秋のお彼岸を前に

昨日はワカメさんのピアノの発表会でした。
ピアノ教室の先生と生徒さん数人、先生のお友達の演奏家の方を交えて、近くの小さなホールでのこじんまりとした発表会です。
毎年というわけではなく、前回は3年ぐらい前だったのかな。その時ももちろん成長した姿がとてもうれしかったのですが、今年はまた違った特別な思いがありました。娘の演目として先生が選んでくださったのはドビュッシーのアラベスク1番という曲でしたが、この曲は15年前に他界した私の母が生涯大切に弾き続けていた中の1曲だったからです。

母は若い時に本格的にピアノを志しながらもごく平凡な家に嫁いで私を産み、その後は体をこわして生徒を教えることも諦めざるを得なくなってしまい、それでも細々と弾き続けながら、ついに私どもの結婚式も孫の顔も見ることは叶わずにこの世を去りました。
家にはこの曲も含め、10曲ほどが入った形見の録音テープが1本だけ残っています。母が亡くなってからずっと聴くことができずに仕舞ってあったのですが、今回の曲が決まった5月頃に久しぶりに探し出してきて家内と娘と聴いてみました。
娘にとっては初めて聴くおばあちゃんの、私にとっては胸が締め付けられるほど悲しくも、たまらなく懐かしい音・・・


その後は家内に叱咤されながら家で何度も練習しているところを聴いていたのでもう大丈夫だと思っていたのですが、本番はやっぱりダメでした(^^；
娘がピアノの前に座り最初の音が鳴っただけでもういろんな思いがあふれてきて、僕は客席で聴きながら涙が後から後から流れて仕方なかった・・・
まだまだ上手な演奏じゃなかったと思うけれど、まるで母の思いまで乗り移ったような音の響きでした。




他の生徒さんもそれぞれに持ち味が出て、いい発表会だったな・・・
音楽って本当に素晴らしいです。
天国の母も、孫の成長を喜んでくれているといいのですが。そういえばそろそろお彼岸だし、今日は久しぶりにお墓参りに行って来ましょうか。