今回の電動ファン化について、やった事が多いのでまとめてみました。
まずはもともとの冷却システムですが、ベルトでプーリーを動かして、ファンクラッチを介してからファンを回しているメカニカルファンとか、カップリングファンとか呼ばれるタイプです。ボールペン一発描きなので、概念図が下手クソなのは許してください。
ラジエーターの後ろにエンジンの動力で動くメカニカルファン、ラジエーターの前方にエアコンのコンデンサー、その前方に補助電動ファンが2基ついています。
補助電動ファンはエアコンガスの圧力上昇時とか、水温が上がりすぎた場合等に作動する様になっています。(たしか…)よくあるお手軽水温対策は、この補助電動ファンの作動の為の水温センサーに抵抗なんかを入れて、ECUを騙して補助電動ファンを早回しするという物ですね。あくまでも電動ファンは補助であって、メインのファンはあくまでもエンジン駆動のファンになります。
今回は、付いているメカニカルファン及びそのシュラウド、補助電動ファン及びそのシュラウドと、冷却システムを丸ごと電動ファンに替えるという内容になっています。
今回の改造に至った理由に、メカニカルファンのファンクラッチが非常に高額で、電動ファン化の費用と見比べて悩むような値段だったというのがあります。
といっても口実の一つであって、電動ファン化によるエンジンのレスポンス向上、冷却システムの高効率化やらが気になってしょうがないというのが大きい理由です。その次の理由は、「自分でクルマ弄りがやりたい」という理由ですが。
ボンネットを開けて、目立つのが補助電動ファンですね。間欠動作でブオーンと言ったり言わなかったりする原因がこのファンです。
実際に取り外して並べてみると、こういうパーツ達で構成されています。どれも交換履歴不明なので、どれがいつ死んでもおかしくないですね。
ラジエーターよりエアコンコンデンサーのが小さいので、補助電動ファンシュラウドもその分しかありません。とはいえプッシャー側なので、パーツの主な目的はシュラウドではなくてフィンガーガードなのでコレでいいとは思いますが。こうして重ねてみると、補助電動ファンのシュラウドが吸い込みの抵抗になっていそうな雰囲気がありますね。
今回は全て外すので、撤去したあとのラジエーター廻りがこうなります。エアコンコンデンサ前の補助電動ファンが無くなってスッキリです。シュラウドも丸ごと消えたので、空気吸い込みの効率は上がっていると思います。メカニカルファンを外して、この補助電動ファンだけで冷却というのは、出力が低すぎるのでちょっと現実的ではないですね。
新しく取り付けるファンとシュラウドについてはDerale社のキットを使用しました。
Part No.16842 High Output Dual 12" Electric RAD Fan/Aluminum Shroud Kit という製品です。モノとしては300Wの12インチファンが2つの、合計で4000CFMの流量を誇るという奴みたいです。出力優先のファンなのか、薄型ファンとかの類ではなく、厚みはそれなりにあります。ファン2基の製品を選んだのは、シングルファンよりも信頼性があるだろうという保険の意味ですね。シュラウドのサイズについては他にも複数ラインナップされていますが、純正のシュラウドのサイズを見ながら、一番サイズの近い物を選びました。
シュラウドの厚さや、ファンの位置を調整したりする必要があるので、加工無しでそのままポン付けとは行きません。
取り付けもラジエーターのアッパーホースだのATF配管だのファンベルトのプーリーだのあーだのこーだのと、干渉するものが非常に多い為に、ファンシュラウドを上から付けてから、今度はバラバラにしたファンユニットを車体の下から入れたりと、思い返せばそれなりに面倒でした。
合計最大出力50A程になるファンの為に、オルタネーターも強化品に替える必要があります。コレに関しては既存のオルタネーターの交換履歴が不明なので、そもそもいつか交換の必要アリだったので、ちょうどいい機会でした。
今回はADVANCEの130Aタイプを使用しています。
純正オルタネーターに合わせて作られている配線も同じく交換です。エンジンの熱やら負荷の加熱やらで、安全率を~なんてやってたら1AWGのごん太な配線になってしまいました。悪い癖ですね。
冷却システムを弄り、更にオルタネーターも交換するならついでにやってしまえという事で、EGRのエアポンプも撤去です。
元々マグネットクラッチの配線は外してありましたが、今回ので丸ごと撤去してしまいました。エコだの環境を気にするなら、今乗ってる車捨ててテスラに乗ってますから…。アレはアレで怒涛の加速で面白い車ですけれど。エキマニについているチェックバルブの撤去の際に、手持ちの工具がうまく入らずに、薄型の27mmスパナを買うためだけにホームセンターに行く羽目になりました。
バキュームの分配器なんかもまとめて撤去して、エアポンプレスキットを組み込んで随分とスッキリしました。インマニのEGRも撤去したかったのですが、手を付けると今回の作業が終わらなくなりそうなので、バキュームホースに蓋をするだけでお茶を濁しています。
ファンコントローラーについては今回はアメリカのDerale社のPWMファンコントローラーを使ってみました。Derale PartNo.16795という奴ですね。
純正は抵抗器を通して電圧を下げたLowモードと、抵抗器を避けて12VがそのままはいるHighモードの2ステージで動いてますが、PWM制御なので0-100%の出力で自在に制御できるのがウリです。spal社のPWMコントーラーはいつの間にか販売終了していたようですが、この製品は市場に出てから販売終了せず、マウント違いの製品なんかを追加で出すくらいなので、それなりに成功している製品なんだろうと思って採用しました。この製品の他に、マウント違いと、ファンシュラウドキットに埋め込んである一体化の製品もあるようです。どれも日本国内では正規販売されていないようですけれども。
Derale社のファンとかは国内でも使用されているようですが、日本国内でコレを使っている事例をなかなか見ないです。まさか自分が初めてってわけじゃないですよね…?目立たないだけで誰か使ってますよね?
目標温度設定に対してファン出力を可変するコントローラーですが、エアコンの圧力スイッチなんかにも対応できるように、オーバーライドの機能もあります。今回はエアコンの圧力スイッチと、手動の強制作動のスイッチを繋げてあります。オーバーライドが入ると、出力60%になり、水温が低下しない場合は出力を上げていくという動作をするみたいです。制御方式については、P制御なのかPI制御なのかPID制御なのかはどこにも記述がありませんので、不明なのがちょっとモヤッとします。
セットの中身としては配線や固定に必要な物は一通り入っています。サーキットブレーカーもついてくるのでヒューズは不要ですし、PWMコントローラーなのでリレーなんかも不要です。ファンとの防水コネクタなんかは入ってないので、コネクターを使用する場合は自前で用意する必要があります。
説明書の通りに配線すればいいわけですが、今回は説明書の通りにバッテリーに直結は出来ませんでしたので、説明書によれば保証範囲外の使用方法になります。正規代理店とかがない製品を海外から買ってるので、そもそも保証なんかアテにしていませんけれど。
ファンコントローラーの近くに防水ケースを付けていて、その中にサーキットブレーカーと電流計の為のシャント抵抗が入っています。普通の直流電流計はPWM制御の出力測定には本来不適切なのですが、手持ちの電子部品の山から出てきたのがコレなので、暫定的に取り付けしてあります。一度はオシロスコープで真面目にデューティー比なんかを観測してみたいところです。
取り付けについては、ウォッシャータンクの撤去跡地にステーを作って取り付けです。
何か作業するのに毎度邪魔臭かった純正ウォッシャータンクは、今回は汎用品に取って代わられました。自分の場合はウォッシャーの使用頻度は高くないので、汎用品で十分です。配線と配管をチョイチョイと替えるだけなので、簡単です。使用したのはトラストの汎用カンガルータイプです。ステーを2液接着剤でクーラントタンクに固定しています。熱膨張の差とかでタンクに亀裂が入らないと良いんですが、取り付けてから気づいたので、割れたらその時また考えましょう。
空気の吸い込みを改善したので、ついでに空気の出口も改善しようという事で、エンジンのアンダーカバーも加工を行いました。シュラウドの後ろくらいから直ぐ下に排気できるのと、その他補器だのオイルパンだのの下からも空気が抜けたらいいなという目的です。
ノーマルに比べて随分とスパルタンな見た目になりましたが、普通は誰も腹下なんて見ないので問題ありません。腹下に排気口が出来たので、停車時でも電動ファンの排気で運転席足元あたりに熱風がきたりします。空気が抜けてる証拠ですね。多分。ダウンフォース的にはまっ平らの方が良いんでしょうが、その代わりにボンネットをサメエラまみれにする必要があるので、今回は見送りです。
改めて見てみると、結構やった事が多いですね…。やっている時はハイになっているのか、真面目に振り返らない状態になっているのか、そんな認識は無かったんですが。楽しくクルマの下で作業しておりました。
次回あたりは、電動ファン化で変わった事、メリット・デメリットや気がついた点なんかが書ければと思います。