを見て楽しませて貰ってきました。

また、中々ご挨拶したいと思っていて、ご挨拶できなかったみん友さんに会いにお車の前まで行ったんですがご不在だったので今回も会うことが出来ず残念でした。また次回。



夕方になってくると各種受賞発表があり、お開きとなります。



大半の方は退場して帰宅されるのですが、参加者同士で並びに拘って集合写真を撮ったりとても楽しいそわそわした時間が始まります。昔は非エントリー車も乗り入れて並びに加わったこともありましたが・・・。

そんな退場時、奇跡的なタイミングでレガシィが3台並んだのはテンション上がりました。勝手に盛り上がってしまってオーナーさんごめんなさい。





カーマニアたるものは、クルマそのものだけじゃ無くて車内の展示の工夫に共感することもあるし、オリジナル尊重派と言えども、センスの良いモディファイに共感することもあるし、或いは「並び」で喜ぶことも可能です。こういうイベントは楽しんだもの勝ちだと思います。(迷惑はかけずにですよ!)

自分も昔、プライスボードつけて遊んだり、イカさんのPTO付きシケミックルーフで発電してファミコンで遊んだり、お弁当を電子レンジで温めたり、イベントを楽しんできましたが、子供が大きくなってきたので徐々にこういうイベントにも顔を出したいなという欲求も湧いてきました。

主催者の皆さん、参加者の皆さん、(パラリラ系以外の)ギャラリーの皆さんありがとうございました。

~帰路~

19時まで場内駐車場で楽しんでいましたが、寒くなってきたので息子と一緒に足柄SAへ。激混みのフードコートで食事をした後は足柄湯で身体の芯までじっくりと温まりました。このまま息子はパジャマに着替えて就寝。

私はコーヒーを飲みながら敢えて東名を選んで久々の気ままな深夜ドライブを楽しんで帰りました。由比PAで真っ暗な海を見ながら休憩し、そこからは一気に自宅を目指します。



プログレは牧之原の上り坂でもロックアップを外さずに100km/hを維持する事が可能でさすが2.5Lだな!と大いに感心しました。

夜の東名高速は空いていて変なクルマも居ないので精神的にもラクですし、ゆったりとラジオ深夜便に耳を傾けながら12時過ぎに帰宅。私はどう見ても車が大好きですが、特に運転することが大好きみたいですね。

翌朝がハードでしたが何とか残された家事をこなし、社会復帰しました。

出社早々、紙ベースの役員報告がうまく行った件、上司が「お前この前の報告良かったぞー」と褒めて下さったのは良いのですが、「次は●●さんに報告するから、今度はパワポに直しといてくれ!」とのことでせっかく作った紙ベースの報告は出来ずに、再びパワポ資料に再構成が必要になりました。

どないやねん。

アルバム1


アルバム2


Posted at 2024/11/08 00:38:54 | コメント(5) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2024年10月29日 イイね!

2024年式フリードe:HEV AIR EX感想文

2024年式フリードe:HEV AIR EX感想文●ホンダの数少ない日本市場特化型モデル

かつて3列シートにスライドドアを備えたミニバンの中心は排気量2Lの小型車枠だった。彼らの便利さが浸透し、小さなBセグで3列シートを実現したのは2001年のホンダモビリオだった。路面電車をモチーフにしたベルトラインの低いモダンなミニバンは新たな市場を切り拓いた。

競合するトヨタシエンタとの熾烈な競争を経て2008年に初代フリードに移行。「⊿□ちょうどいい」をキーワードに扱いやすいサイズの中に当時のステップワゴンとほぼ同じサイズの3列シートを積み込んで本格的なミニバンの様式を持ち込んだだけでなく、いち早くHEV仕様(IMA)を追加した先進性も特徴だった。

CMに出演していたのはTHE BEATLESのメンバーの息子であるショーン・レノン。そう言えばシティのCMにはご兄弟のジュリアン・レノンが出演していた。

競合のシエンタは後継車種の深刻な不振の為、初代を復活させるなど苦しい戦いが続いたが2015年にお家芸のTHS-IIを搭載した2代目を発売した。

迎え撃つように2016年にも2代目フリードに切り替わった。リコール連発だったHEV方式(i-DCD)は明らかな弱点だったが、先代を継承したミニバンらしい広さや先進安全機能に助けられて健闘した。



あれから8年、満を持して3代目が発表された。家族の毎日に笑顔をもたらすクルマをめざし、「“Smile” Just Right Mover」という開発コンセプトを掲げ、下記の3つのコア価値を訴求できるよう開発された。

①自由に扱えるサイズと安心感を与えるデザイン
②思いやりがあり便利で色んなことに対応できるパッケージ
③安心感と快適でみんなに優しいダイナミクス(動的性能)

ボディサイズは殆ど変わっていないが、嵩張るHEVユニットを積む為にエンジンコンパートメントが大きくなっているのはステップWGNも同じだ。内外装は近年のホンダテイスト満載のスッキリとしたノイズレスデザインで好感が持てる。マツダの情感たっぷりも悪くないが、カッチリして質実剛健なテイストはちょっとVWっぽい。ステップWGNも脱エモーショナルデザインで好感を持っているのでフリードがそのテイストを継承し、競合のシエンタとも違う方向でデザイン開発が進んでいたことは選択肢の幅を広める上で良かったのだと思う。

また、クロスターはアウトドアブームを意識した外装と3列以外に2列シート仕様車が選べ、後者は広大なラゲージを遊びに使うことができる。更に福祉車両のベースにもなっているのはN-BOXスロープと共通するコンセプトだ。車椅子が載せられるスロープ仕様のベースにもなっており、従来の「いかにも福祉車両」的なテイストを緩和しているのも先進的じゃないか。

失ってはならないフリードの良さは丁度良いボディサイズだ。現代のFFミニバンの礎を築いた初代ステップWGNは全長4605mmで室内長2730mm。現行フリードは4310mmで2645mmと扱いやすいボディサイズ(▲295mm)でありながら、室内長はわずかな減少(▲85mm)に留めている。反面、荷室スペースは小さいのだが本格ミニバン的な使い方ができ、運転に不慣れなドライバーでも安心して扱えそうだと思えるコンパクトなボディサイズをも両立しているのがBセグミニバンのフリードだ。



フリードは競合と較べて運転姿勢が取りやすく、2列目以降も意外とまともだ。競合は運転席以外は良いのだが、運転席だけはフリードが明らかに優れている。総じて肩を並べずちょっと落ちるレベルだ。特に2列目キャプテンシートでは太腿の支持が甘い点が気になる。でも、自動車は気持ちよく運転できてナンボなので運転席が真っ当なフリードには大いに価値がある。

新型はHEVシステムが一新されて他のホンダ車同様にe:HEV(旧i-MMD)になったことが大きなニュースだ。発電用モータと駆動用モータを別で持ち、E/Gは発電用モータを回して発電し、その電気で走行するシリーズハイブリッド的な作動をする。ここまでは日産のe-POWERと同じだがホンダは高速走行時にE/G直結モードを持っているのでその時だけは純ガソリンE/Gとして走る。ちなみにトヨタのTHSは走行のための駆動力はE/Gとモータの力が混ざり合って出力される点が上記方式と異なっている。いずれにせよ、ストロングハイブリッド車は日本のメーカーが得意としている珍しい分野だ。

フリードは先代までのDCTを用いたハイブリッドシステムより動作パターンが単純で乗り味もモーター駆動のためシームレスかつ高レスポンスな走りが楽しめる。今回は発電専用E/Gが熱効率40%以上を達成したといい、燃費性能も向上している。

実際に走らせてみると、日産ほどではないがBEV感を大切にした乗り味だ。出足のスムーズさとEVレンジの長さ、そしてE/G始動時のスムーズさは好ましい。また、燃費も良く淡々と走っている限りは燃費計の数字が右肩上がりだった。

一方、1.5L直4の純ガソリンE/Gは直噴からポート噴射に戻されコストダウンが進んだ。ま、スペックはダウンするが普通の車には普通のE/Gがよく似合う。

熾烈な装備合戦ではこのクラスとしてRrクーラーを初めて採用された点に注目したい。競合はサーキュレーターの採用に留めており、猛暑・残暑が続く日本では商品力として一歩リードできた。実は東南アジア向けの先代シエンタではRrクーラーが装備されており、フリードはこれを見て「来るぞ」と思ったのかも知れない。

・・・だったら6速MTも「来るぞ」と思って欲しかった、というのは私の独り言だ。



このクラスは室内が広い割にA/CがFrのみのため、広大な後席が暑くなるとされてきた。フリードはそれをAIRを除く3列シート仕様で熱さを克服できたというのだから評価できる。

車両本体価格は250.8万円スタートだ。競合は203.5万円スタートなので明らかに高く感じるが、フリードのエントリーグレードAIRは競合より装備が充実しており、両側パワースライドドアやオートA/Cやロールサンシェードや4SP、シートの防汚生地が標準装備されていて「高く見えるけど魅力ある装備が最初から着いてます」商法である。

ソースはネット情報だが下記のように競合するシエンタとフリードの販売台数のこたつグラフ(こたつ記事的なグラフ)を作ってみた。



過去5年の販売台数の比較では意外な?ことにフリードはシエンタに対して健闘している。ホンダの販売拠点はトヨタの約半分。販売台数の絶対値は負けていてもホンダ的にはヒットしている方だと言って差し支えない。

私個人としては最大の競合車シエンタと違うテイストで世に出たことがまず良かったと思う。そして質感表現は充分でN-BOXの様な寂しさがないところも良かった。パッケージングは2列目がキャプテンシートなのでウォークスルーが可能で3列もフルに使って移動できるのは美点だ。1列目にオーナー夫妻、2列目にはチャイルドシートで子供二人を喧嘩しないように離して座らせて、3列目は畳んで荷物か、帰省時の両親を乗せて初詣にでも・・・。こういう使い方ならフリードは最大限に輝くだろう。

もしシエンタとフリードで悩んでいる人が居るとしたら、「自分で運転するならフリード。絶対に自分が運転しないならシエンタ。3列目を常用するならフリード、3列目を畳んでおきたい人はシエンタ」と答える。

私が買うならe:HEV AIR EXのセットオプション付き(327.4万円)。もう少し足せばステップWGN(355.3万円)が買える価格だが、敢えて小ささを積極的に取りに行くクルマなので悩む人は居ないはずだ。私の場合、ミニバンを買うなら荷室が欲しいのでステップWGNが欲しくなるが、AIRで安全装備が省かれている事が悩ましい。でも上級のSPADAプレミアムライン(417.6万円)は高くて無理だ。

フリードは競合との過酷な戦いの中で3列をしっかり使う人のためのBセグミニバンとしての地位を継承できたと思う。更に改良すべき点があるとすればオトナの利用に耐えうる2列目が欲しいのでもう少し座面形状を見直すなど改良を待ちたい。90年代と違い、フルフラット要件はない。もっと座り心地(膝裏が浮く)を改善できるはずだ。動的性能としてはこもり音対策も希望したいし運転席のメーター視認性のせいでドラポジがうまく決まらないのは要改良点だ。

「しょせんBセグなのだから」と作り手は反論するかも知れないが、本体価格300万円を超える高額商品ゆえに求められるレベルも引き上げたい。
Posted at 2024/10/30 00:05:30 | コメント(2) | クルマレビュー
2024年10月19日 イイね!

2011年式ムーヴコンテ カスタムRS感想文

2011年式ムーヴコンテ カスタムRS感想文●ハイト系×前席優先のパーソナルカー
スギレンさんが現代の軽自動車に慣れるための訓練として購入した個体を「やっぱり慣れない」と白旗を揚げてしまわれたので貸していただいて検証がてら共に暮らしてみた。

ムーヴコンテは2008年8月にデビューしたハイトワゴンである。

コンテとは画材では無く、1.Continuityの日本的略称で、台本、コンテの意味。自分らしい生活を描くクルマを表現。
2.Comfortable Interiorの略。乗る人の心地良さを追求したクルマの意味。
である

「居心地の良さ」を開発テーマとし、四角いボディスタイルとモダンインテリアが実用性やスペースに重きを置いたムーヴとの違いである。

既にタントが存在していた当時、ムーヴは車内空間の追求をやめてハイトクラスの中でスペースを追求し軽最大の室内長を確保、さらに低燃費な軽の本流」的な立ち位置に変わり、4人に平等に空間を割りふったワンモーションフォルムになった。

コンテは先代までのムーヴが持っていたスクエアなスタイルを継承し、さらに後席よりも前席を優先した点がムーヴからの差異である。特に前席は大型の「プレミアムソファシート」を採用しフランス人スタイリストの手によるクラスを超えた豊かな質感表現は2024年の今見ても新鮮である。さらにグレードによっては、パワースライドシートを採用しており乗降時の自動スライドが行える点もコンテの象徴的な装備となっている。メカニズム面はムーヴと共用し、新世代KF型E/GとCVTを搭載して「最近の軽は重たくて走らん」という声に技術で応えた。

試乗車は2011年式後期モデルのカスタムRSである。唯一ターボE/Gを搭載したフラッグシップだ。
エアロパーツを纏った少しワル目の外観と黒で引き締めたインテリアに加えてターボによる余裕ある動力性能とそれに見合ったシャシー性能が与えられる。

我が家でも同時代のタントを代車で借りていたり、妻がミラココアを所有していたこともあり、コンテカスタムRSの差別化はしっかりと伝わってきた。

つまり家族4人乗っても充分広々しており、前席シートの出来映えが良く、運転席からはボンネットがよく見えて安心感があり、走らせると動力性能に余裕があり、峠道もクリア出来る実力がある。



ただし、スギレンさん並の厳しい審美眼の前では現代の軽自動車らしいネガが馬脚を現す。「①電スロ②CVT③EPS」の現代車三悪の中でコンテは②③に該当している。

私がスギレンさんの気持ちになって指摘できたのは例えば、CVT起因と思われる加速時の応答遅れ、ドラビリの熟成不足による速度管理の難しさ、ブレーキの抜きの難しさだ。そして私が最も気になったのはEPSで直進付近の摩擦感が大きく、
田舎道を綺麗に走らせることが難しかったのと、ステアリングを戻す際に引っかかり感が出ていた事だ。

妻のデミオでも前所有車のココアでも現象が出ていた。コンテの場合発現する角度が大きいのが、せめてもの救いである。あんなにE/Gが壊れまくっていたシトロエンDS3は最後まで調子が良かったので各社のノウハウがありそうだ。

コンテはカクカクシカジカの印象的なTVCMで好評を博し、キャラクターはダイハツ全体のCMに登場するなど好感度向上にも貢献した。知名度は今でも高く、2024年現在でもダイハツ社員とWEB会議をすると背景画面に出てくるとか来ないとか。一方で、商品そのもののコンテは販売面でタントの次の柱になる、とかムーヴシリーズ内の構成比を逆転させるほどの大ヒットしていない。軽自動車でありながら、良い意味で前席優先のパーソナルカーとして用途を絞ったコンテは2010年には「ピクシススペース」としてトヨタ自動車にOEM供給されて、トヨタが扱う軽自動車初号機となった。これはコンテの大人しく、オトナなキャラクターが適していると考えられたのだろう。



コンテは確かに当時の軽上級価格帯(税込150万円クラス)のモデルとしての狙いは伝わってきたが、そもそも当時のダイハツが擁していたコンポーネントの素性の悪さに引きずられた感がある。これがコンセプトに共鳴しつつも、しっくり来ないと称したスギレンさんの気持ちにつながっているのではないか。

軽として割切ったミニマムトランスポーターとしてなら、乗り味の面ではある程度我慢を強いることは実際にあると思われるが、当時の技術的に採用せざるを得なかった4ATや油圧P/Sのフィーリングが自然すぎて慣れてしまうと、新しい技術の至らぬ点が致命的に感じてしまったのではないか。

私もスギレンさんのご厚意に甘えて共に暮らしてみると、毎日の通勤、送迎や週末の買い出しには
充分活躍できる。ただ、いわゆるNAで価格重視のモデルもでも同じ事ができる。その質は明らかにコンテカスタムRSの方が高いと言えるのだが・・・。

一方で週末に家族を乗せて行楽できるかと言えば、できるのだが動的質感という点で限界を感じるシーンもあった。出来の悪いリッターカーには充分肩を並べ、一部凌駕しているが、標準的リッターカーより少し落ちるレベルである。それこそがコンテの狙った位置なのだろう。

「そんなことではいけない!」と往年のOPTIなどの名称を使ってプレミアムカー的な性格を持った背の低いスペシャルティ軽(ケー)を作ればコンテを超えるようなフィーリングのモデルを作ることも出来るかも知れない。しかし、果たしてバブル期でもないのにそんな新製品の企画がパスし、充分なコストを掛けて開発し、それをそれなりに高い価格で発売したとき、これに共鳴する人が今の日本にどれだけいるだろうか。

相場無視の価格で販売される海外サイトで雑貨を買い、なんでもコスパ重視でものを選ぶ様になった私達がその車の価値を正しく理解できるだろうか。

実際の商売では、売り上げ金が開発に掛けたお金を超え、宣伝費もペイし、工場の稼働率が維持でき、部品を作る下請け先が廃業しなくて済むように台数が裁けなければそのモデルは失敗である。量産される自動車は工業製品であり、一品ものの芸術品ではないからだ。

ダイハツ工業創業120年記念車 限定660台、販売価格360万円の軽自動車

・・・の様に利益を目的としないモデルであれば実現は可能かも知れないが、今のダイハツにその力があっても自由に使えないだろう。

コンテには普通車を超える部分を持ちながら、軽規格に甘んじた部分も併存する。しかし、この現状が工業的に成立しうるバランス点なのかも知れない。結局世界的にもAセグとしてはこういうレベル感なのかも知れない。

総合評価としては★3。ちょっと贅沢な前席優先セカンドカーならアリだ。中古車のタマも豊富にある。

Posted at 2024/10/19 00:34:43 | コメント(1) | クルマレビュー

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