
ランチア フルヴィアのオーナーさんがイタリアにバカンスに行った際、ザガートの工房見学というラッキーな体験をされて、その土産話とザガートの歴史が詰まった本を貸してくれました。
ありがとうございます。めっちゃ面白かったです。
ところで、ザガートって何してる会社か知っています?
ふふふ、かくゆうボクもフルヴィアのオーナーさんに出会うまで良く知りませんでした。
「輸入車の雑誌読んでるとザガートってコトバよく出てくるけど、メーカー?」みたいなレベルの理解でした。
調べてみると、イタリアにはカロッツェリアと呼ばれる、カーデザインや車体製作を専門にしている工房があって、カーメーカーからの依頼で新車のデザインをしたり、ショーモデルを造ったりしているワケです。
ピニンファリーナが最も有名ですよね。
フェラーリのデザインと言えばピニンファリーナ!みたいな。
かの有名なケン奥山さんはピニンファリーナの元スタッフですよね。
で、このZAGATO社もカロッツェリアなのです。
主なクライアントはアストンマーチン、アルファロメオ等で、珍しいトコロではトヨタのMR-Sのザガートボディというのも存在します。
結構カッコいいんですよ。
そうやってカロッツェリアについて改めて調べてみると、
「デザインにお金を使う」文化に驚かされます。
ZAGATOは1919年創業で創成期は戦闘機のデザイン、そしてモータリゼーションの広がりとともに自動車のデザインにシフトして行った様です。
昔から「デザインでお金を儲ける」商売が成り立っていたという事に驚かされます。
ヨーロッパ人、特にイタリア人は「モノのカタチ」が性能の一部なんでしょうね。カッコ悪いモノは使いたくねぇ、と。
そうやって、もの造りについてよく考えると、
日本のモノ造りは「品質が高くて安い工業製品を大量生産する」役割を担ってきましたが、その役割は今後中国や韓国、台湾に移って行くのではないでしょうか?
すると「じゃあ日本はどうしたら良いんだ?」という問いにブチ当たります。
クルマ造りの点ではドイツ車やイタリア車がお手本になるんじゃないだろうか、と思うのです。
例えばポルシェやフェラーリ、乗ってみると確かに良いクルマですが、そんなに無茶苦茶高い材料を使って造ってるわけじゃありません。ぶっちゃけ日産のZの材料費とさほど変わらないでしょう。
でも、車両価格は2倍~4倍なワケです。
そこにある違いは、ブランド、音、カタチ、雰囲気、歴史、といったクルマのスペック的な性能ではなく、「それ以外」なのです。
「それ以外」とは、判り易く言えば「付加価値」でしょうか。
つまりポルシェやフェラーリは、
良く言えば「付加価値の高いクルマ」
(悪く言えば「上質なボッタクリ商売」)
なんです。
安くて良いモノを造る中国が台頭しつつある今、
日本のモノ造りも「上質なボッタクリ商売」にシフトすべき時期なのかもしれません。
レクサスがその好例ですよね。
今までのトヨタ車のイメージから脱却しようともがいています。
なかなか上手く行っていないようですが。
そりゃそうですよね、突然、
「トヨタ車に付加価値付けました!お値段200万円アップ!」
って言われても、パッと見た感じそれほど高級感出ているワケじゃないし、クラウンでええやん、マークXでええやん、となるのは仕方なし。
その付加価値の部分には歴史が伴ってこそのブランドですから、時間が掛かると思います。
LFAやプレミアムハイブリッドで独自の歴史を積み重ねて日本が誇るブランドに成長して欲しいと願っています。
あと、どんな設計者がどんな想いを込めて造ったのか?そのストーリー性も必要ですよね。
その部分ではマツダが上手いことアピールしています。
ロードスターやRX-7の開発主査を勤めた貴島氏が度々メディアに露出して「クルマ造り物語」を語ることによってストーリー性を高めています。
んで、ありきたりな自動車業界の論評は置いといて、
ボクの大好きな世界、日本のレーシングコンストラクターに目を向けてみましょう。
童夢はシンプルな線で和風な「流れ」を表現しているデザインが特徴ですね。
京都のコンストラクターというイメージと重なって、見る者にどこか「和」を感じさせるマシンが多いです。
最近のマシンは風洞実験からの制約が多くて、デザイン的な主張は少ないので、どちらかというと80年代のマシンに「The 童夢」なマシンが多くて好きです。
次にムーンクラフト。
「あ、由良さんのデザインだ」と一目見て判るくらい丸みを帯びた特徴的なデザインが多いですよね。
今年の初めにフヂエンの走行会でデモランしたF20は際立って「由良デザイン」でしたね。
パドックでも人気でした。
よりアマチュアな世界のマシンでは、オスカーのマシンは際立って美しいと思います。
歴代オスカーのマシンが速かったから、なのか?パドックでの佇まいが違うんです。
今、FJがスーパー化してウィング付きになって、なんともアンバランスな見た目になってしまいました。
東京R&DのRD09Vはまだ見れますが、他のマシンはちょっと・・・・・。
オスカーのデザインセンスでスーパーFJを造ったらどうなるのか?見てみたいものです。
では最後にフヂエンのデザインについて語りましょうか。
先日、リーディング産業展にて展示した1/5モデル、これにはデザイナー藤井 充の想いが込められています。
というのは一部ウソです。
夜、工場でモデルをシャカシャカ削っていると、入れ替わり人が遊びにやってきて、
「このフロントフェンダーはもうちょっと絞り込んだほうがカッコいいよ」
「キャビンとフェンダーのバランスが変だから、ここはもうちょっと盛ったほうが良いんでない?」
「FRだし、リヤはダックテールですよ」
「ボンネットにラインがあったほうが良くない?」
というみんなの声に「だよね~」と迎合しまくってカタチに反映した結果、あんな形になりました。(笑)
ポリシーないんかい?
でも、以外と好評なんですよ、コレ。
とは言え、大阪芸術大学とのデザインコラボの話もあるので、あのモデルはお蔵入りになるかもしれません。
残念。