フヂエンはクルマ屋ですが、自動車以外の乗り物も修理しています。
今回、ご紹介するのは、岐阜県のSさんの愛機 VF1000Rです。
VF1000Rは80年代に生産されたホンダのオートバイで、V型4気筒エンジンが特徴です。
並列4気筒のスーパーバイクには無い、「ドドド」という排気音が良いですよね。
Vツインとはまたちょっと違うというか。
このバイク、ウチの工場に来た時、なかなかキレイな状態だったので、
「ん?レストアせないかんですか?」
とも思いましたが、よく見るとカウルに割れや欠け、タンクに小さな凹み等あるので、
これらを修理しつつ、再塗装しましょう、という事になりました。
まず、レストアするにあたってカウルに貼り付けられている「HONDA」や「VF1000R」等のステッカーや、コーションラベルが部品として在庫があるか調べました。
結果は予想通り「在庫ナシ」(汗)
そりゃ、そうですね。
じゃあ、再生しましょう、という事で、まずはステッカー。
ステッカーは車体から剥がす前の状態をデジカメで撮影して、細かく寸法測定。
デジカメの画像を、ステッカー製作ソフトに取り込んで、トレースして行きます。
このソフトがなかなか不完全なヤツで、トレースデータがワリと適当。(笑)
完全に再現するには、手作業で細かくデータ修正していきます。

次に、コーションラベル。
これはウチでは再生できないので、専門の印刷屋さんにお願いしました。
一般的にはシルク印刷という印刷方法なのですが、一品モノには費用が掛かりすぎるので割りが合わないですよ。とかで何社からかお断りされて、ツテをたどって東京の印刷屋さんに相談してみると、「何とかやってみましょう。」という事に。助かった~。
ラベルを再現するには、ラベルのデータが必要なワケですが、
工具入れのカバーに印刷されているラベルが半分くらい擦り切れて読めなくなっていたので、
ネット等で調べて読めない部分も再現。
カウルの割れや欠けは、樹脂とガラス繊維で修理しました。
一部欠損してカタチが判らなくなってしまっている部位は、写真を見て再現します。
この辺はボクの得意分野ですね。
仕上げの塗装は、コダワリの「段差ナシ仕上げ」です。
トリコロールに塗り分けしたり、ステッカーを貼ると段差が出てしまうものですが、塗装する度に研ぎ出しして、段差を無くして仕上げました。
手前味噌ですが、キレイです。(笑)

だいたいいつもそうなのですが、こういうレストアや修理の作業を取り組んで行くウチに、
「このクルマ、カッコいいなぁ」とか
「このバイク、いいねぇ」てな具合に、その乗り物に感情が入り込んで行きます。
実際、今回もVF1000Rが欲しくなって、中古車市場を調べました。(笑)
いかんですねぇ。
まぁボクは、大きなバイクに乗ると死ぬタイプなので、中型までにしておきます。

ちなみにこのバイク、オーナーさんが学生時代からずっと欲しくて念願叶って手に入れた、
という大切なバイクです。
オーナーさんのそういう思い出というか、ずっと心の中にあったモノの具現化という大切な作業に取り組ませていただいて、とても光栄です。
ありがとうございました。
Posted at 2012/01/22 08:18:30 | |
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