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2023年07月29日

スローなブギは止めてくれ・3

スローなブギは止めてくれ・3
























あの頃の私達が、今の私達を見たら

あの頃のように、笑ってくれるだろうか?














スローなブギは止めてくれ・3













中学から高校までは、私は焼き肉屋でバイトしていた


川崎駅の乱闘から、四日後の午前中に豚子が、私の家、というか、便所煙突の小屋に来た







ピッピッ〜♪




「おーい、豊子みてみぃ」



ホーンの後に、豚子の声がしたので、私は家というか便所煙突のバラック小屋から出て行くと、新聞配達の原付きに、豚子が、得意そうに跨っていた




「ちょと、そのバイクどうしたの?」





「向かいのラーメン屋から、借りパクしてきたんや」




「駄目じゃない!勝手に乗って来たら、窃盗じゃない、なに考えんてんのよー」





「かまへんって、ラーメン屋のオッサン、いつもウチで油売ってんねん」





「ちゃんと返しなさいよ」





「分かってるって」






私は、豚子のオネーサンに貰ったステッカーを思い出し




「ちょっと待ってて」




「なんや、アイスでもくれんのかい」



豚子の言葉を無視して、家に戻り、ステッカーを取ってきた







「ほら、こんなに貰っちゃったんだけど、どおしたらいいの?」






「おおー気前ええやん!」




豚子はステッカーをペラペラめくって




「御守りって、言ってたけど」






「ふーん」



豚子はペラペラしながら




「せや!この前の3人組の朝校も、ここらに住んでんのやろ」





「住んでるけど、どおしたの?」




この土手無番地と呼ばれる、戦後最大と呼ばれた巨大部落は、日本人エリアと在日エリアに分かれてて、私の住んでる場所は丁度真ん中辺りだった



















「挨拶しに行こうやん」



「また、喧嘩すんの?」




「返しに行くんと違うって!ステッカーあげに行くんや」





「本当に?」




「仲直りのしるしや、豊子かて、アイツら子供の頃から知ってんのやろ?」




「まぁ、知ってるけど」




「ほな行きましょうか」



原付きを押す、豚子を案内しながら、歩くと






「なんやねん、工場みたいのもあるやん」




豚子がキョロキョロしなが、言う





「工場だよ」





「ホンマかーエグイなここは、あっ食堂もあるやん」





「なんの肉か解らないけどね」




「豊子さん、よう立派に育ったなー」


━(;´༎ຶД༎ຶ`)━




「何よそれっ!」





「いやいや、人々のパワーに関心してるんやって」








そんな押し問答しながら、曲がりくねった路地を進み
















「ほら、この家だよ」



私が立ち止まると





「おんのかな?」




豚子はまだ、キョロキョロしてるので



「こんにちはー!」



私は扉を開けて叫ぶと





「はーい」


と、オバちゃんが出てきた




「アンソンいますか?」





「あらー豊子ちゃん、アンソンなら居ないけど、何かしたのかい!」




急にオバちゃんは怒りだした




「いや、いや、ちょっと渡す物があって」




「本当かい?悪さしたらオバちゃんに直ぐに教えなよっ!ひき肉にしてやるから」




そう言って、オバちゃんは豚子に気付き、



「あら、お友達?」




「こんにちはー」



豚子が挨拶すると



「可愛いいねー高校の友達かい?」





「はい」



「日本の高校入ったんだから、豊子ちゃん頑張って大学もいかんとね」




「はい」



「そうだ、河原の方行ってみな、居るかもしれないから」




「ありがとうー」




オバちゃんに、挨拶して、私達は河原のほうに行きながら





「アンソンいうや」



「そう、最初に豚子が蹴り入れた、背が高い奴」





「ふーん」





河原に降りると、何やら、原付きとバイクを直してる二人がいた





「おう、コラ!」




豚子は二人に向かっていきなり怒鳴った




「ちょっと、仲直りじゃないの」




私は豚子の洋服を掴むと



「最初が、肝心なんや」






背の高い方がアンソンで、低い方はキムコで豚子を見てキョトンとしてる




豚子はズカズカ二人に近づき




「アンソン、コラ聞こえてるやったら返事せんかい!」




「なななんだよ、お前」




「豊子!俺らは何処にも行かねーからな」




ビビりまくってる、キムコがアンソンの後ろで怒鳴った






「一人、足らんやないかい」



豚子がアンソンに詰め寄ると




「まだ、動けなくて布団で唸ってるよ」



見ると、アンソンの顔もまだボコボコに腫れていた





「ほら、一枚二千円でチャラにしといたるわ」






豚子はステッカーの束をアンソンの胸に叩き付けた





「こんなに沢山、無理だよ」



アンソンはステッカーの束を手にとり豚子に、詰め寄る




「オマエ、私の胸、おもいっきり揉んだやろ」




「でも、そのあとボコボコにされただろが!オマエの胸揉んだだけで、その後、ステッカーまで廻されたら全然割に合わねーんだよ」




アンソンがステッカーを捨てようと、手を振りあげると






「オマエ、それ多摩川に捨てたらホンマに殺されるで」





「・・・・・・」




アンソンは、振り上げた手を捨止め、涙目で私を見た




「豚子〜仲直りって言ったじゃない!」





「豊子〜」


キムコは殆ど泣き顔で私に訴える





「不良やってんのやら、誠意か根性どっちかみせんかい!」





豚子はアンソンの胸ぐらを掴み、怒鳴りつけた




「俺らだって金ないんだよ、だから3人分、とプラス2枚で一万が限度だ」




アンソンはステッカーの束から五枚抜き、残りを豚子に差し出した




「・・・・・・」



豚子は受け取らずに、まだ睨んでる




「豚子〜私に仲直りって言ったよね、約束したよね」




私が呼びかけると




「せやな、豊子さんの顔立てて、五枚で手打ちにしよっか」





アンソンが、大きく息を吐く




「そのかわり、豊子の事、ハンチョッパリ言うたら、承知せんでーオマエら」







「分かったよ、もう言わねーよ」





豚子が煙草を吸いだすと、アンソンとキムコも煙草に火を点けた




「あれって、オマエの兄貴だったの?」



アンソンが訪ねた





「誰がオマエや!」




「あっ、豚子ちゃんだっけ?」




「そうや」



「怖いなー豚子ちゃんの兄貴、メッチャ強いし」







「アホー兄貴ちゃうねん、姉貴や、姉貴やったらオマエら駅前で死んでるで」

























「じゃあ、あの人は彼氏?」




「舎弟やろ、親衛隊みたいなもんや」






















これには、私もビックリ



「それより、あのバイク動くん?」



豚子はアンソン達がイジってたバイクを指差した























「なんとか、動くよー」



キムコが、自慢気に笑いながら答えた




「へーパクったん?」




「いや、先輩のお古を綺麗にしてんだ」





どうやら、タンクを外して塗り直してたらしい

周りにスプレーの缶が散らばってる






「よっし、今夜オマエラも来いや」





「えっ、何が今夜なの?」


私が豚子に訪ねると、




「この前、集会、言うたやん」





















「まっ、別にお礼なんてしなくてもエエんやけど」








「でも、コレからバイトだし」




「だからお礼なんて、気にせんでええって」




「でもなー集会って何時からなの?」





「何時言われてもなー、バイトは何時に終わんねん?」





「土曜日だから、11時過ぎかな」






「丁度ええやんっ!焼肉屋まで迎えに行くって」





「あの、ラーメン屋のバイクで」



「そやっ」





「アレじゃ二人乗れないから、無理だって、諦めましょ、お礼は昼間に、オネーさんの職場とか、うん、それがイイって」






「そっかー岡持が邪魔やったなー」



豚子は大きく項垂れて悔しがると






「こっちの、原チャなら絶好調~だよ」




キムコが余計な事を言った




「ホンマかっ?」




「集会って、豚子ちゃんも走るの?」



アンソンが訪ねる





「いや、姉貴に豊子が礼を言って、出発見送りだけや」




「イイナー俺らも、見に行きてぇなー」




「ホンマかっ、せやったら来い!来い!」




「本当に大丈夫?」

キムコが不安そうに訪ねる





「私と仲直りした言うたら、ボコられる理由ないやんけ」








「じゃあ、二台で、豊子のバイト先に迎えに行こう!」





アンソンが言ったので、私は豚子に気付かれないように、思いっきり、隣にいたキムコの足を踏んづけた





痛っ!・・・・・・










































ブログ一覧 | スローなブギは、止めてくれ | 日記
Posted at 2023/07/29 17:28:23

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