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2025年01月25日 イイね!

2007年式コペン感想文

2007年式コペン感想文








満足している点


1.見る人を笑顔(・∀・)にするエクステリア
2.全てを許してしまうオープンエア体験
3.初心者に優しいアクティブトップ
4.絶品の4気筒E/Gと油圧P/Sフィーリング
5.10年に亘る生産継続


不満な点


1.ステアリングシェイク
2.ルーフ閉時の低級騒音
3.旋回中のバウンド時にフェンダーライナー干渉
4.市街地で気を遣う地上高
5.リクライニングして休憩ができない


用量用法を守って楽しくお使い下さい

歴史の始まりは1999年の東京モーターショー。ダイハツのコンセプトカーの中に軽のオープンを意味するKOPENというモデルが展示された。



KOPENには4気筒ターボE/Gに4輪ダブルウィッシュボーン式サス、4輪ディスクブレーキ、更にシーケンシャルモード付き4速ATと本格スポーツカーのようなスペックを誇ったオープンカーだった。ただ、この手の提案は決して新規性があるものではなく過去のモーターショーでもオープンスポーツモデルの提案は数え切れないほどあった。



たとえばスバル(富士重工)1961年のスバルスポーツが展示されていたし、1987年にはバブルの明るいムードを反映したJOCARではミッドシップ4輪駆動という夢のある仕様が奢られていた。





ダイハツも例に漏れずユーノスロードスターの成功に感化されたのか1991年に1.6LのX-021が出品されたが実際に市販されたオープンスポーツはリーザの完成車を熟練工が改造した「リーザスパイダー」で380台生産されただけに留まっていた。

90年代はバブル景気で企画された楽観的な軽スポーツカーが多数リリースされており、1991年のホンダ・ビート、スズキ・カプチーノ、1992年のオートザム・AZ-1はまとめて平成のABCトリオと呼ばれていた(Wikipediaではそう言っているが・・・)。

それぞれに特徴があり、スーパーカーを凝縮したようなAZ-1を除くビートやカプチーノは開放的なオープンスタイルだった。我慢できなかったのだろうが二度軽オープンカーのショーモデルを出していたスバルも1994年にヴィヴィオに1000台限定でTトップを追加した。このように軽のオープンモデルは小さなトレンドになっていた。

だからこそ1999年にショーモデルとして参考出品されたKOPENの軽オープンというコンセプトは周回遅れとも言えたのだが、かろうじて新しい提案があるとすれば軽自動車として初となる電動油圧による格納式ハードトップを備えていた事だろう。

確かに馬車の時代から普及期の自動車は幌によるオープンタイプがポピュラーだった。耐候性に優れたクローズドボディが主流になったのは、快適化・高速化が求められていた時代の要請だったが、快適なクローズドボディとオープンの愉しさを両立できないか、という技術的挑戦も案外歴史が古いのだ。



軽く調べてみると、旧くはプジョーが格納式ハードトップを装備し、開閉を電動化した初めての量産車種はフォードフェアレーン500スカイライナーであるという。長いRrデッキがせり上がる姿はまるで勝鬨橋のようだ。

1990年代になるとメルセデスのSLKやプジョー208CC、VWイオスなど従来のソフトトップに満足しないスペシャルティカーの+αの要素として格納式ハードトップが再び脚光を浴びていたトレンドもKOPENが電動油圧による格納式ハードトップが与えられる由縁だった。今までパーソナルカーとしての派生車種はスポーティに仕立てることが多かったが、もっとカジュアルにオープンエアを楽しめる格納式ハードトップはこの時期のちょっとしたブームの兆しがあった。

KOPENが好評だった事を受けてダイハツは市販化を決定。2001年には2度目のショーモデルCOPENを出品した。K(軽)オープンを意味する「K」をコンパクトの「C」に置き換えたコンパクトオープンに車名が変わり、翌2002年に正式に発売された。初代コペンはこのトレンドを追い風に軽自動車ながら電動油圧の助けを借りた格納式ハードトップを押し込んで見せた。90年代初頭のABCトリオが採用した後輪駆動であるとかユーノスロードスターが採用した4輪独立懸架といったいわゆる本格スポーツカー的なメカニズムを採用せず、FFでRrトーションビーム式サスペンションという現実的な選択をしている点も特徴である。

その分、アクティブトップ(格納式ハードトップ)や4気筒ターボE/G、マニュアルモード付き電子制御4速ATを備えて「スポーツ一直線」というより万人ウケしやすいファッション性の高いパーソナルカーというフォーマットでデビューした。




149.8万円(MT/AT同価格)という当時の軽自動車のハイエンド価格帯だったが、当時のリアルな感覚でも高いと思わなかった。4気筒ターボE/Gで格納式ハードトップを備えたスポーティなクルマなのだからムーヴやMAXの最上級グレードと同等の価格帯でも納得感がある。さらに、コペンは本社工場のエキスパートセンターという元々ミゼットIIを生産していたラインで製造されていたこのも価格以上のプレミアム感の醸成に寄与している。

コペンの生産はダイハツ社内の高技能者を集めて手作りに近い工程で手間暇をかけていた。例えば、ある部品を取付ける際のトルク指示が1.0Nm~2.0Nmの指示があるとすると、本来は指示範囲内のどのトルク値で締まっていても良いのだが、エキスパートセンターでは人間の手で1.5Nmに近づける努力をする。工程内のタクトタイムは60分なので、一般的な自動車工場の1分とか2分よりも遙かに長い作業時間が与えられるので一人の作業者が工程内で品質を作り込んでいる。一般的な量産車であれば、トルクがばらついても問題ないように設計するし、車体の建付けも最悪バラツキでも干渉しないように余裕を持って設定するものだがコペンの場合はそこを切り詰めているからこそ、軽という小さな枠の中でこのような趣味性の高いクルマが生産できているのだ。

並のプランナーならミラやムーヴといった量販車種と混流生産させる事を考えるかも知れない。ラインにおける部品の種類には限りがあるから、コペン専用部品は極力他車と共通化を強いられるし、設備の都合上作れずに簡素化、他車都合の設計変更を強いられてしまうため、コペンのあのエクステリアデザインは実現出来なかっただろうし、緻密な建付け調整が求められるアクティブトップを組むことが出来なかったはずだ。

運良くそれで立ち上げても趣味性が高く販売量が限られるコペンはその混流ラインでたまにしか流れてこない。そういう機種は作業の習熟が進まず、品質も出荷OKレベルにはなっていても、設計者が意図した図面の中央値狙いにはならないのだ。

このエキスパートセンターは10億円という多額の投資を行っているが、ミラやムーヴだと50億円は下らないというから、少量生産のメリットを活かして投資効率と品質の最大化を図る事が出来ている。あの時代のダイハツのあらゆるピースが綺麗にハマった成果が初代コペンだったのだろう。



デビュー後のコペンは意外に街でよく見かけたし、私の周りでも同期や会社の先輩3名、後輩が1人、出向先の上司も所有していた。2輪を卒業してコペンが欲しいという友人と共に一緒に中古物件を探し、新車に近い価格ながら、バリものの中古車を一緒に選んだこともある。だから、今回お借りする以前にも私の周りに7台もコペンが走っていた事になる。

「オープンカー」という手を出すにはハードルの高いジャンルでありながら、愛らしい形とワンタッチでハードトップが開閉できてしかも、耐候性が抜群という機能を兼ね備えたシングルのパーソナルカー、お洒落なセカンドカー、或いはちょっと贅沢な通勤用車という丁度良いニーズにコペンがハマったのだと思う。

やはり軽自動車だったこともコペンのユーザー層の幅を拡げていた。バブル期に1.6LのX-021を商品化していてもユーノス・ロードスターと競合し、1.6Lから1.8Lにスープアップした改良に果たしてダイハツが追従して1.8Lを用意できただろうか。(トヨタから4S-FEを融通する手はあっただろうが)



コペンは元々5年で2万台生産する程度の計画であった。つまり月間334台想定されていたという。決して事業として大きな利益が出るモデルではなかったが、月販500台目標だったところ、デビュー一ヶ月で5000台を受注、三ヶ月後に10000台を受注するなど想定以上の人気を得ることができた。

ライバル不在とは言え、新車効果が落ち着いて販売量が減ってきても時折限定車で話題を喚起しながら粘り勝ちをしたと私は評したい。結局、歩行者保護に関する法規が必須になってしまう2012年8月ギリギリまで販売された。

ダイハツ自身は世界的大ヒットのマツダに遠慮して決してヒットしたとは言わないが、ほぼ国内限定の市場に向けたニッチ商品としては充分にヒットしたと言えるのでは無いか。

定量的に語ればABCトリオ(A:4409台、B:3万3892台、C:2万6583台)の合計に迫る5万8496台が生産された。1.3Lに16インチホイールを組み合わせた輸出モデルを含めると6万6444台生産されている。つまりコペン1モデルでBとCの合計に匹敵する台数が生産されている。

コペンは愛くるしいエクステリアデザインやワンタッチで開閉できる気軽なオープンエアモータリングの敷居の低さとキビキビした走りの両立が今までに無い魅力だった。また、ハードトップを閉めればガチャガチャという低級騒音に襲われるし、オープンにしたらしたでステアリングシェイクや意外とハードな乗り心地など、それなりの覚悟を求めてくる。

これがコスト意識が緩慢な1990年代に産まれていたなら、ATの為にJB-EL(自然吸気の58ps)あたりが積まれて走りの特性が分かれていただろう。しかし、実際のコペンはターボE/G一本で、しかも比較的ハードなサスチューンを選択していたがそれがコペンの個性をかえって際立たせたかも知れない。

20代の頃、まだコペンは新車で売っていたし、オーナーの同期から短距離を一度乗せて貰っていたので、全く未知というわけでは無いはずなのに、今回1ヶ月に亘って生活を共にしてすっかりコペンの世界にハマってしまった。

たとえば朝、子供を送る段階で屋根を開けてしまい、通勤路は農道を含んだロングコースを選んでしまう。夜、残業もみっちりやって疲れ果てているはずなのに、そして帰宅後に課せられた家事が山積みなのを分かっているはずのに防寒着を着込んだままオープンのコペンで遠回りをして帰宅してしまう。



防寒着を着込んでヒーターをガンガンにかけておけば真冬でもコペンは思ったほど寒くない。サイドドアガラスを上げておけば高速道路だって余裕のオープンクルージングが可能である。家とは逆方向の峠道をコペンでドライブすれば脳から分泌されるドーパミンで感性が研ぎ澄まされていったし、ナイトドライブで冷え切った身体を温める背徳のカップヌードルもたまらないグルメだった。

休日もちょっと親戚からもらった玄米を精米するとか、子供を習いごとに連れて行くとかそういう用事を見つけては屋根を開け、隙あらば遠回りして帰ってしまうので私はコペン依存症・・・或いは寄生虫に身体を乗っ取られたカマキリの様ですらあったのだ。

ワイヤー引きスロットル、MT、油圧P/Sという気持ちよく走れる3要素が備わる上に4気筒ターボでオープンボディなのだから「楽しい」が渋滞するレベルだ。この幸福感がホンモノなのかを確かめたくて、現代のEPSやCVTから決別したいという某スギレン氏を誘ってコペンに乗って頂いた。ほどなく満面の笑みを浮かべるスギレン氏を助手席から見て「ああ、コペンはホンモノだ」と実感した。



コペンに乗っていると「そんな些細なこと気にせんでもええやん」という大らかな気持ちになれる。自転車のように近所の路地を走り回っても探検するもよし、たまにはレーシングカートのような気持ちで目を三角にして走っても楽しい。コペンで走り続けたい、もう目的地に着いてしまうのが嫌だな、と名残惜しくなるのがコペンの魅力だ。

だけど、コペンから降りて私が普段運転しているRAV4やカローラに乗り換えれば数分で2リッターハイメカツインカムの低速トルクの強さとかセダンの剛性感から来る安定した操縦性によってコペンの魔法から醒めるのである。

重要なのは絶対的な性能が秀でているかでは無くて、乗る人を陶酔させる魅力を持っているかどうかなのだ。その意味でコペンはスペシャルティカーとして第一級の素質を持っているし、運転を楽しみたい人のための相棒としてもライトウェイトスポーツとしても充分以上の実力と類い希なバランス感覚を持っていると確信している。

運転直後に評価をつけたらうっかり5★にしてしまいそうだ。しかし、公平に見ればステアリングシェイクはもう一筆入れて欲しかったので4★である。ファーストカーにしないのなら、これは買いだ。興味がある人は検討して欲しいし、オープンを抜きにしても4気筒5速MTで油圧P/S・ワイヤー引きスロットルという極めて運転しやすい特性に惹かれる方にも勧めたい。



●デザイン

コペンがデビューした当時、丸いフォルムを見た人は、ミニソアラとかアウディTTのパクリ、ニュービートルと・・・・と言った具合に他車に似ていると指摘されることが多かった。

確かに冷静に見ても、確かに丸っこいフォルムやレトロ感を狙ったコペンはそういう指摘があってもおかしくない、と思わせるだけのものはある。

しかし、コペンのエクステリアデザインを担当したデザイナーは1990年の「オプティ」を担当したデザイナーと同一人物で丸いヘッドライトと丸いフードバルジは初代オプティと同じモチーフなのだという。聞けば1991年のX-021も同じでありダイハツはオリジナリティのある丸目のデザインテイストを既に擁していたのだ。

「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス記録にもなったマツダのロードスターだって最初はエランのパクリと言われてきたのだからコペンだって「出る杭は打たれる」的いちゃもんが着くのも想定できる。ましてやダイハツは、ミラジーノに「コンパーノにインスパイアされた・・・」という苦しい言い訳をした過去がある。それだけにオプティをモチーフにという話を聞いても受け付けない人が居たとしてもまぁ仕方ない。



コペンの特徴はお椀をひっくり返したようなフォルム、笑顔のようなフロントマスクと前後そっくりなリアビュー、格納式ハードトップである。

フロントマスクは肩が丸く削られたシルエットと大きな丸目ヘッドライトの下には小振りなフォグとターンシグナルがあり、E/Gフード見切りを延長した形状でラジエーターグリルにつながっている。90年代後半の日本を賑わした2ちゃんねるでよく見るAA(アスキーアート)のような表情は見る人を笑顔にする。

フードは鉄に較べて変形しやすいアルミ製(ヤング率が鉄の1/3)だが小さい曲率を持つため、張り剛性もそれなりにある(洗車機で凹むようなことは無い)ものの、少し力を入れて拭き上げるような動作をすると全体が変形してしまう精密機械のような繊細さも持っていた。



このフードの上部にはおでこのように凸面がつけられている。フードバルジはE/Gなど内蔵物とのクリアランスを取る為に設定されることが多いが、コペンの場合はデザインのためのバルジ形状なのだという。それは同じデザイナーの作品であるオプティ、X-021(ショーモデル)にも共通する手法で車両センター付近が一番曲率が小さく端に行くほど大きくなっているのだとか。旧車ではこういう処理が多いということで永続性、ロングライフデザインを考えたときに内面から湧き上がる押し出す力が感じられる意匠として採用したそうだ。

ラジエーターグリルはグレー塗装されて楕円形の穴が抜いてある四段構成なのだが意匠面が上を向いていて光を受けて明るく見え、洗車時に拭き上げもし易く、ありがちなハニカム模様とか格子模様とは違うコペンらしい個性がこのグリルパターンから伝わってくる。現代のラジエーターグリルは冷却性能よりも空力を考えてギリギリの開口しか設けない割に意匠的に大開口の見た目を与える例が多い。そこで意外なほどラジエーターグリルが塞がっていて冷却性能ギリギリにしてしまう例もある中でコペンのラジエーターグリルはごくシンプルで自然だ。例の楕円形のパターンを抜けてくる風は余り多くないが四段構成の隙間から走行風をたくさん吸うことができる。



サイドビューはAピラーがある方が前、くらいしか判別できないほど前後対称に見える。開発中はアルファロメオスパイダーのようなウエッジシェイプも検討されたようだが、前後対称・水平基調のシルエットはコペンならではだ。

15インチという当時としては大径のホイールを履きながら、ホイールアーチの平坦面でホイールの存在感をダメ押ししている。実はプレス成型的には平面を打つことが意外と難しい。というのは、曲率をつけてあげないと薄い鉄板はびよんびよんに撓んで映り込みが汚くなるからである。フラットな面というのは実は微妙に凸形状になるようにしてあったり、本当にフラットな面では図面とは異なって金型メーカーの職人が図面の公差内で誤魔化してしまうといったような神業が存在する世界である。

「すべて本」のデザイン開発記では社内規で30mm以内というところを55mmまで寸法をとっているので恐らく生技泣かせの平坦面なのだろう。その報酬はタイヤの踏ん張り感を強調するだけで無く、フェンダーの断面の角度を寝かせることができ、コペンが持つ曲面的嗜好を無理なく成立させられた事だ。カーデザインというのは、情緒的でありながら、コンセプトの実現のために意外と理屈っぽく見た目を整えている。

サイドシルに長方形の蓋が着いているが、これは開発中にホイールベースを伸ばした名残であるようだ。燃料タンクの関係で後輪を後ろにずらしたとのことで2001年のショーモデルだと綺麗にツライチだが、量産型ではツギハギの跡が残ってしまった。(広告やすべて本に出てくるコペンは全て継ぎ目が埋められているのが不思議だ)

ドア後~Rrホイールアーチまでのエリアは3ドアにとって重要な部位でここが間延びするとダックスフントのように胴長に見えてしまう。4ドアと2ドアでホイールベースを強要するモデルの場合、3ドアのドア後端からが単調になってしまうのは画像検索してみればよく分かると思う。例えば往年のフェアレディZも2シーターと2by2を比較してみれば2シーターの方がプロポーション的には有利であることが分かると思う。

コペンの場合、ドア見切りが機能上必要な開口部より後方にある。もちろんドアヘミング(ドアの外板と内反を爪折りして接合する工法)のためでもあるが、コペンの場合は明らかにそれよりも後に引くことで不便にならないギリギリまで後に引いて退屈な面が残らないように気を遣っている。他車の場合はエアインレットをつけたりエンブレムをつけたりキャラクターラインを入れてこの部分が悪目立ちしないように配慮しているが、コペンはツルンとした意匠が売りなのでやれたのはドア見切りくらいである。

これ以外にもドアガラスとクオーターガラスの間でパキッとクリーンハウスが折れていたり、本来はカッコ悪く見えてしまいがちな要素をコペンは持っているのだが、駐車場にちょこんと止まっているコペンを見ていると絶許(絶対許さない)の対となる「全許(全部許す)」状態である。



個人的にコペンで好きなのはリアまわりだ。前後対称?と思わせるような面白い丸型テールの表情が可愛らしいが、Rrにルーフ格納機構とルーフそのものを収納するスペースが必要なのにそれと悟られない丸いフェンダーは見所がある。

また、Rrコンビネーションランプは赤いレンズ面全体が光り電球の光が直接見えないように工夫されている。コストが厳しい登録車であっても豆電球が分かり易いクルマがごまんとある中でコペンはしっかりとした意志を持って投資され、それが成功している。ただ、デザインのためだけで無く、室内から電球を交換できるような構造にするために自ずとそうなったそうだが結果はとにかく大成功だ。

コペンのエクステリアデザインは、私が考える「いいデザイン」の中には必ず選ばれると思うくらい好みだ。近年、ダイハツから1.5Lクラスのサイズ感で初代コペン的なショーモデルが出品されていたが、不思議なくらい間延びして見え、僕はノーリアクションだった。日本らしい小さくしていいものにする思想が表現されたデザインだ。



大好評だったショーモデルと変わらぬテイストが維持されたエクステリアとは異なり、大きく現実的に変えられている。ショーモデルはアルミ削り出しのセンタートンネルや正面のソフトパット3連メーターが特徴だった。シルバーと味のあるグリーンの組み合わせは明るく大人っぽい気品を感じた。

ただ、量産設計となるとそこには様々な要件が積み重なってこのテーマを守り抜くことが難しくなったため、永続性のあるデザイン、狭い室内をスッキリ見せるデザインに改めた。サイズに制約がある中でドラポジに拘ると、例えばドアトリムは大きく削られてグリップ位置に制約が出る。大柄な人が座って膝を曲げたときに干渉しない一まで前に出されている。さらにネット式のドアポケットは収納しないときは柔らかいのでその分を室内スペースとしても扱える。

更に面白いことにインパネの丸いエアアウトレットはユーノスロードスターの流用品らしい。投資節約と言わず、先駆者へのオマージュなのだと解釈している。この丸いアウトレットをイメージの中心としながらも実用性が高く、スポーツカーらしさも残している。メーターは3連メーターが近接して融合したようなレイアウトとし、アナログの水温計・燃料計も残されている。



オプションで真っ赤な革内装が選べたがスポーツカーらしいアイコニックなカラーリングで元々の真っ黒な内装色とのマッチングも良い。ショーモデルのグリーンも良かったが黒い内装色とのマッチングは少々悪かっただろう。

もう少しCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)的質感表現があっても良いと思ったが、モデルライフ途中では効果的に内装色を追加して鮮度を保ったことは良かった。オリジナル状態でも格上のオープンモデルでも同等レベルに留まっており、当時の軽自動車としては標準的で納得できるレベルにはある。キャビン居住性との寸法の取り合いの中では伝統的なスポーツカーに見えるように善戦したといえる。

デザインは外装4.5★で内装3★ オマケして平均4★。

●走行性能

~まずはクローズで~
朝、出勤前に子供を保育園に連れて行かなくてはならない。カーポート下にちょこんと佇んでいるコペンの丸っこいキュートな後ろ姿がある。どちらが前なのか分からなくなりそうな外観は子供受けが良い。2ドアなのでドアが大きく、隣の車が気になると思いきや、軽自動車なので大きな開度でも乗降できて子供にとっては乗り込みやすい。スイッチ操作でラゲージドアを開け、カバンや上履き、水筒を突っ込んで私も乗り込んだ。普段より足を奥に突っ込んで一気に尻をハイバックシートに落とした。

ドアを閉めるには少しかがんで前方にあるグリップを握って閉める。この配置関係はレバー比ゆえドアが重く感じるのだが、もともと軽量なドアを持つコペンなら気にならずに済む。



端からこのクルマのキャビンが広いはずなんて無い。全く期待はしていないから、運転席に座ったかまくらの中に張り込んだような秘密基地感と同時に「あれ、座れる」という意外な感想が浮かぶ。絶対狭いはずなのに感覚的に決して狭くない。

頭はルーフに接触しないし、足元が存外に広い。ペダルレイアウトが自然でステアリングとの不自然なズレも無いからドラポジは素直に決まる。少しストレートアーム気味なポジションの方がコペンには似合う。

考えてみるとFRよりトランスミッションがはみ出さず、センタートンネルが不要なことから有利、MRはホイールベースを短くしないと無意味なことから、キャビンは運転姿勢が取れるか取れないかの限界を狙うため、FFは有利だ。

キーを回してJB-DETが始動した。始動した瞬間に高く澄んだE/G音が気持ちよい。アイドル振動が小さく、回転数も低いのは4気筒E/Gを積んでいるからだ。



軽自動車で4気筒は、1989年のレックスを皮切りに1990年のセルボモード、1993年のミニカなど軽自動車の新たな標準になるかと思われたが、摩擦損失が多く、排気量固定ゆえ1気筒あたりの排気量が小さく、低速トルクが細いためスポーティな性格のモデルで無ければ魅力が出にくい。結果、さほどのニーズが無かったため、量販モデルは再び3気筒となったが、コペンに4気筒を積むというのはクラスレスな軽自動車という意味で大正解の選択だった。以後、あらゆる場面で4気筒の正しさを答え合わせする羽目になっている。

暖まると1速に入らなくなるロッド式マニュアルトランスミッションは、発症するまでは節度感があってスポーツカーとしての期待値を上げてくれる。少しゴリッとした感触のまま1速に入れて発進を試みた。

低速トルクが細い4気筒、というフレーズが頭によぎるが、軽量でローギアードな事もありクラッチミートは行いやすい。保育園の送迎とかコンビニとかそういう用途なら、2000rpmごとにシフトアップしていれば難なく走る。3000rpm位まで回せば充分俊敏で運転の楽しみが得られる。



E/G音が澄んでいて3000rpmまで回してもどこか心地よい。走り出してからずっとガチャガチャと騒がしいのは路面の凹凸で重たいルーフが暴れているから。サンバイザー付近でロックしているから、飛んでいくことはないが路面入力で屋根が浮いて落ちてくるときに音が出る。普通の車を乗り継いできた人ならうるさくて我慢ならないだろう。気になる音はこれくらい(だが随分うるさい)で他は乗り心地が悪いとか突き上げが酷いというレベルでは無くクーペなら許されるレベルだった。小さな路地も安心して走れ、対向車が来ても何も怖くないのは軽自動車の魅力そのままだ。

ある雨の日、せっかくなのでクローズ状態のコペンで夜の峠道を走らせた。低いドラポジのコペンはただでさえスピード感があるが、クローズ状態だとかまくらの中にいる様な感覚でぴったりと身体にフィットしたような感覚になる。



3速から4速あたりで軽く流していると、コペンのシャープな切れ味に驚きを感じる。丸っこい愛らしい見た目とは裏腹に反応がスポーツカーのそれなのだ。切ったら切っただけ曲がっていくし、3000rpm以上を維持していれば加速は充分満足できるので軽自動車だと言うことを忘れてしまいそうになる。

脇からシカが飛び出してきて何回か急制動を行ったが想像より手前でキュッと止まってくれる。機敏なのに信頼できるコペンの走りはスポーツカー的な味が相当濃く、なんとなくダイハツ技術陣のコペンに対する意気込みや、それまでの鬱憤がここで発散させているかのように感じた。それくらいクローズ状態のコペンはよく曲がり適度に加速する。ヘアピン続きの下り坂でも安心して突っ込めるし軽自動車ゆえにライン取りが自由で走りやすい。山を下りきる頃、すっかりコペンは優秀なスポーツクーペだと確信した。

途中雨が降ってきた。ミストや間欠時間調整ができないワイパーをLOとHIを切り替えながら走ったが雨打ち音も小さく、さらにソフトトップだとたまに発生する雨漏りなんていう失態を一切見せず、ハードトップクーペとして淡々と走ってくれた。

キャビンが小さいから空調もよく効いて曇りも皆無だ。Rrウィンドゥもガラスなのでデフォッガーが有効でかつてのビニール製ウィンドウを採用したオープンカーと比べれば雨天時の快適性は相当違う。かつて同級生のお父さんが所有していたBMW Z3は雨天に走ると水滴が落ちてきたのが衝撃的だったが、ウェザーストリップ設計者の細やかな設計技術とばらつかせない製造品質の賜だろう。

クローズ状態のコペンは決して広くもないし開放感も無いが、ソフトトップの不便さを払拭しながらもスタイリング的に格納式ハードトップが欠点になっていない点も素晴らしい。

この状態で高速道路も走らせているが車高の低さが空気抵抗の小ささに直結して動力性能に不足は無い。5速のままでも4速にシフトダウンしても充分な駆動力が得られる。100km/hの回転数は4000rpm近く、相当ローギアードなのだがうるさい!と腹が立たないのは音色が良い4気筒ターボの静粛性のお陰だ。横から見たときに翌断面に似ていることから揚力が発生して高速域で少し落ち着きが無くなることを懸念したが、ここでコペンが出しうる速度域では問題だとは感じなかった。


~市街地~

晴れた朝、先にアクティブトップを開けておいた。靴を履いて玄関から出てきた娘は大喜び。ちょっと保育園に行くだけでもテンション爆上げだったのは面白かった。保育園に駐車後、登園する子供もじっとこちらを見ているし、付近を集団登校する小学生達から「あ、屋根が無い」とか「小さい」という率直な感想がそのまま耳に入るのも楽しかった。



コペンは屋根を開けただけで世界が変わる。視界が急に開けて今まで見えなかったものが見えるようになる。毎日あれほど通った会社への退屈な道のりも新たな発見が続出した。オープンだから風を感じて匂いを感じた。外界から遮断されたパーソナル空間も自動車の魅力の一つだが、そればかりじゃない、ということをコペンは教えてくれる。朝日を浴び、真っ黒な内装色でも室内が明るく感じられ、そしてシームレスに外とつながるのも悪くない。屋根を開けるだけで、いつもの送迎や通勤が楽しくなってしまうのがコペンの魅力だ。



視界が広いから右左折も死角が無く安全だ。普段はパノラミックビューモニターに助けられて車に乗っていても、そんなまどろっこしいものを必要としないコペンは安全性が高いとすら感じてしまう。

一点注意したいのはコペンは最低地上高が105mmと低いので路面干渉リスクが高いことだ。保安基準の90mmは達成しているものの、これ以上シャコタンにする必要が無いスマートさだが、ショッピングモールのスロープ段差などでFrサブフレームを干渉させてしまうリスクは非常に高いので注意されたし。この最低地上高を実現するためにE/Gオイルフィルタエレメントは専用品番を起こすという気合いの入り方だ。

また、少し元気に左折するようなシーンでホイールがバウンドしているときに操舵するとフェンダーライナーと干渉する音が聞こえた。タイヤの包絡軌跡は検討しただろうが、フルバウンドしてブッシュが縮んだような場面までは見切れていないのかも知れない。尤も普通にステアリングを大きく切っただけで干渉する某車よりはマシか。



いわゆるタウンスピードで走っていればコペンは低速でも扱いやすく、妙な癖が無いので安心して運転できる。具体的にはワイヤー引きスロットルのレスポンスが良好でクラッチも繋ぎやすく、トルクも充分ある。また、屋根を開けていても冷たい風が吹き込みにくく快適性も充分ある。

また、油圧P/Sはロックtoロックが2.9というクイックなステアリングだが、これが交差点を曲がる際にステアリングを持ち替えること無く一発で曲がりきれるところが気持ちが良い。ほとんど持ち替えること無く曲がれるのはタイトなキャビンを持つコペンにはありがたい。そして油圧P/Sゆえに微小領域の反応が素直で気持ちが良いのと操舵からの戻りも自然なので運転そのもにストレスが無い上にヘッドクリアランスはこぶし∞個の開放感も味わえる。

いまどき、気持ち良いE/G+しっとりした油圧P/S+ワイヤー引きスロットルをMTで楽しめる車があるだろうか。ましてや屋根が開いてしまうのだから罪深い。

なんでもない市街地を4速50km/h位で走っていても楽しい。コペンはアクティブトップ以外は当時として旧い技術・大衆車向けの技術を使っているが、それらをフィーリングの良さという強みに変えている。だから、市街地をのんびり走っていても笑顔になってしまうのである。



少し褒めすぎているので苦言を呈すると、名古屋走りをしようとするとタービンブレードと当たって削れても問題ないアブレダブルシールを使ってロスを減らしたとはいえ、ターボが効いてくるまで若干モタつくのと、乗り心地自体はリーズナブルであっても必ずしもコンフォートでは無いので心して乗って欲しい。

~高速道路~

オープンカーにとって不利な高速道路を走らせる。ETCゲートを越え、ランプウェイを駆け上がる。決して舗装状態が良くない(特に本線以外)ので荒れた路面を走るとドーンとショックが入るが底付感は無い。2速全開で80km/h、3速7000rpmで100km/hまで回しながら本線に入った。



普通の4気筒E/Gでも4000rpm以上の領域はE/Gがうるさくなるが、コペンのJB-DETは澄んだ音質で8500rpmまで回るので心地よいから音量が大きくても許せるというお得なしつけ方をされている。

8500rpmまできっちり回した全開加速では0→100kmで13秒を少し切るくらいで絶対的な速さがあるというレベルではない。高回転域では頭打ち感が出るので恐らく7000rpm程度でシフトアップした方が速そうでもある。この高めのレッドゾーンの意味はワインディング路で明らかになる。

100km/h時の回転数は4000rpm。この回転数だと、アクセルをほんの少し踏み増しただけでレスポンスよくトルクが立ち上がる。低回転でトルクが湧き上がる気持ちよさも確かにあるのだが、予め高回転域で運転するコペンは難しい技術を使わずに高レスポンスを実現している。確かに過給機の最適化を図りものの本によると2800rpm時のアクセルレスポンスは30%改善されたという。またターボチャージャーはコペン専用品でコンプレッサハウジングのシール構造をアブレダブルシールとし、高精度の樹脂材を使用してコンプレッサー翼との隙間を1/3に縮小する、或いは軽量化で慣性モーメントを削減し、インペラ数を増やすなどコペンのために技術が奢られている。バブル期の遺産だったギア駆動の狭角DOHC16バルブ(≒ハイメカツインカム)の高回転型E/Gだが、単なる時代遅れでは無くしっかりコペンの魅力につながっている点は幸運だった。



高速道路の回転域ではコペンはどこからでも速い。新東名の120km/h巡航も容易い。その気になればもっと上の速度域でも巡航が可能だと確信できる。(リミッターはあるだろうが)市街地だと少し堅めの乗り心地も丁度良くなり、直進性も確保されている上に上記のレスポンスの良さゆえに軽らしい動力性能のギリギリさを感じること無く高速道路を走れてしまう。



・・・ここまではクローズ時と印象が同じだが高速道路をオープンで走る行為は強い走行風が気になるだろう。風が吹き込んで極寒、と思われるかも知れないが、ヒーターをMAXで稼働させ、コートを着て手袋をしていれば耐えられるレベルだ。
サンバイザーを上目に調整して気流を飛ばせば渦を後方に飛ばしてくれて長い髪も乱れない。そしてサイドドアガラスを上げておけば更に快適な走行が約束される。だから、モーターサイクルに近い開放感を得ながらも快適性は明らかに自動車らしい実力も持っている。



私は結局300km以上オープンで高速道路を走らせているが、雨が降っていない限りこのままオープンで走り続けたいと思える程気に入った。独身者でスーツケースを助手席に積んで長距離運転して実家に帰省する、なんてドライブも冒険心が満たされそうだ。

~ワインディング~

このクルマで峠に行くなというのは吉本新喜劇を観劇して笑わずに我慢する、或いは山崎蒸留場を見学した後の試飲会に行かないくらい勿体ない行為である。

結論を先に書くと、コペンは峠が最も楽しい。市街地でスクーター的にも使えるし、高速道路でも安定して走れるが、全ては峠のためである。

この日のために選んだのは三重県と滋賀県を結ぶ某峠。クローズ状態のままハイペースで走らせた高速を降りて適当な路肩でルーフを開けた。少し肌寒いが紅葉が美しい。2速と3速を多用する登りは後ろから来たペースの速いライダーに道を譲りながら楽しんでいく。複雑なアクティブトップを積んでいるとは言え、830kgという軽量なコペンは高回転を維持していれば決して加速は遅くない。とにかく速さを追求するレースをするような走りでは無いのでコーナーに侵入し、切り込んで立ち上がりで強めに加速、早めに次のコーナーに備えるという普通の峠ドライブレベルだとコペンは丁度良い。



全開加速しても(良い意味で)たかが知れているのでコペンの性能を遺憾なく発揮させながら走行できる。本当に速いスポーツカーを持ってきても持て余してしまうだけで無くミスをした際の被害も甚大になる。もっとも、コペンのコーナリングは安定していてコントローラブルだ。

オープン時のコペンはほぼ常時、路面の凹凸を拾ってワナワナとステアリングが左右に揺れるシェイクが発生していた。これはルーフを閉めていると発現しないのでルーフが開いたことで剛性が低下したのだろう。ちょっと最近のクルマでは感じないようなシェイクのレベルに驚いた。特定のE/G回転で振れが大きくなるというより路面入力で大きくステアリングが揺れてしまう様だ。またウインドシールドガラスとAピラーもワナワナと揺れて振幅が目で見えるかの如く暴れている。楽しい操縦性とパノラマビューによってほぼ相殺されているが、もう少し何とかならないのかという思いもあった。

上り坂の深いコーナリングでは立ち上がりで少々トラクションが抜けるような感覚が少々あった。メーカーオプションのLSDがあれば相当楽しかっただろう。胸すく加速を味わった後で再びコーナリングだ。車高が低くコーナーでグラッとロールするような感覚が無くズバッと舵が決まる。

以前運転したロングホイールベースコンセプトのオープンスポーツモデルと比べると、同じくらいクイックなステアリングだが、応答遅れが無く反応がリニアなのはコペンの方だ。何というかステアリング操作に対する反応の分解能が高い。単位入力あたりのボディねじれ角で表現されるボディ剛性の観点ではホイールベースが短い方が有利だ。コペンの場合は床下に大型のX字ブレースを入れるなどオープンモデルとしては異例なほどシャキッとした走りが楽しめるのは開発陣のスポーツカーへの情景がそうさせたのかも知れない。この見た目なのでもっと穏やかな方向性でまとめても充分に支持が得られただろうと私は推測する。過激な方向に持っていくだけなら3rdパーティが勝手にどんどんカスタムパーツを出すからだ。



快晴の青天井の峠は空気が澄み切っていて髪を冷たい風がなでてゆく。

山頂のトンネルを抜けると下りセクションが始まる。私の技量だと上り坂でも充分速いと感じてしまうのだが、下りは「待ってました!」とばかりジェットコースターのような感覚で駆け抜けていく。当時の開発陣曰く「六甲なら負けない」とのこと。

高回転で歌うJB-DET、浅いコーナーをアクセルを軽く抜いてほとんど減速させずに安定してクリア。クローズ時の剛性感は明らかに無いのに不思議とバランスが取れている様に感じる。重量配分は車検証でFr520kg/Rr310kgだが、ルーフを開ければ重心が下がり前後バランスが改善されているのかも知れない。FFゆえコーナリング中に限界域に近づいているときに扱いやすいこともコペンの魅力だ。アクセルを抜いてリアを積極的に流すような運転はできないが自分のAE92の様な愉しさがある。



橋の継ぎ目を越えても、堅くとも角の無いショックに留めて私の目線は動かされない。そこから先はつづら折りのヘアピンが続くのでしっかりヒールアンドトウを使ってシフトダウンしてコーナーに侵入する。レブリミットが8500rpmと高いので高速域から低いギアを選んでもオーバーレブすることなく変速できる点に懐の深さを感じる。相変わらずステアリングはスパッと決まるし立ち上がりも鋭い。集中して走り込んでいくうちに車内でエンドレスリピートしていたTUBEの「風に揺れるTommorow」が段々聞こえなくなった。



意のままに駆け抜けるために運転に集中する事はなんて気持ちが良いことなのだろう。勿論、私が普段運転するRAV4やプログレだって気持ちが良い瞬間があるのだがコペンのそれは別格だ。もしかすると山奥の誰も居ない露天風呂で大自然に囲まれながら開放感に浸る、或いは「ヌーディストビーチ」で開放的な気分の中でアクティビティを楽しむ行為に近いのかもしれない。(後者は想像に過ぎないけれども)



この純度の高い運転行為を楽しむのにコペンは何の不足も無い。並の屋根が開くだけの自動車よりも楽しくなってしまう。ちょっとオーバーペースかなと思ってもコーナーでちゃんと前輪に荷重をかけて無理をしなければ深いコーナーも刺激的な横Gに耐えながらクリアできる・・・と思っていたのもつかの間。下りコースの終盤、なんでもないコーナーで減速が不十分でラインから外れそうになった。ブレーキが甘くなり、タイヤも熱でダレてしまったのだ・・・。



あともう少しで走りきる惜しいタイミングでクーリング走行に入らざるを得なくなった。少しだけタイヤを奢ってみたり、ブレーキ系にも手を入れたくなってみたくなる。そうすると、8500rpmまで伸びて欲しいなぁ・・・などと考えてしまった。

久しぶりに嗅いだ焦げ臭いニオイを楽しみながら、いつもよりゆっくり自宅を目指した。



コペンの走行性能は軽自動車として、ライトウェイトスポーツカーとしても ★4(走りきってたら5)

●収納居住性

まず大前提として軽自動車であり、格納式ハードトップを持つコペンに充実したポケッテリアを望む人は少ないだろう。機能の厳選、mm単位の調整によってドラポジが整えられ、一般では考えられないほどの建付け調整を人の手で行って格納式ハードトップを積み込んでいるからこの意匠とパッケージを実現していることを人は
自然に理解してしまうからでは無いだろうか。

オープンにするための手順をおさらいしよう。E/Gを始動した停車状態でサンバイザー外側付近のロックを解除する。小さなキャビンなので運転席に座ったままロック解錠が可能だ。




その次に、センターコンソールのプッシュ-プルSWを「引く」とアクティブトップが動作を始める。このスイッチ操作はちょっと悩ましくて、窓を開けるときは押すのでこの時の感覚で何回か間違えたことがある。



前後に押し引きするのトグルスイッチだと直感的に分かる(屋根を後に開ける/屋根を前に閉める)のだが、スイッチを新設する投資は受け入れられなかったと思われる。既存のPW用SWにタンポ印刷する他なかったのだろう。

さて、そのSWを引くとまずPWが全開になり、普段は下がらないQTRウィンドゥも全開になる。次にトランクリッドがリンク機構を駆使して前開き(一般的なトランクの反対)でせり上がる。賢いのはトランクリッドの跳ね上げ時に立体駐車場などで上部構造物に接触してしまわないようにリンク機構を使って車両後方に動きながら最低限の動作量になるようになっている。



トランクリッドが上がりきったら、次に屋根が持ち上がる。おおっと歓声が上がりキャビンが開放感に包まれる。




屋根は「く」の字に折れながらラゲージスペースに格納されて、最後にトランクリッドが自動で締まり、「ピッ」と動作完了を知らせてくれる。ここまで20秒足らずで終えてくれるそうだ。サンバイザーの位置を整えたら走行可能だ。



ただ、些細なことだが、上の写真の様にルーフを開けた際に段差が残ってしまうのがほぼ完璧なデザインのコペンにとって玉に瑕なのだ。そんな完璧主義者のためにオープニングカバーがある。当初はオプション装備だったが、2008年以降標準化されている。



下の写真の通り、完璧な見た目になるのだが、実際に取付けるのが面倒くさい・・・。私も2回取付けたが、恐らく一生に2回ということになりそうだ。



屋根を閉める時は、SWを「押す」と閉める動作を行う。逆の動作で屋根がウィンドシールド枠に設置し、トランクリッドが締まる。最後にブザーが鳴っても窓は全開なのでPWを操作して屋根を上げてやる必要があるのが開けるときとは違う。

アクティブトップ作動中は内外気切替レバーの左にある作動灯が点灯するので、万が一の作動中の完了し忘れやロック忘れを防止してくれる。この作動灯のピクトグラムがISOの一般的なものではなく、コペン専用にデザインされている点にも注目しておきたい。



この状態でラゲージオープナーボタンを押した。ぼん、と作動音がした後トランクリッドが浮いた。前開き(通常のセダンと同じ)に開いたラゲージスペースの光景はほとんどがルーフで後端には傘やちょっとした洗車道具が置けるか置けないかのスペースしかない。



ルーフを閉めてしまえば思いのほかラゲージは大きく、ゴルフバッグも載せられるというからゴルフを趣味とする当時のおじさんたちのセカンドカーにはぴったりだし、気合の入った人なら旅行用のスーツケースを積み込んで旅行し、ホテルに荷物を置いた後はオープンで周遊が楽しめる。この手のクルマとしてはよく考えられている



ただし、長距離ドライブにおいて車内で休息をとる事が難しい点は要注意だ。2+2のオープンならまだしも、軽2シーターともなると、運転姿勢は満足いくポジションが取れたとしてもリクライニングしたり脚を伸ばすことは不可能だ。



ライダー達のようにベンチで寝転んだりしないと身体を伸ばすことすらままならない。かつて20代だった私がヴィヴィオで行っていたような夜通し走り続ける貧乏自動車旅行をコペンで行うには若者でもハードルが高い。オーナーの方はどうやって休息をとっているのだろう。

コペンは居住性も積載性も誇る車ではない。絶対評価で★1だが、軽オープンということを考えれば★3。私の通勤やドライブ程度の目的なら収納も納得感があり、クローズ状態ならスーツケースも積める。ノーマル状態からオーナーが手を加えないと快適なドライブは難しいだろう。

●燃費

コペンのカタログ燃費はアクティブトップのMT車で18.0km/Lだ。これがディタッチャブルトップのMTだと18.8km/Lに向上し、同じアクティブトップATだと15.2km/Lとなる。

既に初代フィットなどによるカタログ燃費競争が始まりつつあった当時、コペンの燃費が良いと思って居る人はそんなに多くなかったが、この燃費では買って貰えない、と焦るほど悪い燃費でも無かった。

今回の燃費記録は試乗で1770km余りを走らせて平均13.1km/Lであった。カタログ燃費の72.7%と決して悪くないのだが、給油毎に注目すると12.1~15.4km/Lまでの幅がある。



楽しすぎて走らせまくった燃費が前者で、長距離ツーリングで燃費を多少意識して走ったのが後者である。おそらく屋根を閉めて高速道路の走行車線を淡々と走っていればカタログ値超えは不可能では無いと思う。しかしながら、コペンが持つ愉しさが私に低燃費走行など許してくれないのであった。

「ああ、燃料を多めに噴射してるんだろな」と頭で考えながらも脳が喜んでいるという状態に陥るからである。

かつての私はカローラですら淡々と高速道路を走って20km/Lを出したことがあるのに、コペンではうまく行かないという面白い経験をした。ただ、燃料タンクが40Lあるため、長距離で普通に走っていれば一気に500km程度なら十分に可能だ。軽自動車のサイズ感で満タンから500km一気に走れるBEVはまだない。航続距離という意味でもコペンはリーズナブルな燃費性能を持っていると言える。★4つとする。



●価格

価格は下記の通り、変速機やルーフタイプにかかわらず統一価格と非常に珍しい。



最も主力となる電動油圧アクティブトップ仕様は15インチアルミホイール、フォグランプ、前面UVカットガラス、電動リモコンドアミラー、油圧P/S、チルトテレスコピック機構、PW、キーレスエントリー、マニュアルA/Cなど基本的な装備品がしっかり装備されている。

安全装備も最初からフル装備で両席エアバッグやABSは当然としてEBD(前後制動力自動制御システム)やプリテンショナー・フォースリミッター付きシートベルトも装備されている。

原価的に不利な電子制御4速AT(マニュアルモード付)が5速MTと同価格というのはATが割安というより、MTの価格が少し値上げされて好事家から粗利をとろうという商人魂を感じるが、今回試乗した限りだとMTの愉しさゆえ、AT同価格でも許容できる。



この状態が標準仕様で、コペンには3つのパッケージOPTと4つの単独OPTの設定がある。

①Gパック
プロジェクター式ディスチャージヘッドライト
イモビライザー
CD/MDデッキ一体式AM/FMチューナー(16cmスピーカー×2)
・・・税抜価格10万円

②スポーツパック(アクティブトップ専用)
専用ハードサスペンション
Rrパフォーマンスブレース
「COPEN S」デカール
・・・税抜価格10万円

③レザーパック
シートヒーター付本革シート
MOMO社製本革STG(約5.1万円)
・・・税抜15万円

その他、単独OPTは

オープニングカバー(アクティブトップ専用)
・・・税抜価格2万円

LSD(5MT専用)
・・・税抜価格3万円

エアロディフレクター付きロールバー(ディタッチャブルトップ専用)
・・・税抜価格2万円

特別塗装色
・・・税抜価格3万円

アクティブトップとディタッチャブルトップは同一価格だが、装備内容が細かく異なる。ディタッチャブルトップはアクティブトップには備わるラゲージパーテーション、電磁式トランクオープナーとイージークローザーが装備されず、エアロディフレクター付きロールバー(税抜2万円)も着かない。その代わり、スポーツパック(税抜10万円)、Rrスポイラー(約4万円)が標準装備されている。

つまり、差額12万円が発生しているはずなのに同価格ということはアクティブトップは12万円相当だということになる。この低価格は大変魅力的だろう。確かにディタッチャブルトップはアクティブトップより30kg軽量で走りに特化した純スポーツカー的な性格を強めたモデルであるが、アクティブトップで精一杯敷居を拡げようとしたオープンカーの世界を考えると、途中で仕様が廃止された歴史的事実も納得がいく。



さて、私だったらアクティブトップの5速MTを基本にGパック+LSDに用品でMOMOステを選ぶ。ディスチャージと手頃なオーディオは欲しいし、本革ステアリングも欲しい。LSDは今回試乗してどうして元は思えなかったが、トラクション性能に対しては備えておきたい。スポーツパックはつけなかったが、標準設定でも峠で充分笑顔になれたので不要と判断した。そのお金でブレーキとタイヤに投資しておきたい。シートヒーターも魅力的だが、標準シートでも充分だと思えたし、寒さに対してはブランケットを準備しておけばいい。

ちなみに、2008年末の新車情報雑誌に掲載されていた購入金額見積もりは下記の通り。

本体  1498000円
消費税  74900円
取得税  40400円
自動車税  7200円
重量税 13200円
保険料  26280円
登録諸費用30000円
リサイクル 9550円

総額1699530円
3年後残価45%

OPTをつけても200万円もあれば買えてしまうのは当時でも相当なバーゲンプライスだった。先人たるABCトリオも150万円付近の価格だったので決してボッタクリの高さではなかったが、コペンの場合はマニアックは諸元を捨てた見返りに装備水準が高く、実利をとった割安感があった。



モデル末期にはアルティメットエディションが税込182万円(税抜173万円相当)だったが、これも特別装備内容を考えれば決して高い訳では無かった。

そして現在、中古車価格は高騰している。2014年から2世代目が発売されているにも関わらず初代の程度の良い個体は200万円を超える価格で売られている。

新車価格の149.8万円は間違いなくバーゲンプライス。★5

●故障

アクティブトップは複雑な動作をあっという間に実行して日常と非日常を20秒足らずで切り替えてくれる見事な舞台装置である。ただ、残念ながら試乗車は油圧が正常に立ち上がらないためスイッチ操作をしてもゆっくりしか動かず、しまいには「んーーーーー」というだけで一向にトランクリッドが開こうとしなくなる。30秒ほど経つとSWを引き続けても以上と判断されて動作を止めてしまう。



仕方が無いので片手でSWを操作し、片手で動かないラゲージドアを手動で押してやるというツイスターゲームのような姿勢を強いられる。季節が進んで更に寒くなると全く動かなくなってしまった。片手ではきついので、ストックしていたレジ袋を右足に靴下のように履いた状態で足でSW操作して両手で開閉を行った。



そんな大変な思いをしてまでわざわざ屋根を開ける必要があるのか?という疑問が湧く人も居るだろうが、コペンには屋根を開けたくて仕方なくなる魅力があるのだ。

アクティブトップが魅力の大きな割合を示すコペンなのに、アクティブトップが故障してしまうと本当に辛い。真面目に修理すると相当高額(40万円以上説あり)だが、専門店が自力でリビルト品を販売しており、これを使えば安く修理できる。

Posted at 2025/01/25 01:03:51 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_ダイハツ | クルマ
2020年09月26日 イイね!

2000年式ムーヴ カスタムターボRS感想文

2000年式ムーヴ カスタムターボRS感想文妻が出産した直後、我が家に泊り込みで助けに来てくる妻のお母さんの足としてスギレン氏の愛車ムーヴを貸して下さることになった。ご丁寧にシートの水洗いまでしていただいたのだが、試しに運転したお母さんは、コラムシフトと足踏み式PKBが慣れないと白旗を揚げてしまった。急遽ベリーサを取りに行き、お借りしたムーヴが早々にお役御免になってしまった。

大変申し訳ないと思いつつ、ムーヴで息子と二人で遊びに行ったので、その際の感想を残したい。

スギレン氏は元々L900系ムーヴが新車販売されていた頃に購入を検討したことがあったそうだ。当時は事情があって購入せず、近年中古車で念願のL900を手に入れたという訳だ。ちなみに後期型だが、スギレンさんの好みで前期顔(ガラスレンズ)に交換されている。

様々な年式の部品が混ざっている為、純正と異なる部分もあるがE/G乗せ換えの様な大掛かりな変更は加えていないはずだ。

●軽ハイトワゴン界の力強い追跡者

ダイハツムーヴは1995年8月にデビューした。ミラをベースに背高シルエットのボディを持ち、軽自動車らしからぬ広々とした居住性を売りにした新ブランド車であった。



発売はハイトワゴンというジャンルを再発明したワゴンRに遅れること2年。本来スズキより先んじて開発されていたと言う噂もあるが、開発が停滞している間に起きた初代ワゴンRの大成功はダイハツ開発陣にとっても大変悔しかっただろう。

今まで軽ボンバンとそのベース車たるセダン系がメインの軽自動車界の中でワゴンRとムーヴはRVブームを追い風に新しい風穴を開け、普通車に迫る居住空間をと心地よい道具感が大いにウケた。

既存の軽セダンユーザーやエントリーユーザーにホットな新ジャンルの軽ハイトワゴンを一台でも多く売るために、ターボや4WDなどと矢継ぎ早のバリエーション展開を続け、それがウケていた。当時の街中ではワゴンRやムーヴを多く見かけたものだ。

当時のドレスアップ文化とも親和性が高く、私の趣味とは遠い感性で仕上げられた幾多の改造車を見かけたが、これに目をつけたダイハツはメーカー謹製のカスタムカー「エアロダウンカスタム」を作りヒットさせた。メーカー自ら裏ムーヴと呼んで標準仕様よりも押し出しの強いフロントマスクに換え、車高を落とし、サスチューンを見直した。黒夢のBGMでダークな雰囲気が漂うCMは今でも印象に残っている。

背が高いムーヴでわざわざ車高を15mm落とす意味があるのか?ワゴンボディに堅い足回りが必要なのか?これ見よがしなメッキグリルと威圧感のあるヘッドライトが下品だなどと真面目な人たちは否定的な見方をしていたが、マーケットの反応は好意的で段々とワルなカスタムがムーヴのイメージリーダー的な役割を果たすようになる。

同一車種における標準系とカスタム系の性格違いの2バリエーション政策はセドグロのブロアム系とグランツーリスモ系、或いはクラウンのロイヤル系とアスリート系など上級セダンで行われてきた手法であるが、裏ムーヴのヒットで軽自動車界では一つのモデルに対して標準とカスタムを揃えることが当たり前になった。

1998年の規格改正(全長10cm延長+車幅8cm拡幅)に合わせて軽自動車各社が一斉にFMCを実施し、ムーヴも2世代目となった。新規格に変わった1998年、各社が一斉に新規格のフルモデルチェンジを行ったのは前回の1990年の規格改正時(全長10cm延長+660cc)に他社がマイナーチェンジレベルで暫定対応したのに対し、ダイハツだけがミラのFMCを挙行し、市場の話題をダイハツにさらわれてしまった苦い経験があるからだ。

こうして一斉にFMCを迎えた軽自動車達だが、従来の主力だった軽セダン、ボンバンの代表格と言えるミラ・アルト・ミニカは、ベーシックなミニマムトランスポーターに徹して、事務的なキャラクターとなり、どこか気の抜けたサイダーのような様相を呈していた。

一方で、新ジャンルとしてSUV風のアクティブ感を演出したKeiやテリオスキッド、スペシャルティ感覚のミッドシップコミューターZや、ミニ・アリストのようなルックスの2代目オプティなど新しいトレンドを模索しながらシンプルな2BOXから決別しようとする動きも見られた。

前置きが長すぎたが、この一斉FMCに沸く軽自動車市場の台風の目が2代目ムーヴであり2代目ワゴンRであった。



安全性の確保が命題になっていたため、室内スペースの拡大は表立ってアピールできなかったが、ムーヴは先代の美点を引き継ぎつつ、コラムシフトの採用でサイドウォークスルーを実現し使用性を向上。より一層上位を食うハングリー精神を加速させた。

●オトナっぽいプロポーションを得たエクステリア

スギレンさんの愛車を見て見よう。

角目のヘッドライトで標準型と差別化していたカスタムは、丸型4灯式ヘッドライトを得て標準型との違いを別方向に強調した。競合関係のワゴンRやライフはデビュー時点で標準フェイスしか持たなかったため、標準/カスタム二本立て戦略こそがムーヴらしい特徴だった。



内外で径の異なる丸目ヘッドライト、長方形のメッシュグリルがワルそうな印象を与え、当時の流行を反映している。ヘッドライト周りはガラスレンズだった前期型がスギレン氏の好みらしく、後期モデルに前期の顔を移植しているが、丸いターンシグナルレンズの後期用Frバンパーとのマッチングも意外と良い。

街で見かける多くのムーヴはカスタム顔だったと記憶している。標準とカスタムと並べられてしまうと、標準顔が「安い方」と受け取られかねず、何となく上級と目されるカスタムが選ばれがちだった。

この個体はターボ車のためインタークーラーのインテークがフード上に設置されている。現代のターボ車からは消されてしまった処理方法だがこれがあるとターボの高性能イメージが沸いてくるのは私が昭和の人間だからだろう。



サイドビューは当時としてはまだ鮮度があり、新しさを感じさせるハイトワゴンスタイルでありつつも、拡大されたクオーターウィンドゥのお陰で初代よりも落ち着きのあるステーションワゴンらしいプロポーションになった。

先代はエンコパがミラ共通で変更ができず、フード見切り線も利用した勢いのあるAピラーの傾斜で背が高いがヒップポイントをミラから大きく変えなかった。パッケージング的にもヒップポイントをワゴンRの様に上げられなかったため、ベルトラインが上げられず、明るく健康的だが腰高なサイドビューだった。

2代目はヒップポイントを改善することでヒールヒップ段差を確保、ベルトラインを高めて視覚的安定感とグリーンハウスの最適化を得て安定感のあるプロポーションとなった。

この安定感、実は現在ライバルを寄せ付けないヒットを飛ばしているホンダN BOXのエクステリアの秘密でもある。N BOXも競合よりもベルトラインを高め、ヘッドライトを高めに配置し、エンジンフードも持ち上げることで立派に見せて軽自動車が持つ弱々しさを緩和したとされる。

更なるプロポーション改善に寄与しているのがアルミホイールである。当時としては大径の14インチが奢られていた。かつて自分が乗っていたヴィヴィオは基本が12インチで、上級の13インチが奢られれば十分見栄えがしたが、ムーヴの様に背が高くなりベルトラインも上がると、14インチでちょうどバランスが取れる位になる。

当時はとてもオーバーサイズに感じたが既に現行ムーヴには15インチが奢られている。実際は最小回転半径に影響するからNGであることは理解しつつ、今後はハリアーの様にタイヤの幅を縮めて大径化することもありうる。



リアビューは初代から引き継いだ横開きバックドアとクオーターピラーに統合された縦型Rrコンビランプが特徴だ。横開きバックドアもワゴンRに対するムーヴらしさのアピールに一役買っている。

狭い場所に駐車した際、全高が高い車はバックドアも長いため、前回にする為には前後方向の長さが必要になり、ちょっとした荷物を載せ降ろしするために開閉スペースが必要になる。横開きバックドアは小開度でも荷物を取り出し易く使用性が良いとされた。

また、バックドアガラスの両端に配置された縦型Rrコンビランプは90年代後期に「はしか」の様に流行した。このデザインのパイオニアは2代目スプリンターカリブであると考えられるが、バックドア開口と視認性、背の高さを強調するデザインはアンチセダンとしての主張にピッタリだったのかもしれない。

ムーヴのほかにもステップワゴン、ライトエースノア、キューブ、エクストレイルなどがすぐに思い出される。例えば80年代の真っ赤な内装が懐かしいと感じるマニアがいるが、今後増えるであろう若手マニアは縦型Rrコンビネーションランプに強烈に反応される方がいても疑問を感じないだろう。


●よく考えられたインテリア




インテリアは90年代間あふれるセンスで統一されている。コラムシフトを活かしてベンチシートを採用することでサイドウォークスルーを実現した事は既に触れた。手引きPKBはウォークスルーの邪魔になるため足踏み式を採用。当時の最新技術だったリリースレバーの無い二度踏みでPKBを解除できるタイプを採用し使用性を向上させた。

既にデュアルエアバッグは常識となり、ダイヤル式のヒーコンパネルや2DINオーディオが装着可能なスペースが確保されたセンタークラスターも奇を衒わない常識的なデザインだ。生産都合なのか角部が丸められた硬質樹脂を射出成型した簡素なインパネだが当時のBセグの内装クオリティも似たようなものであった。(更に上位の5ナンバーフルサイズのミニバンでもこの頃はカチカチのインパネにコストダウンが目立つ時代だった。)

センタークラスターやメーターバイザー、助手席小物入れのリッド部の木目加飾が目を引くが当時の内装は質感の演出に困るとすぐ木目調パネルで高級感をアピールする例が多かった。

下級グレードは素地色のパネルだが、量販グレード以上に木目調パネルが採用されるなど、とにかく木目調がもてはやされていた。2000年当時の若者だった自分はニセモノ感の強い木目調が「おっさん臭く」て大嫌いだったのに、20年ぶりに再会すると「懐かしいな」と言う感想が勝り、私の心境にも変化があった。
(私がおっさんになったのかも)

なお、スギレン氏の好みでスピードメーターとステアリングはネイキッドのものと交換されている。

運転席に座ってみたが当時のセダン系と較べると異次元の広々感である。アップライトに座りながらも、頭上空間が余り、室内空間の余裕を感じた。寸法的には軽自動車ゆえ、ドアトリムと腕の距離や足元のスペースに余裕はあまり無い。しかし、極端に身体を捻ったりする必要が無いレベルまではパッケージングが整えられている。



前席に採用されたベンチシートだが、助手席と別々にスライドできるが座面が続いている為、平板でホールドはあまりよく無さそうだ。先代と比べるとヒップポイントが上がり見晴らしがいい。2代目ではムーヴ専用の縦方向に大きいものとなったことで落ち着いた感覚が得られている点も興味深い。

後席はムーヴ見せ所である。寸法的に室内空間の拡大が出来なかったのでヒップポイントを上げ、従来同様に前後スライド、リクライニングを可能としたことで、実用性と広々感を向上させている。



簡単操作で格納すればフラットな荷室が得られる。前席よりもヒップポイントが高いから前席との一体感も味わえる。特に強調したいのはRrシートスライドで足元空間拡大をアピールしながら、前方向にスライドすればしっかり足を引いて綺麗に座ることも出来る点だ。

現代の広々スペースを謳うスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンは室内長の数値をアピールする為、悪魔に魂を売って得た長すぎる座面によって室内を広く見せているだけの車が少なくない。(まるで昔のセダンのRrシートバック角度の様だ)



2代目ムーヴは150mmものシートスライド量により足元スペースを広く座れるが、調整次第でアップライトにきちんと座れる。カタログ値も追いながら正しい姿勢も確保できる点が良心的で高評価を与えたい。1998年に既にそれが出来ているのだから現代の後継車たちも学んで欲しい。



ラゲージスペースは2代目ムーヴの工夫が垣間見える部分だ。新規格化で室内スペースを表立って拡大できなかった反動?なのかラゲージが広く使い易い。歴代を通じてこれが最大の特徴で、以降は室内長が大きい事、後席レッグスペースが広い事に囚われ始めてしまうので、2代目ムーヴのラゲージは標準状態でも広いことが特徴だ。Rrシートを過度に後ろに引くと乗り心地の悪化と荷室容量不足を招く。

デッキサイドは燃料系のスペース確保の為張り出しているが、床面は低くフラットで十分な平面が確保されている。Rrシートスライドによるスペースアップも可能だが、ワンタッチ格納システムによって倒してしまえば当時の軽自動車としては広大でフラットなスペースが得られた。



軽自動車に限らず現代の車のラゲージはどこか適当にやっつけ仕事で設計した感が漂う事例が増えてきたように感じるが、奇を衒わないムーヴのラゲージはスッキリと使いやすい。

●友人宅までドライブ

子供を乗せるため、チャイルドシートを取り付けた。ドアヒンジの開き角度が小さいのでチャイルドシート取り付けは少々難儀した。Rrドアヒンジが直角付近まで大きく開くようになるのは3代目まで待たねばならない。

元々座面高さのあるRrシートゆえ、我が家が使用中のチャイルドシードを取り付けると、3歳児の我が子を抱っこしないとチャイルドシートに載せられないのだが、こんな時、背が高いので子供を抱っこしたまま腰を屈めずに載せられるのはメリットだと感じた。



E/Gを始動するとEF-DET型エンジンが小気味よく始動した。3気筒DOHCターボというドッカンターボのスポーツモデル用エンジンだ。RVのムーヴに組み合わせるのはミスマッチだと指摘する人は居たが、660ccという排気量に縛られた軽自動車に十分な動力性能を付与する為には過給機の装着以外に選択肢は無く、ワンボックスタイプのモデルにも広くターボが設定されてきた実績がある。

当時、RV系を中心に流行し、初代プリウスやOpaといった非RV系モデルにも採用例が増えていたコラムシフトを操作した。少々筋力を要する欠点があるもののシフトレバーにロック解除のボタンは無く、手前に引くことでロックが解除されPレンジからR、N、Dレンジへ操作可能となる。ムーヴに限ったことではないが、操作に腕力(&指の力)が必要で勢い余って行き過ぎてしまうミスが多いのがコラムシフトの欠点である。

AT車の普及でシフト操作回数が減っておりメーカーとしては多少使用性に劣ってもクレームは少ないという勝算があったのかもしれないが、慣れてくるに従って積極的にシフトする気が無くなっていく。サイドウォークスルーを両立させるためのコラムシフトは、タウンエース/ライトエース・ノアのイージーコラムシフトやセレナの電動アシスト付インパネシフト、ガングリップタイプのコラムシフトなどステアリング軸を中心とした回転操作ではなく、力の入り易い前後方向の操作に改められることで操作力が低減された。



軽やかに発進した。AT車なのでのろのろ運転は得意だ。小さい車に乗ると無性に狭い道を走りたくなるので、抜け道を走りながら幹線道路へたどり着いた。

流れに乗るためアクセルを踏み込むとムーヴはイージーかつパワフルな加速を見せてくれた。セダン系と較べると重めの車重とルーズな4速ATのお陰でシフトショックを感じさせず、E/Gが発する強めの加速Gをオブラートに包む。

60km/h時の回転数は2000rpm程度。当時としては普通車と変わらない大人びた走行が出来る。乗り心地は4WDと言うこともあり最低地上高は高められており、ファミリーユースにも使えるソフトな乗り心地のため、Rrシートの我が子もムーヴの見晴らしの良さにご満悦だった。



ちょっとした農道も走らせてカーブもクリアしたが、アクセルを強く踏み込めばその実力を遺憾なく発揮し、3レンジで走らせれば無駄なシフトアップ無く小気味よく走行できる。いいペースでコーナーもクリアしたがロール感が自然で軽自動車であることを忘れさせてくれる。街中で不満が出ず、ワインディングでも十分こなせるいいセッティングではないだろうか。

ETCゲートを通過すると、全開で本線に向かって加速した。レッドゾーンは8500rpm付近だが7000rpmでシフトアップ。踏み込めば現代車に伍して加速することは十分容易だ。合流の際、大型のドアミラーが大変見やすく安心感があった。現代では燃費追求の為ドアミラーは法規で要求されるエリア以外は大きくカットして投影面積を減らす例が殆どだが、この時代の車は燃費よりも使いやすさを重視していた。

合流後、慣熟走行を兼ねて左車線を走らせた。当時の制限速度は80km/hだが、その速度域ではムーヴはゆるゆると3000rpmで走っており十分な余力がある。上り坂でも少しアクセルを踏み足してやれば十分に登坂できる。

少し急いでいたので車線変更し現代の軽自動車の制限速度まで加速した。その時のE/G回転数は3500rpm付近を指した。この個体はスギレン氏が遮音対策を追加している関係でかなりNV性能が底上げされている。その恩恵もあって流れの速い高速道路で特に不快感を持つ事無く流れをリードし、時には遅いトラックを俊敏に追い越しながら目的地へ向かってドライブを楽しめた。

背が高い車で高速道路を走る事は横風で進路が乱される場面も多いがムーヴの場合、4WDの恩恵か走りに安定感がある。この実力なら普通車と遜色が無いといって良いだろう。

●まとめ

目的地で目一杯遊び、子供は出先でお風呂に入ってチャイルドシートでぐっすり眠りこけている。帰りの高速道路でも夕日が沈み行く中、スモールライトを点けて流していると「肩肘張って高い普通車買わなくてもこれなら軽で十分」なんて感想が自然に沸いてくるのは、この年代になってようやくハイト系が誕生し、乗用者的なドラポジと室内の広さが両立され、ターボと4速ATで普通車並みの動力性能が得られ、4WDによる高いシャシー性能とスギレン氏の改良が功を奏して安心感が得られるからだろう。




2代目ムーヴ以降、更なるスペースと実用性追求の結果、車高を更に上げてAピラーの前にA’ピラーを設定し、スライドドアを備えたスーパーハイト軽ワゴンが軽自動車市場の中心車種となった。普通車の代替としてこれらの車種が選ばれることも増えたが、室内長をテーマとした無意味な数値競争に明け暮れた結果、パッケージング的にもデタラメで快適性もラゲージ容量も足りない。せっかくファミリーカーの一丁目一番地を狙えるポジションに近づきながらもこの体たらくにうんざりしていたところだが、20年以上前に発売された2代目ムーヴが既に「あるべき軽ワゴン」像をほぼ実現していたことは大変興味深い。



スギレンさんに感謝
Posted at 2020/09/26 23:40:44 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_ダイハツ | 日記
2013年11月16日 イイね!

1993年式アプローズ16Si感想文

1993年式アプローズ16Si感想文










●ダイハツ・アプローズ
Light my fire


Lady GaGaの新曲「アプローズ」がヒットチャートをにぎわしている中、
親愛なるイカさんの愛車ダイハツ・アプローズに乗ることが出来た。



アプローズは1989年にデビューしたダイハツのフラッグシップセダンである。
軽自動車を得意とするダイハツは、リッターカーシャレードをヒットさせ、
フラッグシップに自主開発モデルを据える事とした。

それまでのダイハツのフラッグシップはシャルマンというカローラを
豪華に仕立て直した小さな高級車を名乗るセダンであった。
カローラベースといっても、初代は70カローラが買えた頃に20カローラベース。
二代目は90カローラが買えた頃に70カローラベースであった。
現代なら二世代前の車といえど、さほどの進化は見せていないが、
当時は車の進化が早く、簡単に時代に取り残されてしまう弱さがあった。
もっとも、ダイハツが本気で当時の1500ccクラスセダンに
殴り込みをかけたところで、ジェミニにすら返り討ちにあったであろう・・・・。

そこでアプローズは排気量を日本国内では中途半端ともいえる1600cc一本とし、
車体形状も端正なセダンを思わせつつ、ルーフ端までを開口とするいわゆる
「スーパーリッド(和訳すると凄い蓋)」を持つのが特徴だ。

ライバル不在のカテゴリーを創出し、今までのセダンには無い価値を提供し、
ニッチ市場を切り開こうと言うダイハツの作戦がアプローズを生んだ。

ところが発売直後にリコールを出し、モーターショーへの出展の自粛要請、
更に、燃料タンクの設計の悪さから来る火災事故を
某「サンゴに傷つけちゃう新聞」から欠陥車としてセンセーショナルに取り上げられた結果、
消費者から「燃える車」として認知されてしまい、不幸なモデルライフを送ったモデルである。

アプローズという名前を聞くと、大抵のクルマ好きは火災による欠陥車騒ぎと
スーパーリッド(後述)を思い起こすはずで、かくいう私もその一人なのである。

先日、ホームセンターにてアプローズという名前のバーベキューコンロを見かけた。
ここまで来るといじめだよ。やめたげて!

この歴史の溝に挟まったモデルを騒動から23年後の2013年に体験することが出来たのだ。
そう言えば、1982年式の私は小学校5年生の時に行った工場見学はダイハツ工業の竜王工場。
つまり、1993年ごろだと思うのだが、確かに見学コースにはアプローズが何台か
完成検査を受けていたのを思い出した。


●クリーンな外装デザイン
まず、外装からチェックしていこう。
メッキ装飾が当たり前だった1989年にアプローズはほとんどメッキモールが存在しない。
僅かにドアベルトラインモールとルーフサイドドリップモールのみメッキ加飾が存在する。
他はカラード部品+素地部品というごくシンプルなものだ。
ヘッドランプ周りは本当にシンプルなデザインで異国情緒あふれる。

大きく立派に見せることが当たり前だったラジエーターグリルは
冷却性能が心配になるほど開口が小さく、
周辺部品の見切りも無いためアプローズ独特のデザインと言える。

だが、驚くべきことにアプローズのラジエーターグリル開口周辺の部品は
板金で出来ている。「板金製ラジエーターグリル」となっている。

つまり、超大型板金製のラジエーターグリルを装着することで、
小さなラジエーターグリルが着いているかのごとく振舞っているのである。
現代なら、樹脂で作ってしまうであろう部分だが、当時はそれを板金でやるしかなかったのだろう。
サービス性悪化に対してはヒンジをつけて対処している。



現代の目から見ればコスト・質量もかかるし、
ヒンジからさび汁が発生することも考えられるし、
飛び石によるチッピングにも従来構造のクルマよりも不利だ。

それでも採用したというのは、デザイナーの描いた線を実現しようとする設計の努力、
或いは意匠に原価をかけて「プレーンな小型車」を作ろうとしたダイハツの意気込みに他ならない。

全体的に清潔感のあるシンプルなデザインをまとっている事が分かる。
当時のカローラやカリーナ、サニーやブルーバードなどは全体的にメッキが多く、
キャッチーなプレスラインを数本入れて軽快感を出したりするのが普通だったので、
アプローズはずいぶんとそっけないクルマにも感じられる。
このそっけなさが、日本車らしくなく敢えてダイハツが狙いに行った方向性なのだと感じられる。
少し離れたところからアプローズを見ると、本当に端正なセダンに見える。



フロントマスクもつるんとしているが、リアビューも同じイメージでつるんとしている。
普通ならリアコンビランプを左右でつなげたり、
ガーニッシュで装飾するところをアプローズは軽くスルー。
プレスライン1本と社名ロゴのみ。なんたるプレーンさ。

恐らく、アプローズは日本国内では従来のセダンの俗っぽさを
良しとしない人が振り向くよう入念にデザインが行われているように感じられ、
一方で欧州への輸出もかなり意識しているように感じられる。

ドイツやフランスでは売れないだろうが
自動車産業を持たないベネルクス三国などをターゲットにすれば
価格しだいでは競争力があったのかもしれない。

●実は必然性の無いスーパーリッド、だが美しい。
アプローズといえば「スーパーリッド」と言われるほど有名なスーパーリッド。
側面から見れば端正な4ドアセダンにしか見えないのだが、
実はトランクリッドはルーフ後端まで大きく開く。
つまり、4ドアセダンに見える5ドアハッチバックなのだ。



一般的なセダンと比べれば、開口が大きいので荷物の積み下ろしが楽で
トランクスルー機構を使えば長尺物も積み込むことが出来る。
更にリアシートのリクライニングも可能となりユーティリティは高い。
ただし、ラゲッジスペースは一般的なセダンに毛が生えた程度のものに留まる。
しかも、少し荷物を積み降ろすだけで後席のゲストは外界に晒されてしまうし、
開け閉めの度に不快感がある。(頭の周りをバックドアが閉まるのは意外と不快)

それに積載性だけを考えれば、当時のコロナSFやエテルナのように
バックドアガラスを傾斜させてやれば嵩張るものが積めたのだが、
アプローズは敢えてそれをやらなかった。

ネームバリューの無いダイハツが日本でセダンを出すのは確かにリスキーだ。
しかし、欧州調の本格ハッチバックはシャレードもあり、参入する意味も無い。
(特にシャレードより大きい2BOXハッチバックは全く市場がなかった)

もしかしてそうやって悩んだ末にダイハツ開発陣は
フィアットクロマを見たのではないだろうか。

これなら、ハッチバックが売れない日本でも受け入れられるかもしれないし、
ハッチバックゆえに欧州でも売れるかもしれないと。
なぜスーパーリッドなのか、という点は恐らくダイハツ社内でも相当議論されたのだろうと思う。
どのような結論が出たのか分からないが、ダイハツはセダンのように見えるハッチバックを選んだ。
積載性は諦め、むしろリアシートのリクライニングが出来る居住性を重視したように思える。
だが、私は諦めきれない気持ちがあった。

アプローズは本格的なハッチバック(というかリフトバック)に
した方が合理的だし、販売増が見込めたのではないかと。
そこで私は白変仕込みのペイント技能を駆使してアプローズを本格5ドアリフトバックに魔改造してみた。



・・・・どうだろうか。
確かに積載性はグッと向上するし、スプリンターシエロやコンチェルトの様に
グッと欧州ライクなスタイリングになったと思わないだろうか?

確かに、実用性はグッと上がったのだが、どうにもこうにも後ろが重たく感じる。
スプリンターシエロはリアスポで軽快感を出しているが、
Rrドアオープニングを変えずに変更するには私のデザイン力ではこれが限界だった。

ちなみに、シャレードに敬意を表してこんなクオーターも考えて見たが



速攻でボツwww

結局のところ、アプローズは正規の形状が気品があって最も美しい。




だったらセダンで出せば良いじゃないか!と言いたくなるのだが、
ダイハツは敢えてスーパーリッドの形状にこだわった訳だ。
これもラジエーターグリル同様に意匠最優先だと言うわけだ。


●必要十分な走り。大開口ボデーの弱点



はやる気持ちを抑えられず、私はアプローズに乗り込んだ。
低く開放感のあるインパネは、ここでも国産車離れしており
コンサバカーの代表格である自分のカローラと比べると、
ボリューム感がない分だけ車格感では劣る。
一方マテリアルではフラッグシップらしく
植毛ピラーガーニッシュが奢られるなど、クラスを超えた車格感が特徴。

エンジンを始動し、試乗コースへ出る。
試乗コースは道幅が広くアップダウンも激しい。
かなり試乗コースとしては色々試せる道路である。

アプローズは新開発の4気筒SOHC16バルブエンジンを搭載している。
このエンジンは後のシャレードデトマソにも搭載され私は
こちらの方にずいぶんとお世話になったものである。
あれはトルクがあって山道で元気なクルマだった。



さて、そもそもの開発の発端となったアプローズは
街乗りでは十分なトルクを発生し、力が足りないと思わせる事はなかった。
静粛性もまずまずのレベルでさすが上級小型車だと言える。

一方で、操安性に関してはバックドア周りに大開口を持つが故の
ボデー剛性の不足を感じる場面があった。
コース中、コーナリングをしながら段差を超える路面があった。
この路面をクリアするとき、さすがにドシンという強い揺れと共に
若干進路がヨレる挙動を見せた。いかにもリアボデーがよじれている感覚があった。

この個体はFrにストラットタワーバーが装着されており、
ステアリング操作に対する応答はクイックなはずだが、
Rrに関しては手当てのしようが無い。
バンパー上からルーフ前までかなりの開口があり、更にリアシート後ろの
シェアパネルも無いので開口が変形することを止められない。

一般的なセダンボディのカローラで同じコースを走ると
ドシンと来るものの、よれる動きは少なめで
アッパーバック(一般的にリアスピーカーが乗ってる部分)が
有るのと無いのとではずいぶんと違うのだなと気付かされる。

このような挙動はずいぶん追い込まないと顔を見せないので、
アプローズのキャラクターと照らし合わせれば十分商品性を保っていると言えよう。
(特にオーナー氏いわく足が死んでいるそうで、
カローラも同じく足が死んでいるとは言えどもこれはアンフェアな感想かもしれない。)

ちなみに現代でもプレミオ/アリオンもリアシートのリクライングを実現するために
アッパーバックが無く、NV性能ではコンベンショナルなセダンに劣っている。
(彼らはトランクマットに高級車用の吸音素材を使っているのだとか。)

●まとめ
不運なクルマとして語られることが多いアプローズをこうして試乗してみると、
確かに、つかみどころの無い部分が多いクルマであった。

俺はとにかく経済効率を最優先するんや!と言っていたシャレード。
俺はとにかく死の香りがするほど早く走りたいねん!と言っていたミラ・ターボ。
俺はとにかく子育て層を取り込みたいねん!と言っていたタント・・・・などなど
ダイハツが開発してきた車の多くはこれだという主張を持って産まれてきている。

対してアプローズは、プレーンで軽快なスタイリング。
リラックスできる広々としたインテリアを持ちながら、
排気量は1600cc、5ドアでありながら積載性は高くなく、
セダンのようなスタイリングなのに、ボデー剛性は厳しい。
少しどこか狙いが定まらなかった商品という印象が強い。
先にあげたモデルの様に「絶対に欲しい!」という顧客を
引きつける武器を持たされず世に産まれてしまった。

それでも当時アプローズを買ったダイハツ関係者以外の人は
微かな「何か」を強烈に感じたのだろうと思う。

私のような一般人から見れば、「アベするとか流行語を捏造しちゃう新聞」に
叩かれなくとも、セールス的に成功するようには到底思えず、
カルトカーになるべくしてなったカルトカー界のエリートであると感じた。

ただ、こういうクルマを「不要だ」と切り捨てることは実にもったいない。
私は、失礼を承知で否定的とも取れるコメントを書いたものの、
乗り終わった後、もうちょっと乗って見たいな、と思ったのは事実だ。
特にスタイリングはダイハツの10ベストデザインに入る
オリジナリティあふれる美しさだと思う。



ダイハツがたくさんの工数・資金をかけてまでアプローズを世に問うたのは
きっとそれなりの理由があったのだろうと思う。
妄想を膨らませながらのんびりドライブをする事も実に楽しそうではないか。

今度、持ち主がダイハツのヒューモビリティワールド見学ツアーを
企画してくれるとサラッと仰っていた。

いつものメンバーでオーナー宅に集合し、
持ち主のダイハツ車コレクション数台で分乗して
池田に乗り込んで見ることも面白そうだ。(車中BGMはLady Gagaですねwww)

短期間の試乗では見えなかったアプローズの真の目的も見えてくるのかもしれない。
Posted at 2013/11/16 02:20:52 | コメント(4) | トラックバック(0) | 感想文_ダイハツ | 日記
2013年09月15日 イイね!

1993年式ミラ Jターボ感想文

今日は台風が近づいていると言うのに新舞子へ行ってまいりました。
雨と言うこともあり、クオーターを張り替えたDS3で行こうと思ったのですが
東京からゲストが来るという情報もあり白い方でいくことに。

マフラーの音は日に日にスポーティになっていますが、何とか到着。



関東組の皆さん、毎回よく来てくださると思います。ありがたい事です。
メーカーはバラバラなのに何となく似たようないじめられっ子車を愛して止まない面々。
マニアックな話に花が咲きながら恒例の試乗大会。

今回はイカさんのL200Sに乗せていただきました。

●死の香りがする赤い車

私が中学生くらいのころ、国語のI先生が4WSのL200Sターボに乗っていました。
ガングリップタイプの4ATがかっこ良かったのが印象的でした。
奈良の山奥に住んでいた先生で坂道を走るからターボだったのでしょうか?
「結構速いよ」と言っていたのが印象的でした。

私が大学生くらいのころ、中学の同級生で考古学を学ぶOKD君が
初めての車が欲しいというので一緒に色々物色した結果、
カーセンサーで売りに出ていたL200SのTR-XXにたどり着きました。
確か19万円だったと思うのですが、MTの免許はあったけど
運転経験が無いOKD君の代わりに私が
運転して地元まで運転したことを覚えています。

私自身も、軽のボンバンは乗ったことがありましたが、
軽セダンのターボ車などという高級品はすっかり縁が無く、
大変感動したことを覚えています。

OKD君に運転を教えてMTに乗れるようになってもらいましたが、
なかなかOKD君は車を使わない生活らしく、
L200Sは結構放置気味でした。

私はガソリンを満タンにしてオイル交換は定期的にやってあげる約束で
彼から車を借りて通学やらドライブやらに繰り出しておりました。

怖いもの知らずだった私は夜な夜な峠に繰り出しておりました。
重いステアリング、あやふやなシフトフィール、どっかんターボ・・・・。
(フィクションですよ)

荒れたアスファルトの田舎道を力づくで
ステアリングを押さえつけてまっすぐ走り、エイヤとステアリングを切り、
コーナー出口でタイヤを空転させないように
スロットルを開けて圧倒的な加速に酔いしれました。
結構無茶してたけど、グリッドIIを鳴らしながら
思い通りの走りができた瞬間は最高に気持ちよかったです。

まー、よく人に迷惑をかけずに済んだと思えるようなクソガキでした。
(フィクションですよ)

かなり私が乗るウエイトが多くて名古屋へ出かけたりもしたものです。
(普段17くらいだった燃費が20まで伸びてびっくりしました)
OKD君もよく僕なんかに貸してくれてたなぁ・・・としみじみ思います。

L200Sは、私が八幡で折れてたアンテナを交換したり、
ドライブシャフトのブーツを交換したり、プラグを換えたりバッテリーを変えたり、
磨いたり、本当に色々な思い出があります。(人の車なのに・・・。)
あのミラは彼が大学を卒業したころに色とガタが来て廃車になってしまいました。

あれから10年ほど時が過ぎ・・・イカさんが手に入れたL200SのJターボに乗せていただき、
あの頃の自分と再会しました。



見た目は平和な赤いミラ。ところが、前から見ると猛々しいインタークーラー冷却口
イカさんから鍵を借りて自動車専用道路へ。

加速車線で本線に合流するため、気合を入れました。

あの脳味噌がずれそうな加速、左がホイールスピンして暴れだすシャシー、
1速全開で2速へ変速してガツンとクラッチをつなぐと
インパネトレーがガチャガチャ音を出すあの感覚がもう完全にボクの青春





♪わーかーかーあったー、あのーころー、なーにーもーこーわーくーなかあーたー。

運転しているだけで一気にタイムスリップしてしまいました。

それにしても、こんな暴力的な車を許すマーケットがこの国にあったと言うことが驚きです。
ヤンキーの姉ちゃんがこんな速い車を好んでいたなんて・・・。
今の「広い」「燃費が良い」も悪くないですが、
「ただひたすらに速い」と言うことも個性だと思います。

Jターボは恐らく軽の非力さを嫌う層のために用意されたグレードだと思いますが、
このエンジンは明らかにスポーツエンジンであり、
マイルドチャージやMターボと言ったコンセプトの
エンジンが出る前の車だと言えましょう。

ちょうど、だいとら家のN-ONEツアラーにも乗せていただきましたが、
加速はどっかんではなく、速さ一辺倒ではなく力強さと扱いやすさを
バランスさせたパワートレーンでした。

Jターボが目指したかったあり方としてはN-ONEツアラーのような方向が正解に近いと思いますし、
商品として考えた場合、Jターボは出力特性がピーキーで今一歩だったのかもしれません。


・・・しかし、Jターボは理屈抜きに面白いクルマです。
しかも、新車当時の洗練された姿ではなく、ちょっとシケたこの状態が
私が若いころ(何故か)命を懸けて県道80号やら清滝峠を走っていた状態とシンクロし、
ミラターボの持つ死の香りに引き寄せられていたあの頃に戻れた気がします。

僕は絶対にL200Sは買いません。たぶん死ぬから。

これを普通に乗っていられるイカさんは紳士。異論は認めない。

イカさんありがとうございました。
Posted at 2013/09/15 23:51:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 感想文_ダイハツ | 日記
2012年02月25日 イイね!

1986年式シャレード ブランシェII感想文

1986年式シャレード ブランシェII感想文2021年9月「今求められているエンジン」から改題

流れで新舞子サンデーなるイベント?に参加することに。

現地は車好きの理想郷でしたね。

そんな中、若干場違いな80年代の地味な白い車3台で乗り込んでいったわけです。

ただ、元々車好きの私にとって幼稚園くらいの時、喘息のため通院していた
小児科の待合室で愛読していたCG誌の誌面を飾っていた車がたくさんあり、
非常にワクワクしてしまいました。

ランチアのテーマ・フェラーリはまさか実物が見られるとは思いませんでした。もう感動。

11時くらいまで新舞子サンデーに参加し、次回はDS3で行こうかなー、
それともやっぱり空気読まずにカローラにしようかなーとか思いながら、某テストコースへ。

シケイカーさんちのニューカマー、シャレード ブランシェIIに試乗しました。

廉価グレードベースに専用の外装を与えたお買い得仕様車で、
カルタスやマーチあたりと戦っていたのでしょうか。

角ばったデザインがたまりません。
外寸はあくまで小さく、中は広く。
少しばかりクオーターピラーを寝かせすぎたなという印象もありますが、
軽快感がありますし、当時はバンに見えることを極力嫌ったので止むを得ませんね。
当時の2BOXは比較的クオーターピラーが寝ています。

装備品としてはあんまり充実していません。しかし、簡素でいいじゃないか!
ナノイーとか着いてないし、下手したら思いっきり日焼けしそうなルーミーなキャビンですが
当時の女性はこういう車に乗っていたのでしょうね。(パワステないのに)

実際乗るとどうなのか、イカさんと白変を乗せて大試乗会を実施しました。
エンジン始動して感じるのはアイドル振動が皆無だということ。
3気筒エンジンなのに・・・・。と怪訝に思いました。
聞く所によるとこのエンジンにはバランスシャフトが組み込まれているのだとか。
そりゃスムースなわけだ。

昔乗っていたHondaCRMもバランスシャフトが着いていたので単気筒なのにスムースだったなぁ・・・。

余談ですが、ストーリアのエンジンはフレキシブルフライホイールを使って
クランクの振動を吸収していましたね。
バランスシャフトよりはお金がかからないと言う事でしょうが、
現代の1KRはそこまでやっているのかな・・・・・(聞くな)

ハッキリ言って今のトヨタの3気筒のNVレベルは低い。
アイドリングでもブルブルするし、走り出してもロックアップがかかった後の
ハイギア側だと商品性を疑うほどのNV。

とにかくアイドリングの瞬間から86年のシャレードの方が圧倒的にスムースでした。

走り出すと、重ステの感触にグッと来ます。
600kg台のシャレードと言えどFFはやはり重いです。
車を転がしながらステアリングをクルクル回して本線合流。

加速が良いです。
1000cc、4MT、3人乗車という厳しい条件なのにグイグイ走ります。
アクセル操作に対するレスポンスも心地よく無駄にアクセルを踏ませる事もありません。
60キロ位で走らせると、もう普通すぎて驚くレベルです。

軽量な車体のため、走行中のしっかり感は余りありません。
サスペンションもお亡くなりになりかけているので、それを論じるのはアンフェアー。
コーナリングもちょっとよれる感じはあります。それはそれ。

高速道路を走るなら、走行車線をのんびり走るタイプで追い越し車線をカッ飛んで行くには
多少パワーが足りないかもしれないな、という感じでした。軽自動車よりは全然良いんですけどね。
昔のファミリーはこういう車で高速道路を帰省していたりしたんだろうか、と思いを馳せました。

中央道とか牧の原とか、中国道の名塩はきつそうですね(笑)
更にエアコンかけたら死にそう。
名塩はその昔、K11マーチのATで死にそうになりました。

よく考えたら、自分の親だってEP71スターレットSEで奈良から埼玉まで600kmの帰省をしていました。
家族4人乗車で荷物が乗らないのでスキーキャリアに荷物を積んで・・・・。楽しかったなあ。

今だと、ミニバンが主流なのでそういうファミリーも減りましたね。
(ただ、EP71以降我が家はミニバンオンリーなのでミニバン大好きですけどね)


今の時代こそ、本当に簡素なミニマムトランスポーターとして
シャレードみたいな経済的な車が欲しいですね。
その意味ではe:sが後を継いだんでしょうかね・・・・あれは少し寂しい。

トヨタさん、次のKRではバランスシャフト入れてくれませんか・・・・・お願いします。

そしてイカさんには是非4ナンバー登録で生かしていただきたいものです!
感謝。

Posted at 2012/02/25 02:28:47 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_ダイハツ | 日記

プロフィール

「@キドニー何ちゃらの下僕 さん Google翻訳で発音させてみて爆笑です!優勝です!関連した話だともう25年前ですが、ホンダの小型車の名前がフィッタだったとそうです。スウェーデンではアカンらしくカタログも差し替えてフィットになりました。天麩羅もさる事ながらVW弁当も好きです。」
何シテル?   08/12 21:18
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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kotaro110さんのトヨタ クラウンステーションワゴン 
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