2010年06月06日
レース活動に悩むS-FJドライバーと、勢いに乗る気鋭のマネージャー氏と、お酒を呑んで帰宅。
完全に酔いがさめて床に入るのも勿体ない気分になったので、以前にアマゾンで購入して読み始めたものの読みかけで書棚の肥やしになりかけていた「夢、疾る」を手に取り、一気に完読。
村松栄紀という、1990年に24歳の若さで富士の100Rで逝ってしまったあるレーシングドライバーの軌跡を書いた読み物。
村松栄紀というドライバーを通して80年代~90年代の日本レース界が最も輝いていた時代の熱気が生々しく描かれています。
そして、彼と関わった人達、片山右京さん、由良拓也さん、服部尚貴さん、彼らへのインタビューの部分も非常に興味深い。
この本の中でボクが最も感じたのは、
「バブル期の日本を走り抜けた先輩への憧れと嫉妬」
です。
この本の本意とするトコでは無いと思うのですが。(笑)
今、日本のトップコンストラクター、童夢やムーンクラフトはバブル期の日本レース界の異常な盛り上がりがあったからこその今のポジションであったり技術力を持ち得たのだと思うのです。
今のボクは童夢やムーンクラフトの30数年前と同じような気概を持って、
「レーシングカーを造って商売する」
という夢を具現化しようとしています。
その第一弾がM01であるワケです。
ですが、現代の日本において「レーシングカーを造って売る」なんてのはあまりにも荒唐無稽な行為であると自覚しつつあります。
レース業界に知人が増え、情報が集まるにつれ、日本のレース界を取り巻く環境の厳しさと、業界の凋落ぶりを見るにつれ、沈み行く泥舟に足を乗せ掛けている自分の愚かさを知るのです。
そして周囲に目をやると、20代~30代でレーシングカー造って世に出てやろう!という人なんてドコにもいない!
M01と似たような車で「学生フォーミュラ」ってのがあるけど、あんなのは何も賭けていない子供の運動会みたいなモンだし、今のところあそこから「俺のレーシングカーを造る!」という独立独歩のヤバい若者が出てきたなんて聞こえてきません。
そうやって初めのうちは、
「唯一無二だ!」
なんて気分良くしてたものの、現実を知るにつれ、
「俺ってただのバカまっしぐら?」
と急に孤独感に苛まれ自分の行為の正当性に自信が持てなくなりつつあります。
本業でたいして儲かっていないクセに、レースやレーシングカー造りにお金と時間を投入して、常に貧乏ヒマなしな生活。
ゆとりなんてドコにもないし、ひっきりなしの綱渡り人生。
もうすぐ35歳になるのに、こんなコトやっててエエんかな?
と自問自答する日々。
レースやレーシングカー造りから足を洗って、真面目に本業に取り組めばまともな生活を取り戻せる。そんなコトがアタマをよぎるのです。
そんな気分の時に、バブル期の日本レース界の熱狂ぶりを描いた読み物を手にすると、猛烈に羨ましくなります。
「やりたい人間に対して、(今よりは)チャンスが与えられた時代」
くっそ~、30年早く生まれたかった!と何度思ったコトか。
でも、この本の最終章の文章が、ボクのチンケな嫉妬心を吹き飛ばしました。
夢を見れない現代にこそ、夢を追うことの必要性。
「ひたむきに戦うことから、自らを磨き、引いては社会を変え、世界を変えるのだと信じて挑戦してみないか。」
という提案で締めくくられたこの本。
弱気になりかけたボクの頬にガツーンと気合のこもったストレートパンチを見舞われた気分です。
まだボクは挑戦できる。
時間も体力も気力もある!(お金はないけど)
応援してくれる人々も集まりつつある。
挑戦させてもらえる立場にいるってコトがとっても幸せなことなんだ。
やるぞ!
すんげ~レーシングカーを造ってみんなをビックリさせてやるんだ!
と、もうすぐ空は白みかけた3時半、興奮して眠れそうもないので、最近覚えはじめたウィスキーを片手に撮り溜めたWTCCやらFIA-GTやらのレース中継を見るとしますか。
Posted at 2010/06/06 03:48:06 | |
トラックバック(0) | 日記