去年の11月、はやぶさ2の打ち上げ時に天候のせいで延期を食らって見られなかったH2Aロケットの打ち上げを見るために、再度チャレンジしてみることにした。
実は3月26日(木)の打ち上げ日程発表時に打ち上げ予定時刻が発表されていなかったのだが、よく見たら10時から12時の間に打ち上げると時間帯だけ書かれていた。
あれ? 10時打ち上げだったらバスで射場見物に行くの間に合わないじゃんと焦り始め、すぐにレンタカーを抑えにかかったのだが時すでに遅し(種子島での移動にはレンタカーは必須なので、前日入りしている方々にとっくの昔に抑えられてしまった様子)、タクシー会社に連絡するも1社目には断られ、2社目がようやく受けてくれた。
それでも船は9時5分に西之表港に到着するので、もし打ち上げ時刻が10時ジャストで50分ぐらいで見物会場に到着できなければいずれにせよアウトである。
打ち上げ時刻が後ろに設定されることを祈りながら発表日(打ち上げの2日前)を迎えたのだが、発表されたのは10時21分という、まぁタクシー使えばギリギリセーフ(バスでもぎりぎり間に合うかも)、しかし、一番射場から近い恵美之江展望地は諦めなければならないという時刻であった。
とりあえず、打ち上げは見られそうでよかった。
天気予報も晴れ予報が出てるので後ろにずれることも無いだろう。(個人的には日曜日まで種子島に居られるので、ずれてもらったほうが嬉しいのだが)
むしろ、打ち上げを見た後種子島でどう過ごすかのほうが問題だった。
口永良部島にでも行ってみようかと思ったのだが、船の時刻表の関係で存分に堪能できなさそうだったので、とりあえず種子島で4日間過ごすことだけを決めて出発の日を迎えた。
3月25日(水)
仕事を終えてから打ち上げの前日に鹿児島入りし、安い床屋で髪を切ってもらったら(自分的に)酷いことになってしまったが、まぁいいや。
ビジネスホテル泊。
3月26日(木)打ち上げ予定日
早朝鹿児島港へ歩いて移動。

ダイヤモンド桜島と噴火の共演。
受付オープンと同時にいかにも打ち上げ見物だとわかる男性(私含む)が窓口に5名ほど並び、全員が口をそろえて「乗り降り口に近い席をお願いします」と座席指定していて笑ってしまった。
ちなみに、私は「(桜島や種子島が見える)左舷の窓側」を指定していたのだが、実は乗るときは右舷側だったのに、種子島に着いた時は左舷側に乗り降り口が設定されたため、彼らより私のほうが早く降りられるポジションに座っていたということは島に到着した時に気がついた。(そこまで焦って降りなかったけど)
どうやら鹿児島港の切符売のお姉さんもそのことは知らなかったようである。
空港の待合所で隣に座っていた男の子に情報交換でもしようかと「打ち上げ見物ですか?」と話しかけたら、「そうなんです」という答えが返ってきたところまでは予想通りだったのだが、実は彼は財布を大分に忘れた上に(現金だけは途中まで同行していた友人から借りていた)、打ち上げをどこで見学出来るかすら知らないし、タクシーは港で適当に捕まえる予定というJAXA就職希望の割には私以上にボヤボヤした20歳の大学生だったので、私の見物ツアーに同行させてあげようかと提案したら喜んでついてくることになった。
そして、彼は右舷側の席に座り、私は左舷側の席に座った。
隣の席に座ったおじさんに「ロケット打ち上げ見物ですか?」と、尋ねたら、「いえ、身内に不幸がありまして」とのことで、いろいろな事情でこの船に乗ってるんだよなぁと改めて思った次第。
おじさんは若い頃は種子島に住んでいたそうだが、打ち上げそのものは1回ぐらいしか見たことが無いと言っていた。
私も札幌に7年間住んでた時はすぐ近くにスキー場があったのに1回しか行かなかったのと似たようなもんかと思った。

西之表港に到着すると同時に予約しておいたタクシーに飛び乗り。
前を走るのは運転手のおじさん。
タクシーに飛び乗った。

あ~、前回この辺りは気分よく自転車を漕いでいたんだよな~、と、4ヶ月前の出来事を少し懐かしく思い出す。

打ち上げ30分前に長谷公園に到着。
もう少し時間に余裕があったら、より近い距離で見られる恵美之江公園の方から見たかったなぁ。
女性オペレーターのカウントダウンの声が聞こえ「ゼロ」と同時に、、、

10時21分、固体ロケットのブースター噴射開始。
(この時は固体ロケットブスースターのみが噴射してるとは知らなかった)

ゆっくりと上昇を始めるロケット。
メインエンジンに火がついてないので、この時点では音は意外に静かである。
こんなもんなのかなぁと思って見ていたら、メインロケットに点火して「ゴゴゴゴゴゴゴ」という腹に響く音が鳴り始めた。
そうそう、これこれ!
この迫力を肌で感じたかったのだ。

ロケットはグングンと高度を上げていく。
(射場から展望台まで約5km、広角で写しているので小さく写ってますが、実際はもう少し近く見えますよ)

あっという間に雲の上へ。

いってらっしゃーい!(スマホで撮影)
というわけで、無事にリベンジを果たし、大満足で会場を後にしたのだった。
連れて行ってあげた大学生のT君はiPhoneのカメラアプリが立ち上がらずに1枚も写真が取れなかったと言ってものすごく落ち込んでいたのだが、「また、見に来ればいいじゃん」と慰めておいた。若いんだし、JAXAに入れば何回でも見られるんだから。
もちろん私が写した写真はメールに添付して送って上げたけど、やはり自分で動画で撮りたかったみたい。

T君から今日もレンタカーが1台だけ空いてることを教えてもらい(前に見た時は空きが1台もなかったのに)、乗って行ったタクシーでそのまま西之表港まで戻った。
タクシーの運ちゃんは気を利かして東側の景色の良い道を観光案内しながら走ってくれた。
往復で80kmぐらい走ったと思うのだが、料金は特に値下げ交渉もしてないのに片道1万円ぐらいのところを往復で13000円にしてもらえた。(東京だったら2万5千円ぐらいはかかるはず)
運転手のおじさん、ありがとーー!
(T君は貧乏大学生なので割り勘にはせず、「いつか稼げるようになったら同じことをするんだよ」と伝えておいた)
そのT君、この後も島内で移動する足が無いというので、こちらか無理に誘ったわけじゃないけど、そのまま3日間行動を共にすることになった。
ロケット見学の後はお互い具体的な行動計画が無かったのと、T君がJAXA関連の施設を見に行きたいというので、どこに行きたいかはT君に決めてもらい、私は運転手に徹することにした。
この日は天気が良さそうだったので、施設見学は明日に回して、今日は島の北部をドライブすることにした。

美浜町の海岸。
カニを捕まえたりして遊んだ。
関東近辺生まれ育ちのT君にとっては、生き物たちが何もかも新鮮なようであった。

種子島ナンバーワンと言われている浦田海水浴場。

この辺りはドライブコースとしても一級品。
(借りたレンタカーは写真の軽バン。後部ドアを閉めるとき、ドアがハッチバックの車に比べて大きいのを忘れていてドアの角を胸に思いっきりヒットさせてしまい、酷い内出血になってしまって人知れず悶絶していた)

いやぁ綺麗だね~。

島の最北端を回ってからヘゴ群生林へ。

T君は牛舎を生で見たことがないというので、中を見学させてもらった。
生後数ヶ月の子牛なんかも居て、おじさんから和牛のことなんかも教えてもらって良い社会見学になった。

湊神社裏に生えていたハマユウ

その先の海岸にて

珍しくフナムシを捕まえた。
足が早いので難しいのである。
(カニにびびってたT君、フナムシはなぜか大丈夫だったのは走ってる姿を見てないからか)

この日はそれぞれ別の宿を取っていたので、T君をホテルに送り届け、自分も西之表港近くのホテルに泊まった。

トビウオにウチワエビ、写真には写ってないけど島の芋焼酎。
なかなか美味しかった。
3月27日(金)
ホテルで同じニコニコレンタカーのデミオに乗り換え。
中古のデミオだということは知っていたが、まさかこんなに古い型だとは・・・
(ちなみにレンタカー会社のおじさんから、「値段一緒だから軽バンに乗り続けてはいかがですか?」と提案されたのだが、即却下していた)
それはともかく、7時半頃出発してT君をピックアップしてドライブへ。

まずは男淵、女淵の滝。
写真は女淵の方。

犬城海岸、馬立の岩屋。
先日ジオツアーで得たにわか知識を披露して悦に入る私。

JAXA関連で増田宇宙通信所。(無料で中を少しだけ見学できる)
T君、大興奮の巻。
将来の目標があるってのはいいことだねぇ、と改めて思った次第。

千座(ちくら)の岩屋。
なるほど、こんな風になってたんだ。

そりゃぁ、種子島随一の観光地になるわなと思うと同時に、素直に感動した。

T君的に本命だったJAXA宇宙科学技術館へ。

日本の技術ってすごいなぁ。
ここはさすがに面白かった!
でも、打ち上げ前に見ておけばよかったと後悔した。

本来T君はこの日に鹿児島に戻って翌日は内之浦宇宙空間観測所に行く予定だったのだが、財布を忘れてきた関係で計画が変わってしまっていたので、私が予約を取っていたコテージに泊めさせてあげた。
(宿代もメシ代も全部私持ちだけど、T君には頑張って将来JAXAに入るんだよとプレッシャーだけかけておいた)

T君が朝食は自炊をしたいと言うので西之表市街で夕飯(海鮮丼)を食べてから、スーパーで食材を買い出しした。
3月28日(土)
翌朝、ねぼすけのT君をそのままにして私が朝食を作るはめになった。
T君、本当にJAXAに入れるのだろうか?
まぁいいやと、再びレンタカーで出発した。

東側の海岸線道路にて。
素晴らしい景色の良い道。

まずは門倉岬を目指す。
前回も自転車で走ったけど、あの時は曇天だったのでここまで気分爽快な気持ちにはならなかったなぁ。

お花畑。

快晴の門倉岬。
事前の天気予報では滞在中かなりの確率で曇か雨の予報が出ていたので、ここまで晴れてくれて本当に良かった。
もしかしたらT君が晴れ男なのかもしれない。

種子島宇宙センター内の道路。

ここは日本を代表する道路だと言っても過言じゃないぐらい素晴らしい道。
いつかロードスターで走ってみたいなぁ。(距離はそんなに長くないのと、施設内なので40km以上は出せないんだけど尾根をつなぐスカイラインなのである)
デミオも軽バンと違ってトルクもあるし、昔のマツダらしいシャープなハンドリングで、なかなか良い車だったので運転していて楽しかった。

先日使用された組み立て格納庫に大型ロケット射場。
世界一美しい射場と言われているだけのことはある眺め。

H2Aは右側の射場から打ち上げられ、台座もまだ残っていた。
H2Bの場合は左側になる。
次は恵美之江からH2Bの打ち上げを見てみたいなぁ。

というわけで、再び宇宙科学技術館へやって来た。

本日は施設な見学ツアーに参加した。
これもT君が予約を取ってくれた。(無料だということに驚いた)
当然、H2A発射直後のタイミングで予約がなかなか取れず、T君は財布忘れからの足止めのおかげで、この日のツアーに参加できたという次第。

まず最初に飛ばし損なったH2ロケット7号機の実物を見せてもらえる。

中はこんな風になってたんだ。

これも今使われているのと同型の本物のロケットエンジン。
(科学技術館に置いてあるのは過去使用していたエンジン)
素晴らしすぎる。

オレンジ色の断熱材のことを知らず、私は感心することしきりだった。
(オレンジ色に塗装されてるんだと思っていた)

続いて射場へ。
(ここではバスからは降りられない)

先日打ち上げたばかりの射場。
(望遠レンズでの撮影は禁止されている)
感慨深く眺めさせてもらった。

最後はオペレーションルーム。
いやぁ、楽しかった!
ここでT君を西之表港まで送迎してお別れし、当初からの予定通りの一人旅になった。

先日来た時に鉄砲館を全部見切れなかったので復習も兼ねて再訪した。
ここは本当に素晴らしいと感じるとともに、種子島に化石がいっぱいあることを思い出した。
(我ながら忘れすぎ)

月窓亭にておもてなしを受ける。
ここも行って良かった場所。
日本の文化の素晴らしさに心打たれた。

弓道体験。
5本中3本命中、うち1本は小さな的のど真ん中に入った。
(この結果に納得できず、本気で弓道を練習したくなってしまった)
3月29日(日)
最終日。
もしH2Aの打ち上げが延期になったとしたら、この日(日曜日)が打ち上げ予定日だったはずの予備日。

実は宿の真ん前の海岸が化石の産地だった。

いやぁ、化石探しは面白いなぁ。

近くに居たファミリーの小さな女の子に拾った化石を自慢しようとしたら、どうやら地元の子だったらしく、私が持っていたものよりもっと綺麗な化石を逆にプレゼントされてしまった。(母親も苦笑していた)

道路上でぐったりしていたヤマカガシをレスキュー。

巣作りを頑張っていた雀のペア。

けっこうアクティブだったヤマカガシ。

犬城海岸にて、地層が面白かったのでメモ撮影。

地層メモ撮影、その2。
化石が出るという話だったのだが、ここでは見つからず。
(もしかしたら満潮近かったので、産出する場所に辿りつけてなかったのかも)

道路に居た鳶。
やはりオジロワシやオオワシほどの迫力は無いなと改めて思った。

形之山付近で拾った葉っぱの化石、と、思ったけど、たぶん土嚢に混ざっていた植物の葉っぱと思われる。

というわけで、レンタカーを駐車場に置き(それで返却可能な僻地スタイル)、港で船を待った。
ちょうどこの日は卒業して鹿児島に行く生徒や先生たちが多かったらしく、送別ムード満点だった。

さよーならーーーー!
(という感じで走る子どもたち&一部大人)

私が乗った高速船にも先生が乗っていて、やはり生徒たちが走って追いかけていた。

鹿児島港にて、爆発・噴火する桜島を望む。

私が乗ってきたロケット3号。

トビ柱。

帰りのバスの中からも何回か噴火している様子が見えていた。

来週か再来週辺り、夜の噴火見物に行こうかと思った次第。

3回の噴火で3回分の火山灰の帯ができている。
というような種子島ロケット打ち上げ見物&旅行だった。
おしまい。