昨日書こうと思っていたのに、不正アクセスだそうで、想定外の事態でした。
さて、車酔いですが、
メルクマニュアル家庭版によると、
乗り物酔いは、脳が運動センサーから矛盾した情報を受け取ると起こります。運動センサーとは眼、内耳の半規管(バランス調節機能を補助している)、体の位置情報を脳に伝えている筋肉センサーを指します。
だそうです。
目で見た感じや体にかかる感覚と、実際の揺れに違いがあると酔うらしいです。
このブログでは、再三「しっかり加速」「しっかり減速」と加速度がかかる運転を推奨しているので、車酔いさせない運転のことを書いておかないといけません。
私は、
運転が上手いとは、同乗車に車酔いさせない運転ができることであると考えています。
もちろん車酔いは体質や体調、車内での過ごし方、道路状況などいろいろな要因がかかわってくるので、だれも全く車酔いしない運転というのは不可能でしょう。
しかし、運転者によって車酔いしやすいとかしにくいとかがあるのははっきりしています。
また、経験的にはドライバーは酔いにくく、運転ができるひとは前席に乗ると酔いにくいように思います。
実際私は車酔いしやすいので、今でもバスは苦手ですし、車で後ろの席に座るのも苦手です。昔は前席でも酔っていたのですが、自分で車を運転するようになってから酔わなくなりました。
引用したように、車酔いは「脳が運動センサーから矛盾した情報を受け取る」ことで発生します。
一方加速度については、実は地球上にあるもの全てが重力加速度を常に受け続けているわけですから、一定の加速度がかかること自体は脳に矛盾した情報を発生させないといえます。
では、何を元に矛盾した情報が発生するのでしょう?
私は、車の運転においては、加速度の変化だと考えています。日常生活では、加速度が変化するということがめったにありません。加速度の変化は体に加わる力が増えることによって発生します。目では力の変化は捉えられませんが、三半規管や皮膚感覚ではわかりますから矛盾になります。
つまり、車酔いを避けるには、加速度の変化を予測することができれば車酔いは避けられるということになりそうです。
・ドライバーは自分の運転なので加速度は自分で変化させているから予測ができる。
・運転できる人は、道路状況を読んで、加速度の変化が予測できる。
・後席に座ると、周囲の状況が読みにくいので、加速度の変化が予測しにくい。
・バスは、普通車よりも加速度の変化が大きいので、予測が外れる。
車にかかる加速度は、3つの方向があります。
1つは、前後方向の加速度。アクセルとブレーキによって発生します。もう一つは、左右方向の加速度。ハンドル操作によって発生します。
最後は、サスペンションの動きによる上下方向。
この3つの方向の加速度の変化が車酔いを発せさせているのですから、これらを予測可能にすればよいのです。
しかし、ドライバーはまだしも同乗車は車の挙動そのものを予測することはできません。そこで運転技術が効いてきます。
答えは、
加速度の変化をゆっくり行うことです。加速度の変化がゆっくり始まると、人は「加速している」と感じて力の方向の変化に対応できます。
加速度は力に比例しますから、近似的にはアクセルの踏み込み量が加速度に比例すると考えることができます。
加速度の変化は、アクセルの踏み込み量の変化になりますから、加速するときに、いきなりアクセルを踏み込むのではなく、
これから加速するよということが同乗車に伝わるようにじんわり踏み込んでいくのです。そうすると、しり上がりに加速度が増えていくので、十分な加速度に達することはできます。加速度を一定にして速度を得るのではなく、段々加速度そのものを増やして目的の速度に達するのです。
減速時も同様です。ブレーキを踏むときには、踏み始めは弱く踏んで、徐々に踏み込みを強くして制動力を発揮させるようにします。
ブレーキの効きを、踏み込みの初動で評価する人が多いですが、ちょっと踏んだときにはあまり効かず、しっかり踏んだときにしっかり効くブレーキのほうがずっとよいです。
ブレーキは止まるためのものではなく、減速するためのものであり、減速の度合いを踏み加減でコントロールしないといけません。
十分減速が終わったら、静止する前にブレーキを緩めて、速度がある状態から速度0への変化もスムースになるようにします。
横方向の加速度も同様ですが、難易度は高いと思います。
曲がっている最中の横Gの大きさ自体は大きくてもよいのですが、そこに至る過程の変化と、その前のブレーキングとのつながりが双方スムースでなければなりません。
ハンドルの操作は、舵角は最初は小さく、徐々に切り増すような感じになります。要するに送りハンドルです。
この間、フロントの外足のサスペンションに加重をじんわりとかけていき、Gの方向の変化が急にならないようにします。
上下方向のサスペンションの動きは、路面の上下によるものと運転操作によるものがあります。路面の上下で発生する動きは、細かい動きはサスペンションが吸収しますし、大きい動きは運転者には対処できないサスペンションの性能になってしまいます。運転操作による動きは、ブレーキ、アクセル、ハンドルの操作によるものですから、既に書いた通りです。ダンパーが経年劣化を起こすと、スプリングで発生した振動を吸収できなくなり、上下の振動が発生して酔いやすい車になってしまいます。
教習所では、「急がつく操作はいけない」と教えます。これは正しいです。ただし、教習所が定義する「急がつく操作」自体がずれているような気がします。
私にとっての急な操作とは、「急な変化の変化」であって、速度の2階微分である「加速度の変化」のことです。加速そのものや曲がる速さは速くても、そこに至る過程が連続的に変化するように運転することが大切です。
豆腐屋の息子がカップホルダーにコップを置いて水がこぼれないように練習するという話がありますが、これも漫画だけの話ではなく、運転が上手であれば(水位や絶対的な速度は別にして)実際に可能です。
私自身は、水だと失敗したときに面倒なので、コンソールボックスに置いたモノが動かないように、できるだけ速く走ることを意識したりします。同じ位の速度でも、荒い運転をするとフリスクの容器がすっ飛んで行きますよ。