メーカー/モデル名 | ダイハツ / ムーヴコンテカスタム RS(CVT_0.66) (2011年) |
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乗車人数 | 4人 |
使用目的 | レジャー |
乗車形式 | その他 |
おすすめ度 |
3
|
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満足している点 |
1.リッターカーに近い気持ちで使える動力性能 2.たっぷりサイズでお洒落なFrシート 3.日常で不満が出ない装備水準 4.突き上げのないレベルの高い乗り心地 5.可愛さを控えめにしたビターな内外装意匠 6.満タン500km走れる36Lタンク |
不満な点 |
1.ワンテンポ遅れるアクセルレスポンス 2.直進近傍の戻りが悪く引っかかるEPS 3.日が出ているときのA/C冷却性能 4.カウルステアリング系の剛性の低さ 5.CVTによる速度管理の難しさ 6.ボヨンと頼りないドア外板強度 |
総評 |
●ハイト系×前席優先のパーソナルカー スギレンさんが現代の軽自動車に慣れるための訓練として購入した個体を「やっぱり慣れない」と白旗を揚げてしまわれたので貸していただいて検証がてら共に暮らしてみた。 ムーヴコンテは2008年8月にデビューしたハイトワゴンである。 コンテとは画材では無く、1.Continuityの日本的略称で、台本、コンテの意味。自分らしい生活を描くクルマを表現。 2.Comfortable Interiorの略。乗る人の心地良さを追求したクルマの意味。である 「居心地の良さ」を開発テーマとし、四角いボディスタイルとモダンインテリアが実用性やスペースに重きを置いたムーヴとの違いである。 既にタントが存在していた当時、ムーヴは車内空間の追求をやめてハイトクラスの中でスペースを追求し軽最大の室内長を確保、さらに低燃費な軽の本流」的な立ち位置に変わり、4人に平等に空間を割りふったワンモーションフォルムになった。 コンテは先代までのムーヴが持っていたスクエアなスタイルを継承し、さらに後席よりも前席を優先した点がムーヴからの差異である。特に前席は大型の「プレミアムソファシート」を採用しフランス人スタイリストの手によるクラスを超えた豊かな質感表現は2024年の今見ても新鮮である。さらにグレードによっては、パワースライドシートを採用しており乗降時の自動スライドが行える点もコンテの象徴的な装備となっている。メカニズム面はムーヴと共用し、新世代KF型E/GとCVTを搭載して「最近の軽は重たくて走らん」という声に技術で応えた。 試乗車は2011年式後期モデルのカスタムRSである。唯一ターボE/Gを搭載したフラッグシップだ。 エアロパーツを纏った少しワル目の外観と黒で引き締めたインテリアに加えてターボによる余裕ある動力性能とそれに見合ったシャシー性能が与えられる。 我が家でも同時代のタントを代車で借りていたり、妻がミラココアを所有していたこともあり、コンテカスタムRSの差別化はしっかりと伝わってきた。 つまり家族4人乗っても充分広々しており、前席シートの出来映えが良く、運転席からはボンネットがよく見えて安心感があり、走らせると動力性能に余裕があり、峠道もクリア出来る実力がある。 ![]() ただし、スギレンさん並の厳しい審美眼の前では現代の軽自動車らしいネガが馬脚を現す。「①電スロ②CVT③EPS」の現代車三悪の中でコンテは②③に該当している。 私がスギレンさんの気持ちになって指摘できたのは例えば、CVT起因と思われる加速時の応答遅れ、ドラビリの熟成不足による速度管理の難しさ、ブレーキの抜きの難しさだ。そして私が最も気になったのはEPSで直進付近の摩擦感が大きく、 田舎道を綺麗に走らせることが難しかったのと、ステアリングを戻す際に引っかかり感が出ていた事だ。 妻のデミオでも前所有車のココアでも現象が出ていた。コンテの場合発現する角度が大きいのが、せめてもの救いである。あんなにE/Gが壊れまくっていたシトロエンDS3は最後まで調子が良かったので各社のノウハウがありそうだ。 コンテはカクカクシカジカの印象的なTVCMで好評を博し、キャラクターはダイハツ全体のCMに登場するなど好感度向上にも貢献した。知名度は今でも高く、2024年現在でもダイハツ社員とWEB会議をすると背景画面に出てくるとか来ないとか。一方で、商品そのもののコンテは販売面でタントの次の柱になる、とかムーヴシリーズ内の構成比を逆転させるほどの大ヒットしていない。軽自動車でありながら、良い意味で前席優先のパーソナルカーとして用途を絞ったコンテは2010年には「ピクシススペース」としてトヨタ自動車にOEM供給されて、トヨタが扱う軽自動車初号機となった。これはコンテの大人しく、オトナなキャラクターが適していると考えられたのだろう。 ![]() コンテは確かに当時の軽上級価格帯(税込150万円クラス)のモデルとしての狙いは伝わってきたが、そもそも当時のダイハツが擁していたコンポーネントの素性の悪さに引きずられた感がある。これがコンセプトに共鳴しつつも、しっくり来ないと称したスギレンさんの気持ちにつながっているのではないか。 軽として割切ったミニマムトランスポーターとしてなら、乗り味の面ではある程度我慢を強いることは実際にあると思われるが、当時の技術的に採用せざるを得なかった4ATや油圧P/Sのフィーリングが自然すぎて慣れてしまうと、新しい技術の至らぬ点が致命的に感じてしまったのではないか。 私もスギレンさんのご厚意に甘えて共に暮らしてみると、毎日の通勤、送迎や週末の買い出しには 充分活躍できる。ただ、いわゆるNAで価格重視のモデルもでも同じ事ができる。その質は明らかにコンテカスタムRSの方が高いと言えるのだが・・・。 一方で週末に家族を乗せて行楽できるかと言えば、できるのだが動的質感という点で限界を感じるシーンもあった。出来の悪いリッターカーには充分肩を並べ、一部凌駕しているが、標準的リッターカーより少し落ちるレベルである。それこそがコンテの狙った位置なのだろう。 「そんなことではいけない!」と往年のOPTIなどの名称を使ってプレミアムカー的な性格を持った背の低いスペシャルティ軽(ケー)を作ればコンテを超えるようなフィーリングのモデルを作ることも出来るかも知れない。しかし、果たしてバブル期でもないのにそんな新製品の企画がパスし、充分なコストを掛けて開発し、それをそれなりに高い価格で発売したとき、これに共鳴する人が今の日本にどれだけいるだろうか。 相場無視の価格で販売される海外サイトで雑貨を買い、なんでもコスパ重視でものを選ぶ様になった私達がその車の価値を正しく理解できるだろうか。 実際の商売では、売り上げ金が開発に掛けたお金を超え、宣伝費もペイし、工場の稼働率が維持でき、部品を作る下請け先が廃業しなくて済むように台数が裁けなければそのモデルは失敗である。量産される自動車は工業製品であり、一品ものの芸術品ではないからだ。 ダイハツ工業創業120年記念車 限定660台、販売価格360万円の軽自動車 ・・・の様に利益を目的としないモデルであれば実現は可能かも知れないが、今のダイハツにその力があっても自由に使えないだろう。 コンテには普通車を超える部分を持ちながら、軽規格に甘んじた部分も併存する。しかし、この現状が工業的に成立しうるバランス点なのかも知れない。結局世界的にもAセグとしてはこういうレベル感なのかも知れない。 総合評価としては★3。ちょっと贅沢な前席優先セカンドカーならアリだ。中古車のタマも豊富にある。 ![]() |
デザイン |
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コンテカスタムのエクステリアデザインは四角い箱でありながら、面取りを行って大きな面を削いでありがちなハコデザインから距離を置いた。
カスタム仕様は艶やかさを身にまとった「ザ・カスタム」スタイルがテーマで都会的な艶やかさと押し出し感の強さを追求。 ![]() ![]() 縦型2灯式のディスチャージヘッドランプ(ロービーム)や、スモークアクリルとメッキモールを組み合わせたコンビネーションフロントグリル、フロントエアロバンパーで迫力あるフロントフェイスで標準仕様に飽き足らない層の心を掴む。サイドストーンガードやリヤエアロバンパー、ローダウンサスペンション、15インチアルミホイールで、低重心で存在感のあるシルエットを実現。リヤスポイラーやリヤコンビネーションランプ(クリアクリスタル)などの採用により、スポーティな印象を表現している。 他の車種よりも威圧するようなカスタム観で無いところにコンテらしさがある。ただ、この平板なスタイルはプレス成型された鉄板製ドアの剛性感不足をもたらしている。洗車時の拭き上げでベコつくだけでなく、毎日のドア開閉でも「ぼよん」というドア締まり音に品質感が無い。凹んだまま戻ってこないなら問題とされるが、押して一時的に凹んでも弾性変形で戻ってくればヨシ、としているのかもしれない。 このあたり、昔のスバル360は薄い鉄板を使いながら丸みをつけて外板強度を保っていたが、コンテの場合敢えてフラットな衣装を志向したのだから何か手を打たねばならなかったのではないか。ホンダはその事に気づいており2019年発売のN_WGNではコンテのような意匠傾向でありながら、手押し対策のR/F(リイフォースメント:補強材)を設定している。タントにも設定はあるのだが、凹んで塑性変形(=デント)する対策にしかこの骨を使っていないのかも知れない。また、意外とこういう外板剛性の低い部位は路面入力で共振して発音することもあり注意が必要だ。 インテリアは標準系が赤いアクセントカラーがお洒落な水平貴重なインパネにプレミアムソファシートを組み合わせた軽離れしたセンスを披露したのに対してカスタムは、お約束とも言える真っ黒の内装となる。 ![]() ![]() ~上質感と艶やかさを追求したブラック基調のインテリア~がテーマで赤に変わりシルバーのアクセントカラードラインや、各部に施したメッキパーツ、白色照明の3眼メーターなどで精悍な印象を演出。プレミアムソファシートもカスタム専用のブラック表皮を採用。アクセントカラーもシルバーに統一している。試乗したカスタムRS専用装備としてスイッチ操作でアクセントパネルが青く光る「インパネミスティックイルミネーション」や、他車のお約束だったMOMO革巻ステアリングホイールを設定。 コンテのデザインは四角いこともありサイドビューの水平貴重や運転席からボンネットが見える事からスギレンさんのように80'sセダンを愛する層にも何とか理解してもらえるトラッドさがある。 細かいことを言えば傷つきやすい硬質樹脂の内装はもう少し頑張れないのかという思いに駆られるが、身体に触れるシートに集中投資したと返答されれば納得するしかない。 |
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走行性能 |
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●市街地
自宅駐車場に佇むコンテで会社に向かう。初代タントでイライラMAXに達した初期のスマートキーと違い、運転席ドアに押しボタンが設定され、これを押したときだけ作動するように改められた。これにより、クルマの周りをぐるぐる歩いただけで施錠・解錠を繰り返すようなクソみたいな挙動を撲滅できた一方で、助手席側から操作しようとすると反応せず、リモコン操作でなければ解錠できないのは地味に退化してしまった。けれども、改良前より遙かにマシなのでこれで良しとする。 後席に娘を乗せる。サイドドアが全開にすると90度開きなのは大変便利で乗せ降ろしがし易い。ちなみに、ドアは前後とも開閉時に3段階で止めておくことが可能。チェックストップ角度はFr:33°~55°~90°、Rr:42°~63.5°~90°である。 ![]() 始動すると、KF型ターボE/Gが目を覚ました。何のことはないただの直列3気筒12バルブE/Gだ。ガングリップタイプのシフトレバーを操作してDレンジに入れて走ると、あくまでも普通の軽自動車なのだが通りに出てアクセルを踏むと加速が長く続くのでターボの力強さを感じた。道路の段差でも角のあるショックが伝わらないのは過去に乗ってきた軽自動車と異なっていてプレスリリースにも乗り心地を重視したと書くだけのことはあるなと感心した。 車高がFr:10mm、Rr:15mmダウンという専用サスであっても堅すぎること無くショックを吸収してくれるのはFrシートの分厚さが関係しているかも知れない。この時、気になるのはステアリングに振動がダイレクトに伝わる点だ。剛性が足りないのかな、と思ってしまうような振動感はせっかくの質感を損ねている。 保育園には左折で入るが、ドアミラーが大きめで見やすいことも特徴である。さすがにL900の様にカリフォルニアミラーには敵わないが、空力で角を削ってミラー本来の性能をスポイルしたダメなドアミラーより遙かに良い。 娘を保育園に送り届け会社に向かう。夏の暑い日でもターボパワーで出力が食われること無く充分加速していくのはさすがである。田舎道のアップダウンを越えても決して不足感が無く、3000rpmも回しておけば十二分な力を発揮する。 平地では2000rpm以下、1500rpm前後で連続的に変速しながら走る。ちょっと指摘しておきたいのはドライバビリティの悪さ、例えば平地で速度管理が難しい点だ。40km/hを目標に走ろうとしてのスロットル調整だけで40km/hを作れない。ギリギリ反応するレベルで分だとしても43~45km/hになってしまい、それ以上アクセルを抜くとエンブレで減速してしまう。実は50km/hでも60km/hでも同じなのだが、CVTが変速を続けて増速してしまうのでギア比固定のMTや有段ATと違い、ターボゆえにパワフルである事も相まって速度管理が難しく一定速度を維持できないのは静かなるストレスだった。 ただ、信号ダッシュや車線変更に加えて右折発進などはターボによる恩恵を充分に受けられ、相手の普通車が全開加速させない限りは意に沿った走りに貢献していることには満足できた。 ![]() 今時流行らないが、パワーウェイトレシオを求めると880kg÷64ps=13.75kg/ps。コンテのNAは15.9kg/psなので違いはしっかりある。 現代の軽の代表格のN-BOXはカスタムターボで14.69kg/ps。他のガソリンE/Gを積む登録車と比較すれば、タンク1.0L(15.65kg/ps)よるマシだが、カローラツーリング1.5L、シエンタ1.5L(10.8kg/ps)には一歩譲る相場観である。一般的な相場観的に10kg/pを切ると充分な速さとされてきたが、例えばハリアー2.0Lでは4WDでも9.7kg/psと死守されている。 さて、コンテはNVとしてはターボ故に排気脈動がカットされているのはメリットであとはアクセルオフ時のキーン音(CVT?充電制御オルタ?)が目立つのと、登坂時などE/Gがそれなりのトルクを出しているときに「ブーン」という音がかなり聞こえてくる。この音は明らかに異常なのでE/Gマウントあたりの交換で良化する可能性はある。 上記の騒音は高速域だと風切り音で目立たなくなるので一般道を走っているときに顕著になる音だ。また市街地ではブレーキの抜き動作が難しく、停止直前にガクッとショックが残り易いのも慣れを要した。 こんな風に書くと、不満タラタラのように見えるが、NAの軽自動車と較べて朝の忙しい時間帯にミズスマシのようにキビキビ走る動力性と機能性を持っているコンテはそれだけで通勤が楽に感じている。 仕事終わりで疲れた状態で隣の駐車車両を気にせずドアを開けられて(車幅狭い)、気難しい操作も無くアクセル踏んだら走り出すコンテは確かに楽だ。 ![]() 更にあともう一歩という点があるとすれば固定容量ベーン式コンプレッサー付きのオートA/Cは30度を超える暑い日中には22.0℃オートにしていても全く室内が冷えない。風はぬるく、風量が上がらない。実はマニュアル操作でLOにしてブロアMAXにしてあげれば室内が冷え始めた。どうも燃費志向なのか、一名乗車にフォーカスした設定なのかオート設定のエアコンのオート制御には疑問を呈したい。 (乗り心地項に続く) |
乗り心地 |
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(走行性能項の続き)
●高速道路 休日に高速道路を走らせた。ETCのランプ路から加速車線に移り、全開加速を試みた。発進から13秒前後で100km/hに達する。70km/h程度までは俊敏に加速するがそこから緩慢になるのは排気量を考えると仕方ない。 100km/h時のE/G回転数は3000rpmを切る。かつての軽自動車を知る人からすれば驚きのハイギアである。私のRAV4と丁度同じような回転数で走行出来るとはにわかに信じがたい。 ![]() この回転数を維持していれば上り坂でも踏み増してラグ無く100km/hを維持する事はたやすい。家族を乗せていても不安感無く走る点は、名阪国道の登りでみるみる失速したNAのタントと比べてもコンテの余裕が有り難さが身に沁みる。 遅いタンクローリーを追い越すときの加速も必要充分でよほど意地悪な普通車にブロックされない限りは思いのままに右車線に出られる。そのままアクセルを踏み続ければ、強制的に燃料カットされるまで息の長い加速が楽しめるのだが流れの速い新しい高速道路ではちょっとギリギリになってしまうのは660ccなのだから仕方が無い。80km/h~100km/h制限の高速道路であれば大きく困ることが無いレベルになっている。ただ、高性能の代償は、一気に悪化する平均燃費計の数字から察するに燃料消費量で払わされる。 ![]() 小一時間くらいの走行であればこれで充分、一般的なドライバーも高速道路で意のままに走れるのはエアロパーツやダウンサスは安定性向上に寄与しているからだろう。 私のように2時間以上ツーリングしてしまう人種(家族で隣の隣の県位まで行ってしまう)にはコンテの直進性の悪さが段々とステアリングを持つ腕を疲れさせてくる。・・・というのも直進付近の復元性が悪く、常識的な車のようにアライメントの作用でクルマ自ら真っ直ぐ走ろうとしないからだ。直進性がある車は曲がるためにはステアリングを操作するが、力を抜くと直進に戻ろうとするので手を添えているだけで直進ができて、路面の外乱を受けてもキックバック無く疲れない。 軽自動車にそれを求めることは酷なのだが、油圧P/Sのフィーリングはまさにそうであった。直進時のようにアシストが不要なEPSゆえなのかキャスター角が付いていないアライメント設定の影響がダイレクトに伝わってしまっているようだ。 コンテに限らないが絶えず直進付近でステアリングを保舵して操作するのは意外に筋力を使う。また、EPSでよくある故障の「引っかかり」は直進付近では発生していないが、コーナーで切り込んだときに現われることがある。操舵量が大きいとさすがに復元力が働くので引っかかりそのものは打ち消そうとしてくれるため大きな問題にせずには済んでいる。 引っかかり感は経年によるものとして大目に見たとしても、直進性の無さは元来のものである。それでも絶対的パワーがなさ過ぎて困惑してしまう自然吸気モデルよりもターボパワーで余裕のあるコンテなら片道150km以上の旅でも、それなりに付き合ってくれるのは美点だ。 ![]() また、路面が荒れた区間も走らせてみたが、当時としては大径の15インチタイヤを履いて堅めのローダウンサスの割にロードノイズが静かでプレスリリースに書かれたカウル・ダッシュ部の補強が功を奏しているのかも知れない。乗り心地とNV、操安のここのレベルの高さは特筆するもので無くても、それらのバランスは良く取れている。これはどこかだけ立派である事よりも貴いことである。 ●ワインディング コンテは元々ワインディングを駆け抜けるような車ではないが、通勤経路にワインディングがあるのである日、深くアクセルを踏んで駆け抜けた。タイヤがダンロップのエナセーブで元からグリップが高い方ではないが、結論から言えば存外な速さを見せた。 アクセルベタ踏みではCVTが最大トルクが出る回転数をできるだけ維持して車速が伸びていく。EPSは先に述べた通り引っかかり感が出たり路面からの入力でコツコツとした振動が手に伝わってくるが、速く走らせる意味では特に関係がなく走れてしまう。しっかりタイヤに荷重を乗せてやればタイヤが鳴いたり、空転してスキール音が出るようなことは無いので死の薫りがしない。 コーナリングも車幅が狭く車高が高いためロールはするのだが一定量で踏ん張ってくれるのはシャシーチューニングのお陰だ。軽のコンパクトさを活かして車線内のライン取りを工夫することでRAV4やカローラより速く走れている気がする、そして性能を使い切れるのはコンテの良さである。 ![]() ある休日には家族を乗せて国道だけで長野県飯田市まで走らせた。途中は気持ちいい山道を抜けていくのだがコンテは軽ゆえに狭い国道の道幅一杯が使えるので走りやすい。曲がりくねっているので、直進性の悪さもある程度気がまぎれる。 ![]() 稲武で休憩を挟みつつ、どんどん奥地へ向かっていく。 上り坂ではターボの余力で楽々上るのだが、追い越し車線で他の普通車を追い越せるほどのパワーが無いのは軽の限界を見せつけられてしまった。上り坂では平均燃費計がどんどん悪くなるのだが下り坂では巧みな燃料カットで燃費がみるみる回復していくのは面白かった。BEVの様に回生ブレーキで航続距離が延びることは無いが、少しでも転がろうと燃料カットできるギリギリの回転数を維持しながらハイギアに入れてギリギリを狙っている。おかげで下り坂でもどんどん増速していくのはコンテを始めとするCVT車の悪癖である。 そんな時はSレンジやBレンジを最大限活用するのだが、CVTのレスポンスの悪さに気づいてしまった。ショックを伴いながらギア比を変えてしまうATと違い、CVTは入出力側にある一対のプーリーの比で変速比を得る仕組みなのでハイギアに設定していたCVTを急にローギア側に変速するにはレスポンスが悪く、モタつくような感触が気になるシーンもある。 ![]() DレンジからS→Bレンジにシフトしてもワンテンポ遅れてぶわーんと回転が上がる。あまりE/Gブレーキが利かないのでフットブレーキも併用すれば問題は無い。ちなみにコンテはこの年式だけターボであってもソリッドディスクが使われているらしい。スペック的に定性的な不安感があるが、前述のエンブレ併用で山道を駆け抜けても不満はない。 このルートはかつて妻が乗っていたミラココアでも走らせた事があるが、NAで街乗り主体のシャシセッティングのため、加速は辛いし、コーナリング時のロールも過大で、普通に走らせているだけで妻に怒られていた。コンテではその様なことが無く、動力・操安面のベースアップが効果を発揮している。 ![]() 走行性能は絶対的なパワーはあるものの、EPSを始めとするシャシー特性で減点せざるをない。★2.5で表示は★3 乗り心地は軽としては良好で★4。NVはステアリングへの振動や加速時のブーン音で減点し★3とした。 |
積載性 |
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コンテのラゲージスペースは軽セダン並で容量は小さめだ。
![]() ベビーカーや日々の暮らしで不可欠な食料品の買い出しなどの荷物は載せられるが、追加でミネラルウォーターをケースで買うと後席の足元に置かなければならない。 ![]() Rrシートスライドがあれば荷室拡張が出来るのだが、コンテのシートアクションは簡易リクライニングと分割可倒によるスペースアップ(ただし乗車人数が減る)がある。一般的にありがちな後席を倒すと背もたれがデッキとつながってフラットな荷台になる、なんて芸当はできない。その代わり、重視されていないはずの後席は意外に快適だ。 ![]() そもそも空間的には充分広い(頭上こぶし3、膝前5)上に着座姿勢は不自然で無く、足引きだって問題が無い。ダイハツだってやればできるのだ。自動車開発のツラいところでこの程度のことは実は何処でもやれる。しかし、居住性をウリにするとか言い出した途端、数値の競争に陥って「これくらいなら我慢できる」合戦が始まってしまう。事実、この世代のムーヴは急に後席座面が伸び、足が引けなくなるパッケージを採用している。案外力を入れていないコンテの後席は平板で長距離ツーリングに向いているかというとビミョーだが、CRS専用にしておくには勿体ないほど真っ当なパッケージングである。 ![]() そして前席はコンテが荷室より、後席よりもコストを掛けただけあってクイズとしてシート単体を見ただけで「コンテ」と答えられるほど個性的なシートが奢られている。 フランス人デザイナーによる「プレミアムソファシート」は、たっぷりとしたサイズと立体的な縫製にこだわった。アクセントカラー生地のチラ見せや豊かな造形のヘッドレストなどパッと見ただけでは軽自動車のシートとは思えないほどの質感を実現している。 座ってみると、背骨の中心が押されてちょっと変な着座感でそれなりのサイズがある割に肩が浮いてしまう点も正しいシートではない。コーナリング時には状態が動いてその先で方を支えるサポート感が特徴的だった。この点、デザインだけで無くサポートにも力を注いで欲しかったが、キャラは立った。 収納関係は軽自動車である以上、とても充実しており照明付カップホルダー、I/Pアッパーボックスや助手席下ボックス、センターアームレストボックスやコンビニフックなど実用品として一級品の工夫が見られる。大抵のものは収まるはずで見られたくない携帯電話やETCを隠せるシークレットボックスまでもが準備されている。 ![]() 逆にスペアタイヤ(テンポラリー)が標準装備されているのは、ちょっと懐かしいなと感じた。 軽ハイトワゴンとなるとどうしても、居住性や荷室の使い勝手を無視できない空気があったが、コンテは明確に前席の快適性にスポットライトを当てた成り立ちである。そこがムーヴではなく「コンテ」である理由なのだ。 |
燃費 |
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当然ながらターボを使うと燃費が悪化。借りた直後に意識的な低燃費運転を行って燃費計ペースで20.2km/Lを記録することができた。カタログ値越えに喜んだが、もっと素直に通勤や土日の用事に使うと16km/L程度。渋滞が増えると13km/L程度に落ち込むこともある。ただし、動力性能の余裕は運転時のストレスを大いに減らしてくれる。
![]() 遠出をすると、どんどん燃費が伸びる。18km/Lは超えてくるが、満タン法での最良値は18.3km/L(燃費計は18.5km/L)だった。10・15モードのカタログ燃費が19.0km/Lなので達成率96%と高い。 さらに、この時代のダイハツ車は燃料タンクが36Lと大きいことにも触れておきたい。長距離ツーリング時の航続距離を実際の燃費を想定して見積もると、30L×18km/L=540kmは堅いだろう。私が借りている間はコンスタントに500km以上走ることが出来た。この距離をBEVで走るのは決して簡単ではないことを私は先日身に沁みて痛感した。 ![]() 近年では燃料タンク容量を削減するのが各社のトレンドらしく、コンテの航続距離を軽自動車で超えるのも簡単ではなくなってきている。燃費自体は現代のハイトワゴンのターボも大きく変わらないので単純に機能面での退化だ。 航続距離込みで★4である。燃費自体は市街地はさほど良くないが、それは動力性能に対する税のようなもの。充分納得できるレベルだ。 |
価格 |
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コンテの価格は下記の通り。とてつもなく明朗会計である。各グレード間の価格差は10万円、4WDは12.1万円とシンプルだ。
![]() ハイセンスな内装はそのままにAM/FMチューナー+CDデッキ、マニュアルA/C、キーレス付IGNキーで価格を抑えたL、その10万円高でアイドルストップ、オートA/C、キーフリーシステムが備わるXが標準系だ。 前期型に設定のあったパワーシートやアルミホイールが付いた128.1万円のX Limited(EP82みたいな名称・・・)はカタログ落ちしている。 カスタムのエントリーグレードはカスタムXで専用の内外装(含むフォグ+LOビームディスチャージ仕様)が最大の特徴。 オーディオレスとなりながらスピーカーは10cm→16cmにグレードアップされる(▲2.1万)。他にもウインドシールドガラスにトップシェードやバニティミラー照明が装着される。 標準系のXでは+2.1万円でカスタムに準じた内装が追加でき、本革巻きステアリングが装着できるが、カスタムXでは灯火類のグレードアップ(+5.5万円相当)が本革巻きステアリングで相殺されるような関係になっている。 エアロに魅力を感じるならカスタムXを選ぶべきだろう。アイドリングストップ装置は個人的には無くて困らない。 カスタムGはカスタムXにアイドリングストップ装置を追加し、アルミホイールや本革巻きステアリングを追加した上級グレードである。個人的には欲しい装備が備わるものの、アイドルストップが余分に感じる。 今回試乗したカスタムRSは最上級グレードである。前後スタビやローダウンサス、15インチALホイール、MOMOステ、アジャスタブルパック(チルト+シートリフター+アジャスタブルアンカー)、6スピーカーやインパネ照明である。 カスタムRSだけは価格差が7万円だが、ターボE/Gや専用シャシ、装備のグレードアップを考えるとお買い得とさえ思える。 ![]() 現代の目で見れば149万円という価格も割安に感じる。2011年当時売られていたヴィッツ1.5Uは150万円、フィット1.3Lは149万円、ベリーサ1.5Cも155万円で実はBセグ上級グレードも狙える価格だった。コンテカスタムRSの方が内外装の充実度合いは高いが、普通車群と比べると特に動的性能で負けてしまう。しかし、逆に軽の機動性や税制優遇などで選ばれる良いところを突いている。 |
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