
第3章までで、静電気・電気の導通改善について施工のポイント、パーツについて説明させて頂きました。
いよいよ第4章になりますが、これまで実験・検証して来て自分なりに纏めたものを報告させて頂きます。
あくまでも70ノアをベースに研究して参りましたので、結果が違ったり出なかったりする事もあるかもしれませんが、予めご了承ください。
1.静電気放電の要!同電位(アーシング)
散々色々な場所、パーツに静電気放電策を施しました。施工した時は改善されたと思っても数日するとあれっと言う事もありました。
何故にそうなるか?
これはそのポイントの静電気を放電出来ても、車は常に静電気があちこちに帯電し続けます。また他の帯電しているところからも足りないイオン(プラスはマイナス、マイナスはプラス)を求めて移動して来ます。それでこのような変化が起きます。すべての部分を徹底的に放電してあげれば良いのですが、中々施工しにくいところもあったりします。
そこで、これまでに施工した物を良〜く振り返ってみました。
実はエアクリーナーボックスとインテークマニホールドをボディにアーシングしております。
それぞれ、アルミテープで放電施工しておりますが、それでもアーシングケーブルでボディに落としてみると大きな変化が得られました。
また、ボディフレームにスタティックディスチャージャーを付けてからは放電施工の威力、安定度が増すようにもなりました。
それまで静電気対策しても燃費も余り変化が無かったのにインテーク周りのアーシングとボディフレームの放電策で顕著に違いが出る様にもなりました。
アルミテープや銅テープによる放電はあくまでも表面的、それに対しスタティックディスチャージャーはボルトで金属部にダイレクトに接触出来るので一段と大きな効果が得られるものだと理解しました。
これらの結果より、ボディフレームをベースに各部位も電気的に同電位(等電位)にすることが理想なのでは?と仮説をたて検証してきました。
★等電位についての参考文献
https://as76.net/asn/earth_eq.php
電気的に同電位にすることをアーシングと言います。皆さん良くご存知だと思います。うちのノアもエンシンを中心にアーシングしてあります。
これを静電気的同電位が良いのではと考え更に施工箇所を増やしてみました。
なお、アーシングという施工はケーブルだけでなく、アルミテープ等の導電性を持つ物で繋いでもアーシングと呼べます。
【アーシング施工場所】
①エンジンのヘッド、シリンダーブロック、ミッション(電気的)
②エアクリーナーボックス
③インテークマニホールド
④ボンネット
⑤バンパー
⑥エアコンコンデンサー
※ここを施工される場合は、コンデンサーがアルミ、ボディが鉄なので異種間金属腐食(電食)の可能性もあります。
もし、ボディ側ネジ穴付近に錆や腐食が見られる様で有れば速やかに撤去してください。
⑦フロントガラス、三角ピラーガラス
現在はこれらをアーシングしていますが、これで更に安定した軽快さを維持する様になっております。
等電位の定義の通り、接続されている機器の電気的電位を纏め大地と同じにする事で、落雷時にアースラインを迷走して各機器ヘダメージを与える事なく大地に接地する事が理想ですが、それが車にも当て嵌まると考えました。(落雷を静電気に置き換える)
実際には、ボディと大地は非導電性のタイヤで絶縁されていますので、完全なゼロ電位(±0V)ではありません。それでもボディを大地と仮想し、各パーツをボディフレームに落とす事で、静電気の往来も無くなり安定すると考えました。
一般的な電気的アーシングではなくトータル的なアーシングと考えたらわかりやすいかもですね。
もっとわかりやすく説明すると、通常電気回路ではアースはゼロ電位(0V)が理想です。
それぞれ電位(電圧)を持った箇所からアースに流れるという現象になりますが、静電気もアース(ボディフレーム)が帯電(静電気は最大数千Vになることも有り)していなければ、流れ込んで行く様になります。
見方を変えると帯電した各パーツをボディに繋げる事で、静電気がボディに流れ込み大きな放電索としての役割を果たすという事だと考えます。
きっちり静電気の抜け道を作られたボディフレームの構築が車全体に溜まった静電気をよりしっかり放電させる為の肝となるのでしょう。
尚、ボディに対して各パーツをアーシングしているしていないに限らずボディが大地として大きな役割を果たすと考えます。
2.ボディフレーム/ボディの静電気放電方法
1項でお話させて頂いたボディフレーム/ボディ静電気の放電方法ですがトヨタさんの静電気放電特許資料のポイントにもある通り、フロントから当たる風が大きな摩擦帯電を起こす大きな要因となります。
それを各部位で放電索を付けて放電された静電気も風に乗って移動します。それを考えるとフロント全面から放電させた静電気をスムースに後ろに流すイメージで考えると空力理論と同様、フロントバンパーからボンネット〜ルーフ、ボトムは前後方向に付いているフレームに沿って放電策を付ける事が望ましいと考えました。
最近は金属以外のパーツが増えた車ですが、やっぱり面積・体積で一番大きいものは金属部分。
ここで何故に静電気が流れる金属のフレームの放電をさせるかと言うと、ボディ、フレームも表面に塗装膜があります。これが合成樹脂ベースですので帯電し、フレームを伝って来た静電気が大気中に抜けられません。そこで適所(金属部・塗装部)に放電索を付ける事で、静電気を大気に放電してあげようという事になります。
これからまた検証を進めますが、リアに大きな出口(大型放電策)を取り付けると、空力と相まって理想の形となるのではと考えております。
こうやって、エンジンルーム・室内に溜まった静電気をボディで最終的に大気に放電させるという形になります。
またボディパネル等の外観に関連するところは、見栄えの問題もあり放電索を付けにくくなります。
これに着目したトヨタさんはGRブランドで静電気を除去するエアロスタビライジングボディコート、ガラスコートを発売しました。
これで走行時の風と摩擦で起きる静電気及び車自体に帯電している静電気を飛ばしてしまおうというコーティング剤です。
成分については公表されてませんが、おそらく導電性のカーボン系の物質とシリコン系の物質が含まれていると思います。
カーボンは導電性があり、シリコン系は帯電しづらく艶出し効果があるものです。これらを上手く配合しているのかなと思いました。
ボディ表面にはアルミテープ等の放電策を付けにくいので、コーティング剤は大アリだと考えます。
ただ、私はこの高価なコーティング剤を買えないので、バンパーの裏側やドアノブの裏側、ドアミラーの裏側、バイザーの裏側にアルミテープを貼り静電気を放電させる事とドアパネルが溶接されているフレームにディスチャージャーを付けて当たった風が出来るだけ剥離させない様にしています。
3.その他の新たな静電気放電方法
最近わかった事なのですが、シリコン系の入ったタイヤコーティング剤も静電気放電に一役かっていると言う事です。
私は数十年ぶりにタイヤワックスを購入しました。プロスタッフさんのグラシアスゴールドタイヤコーティングです。
この製品には、シリコン系の成分が3種類入っていると謳い文句にあるのですが、それが効果をもたらしてくれる様です。
残念ながら他のコーティング剤は使っていないのでわかりませんが、我が関東感電倶楽部推奨のタイヤバルブキャップ静電気放電法と同様の効果が得られます。
実際の空気圧は変化しないのですが、タイヤに張りが出て転がり性能がアップします。
これは眼から鱗の発見でした。恐らくメーカーさんも気付いていないかと。
あとボディパネル、バンパー等の外装部にワックスやコーティング剤を塗りこむ際に、柔らかいマイクロファイバークロス等を使いますが、これも乾燥した状態では摩擦帯電をさせてしまいます。そこでクロスに家庭で使うアルミホイルを適当な大きさにカットしたものを挟み込んで使うか、或いはクロスを水に浸けて固く絞って使用かすると帯電しなくなります。
それは使うコーティング剤の性質に寄ってご判断ください。
4.まとめ
これまで私なりに色々実験/検証をして参りましたが、この静電気を放電(除去)させる方法としては、ズバリ!下記の通りとなります。
①ボディ・フレームの放電索
基本的にはスタティックディスチャージャーを使い、しっかり大量に放電させる。
ディスチャージャーは、高導電率の高い素材(銅やアルミ)を使っていれば、効果はほぼ同じです。
・アルミワイヤー+銅ワイヤー混合タイプ
・平編銅ワイヤー+アルミワイヤー混合タイプ
・平編銅ワイヤータイプ
・アイスキー/銅平ワッシャー

※銅平ワッシャーは経時変化で腐食するので、コーティング(塗装)することをオススメします。
【注意点】
このディスチャージャーですが、素材むき出しが理想ですが、アルマイト加工や塗装されていている状態(導通ナシ)でも、静電気は放電されます。耐久性を考えてご使用される事をオススメします。
②金属以外のパーツの放電索
アルミテープ、銅テープ中心に細かく放電させる。
③どこに放電索を付けるか?
基本は風が多く当たる車の中心より前側メイン。
④摩擦、剥離、液体や電気が流れるところには必ず静電気は発生する。
⑤随所に静電気放電策を施すにより、以前に施工済の放電索の効果が薄れたり不要になる場合もあるので、定期的な再検証が必要となる。
⑥いっぺんに複数の施工をしない。
これをやるとどこが効いたのかわからなくなります。地味ですが1ヶ所づつ施工を心がけてください。
私も散々やらかしました(笑)
⑦1番大切な事ですが、静電気が放電されるところは「鋭利な断面から」です。
決して表面からではありません。
これが1番ご理解頂きたいところです。だからテープの場合、導電性の糊を使っていてもいなくても効果は同じです。強い静電気なら粘着糊を通って一気に放電されます。トヨタさんのアルミテープも細くアンテナ状の形をしている訳です。
これだけはお忘れなく。
この7つをご理解頂けたら、イニシャル状態から激変する事に気付く筈です。
これで貴方のアイデア次第で静電気の放電方法が考えられる様になったと思います。
車種の違いやハイブリッド車等では結果が出ない場合もあります。トライ&エラーでベストなセッティングを目指してくださいね。
最後に大切な事をお話させて頂きます。
最初に述べさせて頂きましたが、決して静電気放電策が本来の性能を上回るという事ではなく、静電気によって失われていた性能を取り戻すものです。従って燃費もやればやるほど上がるものでもありません。そこを誤解されないようにお願い致します。
大体の目安ですが、失われていたロスはざっくり悪くて2割ダウンの80%!
それを2割アップ出来たら満点という感じでしょうか。
また、静電気放電対策は、施工後に損傷させたり破壊する事はありません。調子やバランスを崩す事はありますが、負の要素はほぼ無しとご理解頂き、安心して楽しまれてください。
蟻地獄の様な静電気の世界をお楽しみください。
この第4章で静電気のお話を完結とさせて頂きます。
長くお付き合い頂きありがとうございます。
※これまでのシリーズリンク
あなたの車が甦る! 電気・静電気の攻略法マニュアル 入門編
https://minkara.carview.co.jp/userid/3146255/blog/45341035/
あなたの車が甦る! 電気・静電気の攻略法マニュアル 第2章(実践編)
https://minkara.carview.co.jp/userid/3146255/blog/45350470/
あなたの車が甦る! 静電気の攻略法マニュアル 第3章 マニアの放電柵
https://minkara.carview.co.jp/userid/3146255/blog/45370309/
ーあとがきー
子供の頃から親父の影響で物弄りが大好きで、大手オーディオメーカーの開発担当をしていた事もあり、この車の電気関係の弄りは若い頃から好きでした。
そして、2年前に静電気が車の性能を劣化させていると言う事実を知ってからこの物語は始まりました。
この約2年間、散々あちこちを弄ってほぼ全体を触ってのまとめになりましたが、まだまだ静電気を完全に理解した訳ではありません。
大体のメカニズムがわかってきたかなと言うところです。
まだまだ技術的に関連する事も知らない事が多く、日々勉強をしているところです。
また他の方々の施工も大変参考になるので、どんどん吸収していこうと考えております。
これまでに先人の方々の検証やトヨタさんの特許技術があってこそ、ここまでやって来れました。
改めてその方々に深く感謝したいと思います。
この分野に興味を持って頂いた方に少しでも簡単にご自分の車をレベルアップして頂けたら本望でございます。
引続き研究検証を続けていきたいと思います。
これからも、どうかよろしくお願い致します🙏
writen by コッペパパ
helper こいん様