破れたハートを売り物に・５

鳴かぬなら、鳴かせてみせよう

Rock'n Roll


by 吉田聡













横須賀・米軍基地の入り江みたいに隣接してある


三笠公園の駐車場で待ってると、やっとキムコが着いた















「飛ばし過ぎだって！」



ヘルメットを、脱ぐや否や、キムコが文句を言ってきた





「いやいや、キムコが遅いんだって」




「ヨンフォアで、ついていける、わけねーだろ！」




「なぁー旧車會の時も、そうなん？」




「ラーメン屋のネコピーさんとか、豚美さんらの大型連中は狂ったように飛ばすし、現地集合だったから、無理だよ」





「まだ、キャノンボールしてるの？」




「豚美さんが、妊娠～出産してからは、ここ何年もキャノンボールはしてないよ」



「なんや、キャノンボールって？」



「出発時間だけ、決めてね、神戸とか青森の現地まで、決めて競争するのよ」



「それも、トンボ帰りだぜ、狂ってんだよ、あの人達」



「豚美さんて、まだ、Ⅱ型の刀なの？」



「いや、出産してからは、CBXに戻ったよ」







「正月の浜名湖も、皆んな走ってないの？」



「正月の浜名湖だけは、皆んな走るし、俺とアンソンもトコトコついて行くよ」



「私達も、一泊予約して来年参加しよーか？」



「一泊付きなら、エエね！」



「じゃあ、ヒロトとか、ニンジヤ服部君も元気なのね？」



「あー豊子の大学時代のダチな、元気だけど、オマエふったらしいじゃん」


キムコは煙草をポイ捨てして言った






「フルも、何も、ヒロトとは付き合ってねーし」


豊子が、ポイ捨てした吸い殻を拾い、キムコに投げ返し



「灰皿に捨てろよ！」



キムコは拾って、自分の煙草の箱に入れる










「ニンジヤ服部君は？」



「あの人もキレてるよなー、俺らの先輩なんだってな」



「だから、まだパシリなんやなー」



「ニンジヤ服部君てね、ジムカーナも上手なんだよ」



「そうなんだ、あの人、首都高伝説とか、族時代の伝説がハンパねーな」



「小道幅転回とか教えて貰いなよ！」



「それって、白バイがUターンして追いかけて来る時の技かっ？」



「そうそう、ヨンフォアなら、直ぐに出来るって」




「そんなイカレタ連中に、ヨンフォアでついて、いっとるんか？」




「ネコピーさんも、岩城さんも年だし、今はイベントや近場の昼食ツーリングだけだって」








「ふーん」




「まっ、旧車の400って、部品も高いし少ないし、盆栽みたいなもんだから、しょうがないのよ」





「その言い方は、なんかムカつくなー」



キムコが不貞腐れると




「でも、この２台並んでると、絵になるじゃない」





「HONDAって感じするよな！写真撮ろうぜ」

















常駐記念館の三笠しか、横須賀には停泊してなくて、



何もないと、汚ったねーただの東京湾




「どうする？辻本選手のカフェでも行く？」


豊子が提案してきた



「この族車２台で？、俺のは、ヨシムラ管だけど」



「しかも、HONDAやで」




「チョット、気がひけちゃうか」




「観音崎に登ってみようや」




「霊能者のオバサンの家って近くだっけ？」




「近いけど、公園は上ったことないねん」





「イイね！私も小学校の遠足、行けなかったんだ」





「俺もだよ～遠足の時は、毎回、泣いたよな」


━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━




















三笠公園から、少し移動して


観音崎に登ると、東京湾が一望出来て、爽快な眺めだった


私はバイクは手に入れたものの、何処にも行かずに


ひたすらアパートと、仕事場の往復を繰り返すだけの、毎日だったし、


東京湾の出入り口で常に潮が流れているせいか


湘南なんかより、全然海が綺麗で感動してしまった




















「でさ、ヒロトとも仲良いの？」




「最初は、近寄って来なかったけど、今は会えば喋るな」



「まぁ、アンタ達でも、ヒロトからしたら、チンピラだからね」




「アイツって、ちょっと抜けてるよな」





「お坊ちゃま君だからね、それより大型は取らないの？」





「別に乗りたい大型もないしな、ヨンフォアぐらいが下駄で丁度いいんだよ」




「まっ、排気量なんて、DOでもイイしね」




「豊子は、乗りたいの無いのかよ」



「スーフォア狙ってたんだけど、豚子がサプライズで買ったから、今は無いかな」



「水冷のインパルスがあるぞ」




「あれも良いけど、豚子が400だから、もし自分で乗るなら大型かな」




「なんだよ、それ」





「私はバイクは大好きだけど、公道で乗るの、あんまり好きじゃないからイイの」










よっし！計画どおり


豊子も、久しぶりにキムコと会い、話がノッてきた


私は、さり気なく離れた、ベンチに座り海を眺めていたら





会話も一段落したらしく

二人も、同じベンチに腰を下ろしに来た






「なんか、バイクって、ええね」





「うん、いいよね」




「近くでも、バイクだと車より、遠くに来た感じして、達成感があるよな」




「オマエのは遅いからやろ」




「なんだよ、酷でえーな」




「でも、後ろに乗ってても、なんやろ、解放感というか」





「不思議だよね」





「陰キャが、スッーと抜け出てくわ」





「じゃあ昼は、三浦方面に下って海鮮丼食べようよ」




「おぉぉ、それがあったやね！」




「馬堀から、高速乗って帰れるんでしょ？」





「帰り道より、海鮮丼の前に、二人に頼みがあんだけど」





「なに？」「なんや？」




「豊子だと、ついていけないんで、豚子様の運転でお願いします」

































好きなの選んでね～😘