つくばデイキャンプ～

ぼくの友達は寒くなるしつこくなる。

ぼくを見つけると後ろから抱きつき鼻を首元に押しつけ吸われてしまうのだ。

でもニオイに関してはぼくの方が一枚上手だ・・・

ニオイを嗅げば友達が今日どこに行って何を食べてきたか分かってしまうのだ。

ぼくの大好きな2本足の友達がいつもと違う強烈なニオイで帰ってきた日の出来事を話してみよう。


クンクン・・・


まずは友達がいつも乗っている車のニオイだ・・・

本革シートにアトマイザーFREESIDEMOODの香り・・・それにゴムの焼けたニオイと汗のニオイ・・・




クンクン・・・

炭のニオイ・・・あれ？このニオイはぼくも行ったことがあるキャンプ場のニオイだ・・・




ぼくの鼻なら全部わかってしまうのだ・・・

塩コショウした常陸牛のハラミの塊肉を炭で表面を焼きホイルに包んで少々寝かせて食べたんだね・・・



茨城産の紅あずまも焼いたようだね・・・



家で作ったバジルソースも使ったんだね・・・




友達はぼくが玄関で待っていると喜ぶので、友達の車のエンジン音が聞こえると玄関に向かうんだ。ここで大切なのはずっとここで待っていたかのようにするために香箱座りで待つことがポイントだ・・・




友達はぼくを見つけると抱きつき膝の上に乗せたんだね・・・

ぼくは友達がどこで何を食べたか分かるけど、黙って話を聞くことにしているんだよ・・・


「今日はつくばねオートキャンプ場でデイキャンプをしてきたんだよ～」

「昨日訪問したクライアントの肉の卸屋さんで肉のキャンセルが相次ぎ困っていたんだ」

「僕がその肉を買ったんだけど、住宅街でBBQやると近所からクレームが来るから筑波山のキャンプ場でBBQを満喫してきたんだよ」

「コロナ禍で困っているのは観光産業や飲食店だけではないんだよ」

「観光産業や飲食店を支えている卸店は政府の曖昧な基準の自粛判断で地獄の様な苦しみを味わっているんだ～しかも彼らと違って支援策も微々たるもの。食材をキャンセルされると廃棄になってしまうので売り上げ０より厳しい状況だ。」

「本当は大勢でワイワイBBQやりたいけど万一クラスターが発生してしまったら周りの人間を振り回すことになる・・・だからソロデイキャンプなのさ～」

「りょうぞう・・・炭のニオイは嫌いか？」


本当は炭のニオイは好きじゃないけど、ぼくは目を2回ほど瞬きをして敬意の合図を送ったのである。