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2025年02月08日 イイね!

トヨタ博物館企画展「日本のクルマとわたしの100年」

トヨタ博物館企画展「日本のクルマとわたしの100年」例によって開催は終わっているが見学してきたので記録に残したい。

~公式紹介文~
今回の企画展では、「日本におけるクルマと女性のかかわり」という観点から自動車史を5つのゾーン、車両9台で紹介します。1910年代には日本で最初に免許を取得した女性、1950年代からはモータースポーツに参戦していた女性がいました。また時代の流れとともに女性ドライバーの増加を見越して、特別仕様車が登場しました。現在では、クルマづくりの現場において性別にかかわらず多様な人材が活躍しています。これらに関連した車両は当館収蔵車のほかに、国内自動車メーカー・自動車博物館様のご協力により展示いたします。

モビリティのあり方が大きく変化しようとしている今、愛される“クルマ”をつくり続けるためには、多様な人々の深く広い知恵を集め、熱意をもって取り組まなければなりません。本企画展では多様性のひとつとして、これまで見過ごされがちだったクルマと女性のかかわりを取り上げることで、新たな発見の機会をご提供します。来場者の皆さまにダイバーシティを尊重したすべての人とクルマのより豊かな関係を考えていただけることを願っています。


人類の半分は女性であり、クルマと女性の関わりにスポットライトを当てたのが本企画展です。そう言えば私の亡き母は20歳に教習車(クラウンのコラムシフト車)で免許を取り、会社員時代は社用車の初代シビックに乗って名古屋市内を走っていたそうです。私が産まれ、妹が産まれてからは自家用車のハンドルを握り、2015年に亡くなるまで現役ドライバーでした。

私が子供時代を過ごしていた1980年代後半から1990年代、女性ドライバーといっても特に珍しくなく、母の友人も皆自分の車を運転していました。(カルタスやパジェロに乗っていました)

伯母も皆免許を持っていてギャランΣやマークII、セリカXXもありましたね。

そして大正生まれの祖母も昭和45年頃免許を取り、RT40型コロナの中古車に乗っていたそうです。女性ドライバーだとトラックの運転手に幅寄せされるなど嫌がらせを受けたので、信号待ちで並んだときは窓を開けて「馬鹿野郎」って叫んだって言っていましたね(笑)

祖母は70代から80代初めにかけては埼玉から実家がある新潟にSV10(のちにSV40に代替)カムリで帰省していて私もよく祖母が運転する車に乗せて貰っていました。

こんな風に女性ドライバーという存在が決して珍しくなかった私ですが、この企画展では初の女性ドライバーについて調査したようです。ちょっと調べてみましたが、日本で一番最初に運転免許を取った方は1913年(大正2年)、当時横浜在住だったアメリカ人歯科医のウルフさん。そして日本人では1917年9月27日に23歳の若さで試験に合格した「渡邊はま」さんだそうです。単に運転技術だけではなく自動車の構造も理解し、路上故障した際には自力で応急処置をして生きて帰ってこなければなりませんから私見も難しかったのだろうと想像します。

●ダットサン 16型 セダン (1937年)





1936年には日産自動車が今後女性ドライバーが増えると見込んでダットサンで街を走り回ってアピールする「ダットサン・デモンストレーター」というキャンペーンを行ったそうです。展示車のダットサンはオースチンセブンを大いに参考にしたと思われるコンパクトな外寸と722ccという小排気量、シンプルなメカニズムは扱いやすく、今後普及が見込まれるセグメントだと思われ、デモンストレーターも
この16型か前のモデル15型で走り回ったことでしょう。



脱兎に由来して目が赤いウサギのエンブレムが着いており、同じくウサギモチーフが散りばめられたスズキラパンの大先輩でもあります。

●いすゞ ヒルマンミンクス (1960年)




いすゞは戦後、自動車技術習得のため英国ルーツグループと提携しヒルマンミンクスを生産していました。展示車は1956年にFMCされた2代目で例えば同時期のトヨペットクラウンやダットサンと比べるとスマートで垢抜けた印象があります。このためオーナードライバーに人気があり、「女性によるヒルマンエコノミーラン」という女性だけのラリーを開始しました。女性2名のペアで東京大阪間を一泊二日で走りきり燃料消費の少なさを競うレースを行っていたそうです。女性ドライバー層に対する長距離ドライブの普及と交通道徳の再認識、協議を通じた相互親睦を諮っていたと言いますが、交通状況の悪化などで1965年を最後に終了となったそうです。それにしても、どうしても脳内で自動車ショー歌が流れます。「ベレッとするなよヒルマンから」



●ダットサン フェアレデー 1200 (1961年)




モータースポーツ関連でもう一台展示されているのは第一回日本グランプリに女性が参戦した際のマシンと同型車だ。フェアレデーはダットサンベースでFRP製だったボディを鋼板製に改め、1000cc「ストーンエンジン」を1200ccにスープアップして強化された改良型。展示車は、一層低重心に見える塗り分けの2トーンカラーですが、モールは欠品して塗装(カッティングシート?)で再現されていました。
決して息を飲む美しさ、とまでは言いませんがこういったお洒落な車をあの時代の日本で世に出していたという点で銀座に本社を構えていたお洒落な日産自動車を偲ぶことができます。

●ダットサン ブルーバード 1200 ファンシーデラックス(1963年)




日産車の展示が続きますが、このクルマは本企画展の目玉と私が考える「ファンシーDX」です。もう、これを見に来たと言っても過言ではありません。小型乗用車の本流であるブルーバードに女性オーナー向けに設定された恐らく最初のグレードであるファンシーDXはお洒落なカラーコーディネートだけでなく、多くの小柄な女性のためにシートスライド量が拡大されています。



更に車内で着替えられるような目隠しカーテンやUVカット機能を持たせたフロントガラス、後席で寛げるようなシートバックテーブルなどの便利装備や、手荷物が多い女性のためのコートハンガーや傘立て、ハイヒール立てに加え、助手席サンバイザーには化粧ポーチまで内蔵されている親切っぷりには驚かされます。極め付けは方向指示器作動時にオルゴールが鳴るというメルヘン仕様。



女性ドライバーのために何ができるか、を恐らく男性ばかりだった当時のエンジニア達が知恵を絞った成果なのでしょう。今、女性が選びがちな軽自動車に近い方向性のグレードと思います。

●ダイハツ ミラ (1982年)




女性ドライバーが増加したことで若年層のファーストカー、或いは低価格なセカンドカーとして軽ボンバン市場が急速に活性化した時の中心的な車種の一つがここに展示されているダイハツミラです。

乗用車(軽セダン)のクオーレをベースに後席を折りたたみ式の簡素なものにして最大積載量200kgの貨物車扱いとすることで、排ガス規制の緩和や節税が可能となり実質的に維持費の安いパーソナルカーとしてヒットしました。余談ですが、私の実家で初めて購入した新車も軽ボンバンの「ミニカ・エコノ」でした。

元祖は1979年発売の「アルト47万円」でお馴染みのアルトが発明したジャンルで
思い切って装備も簡素化しつつ、敢えて悩ませない様にモノグレードとしてとにかく安く買える新車であろうとした点は令和の現代でも見習って欲しいくらい鮮度のあるコンセプトです。

●スズキ アルト 麻美スペシャル (1985年)



展示車はスズキ歴史館からやって来た麻美スペシャルです。2代目のアルトは初代同様に低廉なベーシックカーという性格を受け継ぎ、バイアスタイヤで4輪ドラム、Rrリーフリジッドという簡素な構造ですが、それでも女性オーナーを意識してお洒落さを忘れ無いようにしていました。



麻美スペシャルはエアコンやAMラジオ、熱線入りバックドアガラスなど快適装備が追加された特別仕様車です。麻美というのはアルトの広告に出ていた小林麻美さんにちなんでいるとか。



今は軽ボンバンで節税すると言うより、普通車から軽を選ぶことで節税されているような印象です。女性を意識したアルトの立ち位置はアルトラパンなどのフェミニンな軽に引き継がれています。



●トヨタ WiLL Vi (2000年)





バブル崩壊を経て従来の価値観にとらわれない若年層のために新しい商品を異業種コラボで実現するというWillプロジェクトに参加していたトヨタの商品がWill Viです。かぼちゃの馬車をデザインテーマにし、傑作コンパクトカー初代ヴィッツのコンポーネントを活用して大胆なCピラーのクリフカットやキャンバストップ、フランスパンをイメージした内装などデザイン命のスペシャルティコンパクトカーでしたが2年足らずで生産を終了しています。

デザインのために当時のトヨタでほぼ標準採用していた社内規格であるGOAを取らなかったという拘りっぷりには驚きました。決してヒットした車ではありませんでしたが、優等生的な車ばっかりでは面白くない、という当時のトヨタの意気込みが感じられます。


ここまでは我が国の自動車と女性ドライバーの関わりに沿った展示が行われていました。以降は、自動車メーカーにおける女性エンジニアによるクルマ作りに焦点を当ててマツダとレクサスという2つのブランドで女性が開発総責任者になったモデルが展示されていました。

1986年に施行された男女雇用機会均等法によって、いわゆる大企業だった自動車メーカーにも女性総合職を採用する動きが加速し、当時珍しかった女性エンジニアが入社するようになりました。それまでの女性社員は一般職で昔で言う「お茶くみのお姉さん」というアシスタント的な役割から、男性と肩を並べて業務に取り組む総合職に活躍の場が拡がったということです。


●マツダ デミオ (2014年)



嬉しいことに妻が毎日乗っているデミオが展示されていました。マツダ系の展示施設以外だと初めてではないでしょうか。初代からのミニワゴンスタイルから、先代でキャラ変し、スタイリッシュな欧風コンパクトカーに舵を切りました。スカイアクティブ技術がふんだんに織り込まれてクラスレスな実力を持ったコンパクトカーとしてマツダ2と名称変更された今も販売されているロングセラーモデルになりました。

デミオの実験分野の責任者はマツダで女性唯一の特Aテストドライバー資格を持った竹内都美子さん。運転席座面は小柄な女性のために短めにしつつも、男性が困らないように硬度を調整し、ディーゼルターボの力強い走りも「合流路でモタモタしない」ことで女性ドライバーに寄り添ったクルマとしたといいます。

●レクサス UX250h (2021年)


この展示車のチーフエンジニアは材料技術出身でトヨタ自動車の技術総合職一期生である加古慈さんが務めました。CT200hのマイナーチェンジから開発責任者の職に就き、恐らくCTのモデルチェンジ版であるUXの開発も指揮しています。

高級車ながら扱いやすいサイズ感なので女性オーナーが多いことが特徴で、ユーザーに近い視点が求められたのでしょう。

そう言えばマツダの竹内さんもMX-30の開発責任者を務められていますが、女性エンジニアが仕上げた2台は共通して大きすぎず、可愛すぎない。そしてちょっと電動化やエコロジーを意識している、というところも不思議な共通点なのかなと私は思います。

~まとめ~

「日本におけるクルマと女性のかかわり」とテーマにした企画展は新鮮なテーマだし、ダイバーシティという現代的な切り口で自動車の歴史を俯瞰したことに価値があると思いました。ただ、最後のコーナーの女性エンジニアの活躍に関しては、現在活躍する2人にスポットを当て、延々とインタビュー記事を載せるのでは無く、もう少し学芸員の視点を織り交ぜた上で短縮し、もう少しクルマ開発に携わってきた女性について掘り下げてみるという動きがあるともっとよかったと思います。

断片的にしか知りませんが、1991年の5A-FE型のヘッドカバーは女性デザイナーが手がけたと言われているし自分が知り限りでもカラーデザインの分野でも女性は活躍しているし、精密な組立て技術が必要なインパネのラインには女性が向いていると聞いたことがあります。更に言えば学生時代に私は大型バイクの複雑なフレームを溶接する女性作業員の神技巧に感銘を受けてましたし、私の伯母は長年大型トラックドライバーの職について乳酸菌飲料を向上から運んでいました。

女性エンジニアの活躍以外にも自動車、そしてさらなる多様性の時代に目を向けてくれると更にいいものになったと私は思います。そして、クルマと女性の関わりというテーマなら、ゲストとして助手席に乗せて貰う視点でソアラやシルビアのようなデートカーの展示や、ライフステージが変わって自らハンドルを握るファミリーカーとしての90年代のミニバンが一台くらいあってもよかったし、皇后雅子様が外務省職員だった時代から愛用してきたカローラIIの同型車なんかも展示して貰えると更に見応えがあってよかったのでは無いでしょうか。



また、ブルーバードファンシーDXではたくさんの特別装備が追加されていたのですが、「スリッパータイプのアクセル」など単にカタログを転記するのでは無く
それが何を意味するのか深堀してくれると私達に新しい気づきを与えて貰えたかなと思います。或いは、そこで取上げられた装備の中で今も残っているものがあるかどうか、など何かトヨタ博物館らしい掘り下げがあってもよかったのでは無いでしょうか。

個人的にファンシーDXに装備されたアイテムの中で少し気になってササッと調べてみたのがバニティミラーです。1966年発売の初代カローラの時代は女性が化粧直しに使うバニティミラーは助手席に着いていました。記録に残る1969~1975年の運転免許保有者のうち女性は17%~21%。



時代が進み1976年~1985年でに22%~34.5%まで向上しています。この頃、女性をターゲットにしたグレードでは運転席にバニティミラーが装備されるようになりました。面白いのは女性が助手席に乗ると思われるクルマでは助手席にバニティミラーが設定され、女性自らステアリングを握るためのクルマには運転席にバニティミラーが備わるようになりました。1981年発売のセリカには助手席バニティミラーが初めて装備され、1982年発売のコルサの女性向けグレードには運転席バニティミラーが装備されていました。



1986年~1995年になると35%~39%とほぼ男性に並び始めましたが、この頃の男性ユーザーが多かった1992年式マークIIは上級グレードこそ両席サンバイザーでしたが、下位グレードは助手席のみの装備に留まり、コロナになると上級グレードには助手席バニティミラーが備わるものの、カローラでは1991年、LIMEグレードが無くなったことでバニティミラーそのものが廃止されています。今までは車種の中で女性向けグレードを仕立て、そうでない男性ターゲットのグレードでは助手席にバニティミラーが装備されているのが当たり前でした。一方で、カローラIIをはじめとする女性をターゲットにしたコンパクトカーには当たり前のようにバニティミラーがつき始め、1994年の最終型では各種装備がグレードダウンされる中で主要グレードに両席にバニティミラーが備わるほど市民権を得ています。



更に女性達がミニバンで子育てをするようになった1990年代のミニバンも例えば1992年のエスティマルシーダでは上級グレードのみ助手席バニティミラーが備わるのみでしたが、1996年のタウンエースノアでは最廉価グレード以外は両席バニティミラーが装備されるなど、運転席と助手席の性差?がほとんど無くなりました。

ちょっと横道に逸れましたがこの企画展は女性ドライバーの起こりからマーケットの創出へ展示が流れてきたものの、最後は流れが変わって、会社の大先輩へのヨイショとまでは言いませんが急に楽屋ネタになってしまったのが少し残念に感じました。




更に言えば、それだけ大事なデミオもUX250hも、黄砂でかなりクルマが汚れていて、UXのグリルは砂が詰まっていましたしモールは白化していました。博物館に展示するのだから、しかもつい最近まで現行型として販売していたクルマなのだからお金をかけずに綺麗にしようと思えばできたと思うのです。ちょっとフクピカで拭き上げた程度の実車は仮にインタビューに協力した女性エンジニアが見学に訪れたときどう思うでしょうか。サラリーマン的にも不味いんじゃないでしょうか。さらに読むのにかなり時間がかかるインタビューのボードは完全に蛇足でした。もしかすると学芸員の栄達や内部の組織的な何かのためには重要なのかも知れませんが、いつものトヨタ博物館の様にフラットな立場で自動車の歴史を取上げていただきたいです。

Posted at 2025/02/08 23:55:36 | コメント(5) | トラックバック(0) | イベント | クルマ
2025年02月02日 イイね!

2024年式 JEEPラングラー ミニ感想文

2024年式 JEEPラングラー ミニ感想文●おしゃれは我慢
JEEPラングラーに乗る機会に恵まれた。試乗車はバリバリの2024年式の2.0アンリミテッド・ルビコン。



GENERL PORPOSE VEHICLE→GP→JEEPというネーミングの由来だと聞いたことがある。そんなJEEPラングラーは第二次世界大戦時に開発された究極の実用車とも言える軍用車をルーツに持ち、1987年の初代モデルはタイヤを小径化し、乗用車ライクな雰囲気も持たせた三菱でいうパジェロのような立ち位置のオフローダーだ。数回のモデルチェンジを経て試乗車と同じJL系は2018年にデビューした。



試乗したルビコングレードは走破性を高めたトップグレードで専用の17インチマッドテレオンタイヤや4Lレンジの減速比を他の2.717よりもローギアードな4とするなどハッキリと走行性能に差が付くような装備差がある。スタビライザーをスイッチ操作によってフリーにすることでサスストロークを一時的に増加させる電子制御式Frスウェイバーディスコネクトシステムという呪文のように長い装備も装備されているのは珍しい。

ボディサイズは4870mm×1930mm×1855mmと大柄でホイールベースは3010mmという長さだ。フレーム式の伝統的なオフローダーの方式を真面目に守っていて車重も2tを超えるヘビー級。その巨体を2.0L直4DOHCターボで走らせるというのだから少し心配になってしまう。



質実剛健な出自のラングラーだが、実車を前にすると7スロットグリルや丸型ヘッドライトがカッコイイ。4人で試乗したが全員が「カッコイイ・・・・」と思わず口にしていたくらいだ。そのうち3人は「必要に迫られて仕方なく車に乗っている」レベルの車に興味が無い層なのにそう言わしめるJEEPの商品力は明らかに突出している。

全身から走破性の高さ、タフさが滲み出ている。例えばE/Gフードオープナーは無く、フェンダーの横の留め具を外してE/Gルームにアクセスする、とかワゴンボディに見えるが、実はFRPの外装はボルトオンで外れてオープンになる、などあらゆる部位に特別感がある。



更に外ヒンジのドア、継ぎ目が剥き出しのサイドシル、バックドアを開けたら見える必要以上にカッコイイサイドシルなどなど全身からJEEPのエッセンスが湧き出していた。ラングラー自体は1987年だが、JEEPは1941年から続くブランドだ。その事を最大限活かしたヘリテージの有効活用も見ものだ。



例えば17インチホイールや内装の一部にJEEPのアイコンが埋め込まれていて所有する者にJEEPの世界に浸って貰うための工夫は随所に見られる。



乗り込んでみると、想像よりも現代的で例えばランドクルーザー70の様なメカめかしい操作系では無くAppleCarPlayが使える12.3インチタッチパネルモニターやフルカラー7インチディスプレイ付きメーターやオートエアコン、ACC、衝突軽減ブレーキなど現代の実用車レベルの装備は備えているところが特徴だ。

走破性と信頼性を第一に考えるなら、なるべく機構が単純でプリミティブな物の方が良い。現地で故障しても修理して帰ってこられるからだ。しかしラングラーは悪路を走るための本格的な機構を備えながらアクセサリー的な装備を備える。もしかすると大半のユーザーにとっては本格オフロード機構の方がアクセサリーになるのかも知れないが、先に書いたとおりの本格的なメカニズムとファッショナブルなクルマとしての性格を打ち出しているのは朴訥としたランクル系とは異なる在り方で面白い。

プロユースの機能を持ちながらそれをファッショナブルに見せてプレミアムカーとする手法はレンジローバーも同様だが、JEEPはどちらかというとオフロードイメージをことさら大切にしている様に感じる。



運転席でドラポジをとるとペダルレイアウトが悲惨で左足の置き場に困る。いまやJEEPもストランティスの一員であり、ストランティスといえばアルファロメオのジュリエッタのMTも全く左足の置き場が考えられていなかった。JEEPの場合ATなのにブレーキペダルのすぐ横が足が入るスペースになっているがフラットなフロア面に足を置くので戸惑ってしまう。ランクル70も同様だがトランスミッションが大きいのでセンタートンネルも大きくなりペダルレイアウトが苦しくなりがちなのは理解してあげなくてはならないが、ATでこれかと思うと、個人的にはこれだけでも毎日のる事を遠慮したくなってしまう。

大出力E/Gを積んでいるから、トランスミッションも張り出しが大きくトンネルも大きい。ラングラーよりもマシだが、ランクル70だってかなり厳しい印象だった。こういう弊害をなくすにはマツダCX-60の様に湿式多板クラッチを使うなどの飛び道具を使わないと難しいだろうが、BEV化という手もある。

一方で4人乗りステーションワゴンとしての使い勝手は、あまり良くなく、ローディングハイトが高く後席の着座姿勢も脚を投げ出したような姿勢で、滑りやすいシートクッションゆえ尻がズレるとかアシストグリップが遠いとか特に褒められたものでは無い。軟派SUVの分厚いステーションワゴン的な快適さは望むべくもない。



JEEP、しかもイメージリーダーのラングラーなのであくまでもオフロードカーであることを軸として基本価値を維持し続け、決して自らのステータスを下げずにファッション性を持たせることで感覚価値を与え、ブランド全体の概念価値を高めている。

実用車としてJEEPを選ぶならグランドチェロキーもあるのだから、ラングラーは精神的支柱であれば良い。

1時間あまりの試乗タイムだったが、絶大なファッション性と引き換えに運転には多分に慣れを要する。「おしゃれは我慢」、と何処かで聞いたことがあるがラングラーに乗るということは目一杯おしゃれをするということなのだろう。★3だが、ファッション性とヘリテージの有効活用のうまさに1つ加算している。オンロードを走るクルマとしては★2
Posted at 2025/02/02 22:59:23 | コメント(2) | クルマレビュー

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何シテル?   06/13 18:13
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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