• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ノイマイヤーのブログ一覧

2018年05月29日 イイね!

2018年式セレナe-POWER感想文

2018年式セレナe-POWER感想文ノートの「ひと踏みぼれ」は本物だっただけに、
セレナのe-POWERも期待していた。

別店舗で2台ほど試乗した結論から言えば
動力性能は確かに力強く、
2L自然吸気を凌駕する。
しかし、ノートでは気にならなかった
E/G由来の騒音や振動が
キャビンに伝わるのは大変不快で、
300万円オーバーのミニバンとしては
情けないNV性能だと感じる。

走行シーンの半分程度はE/Gがかかっている。
つまり半分はEVの走りで感動するのだが、
もう半分はデリカシーの無いE/Gにがっかりする。
常にこの間を行ったり来たりするのだ。

上級パワートレーンとしての魅力度で
ジャッジするならば、E/Gの洗練度で
ステップWGNハイブリッドに軍配を上げたい。
こちらは、不快な振動も騒音も少なく、
俊敏さも兼ね備えている。

とは言え100%モーター駆動、ワンペダルドライブ、
プロパイロットなどメカニズム面で
セレナ固有のウリがある点はキャラが立っている。
ライバルと乗り較べてもセレナが欲しいと言わせる
余地も残されている点はよく考えられている。

それ以外はシャシー性能もぼんやりしていて
シャキッとしないし、車両感覚も掴み難い。
2列目以降もフロアが高くてサイサポートが不足、
傾斜したフロアは踏ん張りが利かないなど、
家族の快適便利ミニバンとしては不満が残る。

カップホルダーが12個、USBが6個、
シートバックフック8個などの数字で勝負しているが、
欲しい人には欲しいのかもしれない。

実際に見積もりを取った。
e-POWER ハイウェイスターV(340.4万円)に、
セーフティパックB(24.3万円)を着けて
ナビ(16.3万円)、ベーシックパック(9.9万円)、
ボディコート(7.1万円)、ETC2.0(4.4万円)で
用品がが38.2万円。

本体の総額は402.9万円。

メンテパック10.6万円とその他諸費用込みで

支払い総額427.9万円とのことだ。
ミニバンの激戦区ゆえに30万円位は
引いてくれて400万円を切る様な感覚だろう。

(e-POWERの魅力を安く味わうなら296.8万円のXに
スライドドアのセットオプション(5.9万円)+
ナビパック(2.7万円)+ベーシックパック(9.9万円)
+最廉価カーナビ(11.8万)+ETC(2.8万)+
バックモニター(3.9万円)で334万円+諸費用12.5万円。
ハイウェイスターより50万円以上現実的な価格だ。

それにしてもミニバンってこんなに高かったっけ?
と言うのが正直な感想である。
このクラスのミニバンはファミリーカーの1丁目1番地。
それだけに商品性の向上に注力されてきた。
それは質感とか乗り味ではなく、
●●が付いている、××が△個付いている。
◎◎が□□mm動く、と言った類の横並び競争であった。
ついに乗車定員以上のカップホルダーの数を
競う時代になったのかと思うと複雑な気持ちになった。

ユーザーが便利な車を、と望み続けた結果
装備の品目は増えたが車両価格に反映されている。
その結果、肝心のユーザーがパッと見て
割高に感じてしまうのではないだろうか。
ターゲットユーザーの所得は
昔とそんなに変わっていないのだ。

そこでセレナの価格表を見ると
Bというグレードがあることに気づく。
本カタログを見ても記載が無いので、
営業マンに確認すると、薄手の別カタログに
装備が記載されていた。

LEDライトや左右パワースライドドアなど
派手な装備は付かないが、
Frオートエアコン、Rrクーラー、
クルコンや緊急時自動ブレーキ、
運転席アームレストなどが着いている。

外装はハロゲンライト、フォグレス、
フルホイールカバーだが税込価格231.6万、
税抜きなら214.5万円だ。
NV200の1600ccプレミアムGX-3Rが
税込み233.1万円だが、
2Lで5枠を使い切るビッグキャビンで、
一通りの装備が選べるのだから
Bグレードは潔くてアリではないだろうか。

別のブログで取り上げた
20年以上前の初代ステップワゴン
185万円を考えればまだ高いが、
探せばまだこういう質実剛健たる
隠しメニューが残されているらしい。

まとめると、セレナe-POWERの私の感想は
ノートほどの感動は感じられなかった。
価格の高額さを考えると走りの質が期待値以下だった。
バッテリー性能のジャンプアップで
E/G稼動時間飛躍的に減らすか、
バランスシャフト追加など、
E/Gの根本NV対策を実施すれば
魅力度がグッと上がるあろう。

今の状態では安いグレードを選ぶ方が
得だと感じてしまった。
e-POWERの可能性を広げられるような
今後の改良に期待。
Posted at 2018/05/30 00:41:46 | コメント(2) | クルマレビュー
2018年05月25日 イイね!

1987年式ジャスティLJ感想文

1987年式ジャスティLJ感想文








5月の新舞子サンデーにてすばるっちさんの
愛車ジャスティに試乗させてもらった。

●ジャスティ概要
ジャスティは1984年2月に富士重工(スバル)が
発売したリッターカーである。
現在もダイハツトールのOEM版としてジャスティの名称は残るものの、
今回取り上げる初代ジャスティとの間に技術的な連続性は無い。

ジャスティは省資源・省エネが叫ばれる時代に
合理的なハッチバック2BOXスタイルと、
シャレードが切り開いた1L、3気筒エンジンという技術が
小型車を得意とするメーカーに伝播して
先にあげたシャレード、マーチ、
カルタスなどのリッターカー市場に対する富士重工の回答であった。

当時の開発の狙いは
(1)扱い易さ、経済性といった軽自動車レックスのメリットの継承と、
走行性能・静粛性といった小型車メリットの付与により、
基本商品性の高いリッターカーとする。
(2)レックスの量産メリットを生かし、
蓄積技術の「4WD」という独創性の高い商品要素により、
他銘リッターカーとはひと味違った特徴ある車を目指す。
(3)軽と小型の中間を埋める車種として位置付けし、
拡大しつつある乗用4WD市場においては
スバル4WDのフルライン化を図る。
(4)国際的に通用する車にする。
とのことだ。

ジャスティは拡大傾向にあったリッターカー市場では後発組であった。
そこでスバルのコア技術である4WDを奢り、
軽自動車レックスと可能な限り部品を共通化することで差別化を図ろうとした。

車体形状は3ドアHB/5ドアHBが選べ、
駆動方式はそれぞれ4WD/FFの組合せで4種類。

グレード構成は明快で、
4WDは英語のRapidlyの「R」、FFはLuxuryの「L」が先頭に来て、
スポーティ仕様の3ドアはSportsの「S」、
ファミリー仕様の5ドアはJoyfulの「J」が後につく。

面白いのは、この手の車にしてはグレード展開がシンプルで、
明らかに価格重視の廉価グレードはラインナップされていない。
今回試乗したLJはFFのファミリー仕様という事になるが、
他のグレードでは選べないエコエンジンのオプション設定があったり、
当時高級装備の類であったクオーツデジタル時計が装備されるなど、
決してイメージキャラクター的な4WDを前面に出す為に、
FFを廉価グレードに留めない点はスバルらしいマジメさを感じる。
(ラジアルタイヤやRrワイパーも全車標準装備であった)



リッターカーなるジャンルは軽を擁するメーカーと
登録車専業メーカーではアプローチの仕方が異なっていた。
スズキやダイハツはリッターカーを
軽自動車の資産・ノウハウを活かし、
軽自動車+αの登録車として開発したので、
出来上がったリッターカーはある種の割切りや潔さを感じる。

スバルの場合もレックスのコンポーネントを活用しながら
新開発の3気筒エンジンとお家芸の4WD技術を組み合わせた。
後にECVTを追加したり1.2Lを追加したり商品力強化に余念が無かったが、
結果論から言えば、競合のシャレード、マーチ、カルタスは
フルモデルチェンジを受けることが出来たが、
ジャスティはビッグマイナーチェンジはあれど、
2代目からは輸出専用のカルタスのOEM版になってしまい、
最近は日本国内でもトールのOEM版として名前が残るのみだ。

明暗を分けたものが何か考えてみると、
競合が軽顔負けの低価格モデル(60万円台~)を用意したり、
女性ユーザーを意識したファッショナブルなまとめ方を
していたのに対し、
ジャスティは、基本装備は充実しているものの
スタート価格が割高(80万円台~)で、
まだヘビーデューティなイメージが残る4WDを売りにした戦略が
市場で理解されなかったのかもしれない。
(もっとも、積雪地では4WDは嬉しいだろうから地域性はあるはず)

コンパクトカーは価格競争力が無ければならないが、
台数が稼げないと投資ほど収益は見込めない。
ジャスティでリッターカー市場に参入したものの、
小規模なスバルにリッターカーを続けることは過酷だったのかもしれない。

ジャスティ以後はレガシィのヒットを経て、
小型車は水平対向エンジンのインプレッサに絞られ、
軽自動車は2気筒エンジンから一気に4気筒化して
独自色を強めた。
(ドミンゴはライバル不在の恩恵を受けて2代目が作られた)


●ジャスティの内外装
ジャスティは実車を見ると軽自動車かと思うほどコンパクトだ。
全長3535mm/全幅1535mm/全高1390mmという小ささは
当時のリッターカーと類似したサイズ感である。

ボディスタイルは直線的でシャープな印象で
黒バンパー、ドアミラー、低いベルトラインは80年代の
健康的なリッターカーの定石通り。



スタイリング上の特徴としてはPP樹脂バンパで
空力的に有利なエアダム形状をし、
ボディ周辺を黒いサイドプロテクタで覆っていたが、
4WDのチッピング対策として採用されてものであろう。
また、欧州車の間で流行していたブラックアウト塗装が採用され、
カウル、ウィンドゥ周りとルーフドリップモール(ゴム製)、
ワイパーアームが黒く塗られて引き締められている。

個人的なジャスティ最大の見所はフロントマスクだと感じており、
角目2灯式にクリアランスランプがついて男らしい顔つきだ。
グリルもハニカム形状でレックスよりも十分差別化された
ワイドでスポーティなスタイルである。



デザインテーマは俊敏な走りと機動性というテーマらしく
カッチリとした面で俊敏さをイメージさせ、
低いベルトラインで機動性を感じさせる。

当時は空気抵抗の少なさの指標であるCD値が注目されており、
ジャスティの場合は0.38という数字が公表されている。
当時の感覚なら全長が短いリッターカーで0.4を切れば上出来だった。

内装はメータークラスタにヘッドライトの上下、ワイパースイッチが
取り付けられた80年代に流行した様式だ。



当時子供ながらにカッコいいと憧れていた。
これからの車はみんなこうなるんじゃないかと思い込んでいた。
操作性上のメリットは少なく、頻度の高いスイッチは
レバーに戻されて流行は廃れてしまった。

ヘッドライトの点灯状況など車両状況は速度計右のグラフィカルモニタで
車両平面視の絵に各種警告灯が配置され分かり易い。
こちらはレオーネでも似たことをやっており、
現代の液晶画面が一等地を占めるメーターデザインよりも自由度があった。

●ジャスティのメカニズム
ジャスティは技術オリエンテッドなスバルのリッターカーゆえに、
技術面では競合を凌駕するメカニズムが奢られている。

エンジンはドミンゴが最初に採用したEF10-S型で、
バランスシャフトを採用した水冷直列3気筒SOHCエンジンである。
特筆すべきはシリンダブロックの各気筒の冷却水路が
近接したサイアミーズタイプの鋳鉄ブロックにアルミ合金製、
多球型燃焼室のクロスフロー型シリンダヘッドを持つ。



スペックは63ps/6000rpm、8.5kgm/3600rpmと競合を凌ぐ。

特にLJグレードにはエコ仕様がメーカーオプションで選択できた。
エコ仕様専用のEF10-E型エンジンはパワーが57psに落とされるものの、
吸気にスワールを発生させるポート形状がつき、
カムプロフィール変更、減速時燃料カット、フリクション低減、
最終減速比のハイギアード化(4.058)を組み合わせて

10モード燃費が標準モデルが20km/Lであるのに対し、
23km/Lという低燃費を誇る。

特筆すべきは、この手のエコ仕様は
カタログに書かれる燃費を彩る為に装備を徹底的に省いて軽量化し、
実用に値しないグレードになっていることが多いが、
ジャスティの場合、実用に値する仕様設定である部分もマジメさを感じる。

シャシーも独特だ。
Fr:ストラット Rr:ストラットという4輪独立懸架であることは
上でも述べたのだが、競合に対しては明らかな優位点であった。
FF第一世代は4輪ストラットが多かったが、
スペース効率の良さからトレーリングアーム式を採用するモデルや、
潔くTBA(トーションビームアクスル)を採用するモデルが多かった。
ライバルのリッターカーではシャレードが5リンク式リジッド、
マーチが4リンク式リジッド、カルタスはリーフリジッドだったらしく、
ジャスティのハイテクっぷりが際立った。



また、アームはボディに直接取り付けるのではなく
サブフレーム(クロスメンバーと呼称)に取り付ける
現代的な方式を採用している。
路面から受ける力をサブフレームでしっかり受けることで
モノコックに直接アームを取り付けていた
当時一般的だった方式より走りにしっかり感が出る。

ロアアームはプレス成型で作られた開き形状で、
アーク溶接で閉じ断面を成型した方式より
剛性で劣るが軽量さ、コスト、防錆性能では優れる。

防錆と言うキーワードが出たが、
ジャスティは亜鉛メッキ鋼板の採用やカチオン電着塗装により
レオーネ相当の防錆性能を確保しているという。
現代の目で見ればサスタワーやカウルなど重要な部位に
エッジシーラー処理されておらず、エッジ錆に対する配慮が
十分でないような部分も見受けられたが、
1984年デビューの車としては十分な対応と言えそうだ。



このほか、ブレーキ配管を2系統とし、室内配管とするなど
安全性という面でもスバルらしい内容だ。

●ミニインプレッション
私を含めて4人乗車にて試乗した。
試乗コースは交通量の少ない自動車専用道路と周辺道路である。

運転席に乗り込んだ。
コンパクトカーとして十分な広さのキャビンである。
当時のFFコンパクトカーの定石どおりの設計で
フロアが低くシフト前のセンターコンソールが無い為、
足元が広々としている。



ステアリングのオフセットやペダルレイアウトは特に不満も無い。
唯一、ステアリングのシャフト自体が傾斜しており、
ステアリングと右手と左手が来る位置が異なる点は違和感があった。
レックスと何らかの部品が共用化されている可能性もあるが、

エンジンを始動するのだが、キャブレター車ゆえに少しアクセルを
踏んであげながらキーを捻ると快調にエンジンが始動した。
アイドリング振動が無いのは流石バランスシャフトを採用しただけの事はある。
この部分は現代の3気筒車を凌駕している。

クラッチを踏み1速にシフトした瞬間、
懐かしのヴィヴィオ・バンの記憶が甦った。
横方向に異様にストロークの大きな節度感の無いシフトは
まさしくスバルの味そのものなのだ。

レガシィB4やWRXのコリコリしたシフトとは一線を画す
MTフィーリングは10年以上前の懐かしい感触である。

発進し、道路に出る際に重ステであることに気づく。
タイヤが転がってさえいれば決して重くは無いのだが、
車重660kg、145R12という軽自動車サイズのタイヤであっても
据え切りやUターン操作は中々筋力を要した。

幹線道路で加速させるのだが変速がやりやすい。
リズミカルに加速し2速、3速とギアを上げていった。
現代の電スロやらEFIになれた身にはワイヤー引きのキャブ車は
ものすごく俊敏な反応を見せてくれ、ダイレクト感が桁違いだ。
ペダルに載せた足の親指の微妙な角度変化で車速調整が
出来るほど車との一体感が味わえた。



ライバルより強力な63ps/8.5kgmを誇る
1リッターEF10-Sエンジンは扱い易いトルク特性でぐんぐん車速を上げた。

シャレードに端を発する3気筒エンジン特有の力強さは
コンパクトカーにピッタリの特性を持っている。
今回は4人乗車ゆえに鋭い加速とは言い難かったが、
それでも十分に走らせることが出来る点はさすがである。
1名乗車は試していないが、十分な実力を誇るだろう。

思えば、660ccの軽自動車で4人乗車すると
いかにも精一杯と言う感じで緩慢な加速を強いられるし、
当時のターボつきの軽なら絶対値としてのパワーはあれど、
ピーキーさが目立ち自然吸気で低速から実力がある
ジャスティの方が余裕は無くとも十分な動力性能と感じられた。

FF車は最終減速比も4.437と
4WDの5.285よりもハイギアードな設定で
1~2名乗車で高速道路をミズスマシのように
オーバードライブでスーっと走らせるのに向いているだろう。

サスペンションは4輪独立懸架を採用しているが、
車重の軽いジャスティに4名乗車では
サスが沈んでしまったようで
比較的ダイレクトに路面のうねりが伝わった。

ボディ剛性感と言う視点ではノウハウが無い時代だ。
一般的な道路を20万km走っても亀裂なし、
という強度基準ならマルが取れるようになってきた時代だが、
剛性感ある乗り味を語る時代には
まだまだ突入していなかったのだ。

また、スバル360から使い続けている
ラックアンドピニオン式ステアリングは正確な舵取りが出来る一方、
こちらも経年変化と思われる操舵時のフリクションが認められた。
ステアリングを操作する際に、動き出しが渋いため、
恐らくどこかの摺動部、回転部の摩擦が増大しているのだろう。
基本的には強いトルクステアを感じることも無く、
どっしりとした乗り味であった。

複数の方が試乗したが、皆「5速がいい」と口にしていた。
この頃のリッターカーは最上級グレードなら5速が用意されていても、
量販グレードは4速が当たり前だった時代に
全車5速のジャスティはクラスを超えていた。

思えば私が所有していたヴィヴィオ・バンも、
友達が乗り回す軽ボンバンは皆4速だったのに、
私だけが5速で勝手に優越感に浸っていたが、
ヴィヴィオの場合は小排気量4気筒という
低速トルクの細さに対応した設定だったが、
ジャスティの場合、十分にトルクがある為、
ハイギアードな5速は余裕を感じ魅力的だった。

●まとめ
キャブ・MT・パワステレスというスパルタンなスペックのジャスティは
当時のターゲットユーザーである20代~30代の
ドライバーの指示にダイレクトに呼応し、
ファン・トゥ・ドライブな走りを提供しただろう。



特に4WDを選べば日常性能に加えて雪道などの悪路も
安心して走れる、というライバルに無い個性も発揮した事だろう。
子供の頃、ジャスティはほとんど見かけなかったし
ヴィヴィオを買った頃、お世話になっていたディーラーで
ジャスティが好きだ、などという話をすると「あれはねー」と
困り顔だったことを思い出すが、ECVTで苦労したのかもしれない。

それにしても、まさか私の人生でジャスティを運転する機会に恵まれるとは
微塵も思わなかったのに、それが叶う人生とは数奇なものだと思った。

この年代だとシャレード、マーチに乗せて頂き、
うどん屋さんのコルサにも乗せてもらったのだが、
ジャスティは全体のトータルバランスやファッション性と言うより、
流行に流されないポリシーを持っている車のように感じた。

最後に、貴重なジャスティを運転させていただいた
すばるっちさんに大感謝。
(また機会がありましたらカローラとRAV4にも乗ってみてください)
Posted at 2018/05/26 00:01:39 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_スバル | 日記
2018年05月20日 イイね!

20180520新舞子サンデー出席

新舞子サンデーにカローラで出席してまいりました。

当日は天候がよくミーティング日和でした。
あんまり写真は撮らず、素敵な車たちを見せていただき、
時間が許す限り顔馴染みと車の話をしておりました。

一旦帰宅後、家族と共に会社の行事に出席しつつ、
イカさんが来られているということで、妻のココアで再び新舞子へ。

素敵な時間を過ごすことができました。

下記、撮影できた車の抜粋です。



▲コロナエクシヴです。
当時こういう車がごろごろ走っていた時代に少年時代を過ごしました。
背が低い車がカッコ良かった時代からRV全盛へと移り変わる時代でした。



▲この車の見所はピラーレスハードトップなのですが、
ドアウェザーに注目、一本のドアウェザーストリップのシール線が2重になっていて
再び型部で一重に戻るのです。
普通のドアならここまでやらなくても良いのでしょうが、ドアサッシュが無いので
水入りやNV性能に記を配ったのでしょうね。




▲ドアを締めるとセンターピラーがブルッと振動します。
片持ち梁になってしまうので辛いところです。
エクシヴの場合、衝突対策やドアの支持のため
センターピラーをカチカチに固めているはずですが、
片持ち梁の為、強度よりも剛性でビハインドになっています。
しかし、それでも流麗なスタイリングと開放感を技術によって実現したのですね。



▲元カリーナEDオーナーの今津氏のレクチャーを受けました。
そもそもRr席は座れたもんじゃないし、座らせる気もないと思っています。
しかし、尻を前にずらせば173cmの今津氏もしっかり座れるのです。
シートの座面形状も自然とそういう座り方になるように形作られています。
正しいか?と言われればそれは正しくないのかもしれませんが、
エクシヴなりにスタイルと最低限の実用性を両立させているんですね。



▲ジムニーなんですが、何とガソリンスタンド店員想いなのでしょうか。
絶対誤給油できなさそうです。



▲コガネムシ色の可愛いR-2です。
どうしても父の同僚が乗っていた赤いR-2を思い出します。
同僚は良く運転中競馬中継を聞いておりました。




▲特定の方用の画像です。



▲心洗われる幸せの黄色いKP61です。



▲見た感じ、錆や腐りがなくパリッとしています。
しかもSE。OKモニターや木目インパネがたまりませんでした。
丸目の時は和製シェベットを連想させる印象でしたが、
改良を経て独自性が出てきて良いですね。
子供の頃からデザインが好きでした。



▲こんなすごい車も居ました。205ターボ16というのが正式名称のようです。
コ・ドライバーの直後にエンジンがレイアウトされるものすごいパッケージです。
全く詳しくないのですが見入ってしまう車でした。



▲浅田真央さんの愛車に非ず。
アストンマーチンのオーナーが普段使いできる様にラインアップされたシグネットです。
シグネットに限らず、アウトランダーベースの4007とか、
ロドスタベースのアバルト124スパイダーとか、
確立されたアイデンティティを持つ欧州メーカーはこういうモデルを仕立てるのが上手ですね。
(別にヤリスセダンのことは何も言っていません)



▲I井さんのGS151系クラウンセダン。
購入した時はガッサガサだった塗装を半年かけて磨き倒して仕上げた一台。
艶々で車庫保管ですと言われても信じそう。
自分のRAV4も磨いたら変わるかなぁとささやかに期待したものの、
「クリアーが脱皮してたらあかんで」とのシビアな現実を知るのでした。
直列6気筒の端正なセダン。
ハードトップメインなのは仕方ありませんが私は結構好きでした。



▲午後の部は家族連れで参戦しました。
我が子はスギレンさんのランサーセディアワゴンが気に入ったようでした。
ずいぶん楽しかったようで、夜はスッと寝てくれました(笑)



▲午後の部参加のトリガーを引いてくださったイカさんのシャレード。
現行車でISO-FIXバーが着いてるので家族で試乗させてもらいました。
あのパッソがシャレード化(イカさんモディファイ)で
ここまで化けるとは思いませんでした。
駐車場内を一周しましたが、これなら高速もしゃっきりと走れそうです。
イカさんにはRAV4にも乗っていただきたかったですが、次の機会に!

私のカローラGTの写真は撮りそびれましたが、
天候がよく、軽くワックス掛けといて良かったと胸を撫で下ろしました。
来週から、入梅しそうなので梅雨明けまで一旦お休みさせます。


Posted at 2018/05/20 23:37:39 | コメント(1) | トラックバック(0) | イベント | 日記
2018年05月19日 イイね!

他人の物置を他人が勝手に修繕し磨きました

この記事はステップWGN G感想文のオマケです。

N兄さんのステップWGNを返却する日
私は待ち合わせ時刻の一時間前に某所に向かいました。

スギレンさんと待ち合わせをし、悪巧みを開始しました。

N兄さんのステップWGNを貸していただき
初のFFセミキャブ式ミニバンの名車っぷりに感銘を受け、
ブログに感想文を記録したのですが、

実は家族を乗せる前に私は毎日、
会社のお昼休みや就業後の時間を利用してせっせと
ルームクリーニングに励んでおりました。



と言うのもステップWGNは喫煙車だったようで
ヤニの臭いが車内に染み付いていたからです。

元々N兄さんが物置として購入した車なので、
当初は苔(こけ)だらけで、N兄さんが必死で洗車したのだそうです。
(価格も物置代+αでした)

加えて、凹んでいたエンジンフードやドアミラーを中古品に交換、
さらに2代目ステップWGN用の純正アルミで決めてくれていました。

内装も、片付けて掃除機を掛けてくれていたのですが、
子供を乗せる時に少しでも環境をよくしようと思い立ち、
タオルを用意し、水の激落ちくん
購入しました。

水の激落ちくんを内装にスプレーしてしばらく待つと、
汚れがどんどん浮き上がって来ますので
それをタオルで拭き上げます。

ピラーガーニッシュ、内窓、シートレールカバー、
インパネ、ステアリング、Rrエアコンにルーフヘッドライニング、
そしてシートやトリムもせっせと拭き上げたところ、
内装の色が明るくなってきました

仕上げはリセッシュデオドラントパワーです。
タバコの臭いが染み付いた内装に思いっきり
スプレーをしてやります。



連休に家族を乗せるまで毎日出勤前、帰宅前にスプレーしました。

かくしてインテリアはある程度の綺麗さを取り戻して
連休に入り、チャイルドシートを取り付けました。

N兄さんに返却する日に早めにスギレンさんと待ち合わせたのですが、
その理由は試乗の際に気になった部分を補修したかったのです。

あいにくのお天気でしたが、
さっそく(スギレンさんが)作業に取り掛かります。



本職は車屋ですか?という速度で内装を外し始めました。

私は外されたエアコンレジスターの汚れを
裏から拭き上げておりました。



私が気になっていたのは毎日目視するメーターの
スクリーンが小傷で白っぽくなっていたのです。

これをプラスチッククリーナーで(スギレンさんが)せっせと磨き、
小傷は綺麗に消えていきました。

更に、夜間走行時に燃料系の針が見え難いなと思っていたら、
メーター照明が球切れしていたのでした。
目盛りの透過照明ではなく、
針を照らす照明がメーター上に別に着いていたのでした。
これをペンチなどを用いて交換してしまいました。



現状復帰しようとしたら、何と待ち合わせよりも30分以上早く
私のカローラに乗ったN兄さんが到着してしまうというアクシデントが(笑)。

N兄さんも怪訝そうにステップWGNに乗り込んできましたが、
気を取り直して復旧作業完了。(N兄さん、勝手に作業してすいません)

雨が激しくなってきたので会話がてら
近所の屋根付駐車場があるホームセンターへ。

新しいプラスチッククリーナーとウエスを購入して、
次なる改修作業に入ります。

ステップWGNは樹脂ヘッドライトレンズを採用しており、
経年劣化で表面が曇ってきてしまいます
私が乗っていた限りは光量は足りていたし、
写真写りも中々悪くなかったのですが実際はちょっと寂しい。

そこでプラスチッククリーナーでごしごし削ります。



ごしごしごしごしごしごし・・・・・




レンズの奥にある丸いリフレクタもすっきり見えるようになりました!

お次はRrコンビネーションランプのレンズです。
よく見ると小傷がたくさん入っているのですが、



ごしごしごしごしごしごし・・・・・




映り込みがシャープに!

ちょっとしたところが綺麗になるだけでステップWGNに
どんどん現役感が出てきます。

勿論、最終的には物置ですが、車検が切れるまでは少しでも
綺麗な車であって欲しいという一心でついにボディも磨き始めたところ、
意外とツヤが出ることが判明しました。
(クリアが死んでどうしようもない箇所もありますが)



N兄さんが「なんか磨きたくなってくるじゃないですか・・・」
「車検とろうかな・・・」「純正エアロ探そうかな・・・」

何やら前向きな発言が飛び出してきたのを我々は聞き逃しませんでしたよ(笑)

当日、警報が出るくらいの雨で駐車場もどんどん浸水してきたので退散しました。
駐車場から出る前に暗い場所でメーター照明が綺麗に光る事を確認して
スギレンさんと二人でニヤニヤしてしまいました。
(N兄さんだけのけ者にしてしまい、申し訳有りませんでした)



本来の目的だったカローラの鍵を受け取ったものの、
豪雨の中カローラを運転したくなかったので、
過走行対策で休憩中だったRAV4を引っ張り出して帰宅しました。
ちょっとした冠水路も走破できる何とも言えない安心感があります。



ステップWGNから乗り換えると乗り心地は悪いものの、
キビキビに走るRAV4が何となくスポーツカーのように感じましたとさ。

Posted at 2018/05/19 22:54:11 | コメント(1) | トラックバック(0) | 一般ブログ | クルマ
2018年05月12日 イイね!

1997年式ステップWGN_G感想文

1997年式ステップWGN_G感想文









N兄さんが格安中古車でステップWGNを購入された。
以前レンタカーで借りた際の印象が良く、
つい乗りたくなってしまった、
とのことで車検が切れたら物置にしようと考えているそうだ。

格安価格で購入した初代ステップWGNは
どうやら宿泊施設の送迎用に使われていたらしい。
お借りする直前にオルタネータが死亡したが、
リビルト品でバッチリ修理して頂き、
我が家の連休を共に過ごすこととなった。
(N兄さんにはカローラに乗ってもらった。)



(感想文中に出てくるバネット・セレナは
 私の親が1991年に購入した車を指し、
 ライトエース・ノアは親が2000年に購入した車を指す。)


●現代的ミニバンの始祖と言える名車


1996年5月に誕生したステップWGNは
「ここ」で触れたとおり、現代のミニバンが持つ
「5ナンバー/FF横置きエンジン/ウォークスルー」を
初めて備えたエポックメイキングなモデル
である。

私は1995年の東京モーターショーにS-MXと並んで
F-MXとして参考出品されていたステップワゴンを見て
あのホンダが1.5BOXミニバンに参入するという事実に
大変な衝撃を受けた記憶がある。
当時、私の親がバネット・セレナに乗っており、
3列シートのミニバンは後輪駆動が当たり前なのだ!
と思い込んでいた上に、
ミニバンらしくないところが売りのオデッセイが
スマッシュヒットした事から
ホンダがセレナやエスティマ・エミーナ/ルシーダに
真っ向から勝負を挑むとは思えなかったのだ。

当時、ホンダはオデッセイ以後のRV車に
「クリエイティブ・ムーバー」と名づけていた。
(Honda Green Machineみたいなものだ)
第一弾はオデッセイ、第二段はCR-V、そして
ステップワゴンが第三段となった。
(ファミリームーバーとも呼ばれていた)

ステップWGNを語る上で外せないのが広告の存在だ。
絵本のようなタッチで「こどもといっしょにどこいこう。」
というコピーは、ミニバンが持つ「楽しい家族」のイメージを
ストレートに意識させ、私などはCFテーマの
オブラディ・オブラダを聞けば「ステップワゴーン ホンダァ」
と思わず口走ってしまうほど脳裏に強烈な印象を残した。



実はこの一連の広告は現在N-BOXの広告を担当している
佐藤可士和氏が手がけたと聞いて
むむむ、さすが天才、と膝を打った。

登録車で後輪駆動のP/Fを持たないホンダが
世に放ったステップWGNは従来の常識から脱却し、
完全乗用車ベースで割り切りを生かした車に仕上がった。

FFベースながらスライドドアを持つボクシーな見た目は
完全なる1.5BOXミニバンであった。
多彩なシートアレンジや快適装備を持ちながら、
ライバルと異なるFFの良さを生かした
フラットなフロアやウォークスルーに加え、
すっきりとした割切りによって驚くべき低価格も実現した。

3列シート最廉価モデル(G FF車)は
179.8万円という驚きの低価格を誇った。
現代ならN-BOXカスタムのターボ(175.5万円)に近い。
1996年当時の競合車と比較すれば、



セレナ 2.0FXは211.7万円、
エスティマルシーダ 2.4 Xが214.3万円、
デリカスペースギア 2.4XGが195.2万円、
ボンゴフレンディ 2.0RS-V 197.4万円、
ライトエースノア G 195.5万円。

どれも200万円近傍が実質スタート価格だったが、
フル装備で必要十分のグレードでも180万円という
ステップWGNがどれだけ破格の安さかが分かる。
ちょうど、同時代のマツダ・デミオや
海外のダチア・ロガンの様なキャラクターだ。

後輪駆動が当たり前だった
セミキャブ式3列ミニバン界に与えた影響は計り知れず、
ステップWGN以後デビューしたセミキャブミニバンは、
日産エルグランドを除いて全てFFレイアウトを採用したという
実に意義深いモデルなのだ。

ステップWGNはオデッセイ、CR-Vに続いて
スマッシュヒットを飛ばしてホンダの経営を立て直しただけで無く、
数多くのファミリーユーザーをミニバンの世界に誘導し、
独身者の間でも仲間とワイワイ遊びに行く遊び車としても選ばれた。

デビュー以後、至る所で初代ステップWGNを見かけたものだ。
スーパー、ドラッグストア、ファミレス、駅、塾、学校、
或いはキャンプ場、遊園地、高速道路のSAなどなど。
物心ついた後で90年代を過ごした人なら
この表現が嘘では無いと信じてくれるはずだ。



ヒットモデルゆえ中古車としても多数流通していたのだが、
ちょうど5年ほど前までは同級生が
特別仕様車ホワイティーを所有していた。
休日はモトクロスバイクのトランポとして活用し、
冬場は同級生6人でスノーボードへ良く出かけた。
当時の格安中古車ゆえにボロボロのガタガタだったが、
車内で聞いたラルクのCDや諏訪大社に行った際に
雪が積もった駐車場でスタックして全員で押した思い出など
楽しい記憶がすぐに思い出される。


●FFで1.5BOXミニバンを実現させた秀逸なパッケージング


ステップWGN以前の1.5BOXは後輪駆動ベースであった。
理由は断定できないが、それ以前に存在した3列シートの
乗用ワゴンは商用車ベースで企画されていた影響や、
多人数乗車した際にFFではトラクションが不足するかも、
という懸念があったかもしれない。
ホンダは後輪駆動のP/Fを持たず、
先入観も持たないので手っ取り早いFFを選択した。

FFのメリットはセダンにおけるメリットと同じく、
・駆動系を収めない為、床が低くできる
 (燃料タンクや排気系は存在)
・プロペラシャフト、ホーシングが不要
・横置きゆえにエンジンルームが短い
・横風に強い
・部品点数が少ないので低コストで軽量
などといった点が挙げられる。

後発のステップWGNは
全長4605mm/全幅1695mm/全高1830mmという
ミドルセダン級の全長を持つが
ホイールベースは2800mmと
セダンよりも余裕のある寸法を持つ。

競合のエスティマ・エミーナ/ルシーダよりは小柄だが、
四角い分だけ大きく広々と感じさせる。



室内空間は室内長2730mm/幅1575mm/高さ1335mmであり、
旧来のフルキャブ式1BOXより室内長は短いものの、
低床化の効果で全高の割りに
室内の高さがあり広々としている。

フルキャブ式ワンボックスはE/Gの上に
1列目シートが配置される為、
寸法上は室内長が3000mmを超えるものの、
2列目前の足元にデッドスペースがある。
ステップWGNは1~3列目まで
フラットな連続したフロアが続く

乗り込んでみれば実用的な広さがある事が分かる。

また90年代はミニバンからハッチバック、
セダンまでもウォークスルーが流行した。
運転席と助手席の間が通り抜けられるように
床が低く、足元が広いことが求められていた。
車幅の関係で後席へのウォークスルーが出来ないモデルも
運転席と助手席の間が通り抜けられる構造も
サイドウォークスルーと呼んでセリングポイントになった。

勿論ステップWGNも完全なるウォークスルーを採用、
足踏み式駐車ブレーキとコラムシフトによって
足元スペースを確保した。

1996年当時、販売されていた競合車の中で
ボンネットを持つセミキャブタイプの代表的な車種は
セレナ、ボンゴフレンディなどがあったが、
フルキャブオーバー式1BOXの前輪だけを前に出し、
相変わらずエンジンの上に運転席があるため、
ウォークスルーは不可能。

スライドドアは当時のミニバンの目玉装備であり、
ステップWGNも左側のみに装備された。
(両側スライドドアになるのは3代目から)



FRベースの競合車であるデリカスペースギア、
タウンエース/ライトエース・ノアがあったが、
床が高くなるため、乗降用ステップが設けられた。

独自のアンダーフロアミッドシップレイアウトを
採用した革新的なエスティマ・ルシーダ/エミーナも
ウォークスルーは出来るものの、フラットフロアや
乗降用ステップ廃止までは出来なかった。

ステップWGNはFFゆえに競合より床が低く平坦なこともあり、
大胆にも乗降用ステップを廃止して
フロアに直接乗り込めるような高さに設定した。

フロアは低いが、ルーフは競合車(標準ルーフ)並の
高さまであるので室内高が1335mmと余裕がある
例えばFRレイアウトの
ライトエースノア(STDルーフ)は1260mmと不利。
見晴らしよくアップライトに座れ、
乗降用ステップの分床面積が食われないので
実質的に広い居住空間を持つ。

燃料タンクやマフラー、
スペアタイヤも効率的に配置して
フラットフロアの実現に寄与している。

●シンプルで機能的なエクステリアデザイン
私が思うステップWGNの最大の魅力は
すっきりと機能的なエクステリアデザインだと思う。

シンプルに箱をイメージしたストレートな主張だが、
ちょっとざっくりしたテイストが原価企画上の安っぽさを
雑貨然とした親しみ易さに変換した今でも見習いたい意匠だ。

ライバルとの競争が激化するに連れて「ワル」な雰囲気を求めた
グレードがステップWGNの本流に変遷していったが、
初代ステップWGNが提供したものは、
あくまでもシンプルで明るいファミリーイメージだった。
(素っ気無いデザインだからこそ
カスタムベースに向いていたのかも知れない)



フロントマスクは大型異形ヘッドライトで
クロームメッキのラジエーターグリルで挟み込んだ
当時のホンダのファミリーカーと較べても
比較的落ち着いている。
異形ヘッドライトと言っても奥には
丸型のリフレクターが見えて、
チャーミングな瞳を持っている。
プロポーションとしてはサイドの絞込みを押さえて
四角い断面になっている点も競合と異なる。



サイドビューは当時のライバルと異なり
ノーズが突き出たエンジンルーム以降が
ボクシーなキャビンとなっており
視覚的にも広さや機能性を感じる。



サイドアウタパネルとルーフを繋ぐ部分は、
ルーフラックのような大型モールで覆われており、
Rrコンビランプに繋がる処理、
更にRrバンパーからドア下を経て
Frバンパーに繋がる処理は
幾何学アートのような楽しさがある。



Rrビューは当時の流行を反映した
大きな縦型リアコンビランプが目を引く。
当時のRV車の間で流行した手法だが、
ホンダでもCR-VやS-MX、ライフ、ストリーム、
バモス、HR-Vなども縦型Rrコンビランプを採用していた。

ステップWGNは後発ゆえに
曲面基調がメインだった当時の競合には無い
直線的で機能を期待させるモダンな
エクステリアを擁していた。

現代では悪そうなスパーダありきのデザインになったが、
本来のステップWGNというものは
カジュアルなファミリーミニバンだと私は思う。


●ミニバンの魅力を盛り込んだインテリア


大容量・低価格が売りのステップWGNは
内装のトリムレベルが明確に重み付けされ、
2・3列目に集中的にコストが掛けられている。

1列目のドアトリムは樹脂のままだが、
2列目以降のベルトライン以下はクロス張り/フェルト張り
となっており、一般的なミニバンよりも奢られている。



現在と同じく当時のミニバンも
多彩なシートアレンジをアピールしており、
3列目を左右に跳ね上げるスペースアップや
2列目と3列目を繋げてベッドにできるフルフラットなど
の一通りの機能を持っている。



特に時代を感じるのは2列目に補助席を持つことと、
2列目が回転して3列目と対面で座れるアレンジがある点だ。
これらの構成は遅くとも1980年代から続く伝統のレイアウトで、
3列目へのアクセス性を考えて、折りたたみ式を採用し、
回転対座はリビング感覚を演出した。
我が家にあったバネットセレナにも
補助席や回転対座があったが、
補助席はあまりにもサイズが小さすぎて安全性に疑問が残ったし、
回転対座も実際に使ってみると、乗り物酔いする代物だった。

ステップワゴンでは回転対座シートの他に
ポップアップシートが選べた。

これは2列目を大きく畳むことができ、荷室の床面積を
飛躍的に拡大できる利点がある。
ミニバンのシートバリエーションは回転対座と
キャプテンシートの二種類が多いが、
ステップワゴンはキャプテンシートではなく、
ポップアップシートを用意した点は
実用性に徹したステップWGNらしい。



いずれのバリエーションでもフルフラットにした際に
他車を圧倒する程平坦になる点はステップWGN独自の特徴だ。
加えて、シート地と同じクロスが張られたトリムと
繋がって一層広々としたフラット空間が得られる。



さて、1列目だがウォークスルーを実現する為の
コラムシフト、足踏み式PKBに加えて、
絶壁インパネの上部クラスターにはカーナビ(MOP)、
丸型レジスターが連続配置され、
その下に空調ダイヤル、格納式カップホルダーなどが備わる。



台所事情の厳しかった90年代のホンダゆえに
インパネもドアトリムも硬質樹脂剥き出しのカチカチの
インテリアであったが、玉座たる2列目以降はしっかり
質感が作りこまれており、選択と集中を感じる。



また、オデッセイのヒット以後とは言え、
まだ資金に余裕の無い時代だったのか
内装部品はあらゆるホンダ車と共用されていた。

ワイパーレバーやウインカーレバー、
PWスイッチやメーター類などの基本部分
は同世代の他のホンダ車からの流用だ。
金型の減価償却が終わった
安い部品を多数使い低価格に貢献しただろう。

ステップWGNのインテリアは
見事にファミリーユースに徹した
アットホームな雰囲気でまとめられている。
特にお金がかかってるという感触も無いが、
必要なところには必要な装備が奢られて、
そうでは無い部分にあっさりと見切りをつけている。
新規参入のブランニューモデルだからこそ、
明快なコンセプトが楽しめるインテリアである。

●試乗インプレッション

<市街地にて>
メッキのドアハンドルに手をかけてステップWGNに乗り込んだ。
低床ゆえにヒップポイントがミニバンとしては低めで、
旧来のフルキャブ式1BOXの様によじ登る感覚がない
尻をずらすとちょうど良い位置にシート座面があるのが快適だ。
運転席に座ると低床設計と言えども
ミニバン然とした見晴らしの良さが確保されている。
頭上空間は拳3個分の余裕がありライバルよりも優れる。



ドラポジもアップライトで健全だが、
ステアリングコラムの角度が立ちすぎていて
商用車的な雰囲気がある。
このあたりはステアリング系を
背の低い他車と共用した弊害と思われる。
細かい不満はあるが、
立ち気味のAピラーと大きなウインドシールドガラスのおかげで
視界は開けておりミニバンらしい開放感がある。

E/Gを始動し、CR-Vと類似した
6ポジションのコラムシフトをD4レンジに入れて、
PKB解除レバーを操作すると
「バコン」と音を立て、勢い良くPKBペダルが解除された。

走りはじめにアクセルを操作すると、
ぐっと飛び出すような走り出しで驚いた。
広報資料を確認すると「非線形スロットルドラム」が採用されており、
意図的に踏み始めのスロットル開度を大きくしているのだという。
これは車重の重いミニバンでセダン感覚の
走行感覚を得るために採用したのだろうが、
1名~3名乗車時で乗る際にマナー良く発進させるために
余計な気遣いが要求されあまり印象は良くなかった。

思えば親がセレナの次に買ったライトエースノアでも
そっくりなスロットル特性になっており、
出足の良さを演出する常套手段だったのかもしれない。
ホンダの場合、先に出たオデッセイでも非線形スロットルを
採用したと開発記の小説ユリシーズで触れられていた。

ステップワゴンに積まれるエンジンは
B20B型水冷直列4気筒2.0L DOHCエンジン一本のみ。



当時のミニバンで当たり前だったディーゼルターボの設定は無かった。
125ps/5500rpm、18.5kgm/4200rpmという
大人しいスペックを持っているが、
基本的には低速型で回してナンボというエンジンではなく、
市街地走行では2000rpm~2500rpmも回しておけば
十分以上のトルクが出る実用志向のエンジンだ。

走り始めてまず感じるのは乗り心地のソフトさである。
Fr:ストラット/Rr:ダブルウィッシュボーンという
ミニバンでは少数派の4輪独立懸架のサスは
路面の凹凸をソフトにいなしてくれる。
ファミリーカーとして考えた場合、
このセッティングは適切だと思う。

思えば、実家のライトエース・ノアはもう少し
路面の凹凸を感じる突き上げが大きかったので、
ステップWGNの方が秀でていると感じる。

信号が多い市街地を走らせると
初期制動の食いつきの甘さが少々気になった。

ファジー制御によるシフトチェンジを行うとされる
プロスマテックIIを採用する4速ATは、
中古車ゆえにシフトショックが多少大きいものの、
シフトスケジュールは良く考えられている

市街地走行程度の速度域だとアクセルオフで
早めに3速にシフトダウンして軽くエンブレを効かせてくれる。
再加速時のレスポンスを確保する為なのだが、
流れの良い幹線道路のような速度域では
惰性で転がす為、先程と同じようにアクセルオフをしても
4速のままロックアップを切るようなセッティングに変わる。
斜度12%の下り坂を数百m下るシーンがあったが、
自分でシフトダウンせずとも2まで落として
リズミカルに走行できた。
降坂制御は他車でも採用例があるがせいぜい3速止まりで
ここまで積極的にシフトダウンする例は覚えが無かったが、
乗用車としては重量級のステップWGNにはピッタリだと感じた。

親が所有していたライトエースノアの場合、
マイナーチェンジ(III型)でフレックスロックアップつきの
ECT-iEが採用されて似たような制御を取り入れたが、
1996年5月時点ではステップWGNが他車より先んじていた。

当時は珍しいFFを採用するステップWGNの泣き所は
ロングホイールベースとタイヤの切れ角が小さいため、
5.6mと比較的大きい最小回転半径だ。



競合もまた近い値なので横並びしているのだが、
片側二車線の中央分離帯が無い交差点での
Uターンは非常に困難なのと、
狭い路地の直角ターンはうまく曲がらないと
切返しが必要になるケースがある。
この点は昔ながらのフルキャブ式1BOXが有利だが、
コツを掴めば特に運転が難しいということは無く、
5ナンバーサイズを活かして
大抵の道は臆せず走ることが出来る。
(2代目ではタイヤ切れ角を増やして5.3mに改善された)

交差点を右左折した。
現代のミニバンはAピラー前に三角窓を設定する例が多いが、
ステップWGNは三角窓を持たない。
一見死角が多くなるような誤解をしてしまいそうだが、
実際に運転してみると、右左折の際に見たい方向は
サイドドアガラスから眺める為、視認性が良い。
三角窓付きのモデルの様に不用意に支柱が映り込んだり、
小さな三角窓を覗く必要が無いのだ。
ワンモーションフォルム、キャブフォワードの為に
どうしても三角窓が欲しくなるのだが、
あるから良いというものでもないと感じる。

すれ違いに気を遣うような細い道も走らせたが
車幅の狭さ、スクエアなボディ形状が功を奏して
さほど苦労する事無く路地に入っていける。
特にドアミラーが現代の車種よりも大きく見易いほか、
Rrアンダーミラーが適切に車両後端を示すので、バック駐車も容易だ。
しかも、雨天時にRrワイパーを使用すると、
Rrアンダーミラーの範囲もしっかり拭いてくれる
親切さに感心した。



現代ではバックモニターやアラウンドビューモニターが
ミニバンの必須装備となりつつあるが、
ハイテクな運転支援装備が無くとも十分に駐車のし易い車だ。

<2列目/3列目にて>
妻に運転を代わり私は2列目、3列目に座った。
スライドドアを開けて乗り込む。
パワースライドドアがまだ高級装備だった時代、
割り切られたステップWGNは手動のみ。
力を入れてガラガラとドアを開けた
(最上級Wにはオートクロージャー装備)



ステップワゴンは低床フロアのため、
乗降ステップを廃止して
フラットな掃出しフロアが続いている。
その為、食堂のお座敷のような段差を
どっこいしょと上がる感覚がある。
段差は465mmあり、建築基準法で定められた
階段の段差(230mm)よりもきつい

ただし、この段差を小さくしようとするあまり、
フロア全体を下げる事はできない。(部品配置と車体強度)
そこでフロア全体を前下がりのスロープにしたり、
計測ポイントになる2列目最外側のフロア面だけ
外下がりの斜面にするような姑息な設計も垣間見られる。
個人的にはそんな数字遊びに付き合うくらいなら、
ステップWGNの高めのフロアでも乗り込んだ後で十分納得できる。

2列目の右側席は息子のチャイルドシートを取り付けた。
(ステップWGNは2列目右側だけ
チャイルドシート固定機構が装備されていた)
そこで私は中央席に腰掛けた。



中央席は揺れが少なく快適だ。
またドライバーとの会話もし易く、
旧来のフルキャブ式1BOXでは
エンジンルームのせいで足元が狭かったが、
ウォークスルーのためにフラットなフロアを得た
ステップWGNは脚が伸ばせて心地よかった。

特に、ロングスライドシートなどが無い時代のため、
床面がスロープ状になっておらず、
フロアに乗せた脚は良好な位置関係を保つ。
妻の運転で乗せてもらっていても、
アップライトな姿勢で気持ちよく座れ、非常に快適だ。
スクエアなボディ断面に加え、内装トリムも
余計な張り出しが無くフラットな為、一層広々感がある。
トリムは継ぎ目があったり質感はさほどではないが、
広く見せると言う目的においては十分な役割を果たしていた。

一方で、ウインドシールドガラスから前方を見ようとしたが、
視界の1/3がルーフヘッドライニングで遮られて
意外と開放感が無かった。
これはヒップポイントを1列目から後ろに行くに連れて
段階的に持ち上げた結果だろう。
運転しているとパノラマ視界が広がるが、
2列目からの視界がそれほどでもないと言うのが意外だ。
旧シトロエンC3で採用された特徴的な構造、
ゼニスウィンドゥのアイデアの源泉をステップWGNで垣間見た。

また、コーナリングや右左折時に
横Gで身体が振られやすいのも気になった。
セダンより重心が高いミニバンゆえ
仕方がない面もあるが、ステップWGNでは
フルフラット時に強みとなる平板なシート形状が悪さをして
身体を支えてくれない。
仮に3点式シートベルトが装備されていれば
幾分かマシだっただろうが、
上体の動きは大きくなりがちだった。

ちなみに、2列目の補助席が畳んであると、
乗降のために一々立ち上がらねばならないが、
補助席を出しっぱなしにしておくと、
お尻をずらすだけでスライドドアまで
横移動できて便利だ。

2列目左の補助席にも座った。
親が所有していたバネット・セレナ時代、
私のお気に入りの席は補助席だった。
小ぶりなサイズも子供の私にはピッタリだったし、
スライドドアの窓が開けられるので、
外の風を感じながら乗るのが好きだったのだ。

大人になって補助席に乗ると、
致命的なほどシートのサイズが小さい。
ヘッドレストどころか
シートバック時代の丈が足りないので
万が一の際の安全性も十分とは言えない。

バネット・セレナでは3点式だったシートベルトも
2点式に留まるため、一層お勧め度は下がる。

2列目左席の大きな美点は掃出しフロアゆえに、
足元がフラット
であるということである。
バネット・セレナもライトエース・ノアも
この席は乗降ステップのせいで有効な床面積が小さく、
片足がステップに落ちてしまうという欠点があるが、
FF低床フロアのステップWGNはステップを廃止した副次的効果で
各席平等なフラットフロアを得た。
(助手席の足元もタイヤハウスの影響が小さく、
 フラットで広いので競合車よりも足元が広い。
上記理由で個人的にはポップアップシートの方が
一層ステップWGNの魅力が際立つだろう。
(2代目では勿体無い事に
 ポップアップシートが無くなってしまった)

結果、2列目シートにランキングをつけるなら、
右、中央、左の順番になる。

後日、チャイルドシートを外して二列目右側に座ったが、
ピラーの倒しこみによる圧迫感も無く、
フラットなフロア、三点式シートベルトのホールド感が
相まって随分と快適であった。

最後に3列目に座った。
3列目に座っても広々とした快適性は変わらない。
前後移動は出来ず、リクライニングのみとなる点は、
現代のミニバンに負けているが、
1996年にライトエース/タウンエース・ノアが
世界で始めて3段階スライドを実用化するまでは
どの競合車もリクライニングのみであった。

フルフラット要件でシートバック高さは低めだが、
足元スペースも比較的広く、
2列目シートを標準位置にしてあれば
足も綺麗に収まるので思いのほか快適だ。
加えて、Rrタイヤ直上のため突き上げが懸念されたが、
通常走行ではソフトな部類に属する。



3列目のスペースアップ方法はシンプルな左右跳ね上げ式だが、
ミニバンの3列目はこの方式がベストだと未だに確信している。
例えば現行ステップWGNでは、3列目が床下格納式になったため
シート自体の形状、サイズ、掛け心地が数段劣る。
シートは座ってナンボだ。だからこそ畳むこと優先なのは勿体無い。
今回乗ったステップWGNの2列目左席のみだが、
現行型になると3列目全てが補助席扱いになってしまっている。

<平日の通勤・出張使用にて>
平日は通勤や出張に使用した。
私の通勤経路は住宅地~農道~市街地
という10km程度、30分程度の道のりである。

身支度を整え、朝のラジオニュースを聞きながら
会社に向かうのだが、1名乗車だとちょっと寂しい。
バックミラーを見ても広大なキャビンに乗る人は無く、
何だか空気を運んでいる勿体無い感覚に苛まれた。

1名乗車なので車自体は軽いはずなのだが、
前述の発進時の飛び出し感が強まるのと、
強めに加速した際のトルクステアが気になる。
農道をカローラやRAV4で走るような普通のペースで
コーナーを曲がろうとしてもロールが非常に大きく、
スローなステアリングはインフォメーションが希薄。

少々調子に乗ってハイペースでコーナーに進入したが、
転覆を嫌った安定重視のアンダー志向の為、
Frタイヤからグリップが抜けていく感覚を強く感じた。
タイヤがスタッドレスと言うことも有ったが、
夏タイヤであってもFrが逃げていく傾向は変わらないと思われる。

もちろん、スポーツ性能を語る車ではないのだが、
1名乗車で朝の通勤時間帯は多少キビキビ走らせたいこともあり、
ステップWGNが最も不得意な場面だったのではないかと感じた。
会社の上司をステップWGNに乗せて出張したが、
その上司もかつて初代ノアに乗っていたものの、
通勤時に空気を運ぶのが嫌になってしまい、
子供の進学を機にプリウスに替えたとのこと。

<連休中の我が家にて>
連休になり、家族で帰省した。
いつもより早起きをして、子供に離乳食を与え、
荷造り完了した荷物を積み込んだ。

3泊分の荷物、赤ちゃん用品に加え、
ミニバンで帰省すると言う積載性に期待して
安眠の為のベビーベッド(折りたたみ式)を積んだ。
実家に着いてからベビーベッドを組み立てれば、
普段の環境に近づけて子供を寝かせる事が出来ると考えた。
もしRAV4で帰省するなら
このような大荷物を持っていくと言う考えには至らなかった。


その様なわけでステップWGNの3列目を跳ね上げ、
全ての荷物を積んでみたがあっさり飲み込んでしまった。
この包容力こそが広大な荷室を持つミニバンの底力だ。



元来私は荷造り下手を自認している。
ついつい余計なものをボストンバッグに入れてしまい
大荷物になってしまうのだ。
かつて、帰省するだけなのに洋服に合わせて
靴を数足持って行こうとした事がある。
それでも私が様々なところに旅行できたのは、
自動車旅行だったからだ。
これが公共交通機関で出かけるなら手荷物が大きいと疲れてしまう。

子供が産まれ、RAV4で帰省・旅行してみたが、
まだ1歳の我が子は荷物が嵩みがち。
元来荷造り下手な私はRAV4をパンパンにしながら出かけてきた。
工夫しながら荷造りや積み方を考えているが、
ステップWGNの広大な荷室は包容力が有り、
持って行くか悩んだものは取り合えず積んでおく、
と言うことが可能だった。

<連休中の高速道路にて>
かくして荷物の積み込みが終わり、帰省することとなった。

深めにアクセルを踏み込み本線に合流する。
最大出力が発揮される5000rpmキッチリでシフトアップして本線に合流。
4速、100km/h時のE/G回転数は2500rpm。
実家で乗っていたライトエース・ノアも2400rpm近傍を示していた。
N兄さんが過去に乗っていた
デリカ・スターワゴンの場合5速、3100rpm近傍であった。
加速性能は3名乗車+荷物でもモタつく事無く必要十分な能力を持つ。

ステップWGNはホイールベースが現行アコードを凌ぐ2800mmと長いため、
真っ直ぐゆったり走ることが得意である。
背の高さは横風を受け易いが、挙動は穏やかで修正も容易だ。
特に、1名状乗車の時よりも3名乗車+荷物と重さがかかっているので
海沿いのつり橋でも不安感を覚えるようなことは無かった。

100km/h巡航はリラックスできるが、
実力的には追い越し車線の速い流れにも追従できる。
(かつて同級生が所有していたホワイティーは
随分なハイペースでゲレンデまで連れて行ってくれたものだ)

力強く加速させる為に深くアクセルを踏めば
すぐロックアップを外して加速態勢に入れるが、
後でロックアップクラッチががっちり
アクセルとタイヤを繋ぐので、
じわっとトルクをかけたい時も
感覚的なズレが無く反応し、運転がしやすかった。

高速域は基本的にロックアップしっ放しでも
走れるように十分なトルクがあった。
80km/h程度で6%の表示があるような坂だと、
ロックアップが外れるが、100km/h出ていれば
同じような坂でもそのまま登りきることが出来た。
MT車のように右足とタイヤの一体感を感じた。

ステップWGNは全席で見晴らしが良く、
伊勢湾のキラキラした水面を家族と楽しみながら
中央車線か左車線をどんぶらこ、どんぶらこと走らせた。

この日は晴れており、気温が25度を超えるような暑い日であった。

運転席の私は日差しがジリジリと当たって熱さを感じた。
ステップWGNは最上級のWグレードのみ
2列目以降にプライバシーガラスが装備されており、
Gグレードは透明ガラスの為、試乗した個体はフィルムが貼られていた。
思えば、昔は後からフィルムを貼ってクーラーの効きを良くしていたものだ。
自分の父もスターレットやバネット・セレナに
せっせとフィルムを張っていた姿を思い出す。
(私はオリジナリティ重視でRAV4もカローラも生ガラスのままだ)

妻と子供は2列目に座っているのだが、
ミニバンの目玉装備であるRrクーラーを稼動させた。
ステップWGNの場合、2列シートにはシングルエアコンがオプション設定、
3列シートのグレード全車にRrクーラーが標準装備されているのだが、
今回試乗しているGグレードはのマニュアルエアコン仕様だ。
(最上級のWグレードはオートエアコン)

走り始めは前も後ろも風量MAX、
温度設定は最低にしていたが、
優秀なエアコンなので10分も走ればキンキンに室内が冷えてくる。
妻から「寒い」と怒られてRrをオフにし、Frは風量を落とした。

しばらくはそれで良かったのだが、
それでも2列目中央席に座る妻に風が当たってしまうので
風向きを調整して自分に風を当てているとスポット風が
自分に直接当たって、自分も途中で寒く感じてしまった。

マニュアルエアコンなので温度調整ダイヤルを操作して
適度な温度に調整し、ちょっと熱いかなという位に調整して
双方妥協したのだが、最新のミニバンでは
オートエアコンかつ左右独立温度コントロールが当たり前
になっており、
実際のユーザーの声に応えた結果なんだろうなと感じた。

途中、交通集中の渋滞に巻き込まれた。
セダン系と異なり視点が高いミニバンは
見通しが利くので昔はある種の優越感にも浸れた。
現代は時代が変わってミニバンとSUVだらけなので、
特別に見晴らしが良いというわけでもなくなってきた。
MT大好き人間だが、ATのメリットを最大限有り難く享受した。
なるべく停止しないように車間を開けて走るのだが、
完全停止して発進するような状況に陥ると、
例の飛び出しがちなスロットル設定は少々ストレスになった。

途中、過酷な自動車専用道路も全線走らせたが、
アップダウンがきつくても十分余裕を残して走ることが可能。
さすがにロックアップは外さざるを得ないが、
ビジーシフトは巧みに回避されてキビキビとした印象である。
地元の急な下り坂ではシフトダウン制御が働いたが、
自動車専用道路の下り坂ではむしろロックアップを外して
フューエルカット回転数付近で維持して
惰行するようなセッティングになっていた。
終盤で急なコーナーが連続する下り坂があったが、
一般的な流れの中での運転なら不安感を感じる事は無かった。



ステップWGNが最も輝くシーンは
帰省のための高速道路走行
ではなかろうか。
余分な荷物まで積める包容力を持ち、
運転するお父さんの疲労を軽減する穏健なシャシー性能と
必要十分な動力性能を持ち、同乗者に優しい快適性を併せ持っていた。

<広域農道にて>
地元は盆地なのだがアップダウンの激しい広域農道がある。
実家に向かう為、家族を乗せて走らせた。
丘陵地帯を南北に走るこの道では、
ステップワゴンはRAV4で同じ道を走る時よりも
スローペースで走ることを求められる。
というのも、ミニバンらしくソフトな脚を持つため、
ロールが大きく、大切な家族からクレームが入ってしまうからだ。

2列目はシートベルトが2点式で上体をサポートしない。
またシート自体が平板でホールドも良いとは言えず、
「コーナーの前で減速を終わらせる」
「コーナーは車線内でアウトインアウト」
「コーナーの立ち上がりの加速も滑らかに」
という私なりに考えた要点を守って運転した。

一人でこんな道を走るとつい勢いよく運転してしまいがちだし、
そこそこシャシー性能が高いRAV4だと多少ハイペースで
コーナーに進入しても家族からクレームが来ることは無かった。

ステップWGNの場合、明らかな配慮が必要であり、
「セダン感覚の走りを目指しました」という主張は、
確かにフルキャブ式1BOX以上だが、
明らかにセダン未満
という結果になる。

それではステップワゴンの脚を固めて
ロールを押さえ込んだら良いのかというとそれは
私が考えるミニバンに求められるものとは違う。

丘陵地帯から山裾の住宅地を見ながら
ステップWGNで広域農道をゆったりと駆け抜ける。
高速道路と同じく上り坂では
ちょっと踏み足せば力強くトルクが沸いてきて急坂でも登りきれる。
速度が乗っていても不用意にロックアップせず、
ドライバーの意思を汲み取った走りが出来た。
下り坂では例によってATが賢く3速を使いながら薄いエンブレをかけて
ブレーキ操作の回数を減らしてくれた。

<多人数乗車にて>
連休中、地元の同級生の実家までバーベキューをしに出かけた。
途中、別の同級生一家を乗せて合計7人乗車にチャレンジしたのだが、
走らせ始めて気付いたのは、1名~3名乗車では
鬱陶しいと感じた非線形スロットルに起因する飛び出し感が無くなり、
ちょうど良いリズムで走らせることが出来る
ことだ。


画像は乗車後撮影したイメージ画像

人間がたくさん乗ると明らかに車が重いと感じる。
しかし、ステップWGNは1名乗車の時よりも
多人数乗車の時の方が明らかに各種の特性が好ましい

買出しに出かけ、スーパーで食材を大量に買い込んだ。
ステップWGNは3列目まで人が座った状態でも
十分なラゲッジスペースが確保されており問題なく積めた。

餅は餅屋というが、人や荷物を運ばせたらミニバンは水を得た魚だ。
ただし、買出しの食材をラゲッジに積もうとしてバックドアを開けたが
壁が迫っており全開にすることが出来なかった。
こうなると片手でバックドアを壁ギリギリの位置まで保持して
荷物をエイヤと置かねばならない。
特にスクエアなデザインを持つステップWGNのバックドアは大きくて重い。
新型ステップWGNがワクワクゲートを採用するに至った、
或いはセレナがガラスハッチを採用した経緯が良く分かる。



仲間とワイワイと会話を楽しみながらの移動は
一人で運転に没頭する時に等しい程の純粋な楽しさがあった。

●まとめ
私と家族は3週間に亘りステップWGNと過ごした。
日本で初めてのFFセミキャブ式1BOXであり、
潔い割切りで低価格を実現しながら
決して貧乏臭く見せないセンスを持っていた。
私たち家族もステップWGNが持つ
大きな魅力は全て実感として味わうことが出来た。



モノには持ち主にそれを使わせようとする力があるものだ。
ユッスー・ンドゥールが歌うOb-La-Di, Ob-La-DaのTV-CFを
見てセダンから乗り換えてステップWGNを買った人達

程度の差こそあれど、人を乗せて出かけたり、
大きな荷物を載せたりしてミニバンの魅力を楽しんだに違いない。
かくしてステップWGNをはじめとするこの時期のミニバンたちは
セダンユーザーだったファミリー層を吸引し、
ファミリーカーの代表車型となった
のだ。

現代のミニバンは随分と便利で豪華で安全になった。
先進安全装備に全方位カメラにカーナビをつけて
乗り出し価格は300万円を少し超える位だろうか。
そんなミニバンが当たり前の現代に
敢えて初代ステップWGNと生活を共にしてみたが、
こんなにシンプルなミニバンでも
十分楽しく生活できる
という実感を持った。



ちなみに、レンタル期間中基本的にA/Cは常時ONであった。
1367km走って平均燃費は9.63km/Lであった。
これはカタログ値11.2kmLの86%の値であり、
実に正直なカタログ値であった。

本日、家族で高速道路をのんびりドライブしたが、
距離にして200km強を100km/h巡航で丁寧に走らせれば
12.9km/Lという良好な燃費をたたき出すことが出来た。
1470kgというミニバンとしては軽めの車重と
必要十分なトルクを持つE/G、
賢いATのチームプレーの成果であろう。

余談だがで地元でのBBQの際、同級生の夫妻と話していたら
ステップWGNは借り物で普段はRAV4に乗っている事がバレてしまった。

「え、ノイマイヤーさん子供がいるのにミニバン買わないんですか?
スライドドアじゃないと不便じゃないんですか!」
と奥様から素朴な疑問が呈されてしまった。
非難された訳ではなく、単純に不思議だと感じたような口ぶりだった。
(ちなみに同級生はCR-Vに乗っていたが、
 奥様のリクエストに応えてエスクワイアに買い換えている)

私が言い訳染みた理由を探していたところ、妻が、
「夫はマニアなので、夫が好きな車に乗りたいならそれで良いんです」
という趣旨の有難い助け舟を出してくれた。
その奥様は「ふーん」とそれ以上追求しなかった。
カローラGTとRAV4という一般人には訳の分からん二台所有を
理解してくれている妻には感謝しなければならない。

私自身、小学生時代からミニバンで育ち、
免許を取得後もミニバンに乗ってきたので
主に子供の視点からミニバンの良さを見てきた。
今回、機会を頂いて自分の子供が産まれた後でミニバンに乗ると、
当時気づけなかった親の視点からの便利さにも気づくことが出来た。

そして実家の駐車場(かつてシルバーのRG1が止まっていた)に
世代は違えどシルバーのステップWGNを止めてみると
何やら懐かしい記憶が一つ二つと思い出された。



連休期間中に家族でフル活用させていただき、
素敵なステップWGNを借して下さったN兄さんに感謝。
Posted at 2018/05/13 01:06:36 | コメント(3) | トラックバック(0) | 感想文_ホンダ | クルマ

プロフィール

「@キドニー何ちゃらの下僕 さん Google翻訳で発音させてみて爆笑です!優勝です!関連した話だともう25年前ですが、ホンダの小型車の名前がフィッタだったとそうです。スウェーデンではアカンらしくカタログも差し替えてフィットになりました。天麩羅もさる事ながらVW弁当も好きです。」
何シテル?   08/12 21:18
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2018/5 >>

  12345
67891011 12
131415161718 19
2021222324 2526
2728 293031  

リンク・クリップ

トヨタ博物館 歴代クラウン展示を観覧してみた・・・( ̄▽ ̄◎) 1/3 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/08/05 10:39:44
kotaro110さんのトヨタ クラウンステーションワゴン 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/26 19:12:20
合衆国のVW文化、その4 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/30 17:44:50

愛車一覧

トヨタ カローラ トヨタ カローラ
1989年式(マイナーチェンジ直前) カローラGT。 ヤフオクで発見し、 不人気車ゆえに ...
トヨタ RAV4 L トヨタ RAV4 L
1996年式 標準グレード。 私が小学生だった1994年、RAV4が颯爽と登場した。私 ...
トヨタ プログレ トヨタ プログレ
2000年式 NC250。 長年、趣味の先輩達と車談義を重ねる中で定期的に「プログレは ...
シトロエン DS3 シトロエン DS3
2011年式 スポーツシック・エディションノアールII。 ラテン系ホットハッチ(プレミア ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation