今年も鈴鹿日本GPが開催されました。
今回もレース展開次第では今シーズンのチャンピオンが決まるような重要なレース。もちろんレースそのものは大いに盛り上がりました。個人的には今季限りでF1を引退するマーク・ウェバーに頑張ってもらいたかった。ポールポジションは取ったものの、スタートダッシュ〜第1コーナーで予選4位のグロジャンにトップを譲って、ちょっと調子に乗り切れなかったか……。この人、本当に性格がいい。以前、ウイリアムズ時代に、ちょっと話す機会がありましたが当時も、チームメイトで年下の第一ドライバー、ロズベルグに気遣いながらのコメント。ドライブテクニックが高いことはレッドブルで散々証明してきました。しかしこれが戦い。もっと闘争心があったらなぁ、と感じていましたが、鈴鹿でも終盤は魅せてくれました。めちゃくちゃ感動したんですけど(笑)。
ま、レース展開は、テレビやニュースにはかなわない(ホント、F1は観戦していても全く展開がわかりません)。でも、今年の鈴鹿は昨年までとは少し異なる雰囲気がありました。今回はそれをレポートします。
鈴鹿にとって今回はF1開催25周年の節目の大会。しかし2001年以来の日本人ドライバー不在、日本メーカーの参戦もありません。日本のモータースポーツファンにとってはなんとも寂しい状況です。今回は果たしてどれくらい盛り上がるのか……。何となく日本のモータースポーツ文化そのものが問われているような……。
ところがふたを開けてみれば、スタンドには想像以上に老若男女の人で埋まり、ドイツ、イタリア、フランス、ブラジル、フィンランド、オーストラリア国旗などが並んでおりました。
サーキットの周囲にはサーキット入りするドライバーをひと目見ようと、多くの人垣ができ、目当てのチームカラーのシャツやキャップで身をまとい。スタンドの外に設けられた物販スペースにも人だかり。鈴鹿にはモータースポーツ(の観戦)文化がしっかりと根付いていました。
やっぱり鈴鹿です。大会運営の裏方、マーシャルの観客誘導やレース展開に応じた動きは的確だし、セキュリティーも万全でした。2009年に大改修された後は、スタンドやピット内の設備、メディアルームも世界最先端に追いつきました。
テクニカルで高速なコースはもとよりドライバーに本当に人気が高く、毎シーズンの終盤による開催ということもあり、レースはいつもエキサイトします。
近年F1は20万人〜25万人の集客がないと元が取れないビジネスになっています。これほどの人数を集めて、しかも周辺の交通状況も考慮した大会の管理運営するには、非常に多くの人手と経験がものをいいます。重要なのは地元の力です。F1運営というものはサーキットなど施設があればいいというものではありません。また来場者の増減で一喜一憂すべきものでもありません。
ツインリンクもてぎはホンダが、オーバルでも通常のコースも国際級のレースを開くことが出来るという画期的で最先端の設備によるサーキットでしたが、F1の開催はありません。ホンダがツインリンクもてぎを建設する際、収容できる人数は10万人台にするよう、地元自治体から要請がありました。いくらそこに立派な施設が整っても、周囲の交通状況、インフラがそれに追いつかなければ地元の生活に影響が出ます。富士スピードウェイですら、トヨタが得意とするはずだった「改善」も及ばなかった。こんな状況ですから市街地コースなんて夢のまた夢です。日本は世界トップの自動車産業大国なのに、ことその基盤であるモータースポーツに対してはまだまだ閉ざされた環境下にあります。サーキトにクルマで行けないなんて、欧米にはあり得ない。国土の狭さを言うなら、欧州も似た環境です。
でもこの鈴鹿は違います。街全体がF1を歓迎してくれる。小中学校の敷地内にもF1観戦者を歓迎する垂れ幕や幟旗がたてられているし、連休にもかかわらず交通量を抑えるために臨時休業する事業所も多い。この開催期間には人口(約20万人)が倍増するわけですから、地元の協力なしにはできません。文化ってそうです。アメリカのメジャーリーグでも各ボールパークの天然芝などグラウンド整備は地元のボランティアに支えられています。
今回は、以前あったような派手な開催セレモニーはありませんでした。EXILE来なかったけれど(笑)が、それでも「これが鈴鹿、これが日本のサーキット」と胸を張れる大会でした。第一、ドライバーみんながとても楽しそうでした。
来年は小林可夢偉も「戻れると信じている」と発言しているし、表情も明るい。可夢偉もいい性格なんです。昨年の鈴鹿で、自身F1初の表彰台に上りながら、優勝したベッテルが「可夢偉とポディ・ウムに立てたことが嬉しい」と言えば、可夢偉がそれを訳して観客に説明。「めっちゃいいヤツなんですよ、ベッテルは」って、互いにたたえ合う、ポディ・ウムでのインタビューらしからぬいい光景でした。可夢偉は闘志もあるし……でも、それだけじゃドライバーになれないこともまた現実なんですけどね。
また今大会のデモランでマクラーレン・ホンダ時代の名車MP4/6を運転した伊沢拓也選手も「今もっともF1に近い日本人ドライバーのひとり」。日本人としては2015年に復活するマクラーレン・ホンダのドライバーに期待が高まります。(噂じゃ、ホンダはアロンソ狙いだそうですが……。ま、来シーズンはライコネンとウマがあいそうにないしね 笑)
そうそう、アロちゃんも惜しかった。帰りの新幹線では同じだったね、君はグリーン車だったけれど(笑)
気分が盛り上がって、サーキット内のショップでギルドデザインのiPhoneケースを購入。アルミ削り出しで、コースの刻印入りの鈴鹿限定モデルでなんか、めちゃくちゃ嬉しい。
さて、本日14日に発表された入場者数は昨年よりも約3万7000人少ない17万1000人。数字上は残念ながら過去最低だけど、この状況下でも良く集まりました。だけど内容は日本のモータースポーツの未来も感じられる。やっぱり来てよかった。来年もまたここへ来ます! あの雰囲気。あのエンジン音。あの風。アドレナリンがわき出ます。可夢偉、また表彰台に期待します!
Posted at 2013/10/14 07:39:21 | |
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