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2024年02月07日 イイね!

2023年式N-BOX感想文

2023年式N-BOX感想文●もはや国産乗用車の一つのベンチマーク
「F1のホンダ」「クリエイティブムーバーのホンダ」・・・色んなホンダのイメージがあるが、ここ10年は「N-BOX頼みのホンダ」という印象が私にはある。

初代N-BOXは2011年、軽自動車事業立て直しの中心的車種として世に出た。スライドドアを持ったスーパーハイトワゴンというパッケージはタントやパレットの市場に真っ向から殴り込みをかけた形だが、独自のセンタータンクレイアウトや衝突時のEAストロークを効果的に産みだしたE/Gレイアウトを組み合わせて革命的な使い勝手を実現し、それを上手に宣伝したことがヒットに繋がった。

福祉仕様車のボディ構造をユーティリティに振ったN-BOX+はフィット相当の後席スペースとゆとりあるラゲージを持っていた。妹夫妻からN-BOXを検討していると相談されたので+のターボを強力にお勧めして購入に至った。(買わせた)

そして2017年、ホンダのジンクス「保守的な2世代目でコケる」を避けるために僅か6年でP/Fを一新した2代目N-BOXはNAモデルへのVTECエンジン搭載やレーザー溶接、助手席ロングスライド、後席スライド機構(先代途中で追加)など、キープコンセプトながら攻めた開発を行うことでホンダのジンクスを見事に乗り切った記念すべきモデルとなった。コロナ禍など、時代の波もあったものの販売トップの座を守り続けた。

例えば、いま最も新しい統計結果である2023年1月-12月累計を調べると、N-BOXは23万1385台売れていた。軽自動車全体の販売台数は174万4919台、登録車も含めると477万9086台であるから、軽自動車の13.2%・全国産車の4.8%がN-BOXと言うことだ。ちなみに2位のタント(15万9392台)、3位のスペーシア(12万2275台)、7位のルークス(7万536台)を含めると、スーパーハイト軽は58.3万台もの市場規模があり、日本で売られている乗用車の12.2%を占めている。

そんなスライドドア付き車両の中で最も選ばれているN-BOXは2代目のデビューから6年の歳月が経ち、競争力が衰えていないにもかかわらず、3代目がデビューした。



3代連続P/F維新は無理だったのだろう。今回はP/F流用のキープコンセプトである。モデル末期でも強力な販売競争の中で選ばれ続けてきたのだからキープコンセプトでも充分な勝算があるということだ。

HAPPY Rhythm BOXとテーマに、初代で子育てママ、2代目でその家族に焦点を当ててきたので新型では幸せの輪を拡げてみんなに愛される総合力の高いクルマにすることを目指したという。

デザインは誰が見てもシンプルかつN-BOXだと分かるもので、水平でベルトラインと繋がったフード、少し高めのベルトラインと切れ上がったQTRウィンドウは維持されている。新型は瞳の様なLEDヘッドランプ、面発光リアコンビランプなど新しい要素も加わった。コックピットは最近のホンダらしいノイズレスなスッキリデザイン。新型は一転して薄く、低くという傾向に変えてきた。

全体的なインパクトはビッグマイナーチェンジ的なレベルであり、例えば駆け込みで先代末期モデルを買った人が「やられた!」と地団駄を踏むレベルでは無い。

走らせた印象は目新しい機能の採用は無いが、先代と同じVTEC搭載のNA仕様でも何とか高速道路を走れるし、Hondaセンシングに任せておけば100km/h巡行もこなせるレベルだ。

下記の写真は2023年春に偶然出張先からの戻りの高速道路で遭遇したテスト車だ。見た瞬間「コレは次期N-BOX」と直ぐ分かった。



バリエーションは売れ筋に絞る形で標準仕様とカスタムそれぞれにそのドレスアップ版というシンプルな構成で先代にあった電動スライドドアなしのエントリーグレードや助手席ロングスライド仕様や標準系ターボの設定がカタログ落ちした。

ベストセラーの余裕を感じさせるワイドバリエーションは売れ筋に絞った仕様見直しがなされ、ドレスアップ版は実質的にはかなり投資を抑えて原価を見ながら販価を取りに行った格好だ。

今のホンダはN-BOXだけが強烈に売れていて、それ以外にヒットが見られないのがツライ。N-BOXに頼り切ったモデルミックスは収益悪化を引き起こしているのではないか。私が試乗した限りはFITもシビックもステップWGNも力作だ。しかし、販売に結びついていないのは仕様設定の詰めの甘さや継続的な需要喚起策(特別仕様車など)が置き去りになっている事も一つの理由では無いだろうか。供給難も落ち着きつつある昨今、N-BOXの絶大な支持を上位モデルの拡販に結びつけられないと苦しい。

こんな状況の中で企画された新型N-BOXはホンダ国内販売のリーダー的存在でありながら、先代P/Fを流用することで投資を削減し、不採算仕様を整理し、売れ筋の仕様に絞ることで収益性が改善された。

先代N-BOXは新P/FやVTEC搭載など敢えて攻めることで2代目のジレンマを断ち切ったが、3代目となる新型は心配になるほど地味で保守的・収益性改善を狙ったFMCだ。

まぁ、フツーの(売れ筋で満足できる)お客さん目線だと、N-BOXの良さはそのままに熟成されたメリットが享受できるはずだ。

実際に税込み価格はエントリーグレード比較で2代目デビュー直後と較べて33.4万円も上がっている。新型の最廉価は助手席パワースライドドアが装備された過去の最量販グレード相当であることを考慮しても先代の22万円アップである。モデルチェンジ時期が近いスズキスペーシア(133.4万円→153.1万円)が19.7万円アップだから、較べればホンダの値上げ幅はたかが3万円程度でもその差は大きい。

仮にエントリーモデルを買う人が5%だったとしても、年間23万台売れている車の規模では1.15万台×33.4万円販価アップだから38億4100万円も儲かるのだ。(価格アップについて来られない顧客の減少分は未考慮)



ホンダにとって新型N-BOXは守りと言うより耐えるFMCである様に感じる。競合するダイハツは自滅したとしても、スズキは軽自動車らしい価格帯と豊富なアクセサリーでN-BOXを追撃している。かねてからクラスレスな軽を目指すN-BOXだが、仕様の先進性・高級感よりも意地悪く言えばお金を使わず工夫した事が果たして消費者に響くだろうか。冷たく突き放すと、国内販売の収益性の苦しさを対策するための収益アップのための口実としてFMCされたに過ぎないのでは無いかとも思えてくる。室内灯が豆電球に戻ったり、ワイパーの間欠調整の設定縮小など、しれっと目立たない部分で仕様は落とされている。

細部をチェックしていくと軽自動車で充分以上の満足感が得られる少し高くても満足できるN-BOXという感じではなくなってしまった感がある。N-BOXが過去12年間で蓄積した信頼の実績(=貯金)を切り崩した感があるとさえ私には感じられた。

乗ってみても、一般家庭のセカンドカーのささやかな贅沢をNAが支え、普通車から乗り換えても耐えうるファーストカー需要をカスタムターボが担うのであれば必要充分な車だと思った。一方で独身の方が何も考えずにN-BOXと言うのはちょっと過剰というか合わないかなと思う。

ホンダはこのN-BOXで収益性を改善して国内市場で稼ぎたいのだと思うが、このままN-BOXを値上げして300万円で買って貰える日は恐らく来ない。収益を考えるなら日本市場でも普通車も選んで貰える様なテコ入れを図らないことにはホンダは大人気のN-BOXで自分の首を絞めることになるだろう。(W-RVなど一部でN-BOX一極集中に抗おうとする動きもある)

総合的なお薦め度を3★としたのは、P/F維新を含めて攻めた技術革新が織り込まれていた先代モデルと比べると、操縦安定性や細かい制御ロジックの見直しなど改良点はあるものの、トータルでは少々後ろ向き・縮小傾向、収益性改善のためのFMCであることと、その割に先代から指摘している部分の改善が未だに見られない点もあるため。

Posted at 2024/02/08 00:06:41 | コメント(1) | クルマレビュー

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