2009年05月24日
芦ノ湖に釣りに行くと、帰りの箱根新道は延々続く下り坂で、エンジンブレーキ使用とかの看板があったりします。
なぜ、下り坂ではエンジンブレーキを使うのでしょうか?
答えは、フットブレーキを温存するためです。
フットブレーキは、足で踏んだ力を油圧で伝達して、ブレーキシューをドラムに押し付けたり、ブレーキパッドでディスクを挟んだりして摩擦により制動を行っています。
摩擦なので、当然熱が発生します。
熱が発生すると、ブレーキシューとドラムの摩擦抵抗が下がったり、伝達系のオイルが沸騰して気化したりします。
摩擦抵抗が下がると当然ブレーキは効きませんし、オイルが気体になると力の伝達ができなくなります。
前者をブレーキフェード、後者をベーパーロックと言います。
下り坂で速度をが上り過ぎないようにするためにブレーキを踏んでいると、踏んでいる間は常に摩擦が発生していることになり、どんどん熱が発生してブレーキが効かなくなります。
熱の発生を抑えるためには、ブレーキを踏まないようにしなければなりません。摩擦が発生しなければ、ブレーキは空気で冷やされて安泰です。でも、速度はコントロールしなければなりませんから、エンジンブレーキを使うことになります。
エンジンブレーキは、エンジンが回されるときの抵抗によってブレーキとして働くことを言います。
アクセルを踏んでエンジンを回すときは、混合気の爆発の力でピストンが押し下げられることになります。
アクセルが踏まれない場合でも、4サイクルエンジンは吸気-圧縮-(爆発)-排気に対応したバルブの動きをします。
吸気と排気はバルブが開くので、たいした抵抗はありません。しかし、圧縮工程はバルブが閉じていて、シリンダーに入っている空気を無理やり押し縮めるので、大きな抵抗になります。この抵抗がエンジンブレーキとして働くわけです。
下り坂でエンジンブレーキが効いているときには、タイヤの回転がエンジンを回しているわけで、重力による加速とエンジンブレーキの抵抗がどちらが強いかで加速するか減速するかが決まります。
坂が緩やかでギアが低いとエンジンブレーキが効きすぎになり、エンストします。
そこそこの坂で高いギアにすると、坂がエンジンブレーキに勝って、エンジンの回転数がアイドリング以下になってもエンジンは回り続けますし、ある速度でバランスしたりすることもあります。
坂が急な場合は、速度の割りに低いギアにしないと効かないこともあります。このときはエンジンの回転数は上ることになります。
でも、同じ速度で坂を上ろうとしたら、やはり低いギアで回転数をあげなければならないハズです。
エンジンブレーキで、ギアを落として減速するのは車にとってよくありません。
クランクが回されてピストンが動かされる状態で回転数が急変するのは、ピストンが横ぶれする可能性が高くなり、エンジンによくありません。さらに、クラッチにも大きな負担がかかります。
下り坂で減速する必要がある場合は、温存しておいたブレーキを踏んで速度をおとしてから、ギアを落としてより強力なエンジンブレーキを使うのがよいです。その際にアクセルを踏んで一回エンジンの回転数をあわせるともっとよいですが、難しいです。
減速のために短時間ブレーキを踏むのは当たりまえの行動です。踏んだ後でブレーキから足を離せば、ブレーキは冷えるので問題ありません。
Posted at 2009/05/24 01:34:38 | |
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