
総じて値段のつくモノは価値のないモノである。
そう私は今「プライスレスな時間」というモノを満喫している。
白地図ロードはそんなプライスレスな時間を具現化する旅でもあるのだ。
12月6日(金)
自宅を真夜中に出発しM4のODOが500kmに達したところであのベンチに到着した。
冠雪した伊吹山を眺めながら日の出を待っていると白いSLCが私の横に滑り込んできた。みん友のライダーさんである。2ヶ月ぶりの再会で挨拶を交わしてると黄色いドラえもんではなくkoni氏が現れた。500km離れた地で特に待合せ時間も決めていない筈なのに不思議と同じ時間に合流するものである。
こうして白地図ロード滋賀編はドラマチックに始まった。
日の出と共に琵琶湖対岸の色付いた木々に覆われた山肌に朝陽が当たり更に赤みを強調させた。
私達は一期一会の景色の美しさに声を上げながらシャッターを切った。
仕事場に向かうライダーさんを見送り私とkoni氏は次の目的地に向かう。
向かった先は古の時を超えた東光寺である。
東光寺は浄土宗の中本山格の寺で、白鹿背山巨徳院東光寺という。寺伝によると、聖徳太子が薬師如来を安置するために本堂を建立し、恵心僧都源信が入寺して以降、天台宗となる。永禄年間の兵火で荒廃していた寺を、深誉円知上人によって再興され、浄土宗となる。三度の火災に遭い、明治26(1893)年に、営誉経海上人によって再建されれ現在に至る波乱万丈な古刹である。
東光寺のパワーを感じながら紅葉を楽しみ、名残惜しみながら教林坊に向かう。
教林坊は白洲正子の「かくれ里 石の寺」で知られるが、聖徳太子が観音様のお告げにより林の中で説法されたことにより教林坊という。 ご本尊は、太子ご自作の 石仏で赤川観音と親しまれ、安産守護の仏様である。 わびさびの幽玄の世界に小堀遠州作と伝わる名勝庭園、茅葺書院が赤く染まるもみじの中で存在感を感じるお寺である。
壮大な歴史ストーリーに心奪われ酔いしれるひとときは言葉が出ないものである。
後髪を引かれながら近江八幡の中心街に向かう。近江牛を堪能すべく予約していた「久ぼ田屋」に車を置き開店時間まで八幡堀を散策する。
たねやのつぶら餅を頬張りながら地元情報をリサーチしているとクラブハリエも同じ会社で和菓子部門と洋菓子部門の違いであることが分かった。すなわちこれから向かうラ・コリーナもクラブハリエの旗艦店であるので同じ会社ということになる。
久ぼ田屋の開店時間が近付いたので店に戻ることにした。
個室に通され老舗の重厚感を感じながら楽しみにしていた近江牛を食すことにする。
近江牛を鉄板で焼くと甘い脂が溶け出しジュワッと焼ける音と匂いで食欲を刺激する。
1切れ頬張ると口の中で脂が広がり近江牛の質の良さが直ぐに分かった。
近江牛に舌鼓を打った我々は先程たねやとの関係を知り臨場感に包まれながらラ・コリーナに向かった。
ラ・コリーナはクラブハリエの旗艦店だと先に話した通りで多くの人で賑わっていた。
ココはバームクーヘン工場も兼ねておりカフェでは出来立てバームクーヘンを楽しむことが出来る。
ラ・コリーナの広大な敷地内で出来立てバームクーヘンを堪能し次の目的地の旧竹林院に向かう。
旧竹林院は里坊のひとつで、延暦寺の中でも格式の高い寺院である。
庭園は国指定の名勝で、大宮川の清流を取り入れた曲水を主体にし、八王子山を借景としている。
築山も起伏に富み、五重の石塔、井筒などの石造物も多く残る。
大正年間に建てられた2棟の茶室と四阿(あずまや)は大津市の指定文化財である。
この美しい庭園をリフレクション撮影出来るように工夫もされており皆スマホを上や下に向けながら自分なりの絶景を作っていた。
留まるモミジに流れるモミジ。皆それぞれ行く先は自由である。しかしながら気を許すとあっという間に低い方に流れ落ちる様子はまるで人生の如くである。
紹介が遅れたが地元のみん友のたつゆさんが旧竹林院に駆けつけてくれていた。挨拶を交わし院内で地元情報を伺いながら話に花が咲いた。
院内をひと通り見学した後、琵琶湖ビュースポットに案内してもらう。
地元を知り尽くしているからこそのスポットで私がひとりで探しても決して見つけることが出来てない素敵なビュースポット。
たつゆさんに感謝し再会を近い、私達はこの旅で主題に置いていたマキノ高原のメタセコイヤ並木に向かった。
マキノ高原に近付くと空が暗くなり重い雲が立ち込めてきた。更に近付くと雨がチラつき始め並木に到達する頃には土砂降りに変わっていた。恐らく後少し気温が低かったら大雪になっていたことだろう。典型的な西高東低の冬型の気候の影響を受けていた。
私は屋根を開けての撮影は諦め雨に打たれながら短時間でシャッターを切ったが、500kmの移動をしてきただけに悔しさが募った。
今回の旅は長浜に宿を予約しているので天候さえ回復すれば翌朝のリベンジも可能だろう。
一旦撤退し翌朝に望みを繋ぐことにした。
ココで翌日の予定を簡単に説明すると、朝イチでメタセコイヤ並木の撮影をリベンジし日本海沿いに北上し私が2度チャレンジして入れなかった千里浜に3度目の挑戦する予定だ。その後はkoni氏と行動を別にし富山まで北上し魚津市内の寿司屋で旧友と会う予定にしている。
しかし、天気予報が絶望的に悪化しており今シーズンの本格的な冬の到来を示すものであった。
降雪で信越道が閉鎖したら延泊する気構えで仕事を終わらせてきたが、富山に到達すら出来ない可能性もあった。ホテルキャンセル代は痛いが当日迄判断を延ばしたのは、やはり旧友に会いたいからである。
一旦撤退した我々は今夜の宿であるグランドメルキュールに向かった。
ホテル到着前にとりやさい鍋で有名なびわこ食堂で夕食を取ることにした。
思った通り長浜を代表する店で地元民から愛されている理由が分かった。
グランドメルキュールに到着すると朝イチお会いしたライダーさんが仕事を終え駆けつけてくれた。
我々はライダーさんの愛車のシエラに乗り込み、黒壁スクエアや秀吉時代の名残を感じる中心街を案内してもらった。
カフェで近況報告などで話は大いに盛り上がり再会を誓ったのである。
ホテルに戻りラウンジでオールインクルーシブなグランドメルキュールの酒とツマミを味わえば、夜行ドライブの睡眠不足が一気に襲いかかり長い1日が静かに終わっていた。
DAY2に続く
*道中駆けつけてくれた、ライダーさん、たつゆさんこの場をお借りして改めて御礼申し上げます🙏