前日のつづき
8月15日(土)
朝3時半起床。

宿で購入した酵母パンとお湯を沸かしてキャラメルラテ(粉)をいただき、さっそくテントを畳みます。

今日は日の出前にシルエットだけ見えている爺ヶ岳に登って、そこでご来光を眺めることにします。(4:25)
しまった、日の出が何時か調べるのを忘れました。
昨日までの経験からして、大体5時前後なのですが、コースタイム1時間10分を30分ぐらいで登れば・・・・、ちょっと出発が遅すぎました・・・・

おでこに一応ライトを着けているのですが、薄明かりに目が慣れてきたので、そのまま点けずに歩いていきます。
けっこう明るくなってきてしまいました。
前のグループの人に日の出時間を確認すると、5時04分とのこと。
わお、やっぱりけっこう急がないと駄目じゃないですか。

とりあえず、山歩きではあり得ないぐらい早歩きで登って、手前にある爺ヶ岳南峰の山頂に立ちます。(4:55)

皆さんカメラの準備に余念がありません。

実は日の出方向に爺ヶ岳中峰があって、本当はあそこに立つ予定だったのですが、日の出に間に合わなさそうだったので、手前の南峰に登ってしまったというわけです。
写真で見るとズレていることはわかるのですが、肉眼ではどこから太陽が昇ってくるかわからず、これで中峰と太陽の位置が重なっていたら洒落にならないなぁと思いながら日の出を待ちます。

空が赤く染まってきました。もう間もなくです。

中峰の山頂にも一人立ってますね。小屋を早めに出て間に合ったのでしょう。

ご来光です。

何度見ても神々しいですねぇ。

ほんと、中峰のちょい脇からの日の出でした。

そして、アルペングリューエン。
(これを見るなら、中峰より南峰のほうが有利かもしれません)

剣岳。(ちょっと染まりが足りないですね)

槍ヶ岳。

というわけで、日の出ショータイムでした。

そして、なぜかショータイムが終わってから山頂に登ってこられた皆様。
(間に合わなかった?)

では、私も到着が間に合わなかった中峰に行ってみるとしますか。

意外に下って登り返しますね。日の出前にチャレンジしなくてよかったです。

中峰到着。(5:40)

とりあえず、山頂は満腹状態なので、すぐに登山道に引き返し、冷池(つべたいけ)山荘のほうに向かって降りていきます。

こちらは昨晩宿泊した種池山荘を振返ったところです。

冷池小屋に向かってハイマツの中を下って行きます。
(ここはライチョウがたくさん居るのだとか)

冷池小屋も最後登り返すみたいです。

そして、その冷池小屋の後ろに控えているのが鹿島槍ヶ岳。
本日のハイライトです。(なんてマッタリな日程(笑))

なるほど、扇沢かどこかの登山口からここに直接登ってこれるわけですね。
(調べてみたら扇沢から登れるのは種池山荘の方で(道理で混んでいたわけです)、翁ヶ岳スキー場を経て大谷原から登ってくるみたいです)

さてと、行きますか。

こちらも、最後は一旦森林限界の下まで行きますね。
早朝の涼しい時間でよかったです。

冷池山荘に到着。(6:40)

しょうゆラーメン、餅入りを・・・・・ゲップ・・・・

なんと、ここのテントサイト、ロケーション抜群じゃないですか!

剣岳とかも見えてるし。。。
今度はここに泊まりたいです。

少し歩いて花畑になったところで、冷池山荘で買ったアイスを頂きます。
うまい!!

いい場所でアイスを食べたと思っていたのですが、もう少し進むと、どんどん花の量が増えてきます。

ありゃ?

ありゃりゃ?

ありゃりゃりゃりゃ?
こっちで食べたほうが良かったですかね。
では、次回テン泊で来たときにでも。

小さな池もあります。

鹿島槍ヶ岳(右の三角)、小屋を過ぎたらすぐに取り付けるかと思いましたが、意外に距離があります。
まぁ、コースタイムでも山頂まで2時間10分ってなってますしね。

ようやく近づいてきました。

ニセピークのところに人が見えます。
まずは、あそこを目標に登りましょう。

手前はジグザグに登っていく感じですから、わりと楽勝です。

空を見上げながら、登っていきます。
富山側から雲が流れてきていますが、完全な曇天になるわけじゃないみたいなので、むしろ日が当たっていないうちに、一気に登ってしまいたい所です。

さきほどのニセピークは登山道から写真では右上に外れてわざわざ行くところみたいなので、私はスルーして、その先にある鹿島槍のホンモノのピークを目指します。

さーて、曇ってる間に登っちゃいますよ~。

太陽、登場するの、もうちょっと待っててね~

鹿島槍は槍と名前がついている割にはとにかくダラダラ登りますね。(冷池山荘側からの話)

なっかなか山頂にたどり着きません。

カメラの望遠レンズを望遠鏡代わりにして、あそこに山頂があることを確認。

あと、もう一息と言うところで太陽が顔を出します。

逆に、太陽が顔を出したタイミングで降りてくる人もけっこう居ますね。
山頂で晴れるまで粘らなかったのでしょうか?

う~む、山頂までの距離が縮まらない・・・・

わっせ、わっせ・・・

あと少し・・・・

たしか、さっき望遠レンズで見上げていた場所はここだったはず・・・・

到着!!(9:15)
さすが百名山、一人で山頂貸し切りってわけには行かなかったです。

こちらの展望も抜群です。

冷池小屋で買っておいたコーラで乾杯。

昨日、一昨日とハードな行程で移動してきたので、今日はマッタリデーと決めておりました。
ここから下ったところにあるキレット小屋で宿泊するつもりなので、心行くまで山頂の景色を楽しむつもりです。

本日歩いてきた道。
左の頂点3つが日の出を見ていた爺ヶ岳です。

これは、先ほど私が勝手にニセピークと呼んでいた場所で、私は右側の道を迂回してきました。
ここから見ると、道と標識がそれほど離れて居らず、いかに心の余裕がなかったかわかります(笑)

昨日宿泊した種池山荘。(テントサイトは少し右で、見えておりません)

奥の山で真ん中にあるきれいな三角形の山が、私が大好きな黒部五郎岳。
登山を始めてからお盆は毎年あそこに行っていたのですが、今年は行かなかったですね。

180度の大パノラマです。(残り180度は大町方面)

自分のザックを写したわけではなく、手前にキアゲハが停まっているんです。 ↑

石が四角く砕かれて割れているので、座るところに事欠かないすばらしい山頂です。

足元を見ると、今晩お世話になるキレット小屋が見えています。
想像していたのは、もっとキレットの断崖絶壁にあるのかと思っていたのですが、普通に鞍部にありますね。

かれこれ、30分以上山頂でぼけっとしていたでしょうか。
そろそろ下ることにします。(9:55)

と言うのも、10時近くになって、ぼちぼちガスが上がり始めたんですよね。

爺ヶ岳と同じように、鹿島槍にも北峰があります。
せっかくなので、こちらにも顔を出してみることにします。

こちら側の斜面は「槍」らしく、けっこう急激に下って行きます。

分岐のところでザックをデポ(置きっぱなしに)して空荷で北峰に登ります。

空荷は楽でいいなぁ。

北峰山頂です。

足元のキレット小屋ですが、やはり両側が崖になってますね。
ちょうど山頂に居合わせたおじさんに、今日はキレット小屋に泊まるのだと告げると(山ではどこから来て、どこへ行くのかという話によくなります)
「キレット小屋はいいよぉ。ご飯は美味しいし、弁当頼んだら、うな丼だったしなぁ」
「う、うな丼ですか!!」
と、答えた私の顔があまりに真剣すぎたらしく、、、
「あ、2年前に泊まったときのことだからね、、、今はわからないけど・・・・」
と、トーンダウン。
うな丼かぁ・・・・・、(マッチ売りの少女のように頭にうな丼が浮かんできます)

さて、下るとしますか。

ここからの下りは、さすが鹿島「槍ヶ岳」という感じです。

ガスも出てきて雰囲気満点。
いつもピーカンじゃ、味気ないですからね(贅沢)

けっこう浮石の多い、急斜面です。
慎重に行きます。

ガレた痩せ尾根。

小屋の手前にキレットの難所が見えています。

あのあたりは手を使わないと厳しいみたいです。(右の登山者がいるあたり)

キレット小屋自体はもう少しなんですけどね。

先ほどの急斜面を左へ下っていきます。

鎖もちゃんとありますし、慎重に行けば問題ないレベルです。

なんか、壊れそうですけど、梯子もありますね。

鎖場。

たまには足出し撮影。

ここから左にまたぐみたいです。

左に出たところ。

この痩せた稜線(キレット)を横移動(トラバース)します

ちょうど、対向のおばちゃん二人が着たので、通過待ちをしております。
落ちたら命の保障は無い感じですが、普通は落ちないと思います。

こうやって見ると、怖そうに見えますよね。

この橋、なかなかイカシテマス。

靴幅分ぐらいの箇所もありますが、鎖が張ってあるので大丈夫です。
実はこの後に、もっと危険な場所がありました。
そこは、岩場を進む道と草むらを進む道(踏み分け跡)に分かれていて、岩場のほうに「○」マークがついていたので、何気なくそちらに進んだのですが、うっかり草むらに進むと、落とし穴よろしく、草の下には地面はなく崖下に滑り落ちるという寸法です。(しかも、草むらが倒れた跡が・・・・、誰か落っこちたのでしょうか?)

キレット小屋に到着。(12:45)
想像以上に新しい小屋です。

まずは、ネクターとみかん缶を購入して一息入れます。
それから、翌朝の朝食はキャンセルにして、うな丼、じゃなくて弁当を注文。
弁当は開けた時の楽しみってものがあるので、メニューはあえて聞きませんでした。
(まぁ。普通弁当のメニューを聞く人は居ないと思いますが)

さらに、本日はマッタリデーなので、「落日燃ゆ」なんぞを読み、あまった行動食をつまみながら、優雅に時を過ごします。
(終盤、静子さんのくだりで、山小屋で泣いてしまいました(笑))

かなりガスが上がってきたのですが、これはこれでオツなもの。

靴下だけ写っているとなりのおじいさん、65歳なのですが、60歳のときに70日間で北アルプス全山一筆書き縦走をやってのけ、5年後の今年に逆走でもう一回やっているのだとか。
山小屋泊オンリーなのに、さすがにこの日数になるとザックの重量20kg、すっごい元気ですし、人生の目標になるなぁってつくづく思います。しかも、コースの最後は槍ヶ岳の北鎌尾根(一般人が立ち入らないバリエーションルート。私も一人で行く気はしません)
ちなみに待っている奥さんをなだめるために、帰宅後すぐにブータンに二人でトレッキングに行くのだとか。
これだけの日数山に居ると携帯の充電が困るとの事でしたので、楽しい話をたくさん聞かせてもらったお礼に、私の充電キットを使って、充電して差し上げました。
(私は明日下山ですし、かなり温存していたので)
ちなみに、おじいさんは携帯をメモ代わりにしてメールを自宅のPCに送る形で日記を書いてらっしゃいました。

夕飯です。見ての通り、激ウマです。最高です。
夕飯を食べた後に、小屋のまん前に出て景色を眺めていると、隣のおじさんがなにやら重厚なカメラを三脚につけてシャッターチャンスを待っています。
カメラのメーカーを聞いてみると、
ハッセルブラッドとのこと。
名前だけは聞いたことありますが、もう、見た感じで高いことだけは十分わかります。
おじさんも、中古でなんとか手に入れて、今回はじめての登山使用なんだとか。

今のところ、見えているのはこんな景色。
おじさんも小説を読みながら夕日待ちのようです。

ようやく、空が色づいてきたのですが・・・・
おじさんの、ハッセルブラッド、露光計の調子が悪いらしいので、フィルムのISOとレンズの絞りを聞いて、私のデジイチが算出した値をリアルタイムで教えてあげます。
って、私は手持ちなので、ISO100での撮影なんて無理なので、都度ISOを変更したり、露出を変更したり、おじさんに伝えたり、撮った写真を見せてみたりと大忙し。

とは言え、わざわざ撮るような景色といえば、ガスが取れた剣岳ぐらい。
キレットの底で視界が利かないので、撮影方向も限られちゃうんですよね。

しかも、キレットはガスの通り道なので、頭の上から時々盛大にガスが降り注いできて、視界がなくなります。

さて、いよいよ夕日の時間、と言うところで、例によってガスが降ってきました。。。
ハッセルブラッドのおじさん、デビュー戦だったのに残念でしたね。。。

な~んて、思っていたら・・・・

こ、これは・・・・

わお!!
(ハッセルブラッドのおじさんも、レンズ交換にフィルム交換にフィーバー状態です。ただ、こういう時は露出が難しいので、こちらの適正露出値を教えてあげながら、おじさんも上下3段ずつぐらい撮りまくっています)

これは神秘的。
私のデジイチの電池がなくなりそうだったこともあったので、一度部屋に戻って、隣の65歳、70日北ア一筆書きのおじいさんも呼んで、一緒にこの景色を楽しみます。
(ちなみに、おじいさん、キャノンのGシリーズをお持ちでした。渋い!)

これは素晴らしい!

まるで淡い炎に包まれているみたいです。

左に剣岳登場。

日が沈んできたのか、ピンク色に染まります。

あぁ、太陽が沈みましたね。

最後は空が茜色に染まって、本日の夕日も終了です。

ハッセルブラッドのおじさんも良いデビュー戦になったんじゃないでしょうか。
(私が伝えた露出、あってますように・・・・)
その後、部屋に戻って、眠くなるまで小説を読み、消灯時間になったところで布団にもぐりこみました。
明日はいよいよ下山の日。急に寂しくなってきました。
おやすみなさい・・・・
つづく