
アメリカ出張から戻ってからすぐに登山道具に切り替え、夜行バスの出発点となる品川駅に向かいます。

元同僚のTさんと改札口前で合流し22時30分のバスに乗って出発です。
元同僚と書きましたが、Tさんは定年退職後に楽しい生活を送ろうと若いときから計画を立てて貯金にいそしんでいたところ、早期退職優遇制度が導入されたため、少し前倒しで会社を円満退社され、今はテニスとスキーと登山、温泉三昧の生活を送られております。
(そんな人生に憧れますが、きっと私には(貯金なんて)無理です)

新宿バスターミナルを通過した後は消灯されるので、こんなフードを被って眠りに就きます。
私は帰りの飛行機でも寝ないで頑張っていたので、バスが高速道路に乗る前には眠りに落ちていました。
(Tさんはなかなか寝付けなかったとか)
7月31日(土)
最後に立ち寄ったSAで運転手さんに富山駅前の到着時刻を確認すると、
「6時15分ぐらいですかね~」
という返事。(時刻表の到着予定時刻は6時ジャスト)
6時10分に駅の反対側のターミナルを出発するバスに乗らねばならないので、なんとかならないか訴えてみると、ちょっと急いでみますという返事。
その後のバスは追い越し車線をメインで走ってくれて、なんとか6時5分頃に富山駅に到着しました。
(親切な運転手さんで助かりました)

運転手さんに礼を言ってザックを回収します。
他にも登山用の格好をした方もいらっしゃったのですが、皆さん室堂方面に向かう様子でのんびりしています。
(そちら方面は富山地鉄6時30分頃発とのこと)

15歳年上のTさんを一旦置き去りにして、駅の反対側へと走ります。

なんとか出発寸前のバスに追いつきました。
車掌をやっている若い子に「あと一人来るから!」と伝えて、Tさんを迎えに戻ります。
地下通路から出た後、明後日の方向へ歩いてきょろきょろしているTさんを大声で呼び戻し、無事に二人でバスに乗り込むことが出来ました。
バスに乗って一息ついたところで、
「ぎんがめの旅っていつもこんなんなの?」
と聞かれたので、笑顔で
「だいたいこんな感じですよ」
と、答えたら、
「俺ならこんなきわどい計画は絶対に組まない」
と、元経理屋さんらしい生真面目な返事が返ってきました。

この道は先日涸沢から下山した後にロードスターで走ったばかりですね~
本当は富山駅から登山口の折立までバスがまっすぐ走れば2時間以内で着くところを、今年は土砂崩れで道が崩壊してしまい、バスは一度岐阜県まで遠回りしてから北上し、4時間弱かけて折立を目指します。そのため、私達のバス搭乗時間は合計11時間になってしまっています。
普段、近所の山に自家用車で登山に行っているTさんには、このバス乗車時間の長さも信じられない様子でしたが、これは私のせいではありませぬ。

そうそう、道中の鉱山跡にスーパーカミオカンデがあるんでした。

長い行程なので、道の駅で少し休憩。

山間部に入ったところで、バスのワイパーが動き始めます。
天気予報では晴れるはずでしたが、なんと雨が降ってきました。
いきなり登山口からカッパ着て登るのは辛いなぁって思っていたら、すぐに止んでホッとしました。

有峰林道に入って、再びトイレ休憩。
バスが走り出してすぐのカーブを抜けたところで、、、

あ! あれは!!
(車掌の若い子も覗き込んでいます)

おお!

おおお!

なんと、、、
けっこう大きなツキノワグマです。
(写真にはハッキリ写せませんでしたが、茂みの中の黒っぽいのがそうです)
ちなみに、バスの車内で気がついたのは私と車掌の子の二人だけでした。
最初道路に居たのに、運転手さんが気がつかなかったことにびっくり(笑)

有峰ダムで最後の休憩。(というか、たぶん撮影タイム)

なんだかんだで晴れてきました。

折立登山口に到着です。
早速準備を整え、午前10時過ぎに出発しました。

のっけから急登を登っていきます。
バテないように、ペースをぐんと落としてじっくり登ります。

バスの中でおにぎりを食べましたが、登り始めてすぐに消化してしまったので、再び燃料補給。

「三角点」と呼ばれるポイントまで、とにかく一本調子で登っていきます。
折からの猛暑で標高を稼ぐまでは暑いこと、暑いこと。

ようやく「三角点」を通過して、視界が開けてきました。
と、同時に空に雲が広がってしまいます。。。

まぁ、歩いたり休憩したりする分には涼しくて良いんですけどね。

さらに燃料補給。(一応昼食です)

視界が開けてからは緩やかな登りなので、本当に気分が良いです。

8月上旬は花真っ盛りかと期待していたのですが、すでにチングルマなんかは散ってしまった後でした。
今年は花の時期が早いんだか、遅いんだかよくわからないですね。

少しずつ青空が見えてきました。

やはり青空が見えるだけでも気分が違いますね~。

太郎平小屋が見えて来ました。

三角点まではコースタイム通りのスピードでですこし焦りましたが(コースタイムは高齢者向けに設定されています、って、私も高齢者の仲間か!!)、その後は1時間ほどコースタイムを短縮して14時前に到着。
受付に行くと、恐れていた事態が発覚・・・・
恐怖の布団1枚に2人体制・・・・
(その後、思ったほど客数が伸びなかったらしく布団2枚で3人に変更)

まぁ、それはともかくビールで乾杯。
(一人行動だったらアルコールは取らない質なんですが)
Tさんは一杯1000円する生ビールを注文しておりました。
缶ビールは安いけど苦手なので、私も生ビールにしておけば良かったです。

その後、再び晴れてきたので、小屋の裏にある太郎山に散歩に出かけました。

お~、薬師岳(例のお腹超特急、私も超特急で下った百名山)です。

17時に夕食。
Tさんはメニューと味にご不満な様子でした。
ちなみに、Tさんは私より登山歴は長いのですが、お風呂に入れないことが嫌で、ほとんど縦走経験がありません。

布団2枚を3人で使うわけですが、当然のことながら私が真ん中のポジションになります。
もう一人「相布団」になったおじさんは広島からいらっしゃった方で、
「布団を横に敷けば、真ん中のあんたも楽じゃろ」
と、ナイスな提案をしてくれる方でした。
この方の人生がこれまた綱渡りで、ガンと動脈破裂で2回死にかけて、体力が復活したので北アルプスに来たという話に心底驚かされました。
(帰宅したら肺ガンの疑いがあるので、再び検査だとか)

そんなこんなで、山小屋の夜は更けていくのでした。
そう言えば、夕方になっても晴れないなぁ。。。
明日の天気がちょいと心配です。
そして、もうひとつ心配なのが明日の山小屋の空き具合。
8月最初の土曜日なので、今日の混み具合はある程度予想していたのですが、周囲の皆さんの行程がほとんど4泊以上なのに驚き、同時に明日も同じぐらい混むのではないかという恐れが頭をよぎり始めました。
というか、ここ最近、「若い人ばっかり」「女性の単独行に囲まれた」とか書いていたのですが、今回の山小屋では、数年前にタイムスリップしたかのような平均年齢の上がり具合。というか、若い人が見あたらないのはなぜでしょう?
若い人は海の日とかお盆に集中して、会社をリタイアされた方がそれ以外の日程で歩かれるからでしょうか?
う~む、よくわかりません。
それはともかく、早く寝なきゃ。
おやすみなさい。(20時)
そして、平均年齢が上がったこともあり、当然のことながら、四方八方からイビキサウンドに囲まれるのでした。
8月1日(日)
2時過ぎに目覚まし無しで起きて、軽く外を散歩してみます。(山では3時間に1回眠りが浅くなった瞬間に目覚まし無しでも起きることが出来る体質になりました)
どうやら星も出て居るみたいでよかったです。
3時半にTさんを起こし、出発の準備を整えてから小屋を出ます。

まだ暗いのでランプを灯けて歩き始めます。(3時50分)
Tさん曰く、ここ数年で昨晩が一番ぐっすり眠れたとのこと。(私が散歩をしていたことを伝えたら、まったく気がつかなかったとのこと)
バスで寝られなかった上に山に登ったこともあり、相当疲れていたのでしょう。

少し明るくなってきたところでライトを消し、暗がりに目を慣らしてしまいます。

昨日はまったく見られなかった北アルプスの山々が視界一杯広がります。
Tさんもすごく感動しています。
(Tさんの北ア経験は百名山の剣と立山と白馬、あとは燕から表銀座で槍を目指したものの、大天井で大雨にやられて撤退というのがすべてだったと記憶しております。また、周囲に雨男が多いらしく、天気に恵まれないことが多いのだとか)

写真右、今回私が招待したかった黒部五郎岳です。

5時過ぎに太陽が昇ってきました。
ところが、それと同時に飛騨側から突然ガスが広がり、あっという間に視界が真っ白になってしまいます。
今まで夏山でこんな天気になったことがないので、何がどうなっているのかさっぱりわかりません。

北ノ俣岳手前のハクサンイチゲとチングルマの大群落を日の出後に迎えるつもりで歩いてきたのですが、ご覧の景色に・・・・

北ノ俣岳山頂です。

お、雷鳥。(写真には写っていませんが、雛も一匹おります)
って、まさか天気が崩れる?

小屋を出てから何も食べていなかったので、小屋で出されたお弁当(押し寿司)を頂きます。
けっこう美味しかったです。
そして、ガスが取れないままひたすら黒部五郎岳を目指して歩き続けます。

あ~、これは黒部五郎岳の取り付き地点。
頼む~、晴れてくれ~。

んん?

おおおお! (振り返ったところ)
なんと、運が良いことに我々の居る場所が最初に晴れてきました。

そして、高い山から順に頭を出し始めます。
(薬師岳)

えっちらおっちらと黒部五郎岳の肩まで上がってきました。
カールの中は半分ガスに覆われています。

まずは頂上に登ります。(8時35分)
大分ガスが取れて、周囲の山々が見渡せます。

薬師岳です。

そして、こちらが明日登る予定の槍ヶ岳。
Tさんが、
「あんなところまで歩くのかよ・・・・」
と、絶句しておりますが、人間、案外歩けるものなのです。
あまりに気分が良かったので、予定より長めに時間を過ごし、ボチボチとカールの内側へと向かって降りていきます。

ありゃ、カールの中(右側)にガスが溜まっちゃってますね。
(まぁ、ガスは呼吸するので問題ないのですが)

とはいえ、いつまで経っても見られなかったら困るので、Tさんに
「ここからの光景を一度眺めたら、あとは足下だけを見て、着いてきてください。決してカールの上部を見上げないでくださいね」
と、念を押してから降りていきます。
そして、カールの底へと降りること10分。
Tさんに
「顔を上げてください」
と、声をかけます。
そこで、視界に飛び込んでくるのが、、、

この景色。

人間でも一緒に写さないと、スケール感がよくわからないですよね~。(Tさん撮影)
転がっている石一つとってもでっかいんですよ。
そして、ここは最低でも2泊3日は必用と言われている北アルプスの奥地にあるため、かなり空いています。
足下を流れる水は雪渓からの雪融け水なので飲み放題、雪渓を削って練乳かけてかき氷食べ放題。
冷や麦も持って行ったんですが、ちょっと時間に余裕がなかったので、それはパスしました。
わりと低山を中心に登られているTさんは川の水をいままで直接飲んだことが無く、あまりの旨さに絶句しておりました。
私が北アルプスの中でベストポイントを挙げろと言われたら、迷わずここを選ぶぐらい気に入っている場所です。

ここに8月頭に来たのは初めてなのですが、やはり花の量がお盆時期よりも多いですね~。
(花の百名山でもありますし、この本の著者もベストは黒部五郎って書いていた記憶があります)
まぁ、とにかくTさんにここを紹介できてよかったです。
と、悦に入っていたところ、Tさんに
「おまえ、本当にここが好きなんだな」
と、ぼそっと言われたので、Tさんそっちのけではしゃいでいたのは私の方だったような気がします。
さて、時間は10時を回ってしまいました。
そろそろ双六小屋を目指さないとならない時間です。

遠ざかる黒部五郎カールを何度も何度も振り返りながら、先へと進みます。

黒部五郎カールを去ると同時に空が曇ってきました。
ここは結構標高が低いので、暑くなくて助かるのですが、お花も咲いているしもうちょっと天気が持って欲しかったです。

黒部五郎小屋に到着。(11時)

カレーを食べたのですが、これが旨いのなんの。
普通はここまでで一日の行程が終わりになります。
(行動時間休憩込みですが7時間)

しかし、我々は食べ終わると同時に急登にチャレンジです。(11時40分)
本日宿泊する予定の双六小屋までは、あと4時間の道のりですが、これをこなせないと、明日の槍ヶ岳は無理という話になります。

三俣蓮華岳までの登りが勝負です。
ここで断念して三俣小屋になっちゃうか、超えられるか、、、、様子を伺いながら歩いていたのですが、15歳年上のTさんはまったく問題ない様子で着いてきてくれました。

ガスって何も見えない三俣蓮華岳の頂上。
以前は立っていた「岐阜・富山・長野、三県県境」の標識が見あたりませんでした。
ここでは展望も効かないので、休憩せずにすぐに出発。
一応晴れるかもと期待しながら、双六岳の頂上を通過するコースに進路を取ったのですが、途中で小雨がパラついて来たので巻道コースに進路を変更します。
すれ違う人に出発地を尋ねられ、太郎平を朝出発したと答えると、かなりの確率で驚かれます。
さらに明日は槍まで行くと付け加えると、(年配の登山者の方に)ものすごく感心されるのですが、Tさんはそれが嬉しくて仕方が無いと後で言ってました。

ここも花が満開です。
晴れていないのが本当に残念。

後半はむしろペースが上がって、予定よりも早く、3時間で双六小屋に到着しました。(14:40)
到着して喜んだのもつかの間、明日は平日だと言うのに、再び布団2枚3人体制。。。
山はテントに限るなぁ。。。

それはともかく、本日の長い行程を無事に歩き通せたことにビールで乾杯!
普段は酒をあまり飲まない私ですが、山小屋で飲む生ビールは美味しいですね!

双六小屋の夕食。
メニューも豪勢で美味しかったです。
Tさんも大満足の様子。
気になって食堂を見渡してみたのですが、やはり若い子はまったく見当たりませんでした。

夕方にはちゃんと晴れていました。
天気予報も確認しましたが、これなら、明日の天気も問題なさそうです。
さて、すでに仕事を引退されたTさん、幸せな日々を送っているのかどうか気になって尋ねてみたところ、
「バイトか何かしたいんだよね~」
との返事。
そりゃぁ、そんなに元気なのにしなきゃならないことが無かったら、退屈でしょう。
お金と言うよりも社会に役立ち、自分も楽しめる仕事を少しだけしたいんだとか。
(さすがにこの条件では早々見つからず、今のところは無職のままだそうですが)
さて、明日も早い時間に出発しますし、寝ておきますか! (20時)
お休みなさい。
8月2日(月)
は、、、離れてる!
左右2枚の布団が!
というわけで、2枚3人体制の真ん中で寝ていた私が使っている布団はいつのまにやら左右5cmぐらい離れてしまっていたので、横向きに寝ると、見事に布団の隙間に落ちるのでした。
(落ちないようにするためには、Tさんか横の知らないおじさんにくっつかなければならない)
例によって2時半頃起きだし、軽く外を散歩。
予想通り星空が広がっています。
(この時間は明るい月が上がっているので、天の川などは見えません)
3時にTさんを起こし、行動食を軽く腹に放り込んでから、昨日より30分早い3時半に小屋を出発します。

この時間だと真っ暗なので、ヘッデン(頭に付けるライト)に頼り切ることになります。

最初の樅沢岳に到着した時点でも、まだ真っ暗でした。
ここから槍ヶ岳へと続く西鎌尾根を進むことになります。
しばらく進んだところで、徐々に空が明るくなってきたので、ライトを消します。
今までと違って、滑落する可能性のある場所が多いので慎重に進みます。

薄明かりの中に槍ヶ岳が姿を現しました。
あと4時間ぐらいで山頂に立てるでしょうか。

今日は綺麗なアルペングリューエンが見られますかね~、

だいぶん明るくなってきて、これから歩く西鎌尾根を見渡すことが出来るようになってきました。

ここも雪田がけっこう残ってますね。
(何回か雪田を通過しました)

そして、当初思っていたよりも10分以上遅く朝日が昇って来ました。
どうやら低いところに漂う雲に邪魔されていたようです。

残念ながら光り輝くアルペングリューエンをTさんに見てもらうことは出来ませんでした。

あと、西鎌尾根名物といえば、咲き乱れる花々です。

Tさんは私よりも花に詳しく、花の多さに喜びつつ、あれこれ種名を言いながら、時折アップで写真を撮っておりました。

これぞ北アルプスの稜線(尾根)歩きと言える、痛快な散歩道です。
(振り返ってTさんを撮影)

双六小屋を出発してから、3時間、お腹が減ったので千丈沢乗越(のっこし)で朝食を頂きます。
Tさんは「すごい旨い、こんなに旨い弁当を食べたことがない!」って、感激していたので、かなり疲れていたのだと思われます。
(実際、この地点が疲れのピークだったとか)
下山する時もここに立ち寄る予定なので、メインザックをここに置いて(デポして)おき、小さなザックやウェストポーチに必用なものを詰め込んで、槍ヶ岳最後の登りに取り付きます。
(もし、ここまででTさん、もしくは私が疲れてしまったり、ペースが上がらないようでしたら、ここから下山する予定でした)

ザックが無いので体が軽いですが、ペースは控えめにしてじっくり登ります。

太陽の左横にちょこっと顔を出しているのが槍ヶ岳です。
あと、一踏ん張りです。

千丈沢乗越から45分で肩に到着しました。(7時45分)

少しだけ休憩してから、取り付き地点付近に不要なストックを置いて、手袋装着して槍の先端に取り付きます。

Tさんは高所恐怖症ということで、多少苦戦しているようですが、槍ヶ岳の難易度はそれほど高くはないので、順調に登ってきます。

ちゃんと杭も打ってありますし、アスレチック感覚で登っていくことが出来ます。

Tさんはこの辺りが一番怖かったとのこと。

最後の梯子です。

Tさんはこの梯子のイメージが強すぎて、槍ヶ岳の肩(小屋のところ)から梯子だけで頂上に立てるのだと思っていたとか。

と、言うわけで、無事に槍ヶ岳山頂に到着です!(Tさん撮影) (8時10分)

いやぁ、絶景かな、絶景かな。(TX7でパノラマ撮影)
Tさん憧れ続けてきた槍ヶ岳の山頂です。
さすがに感極まった顔をされておりました。

写真手前の(韓国人カップル)にお勧めの道を尋ねられ、二人は上高地方面から歩いてきたみたいだったので、西鎌尾根をお勧めしておきました。
ところで、写っているガス、写真だとよくわからないと思うのですが、すごい神秘的だったんですよ。
お時間のある方は是非動画でご覧ください。

動画にも少し写っていましたが、ブロッケン現象も見えています。

先日TABさんが立った西穂高方面はご覧の通り。

昨日槍ヶ岳を眺めていた黒部五郎岳。
早めに着いた分、ガスが取れるまで十二分に山頂の眺めを堪能した後、これまた慎重に下山しました。
(上の写真ではそれなりに人が写っていますが、一瞬二人っきりになるぐらい山頂は空いてました)

槍ヶ岳山荘でカップラーメン(しかこの時間は置いてなかった)を注文し、槍ヶ岳を眺める一等地に陣取って頂きます。

ちょうどここから双眼鏡(Tさんは双眼鏡持参です)で見ると、こんな感じに登っている人を眺められるのですが、、、
「この光景を先に見なくて良かった」
と、Tさんは言ってました。
こうやって見ると、まるで垂直の壁を登っているように見えちゃうんですよね。

槍ヶ岳も花が綺麗な山だったりします。
さて、バスに乗る前にゆっくり温泉に浸かれるように、早めに下山しますか!
なんせ、山頂からの標高差2000m、コースタイム(山頂から)7時間の下山道です。
飛ばしすぎると膝が笑いますし、ゆっくりしているとバスに間に合わなくなるので、ここが本日の正念場になります。
(前回は飛ばしすぎて膝が笑う寸前になり、結局後半ペースがガタ落ちになりました)

あれ? あんなところに(バリエーション)ルートあったっけ?

と、思ったら、テレビドラマか何かの撮影をやっているようでした。
少なくとも2分ぐらいはこの姿勢をキープしていたように思います。
ご苦労様です。

笠ヶ岳にガスがかかりはじめました。
ナイスタイミングです。

下山道が急なので、足下から視界一杯に広がるパノラマは一見の価値ありですよ。

手前の一番標高の低そうな場所がザックを置きっぱなしにしてある千丈沢乗越です。

アップにすると、なにやら団体さんの行列が・・・

えぇ、すれ違いに5分以上はかかりましたよ。
写真右上、我々が待っていることに気がついてない人たちが記念撮影なんか始めています。

すれ違いの件もあって、登りと変わらない時間がかかって千丈沢乗越に到着。
ザックを回収した後、写真で言うと右側の登山道へ下って行きます。

ここも案外花が豊富で、目の保養になる下山道でした、

左側に見えているのは槍ヶ岳の横にある大喰岳から中岳のあたりでしょうか。

右側はご覧のような綺麗なお花畑。(両側お花畑ですが)

標高を下げるにつれぐんぐん気温が上がって来たので、稜線(西鎌尾根)上を歩く登山者を羨ましく見上げます。

さ~て、暑いのは我慢してガンガン下りますよ~。

少しだけでも木陰だと助かります。

この道、長い上に歩きやく無い場所もけっこう多いんですよね~。(標高2400m地点)

登山者にとって最終水場、我々にとっては最初の水場。
湧き水ですが冷たくて激旨です。

これ以上のきつい角度の下りは勘弁してくれと、内心で泣きが入った頃に槍平小屋が登場して、ホっとさせてくれます。

さきほどカップ麺を食べたばかりですが、早く出せるメニューがこれしか無いと言うことでラーメンを注文。
冷静に考えればスーパーの生ラーメンと変わらないはずなのですが、疲れているせいか、かなり美味しく感じてしまいました(笑)

いやぁ、暑い! (標高2000mぐらいなので、これでもまだ涼しい方のはずなのですが)

稜線歩いている人はかなり濃いガスの中でしょうね~。
私なんかは「もう少し雲が広がっても良いぞ」なんて思っているわけですが。

こんなに暑いのに雪渓が残ってるんですね~。
そりゃぁ、蒲田川も冷たいわけです。

滝谷を通過。

たまに顔を出す北アルプスの稜線が心を癒してくれます。

この辺りになると、二人ともすっかり無口です。
まぁ、この時点で足の筋肉に余裕があるのは体重が軽くて普段からテニスをしているTさんの方なわけですが、私も前回の下山時よりはだいぶん快調に歩けています。

ようやく白出沢を通過。

あとは工事用の林道歩きを1時間半です。

途中に小屋があるので、前回同様かき氷を頬張ります。
槍ヶ岳下山時以上に旨いかき氷を私は知りません。

まだまだ続きます。
前回、荷台に載せられたおばあちゃん軍団に笑顔で抜き返されたあたりです。

林道なのに木に覆われていないのはおかしい!
と、不平不満を漏らす二人。

工事が活発なエリアは臨時の歩道が出来ていました。
もう少しでゴールと言うところで、Tさんのペースがガクっと落ちました。
なんでも、最後の区間で固い地面を歩きすぎて足の裏が痛くなったとか。
(後で確認したら、足の裏の豆の皮がめくれていたとか)

槍ヶ岳の肩を出発してから6時間弱、新穂高温泉に下山しました。(15時20分)
3時半に双六小屋を出発したわけですから、本日の行動時間は約12時間と言うことになります。
バスセンターに顔を出し、バスについての情報を仕入れた後、タクシーの運転手さんに、「深山荘」までとお願いすると、
「え、そんな距離(約1km)なのにいいの?」
と、驚かれたので、
「我々はこれ以上(くそ暑い車道なんぞ)歩きたくないのです!」
と、心の叫びを返しておきました。

タクシー万歳、エアコン万歳。

と、言うわけで、ネットのランキングサイトで高評価を得ていた深山荘に到着です。
なんと、
一週間前にTABさん達もここに来ていたようです。
内湯で体を洗い(プラス200円の700円)、私は一旦服を着て露天風呂に出ます。
(Tさんは内湯で十分、一秒でも早くビールを飲みたいとのこと)

体の芯からほぐされます!
さすが平日、川縁の露天風呂は貸し切り状態でした。(お子様が一つ上の湯船で泳いだりしていたのですが、これだけでかいと気にならないのが良かったです)
あと、お湯の気持ちよさなら掛け流しをガンガンやっている内湯の方が上かもしれません。
抜戸岳(2813m)と流れる雲を眺めながら、ゆっくりと露天風呂を堪能しました。
蒲田川にも入ってみましたが、あの水温はヤバイです。命の危険を感じましたが、温泉に戻ったときの痛がゆさがなんとも言えない心地よさでした。

風呂上がりはお茶を一杯。
(生ビールが飲めるのなら頼みたかったのですが、缶ビールしか出せないとのことでしたので)
Tさんはもちろん缶ビール。
そのビールを飲みながら、
「俺、今回の行程を歩けたことを自慢してもいいのかな?_」
と、ぼそっとつぶやかれたので、
「(その年齢で)歩き通せたことは、十分自慢になりますよ!」
と、年下の私が太鼓判を押しました。

先ほどバスセンターで聞いてはいましたが、バス停が反対車線にしかありませんが、ここに立ってバスを待ちます。
(よく、反対車線に立っていた観光客がスルーされてしまうトラブルがあるのだとか)

というわけで、大迫力でバスが登場です。(16時57分)

このバスでひとまず平湯温泉まで移動です。
平湯の先まで行ってしまうバスなので、まだ寝るわけにはいきません。

1時間弱で平湯温泉に到着。
アイスを買って松本行きのバスを待ちます。
登山補正を差し引いてもなかなか美味しかったです。

このバスが松本行きの最終バスですので、今回の行程は本当にギリギリだったことになります。
(もちろん計画通りですよ)

お~、積乱雲が沸いているなぁって、思っていたら、、、

それは松本市の上空にあったのでした。
(あまりに巨大なdocomoショップがあって、車がけっこう停まっているのが珍しく撮影)
幸い、松本駅に到着したときには雨も止んでいて助かりました。
駅で切符を購入してから駅ビルのそば屋に入ります。

今度こそビールで乾杯。
(小さいほうが私のビール)

冷たい天ぷら蕎麦を注文したつもりが、なぜか湯気立つ激熱のお蕎麦が登場。
(単に、メニューをちゃんと見ないで頼んだので、こんなことになりました・・・・、Tさんのざる蕎麦が羨ましいこと、羨ましいこと・・・)
まぁ、それでも体が欲しているからか、必要以上に美味しく感じるわけです。

♪はぁ~ちじちょぉ~どの~♪

♪あずさ36号で~
わたしはわたしは長野から!

♪新宿~ですぅ~。
というわけで、これまた最終列車のスーパーあずさに乗って東京まで移動してからTさんと解散。
今回も雲が多いものの要所要所で天気には恵まれ、楽しい登山でした。
出張&登山越しで寝転んだ自宅の布団はまるで天国のようでした。
以上です!