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2020年03月13日 イイね!

2005年式ボルボXC70感想文

2005年式ボルボXC70感想文格安中古車ハンターのN兄さんがまた新しい車を手に入れた。2005年モデルのボルボXC70、しかも22万km超えだ。



実用的でタフで大柄なステーションワゴンとして日本でも人気のあった240シリーズの後継モデル850がMCで名称がV70に変わり、1999年にFMCされているが、XC70はV70をベースに内外装をSUVチックに化粧直ししただけでなく、珍しい2.5L直列5気筒の低圧ターボエンジンが奢られV70に遊び心をプラスしたスペシャルティな位置づけのステーションワゴンである。

ステーションワゴンとSUVのクロスオーバーのような成り立ちは、スバルが1995年にレガシイグランドワゴン(ランカスター)で先鞭をつけており、アウディも1999年からオールロードクワトロがデビューしている。カムリグラシアをベースにリフトアップしたハリアーのように一気に乗用ベースのSUVまで追従できなかったブランドやあえて非クロカンのニッチ市場を狙うブランドなどがステーションワゴン以上クロカン未満のモデルを擁していた。



SB系と呼ばれるXC70は2001年から2007年まで生産されており、ステーションワゴンの人気があった日本でも良く見かけたものだ。2020年、まさか私にXC70にじっくり向き合う機会が与えられるとは思いもしなかったが、一週間ほどレンタルしてプレミアムステーションワゴンのある暮らしを満喫した。

●XC70基本スペック
WEB情報から転載+α

標準車両本体価格(東京地区)
578.0万円

駆動方式
4WD(四輪駆動)

車両型式
CBA-SB5254AWL

トランスミッション
アイシン製5AT

全長×全幅×全高
4760×1860×1560mm

ホイールベース
2765mm

最低地上高
215mm

車両重量
1740kg

乗車定員
7名

エンジン
直列5気筒DOHC ターボ

総排気量
2521cc

最高出力
209ps(154kw)/5000rpm

最大トルク
32.6kg・m(320N・m)/4500rpm

燃費(10.15モード)
9.0km/L

最小回転半径
5.7m

タイヤ
215/65R16

ブレーキ(前)/(後)
ディスク式 /ディスク式

サスペンション(前)/(後)
ストラット式 /マルチリンク式

●エクステリア
4760×1860×1560mmという堂々としたボディサイズは、全高以外はハリアーより少し大きいくらいのサイズだ。当時は大変デカく感じたものだが、今ならそこまでの拒否反応は起きないかも知れない。ただ、コンパクトカー専門で乗り継いできた私には今でも十分でかい。



全長が長いため、第一印象は優雅で伸びやかだ。低くワイドなフロントノーズと安心感を与えるドア断面の上にはキャビンが乗っかるデザインはキャビンが小さくスポーティな印象を受ける。ここまではV70と共通なのだが、XC70は最低地上高が215mmと高い。これは私の初代RAV4と同じ数値であり、現代のSUVではセダン相当の数値に留められたSUVもある中では本格的な数値だ。街中で出くわす歩道の乗り上げや踏み切り通過で肝を冷やす機会は皆無だろうし、都市に多いゲリラ豪雨でもある程度の余裕度を持つことが出来る。V70に対しては専用のバンパー、ホイールアーチモールと、
サイドマッドガードとスキッドプレート(お飾りのモール)が着く。シルバーに塗られてアンダーガードをイメージしたスキッドプレート以外は真っ黒な素地色で統一され、ラジエーターグリルも格子が少々大きくなってタフな力強さを想像させるように差別化されている。XC70は素地色が材着でブラウンになっており、素地の黒が強くなりすぎないように配慮されていて洒落ている。



XC70は価格が600万円に近いラグジュアリーカーでありながら、プレミアムを主張せずに控えめですらある。キラキラしたモールやら凝ったパターンのホイールやらそういう加飾装備が目立たず基本的にシンプルなのだ。灯火類もLED登場前ということもあり、バルブ球が使われており現代の目で見れば地味な印象だ。

ところが、XC70を近くでじっくり見てみると例えばウインドシールドガラスとルーフの段差が限りなく0になっている。



或いはサイドドアベルトモール部分の水切りは一般的な形状とは異なりガラス面とモールの隙間が0に近く、寸法的に攻めている。ベルトモールと水切りを一体化し、モール先端を水切りと隙間を埋めることに活用しているのである。



一般的な車のベルトラインモールとは全然違う個性的な形状は元々シンプルなプレスドアの見栄えを邪魔しないスッキリ感の維持に寄与するだけでなく風切り音に効果がありそうな内容であり、内容的にはさりげなくプレミアムだ。

サイドビュー全般としても現代の車としては低くベルトラインも低いので全長の長さが更なるプロポーションの良化に役立っている。個人的にXC60のスタイリングは好みに近く、ずーっと見ていられる。モールやらデカールやらが追加されても、そもそもの比率のよさを加飾要素が邪魔しないからだ。

高い車だからと俗っぽくしなかった点が年式が経っても旧くならないポイントだったのかもしれない。(商品としては思いっきりSUVブームに便乗していたのに面白い)

●内装
ドアを開けて内装をチェックした。本革のたっぷりしたサイズのシート、ソフトなインパネ、本革とウッドが組み合わされた3スポークステアリング、ドアトリムやシートに施されたジグザグのステッチがキャッチーだ。インサイドハンドルもアルミ製でマテリアルは確かに高級と言える。



センターコンソールにはXC70専用の助手席用アルミ製グリップが備わっている。触ると冷たい感触があり本物感とクロカンらしいワクワク感があるが、全体的には至極真っ当というか至って普通のデザインだ。



当時は中国資本が入り、スカンジナビアンデザインにボルボらしさを見出した現代のようなこれ見よがしな部分が無く、質実剛健でタフそうでマテリアルは良いものを使っていると言う良い方向にまとまっている。

運転席に座るとドラえもんのスモールライトによって自分が縮んだのかと思うほど大きいシートに圧倒される。



黒い本革で座面が長く、太ももも短い短足の私には座れなくなるギリギリ許容レベルだった。反対に胴長の私でもシートバックの高さに余裕があり、
ヘッドレストの調整が不要なほどだ。大柄な人が多いスウェーデンらしいシートだと感心した。しかも22万kmも走っているのに全くヘタリを感じさせない座り心地は諸手を挙げて賞賛したい。(RAV4やカローラではすぐ腰が痛くなるが ボルボを運転していて腰が痛いと感じたことは無かった)

マニュアルのチルテレを操作し、パワーシートを調整してドラポジを採るとアクセルペダルが少々内側に寄っている点が気になった。右足一個分の余裕があり右足のフットレストがあるかのようだ。一方フットレストは形状はあるものの幅が狭い上、ウレタン製なので足を載せると頼りなく凹んでしまうシロモノだった。まぁATなのでペダルレイアウトが悪くても然程困ることは無いが、こんなにボディサイズがあるのに寸法が取れていないと言うのは少し残念だ。

ドラポジを決めてシートベルトを締めた。小柄な私はシートを前に出すのだがベルトの取り出し性が良好だ。流石に3点式シートベルトを発明したボルボだけにシートベルトが凄い。エンジンをかけた後、テンションリデューサが備わっており軽い力で装着出来るだけでなく、通常センターピラー下にあるラップベルトの固定点がXC70はシートに取り付けられているからだ。これにより乗員の体格に関わらずシートベルトの装着性が良好に保たれている。



例えば初代RAV4の様に一般的な車で体格の小さな人がシートを前にスライドした場合、センターピラーにあるベルトを取るためには大きく手を伸ばす必要がある。XC70ならシートの位置がどこにあってもラップベルト側はシートと共に動くから装着性に優れるのだ。

デメリットとして3ドアの様にウォークイン機構がある場合は、ベルトが邪魔になり乗降しづらくなるだけでなく、シートベルト単品の性能試験でシート本体の強度が一層求められる点がある。シートベルトの試験は巨大ウインチで改造したベルトを引いてボディが破壊しないか、或いはシートベルト構成品に損傷がないかを見る。私の1989年式カローラの場合はアンカーから出たベルトはフロントフロアに締結されたバックルを経由してセンターピラーのラップアウターに至る。また私の1996年式RAV4の様にバックルがシート付になる場合はフロアで受けていた荷重がシートに入るため、強度が必要になる。XC70のようにラップアウターまでシート付になると更に入力が増えるため、当然シートレールの強度が問われる。一般的にセンターピラーは安全対策で十分な強度があるため、心配は無いが入力が増えるシートは補強せざるを得ないので重くなる。設計的に最も軽く出来るのはカローラのようにボディ部品のみで受ける構造なのだが、
パッケージング的な制約や装着性からシートに強度を持たせるクルマが増えてきている。(CX-30やLS500hも上記構造を採用)

Rrシートにも座った。高級車らしくセンターピラー付けの空調吹き出し口が備わるが、それ以外は相変わらず質実剛健という言葉が似合う。



リクライニング機構は無いものの極めて健康的な姿勢で座れ、尻が前にずれるだの脚が真っ直ぐ納まらないなどと言う心配は一切無用。当たり前に座れて当たり前にシートベルトが締められる。膝前スペースもさすがに余裕があってセダンベースでも広い。快適の為に設計されて、快適の為にコストがかけられている。



また、この個体にはオプションの組み込み式チャイルドシートと3列目ジャンプシートが備わっていた。前者は後席の座面を操作すると座面が持ち上がり
小柄な子供でも大人用の3点式シートベルトが使用できるという優れもので1996年のカムリグラシアや1997年の初代プリウスでも採用されていた。



そして3列目シートはかつてのステーションワゴンのお約束装備ともいえる後ろ向きタイプのシートが折りたたみ式で現れるというものだ。試しに引き起こして座ってみたが、頭がつかえてマトモに座れない。説明書によると身長140cm以下が推奨されるとの事で緊急用に留まる。(2代目カローラスパシオの3列目よりはマシと言う程度だろう。)

内装で指摘したいのはカップホルダーの使いにくさである。緑の照明が入るなど少々華やかだが底が浅くボトルがキチンと保持できなかった。



特に後席用に設定されたCTRコンソール用のカップホルダーは加速時にペットボトルが倒れてしまい実用的ではなかった。



加えて、触感向上のためのゴム塗装がベトベトし始めている点はマイナスポイントだが、N兄さんが購入してきた金額と22万kmという走行距離を前にすると仕方が無い部分かもしれない。みんカラ情報ではべた付きは塗装を完全に剥いでしまえばサヨナラできるらしい。

●自宅から市街地経由で郊外のIKEAを目指す
自宅駐車場に佇むXC70は本当にでかい。駐車スペースの全長をフルに使い切るようなレベルだ。全長4760mmのXC70の隣に全長4020mmのデミオが並ぶとその大きさに息を呑む。XC70の後席にある組み込み式チャイルドシートを使わず、普段RAV4で使用しているチャイルドシートを装着。3歳の子供を乗せていざ出発。助手席の妻は「木と革の内装がお洒落」と高評価だ。



自宅付近の住宅地の角を曲がるだけでその大柄さに気づかされる。最小回転半径5.7mという数値は普段乗っている車から較べると1mくらい大きい感覚だが、現行型RAV4の上級グレードと同値だ。



XC70の場合、ヒップポイントが低く、車体が長いのでオーバーハングの先まで神経を向けなければならず、扱い易いとは言えないものの、私の技量でも何とか扱える上限だ。

一般道を走る際、旧来の狭い道路では特に車幅を持て余す。ミラーがしっかりボディの四隅を映してくれているが、満員電車のベンチシートに座るかの如く常に左右が気になる。路肩の木の枝が気になってステアリングを切ればセンターラインを超えそうになり対向車の存在が気にかかる。



住宅地から信号の無い田舎道に出る際、アクセルを踏み込むとルーズなトルコンのせいかE/G回転2000rpm近傍で留まりながら強めに加速していく。余裕のあるエンジンを積んでいるし、食いつきの良いトルコンなのかと思い込んでいたが、しっかり滑らせてショックレスな加速が持ち味の様だ。余り繊細なアクセル操作に対しては応答してくれないので加速するときはトルコンとエンジン任せなのだが、必要十分以上に速いしイージードライブと言えばその通りだ。



道路の幅が広くなり、車線数が増えて交通状況が良くなってくるとXC70のイージーライド性が輝きを増してくる。信号ダッシュでは意識しなくても周囲をリードする加速が得られるし、多少荒れた路面でもキャビンに角のあるショックは進入しない。



サイドウォールが分厚いタイヤ、しっかりしたボディ、大きなシートが各々良い仕事をしているのだろう。素晴らしい音質のオーディオ(バックナンバーのアルバム)や他愛の無い妻との会話を楽しみながら優雅な移動が楽しめる。ただし、ブレーキは初期の利きが甘く、欧州車としては肩透かしを食らった。社外品のパッド(ダストが出ないタイプ)の影響だと思われる。



ボディサイズの大きさゆえに存在感があるのか、車線変更をする際も周囲が入れてくれる印象があり、人の感覚は現金なものだと思いつつ、市街地ではむしろ割り込まれにくく、割り込み易いXC70は走り易いとすら感じた。



寄り道をしながら郊外にあるIKEAに辿り着いた。せっかくスウェーデンを代表するボルボに乗っているのだから、スウェーデンを代表するIKEAに行く他ないと考えたからだ。



(日本で有名なスウェーデンブランドは他にファストファッションのH&M、輸入住宅のスウェーデンハウスなどがある。ちなみにムーミンやマリメッコ、ノキアはフィンランドだ。)

もちろん音楽に疎い私がABBAの他に唯一知っているカーディガンズを聴きながらである。



夜遅めの時間にした理由は店舗の駐車場渋滞が苛烈だからだ。読みが当たって楽々車を止めてレストランへ。先にスウェーデン・ミートボール(8個)を食べてスウェーデン気分に浸った後で主目的である組立式の棚を探しに倉庫へ行き品物をピックアップした。



車寄せにXC70を駐車し、荷物を積み込んだ。妻のデミオで炊飯器と電子レンジを購入したときは大変な思いをしたが、XC70はRrシートを倒す事無く嵩張る組立式家具が搭載できた。



これには同行していた妻も「すごい」の一言。なんだか自分が褒められたようないい気分になりIKEAを後にした。

●家族を乗せて160km離れた実家へ帰省
新幹線停車駅で東京在住の父を拾い奈良へ帰省した。ETCを抜けてアクセルを深く踏み込むと「グオーン」という心地よい音がキャビンに響く。背中にGを感じながらアクセルを踏み続け、6000rpm手前でシフトアップを繰り返せばあっという間に制限速度の100km/hに達する。



2.5L直列5気筒DOHCターボエンジンの最高出力209ps(154kw)/5000rpm、最大トルク32.6kg・m(320N・m)/4500rpmという性能は1740kgのボディを確実に引っ張るが、ターボと言えどもトルクが急峻に立ち上がらず、NAのようにリニアに伸びる味付けになっている。



100km/h時の回転数はちょっと高めの2200rpm。現代の類似する車格だと1500rpm程度でもおかしくないが、XC70の場合高回転をうまく使いレスポンスの良さが楽しめた。そもそも回転が上がっても音質が良いので静粛性に対してマイナスにならないし、そもそも騒音が良く遮断されていた。



一番左の車線をのんびり走っているとXC70の一番気持ちいい領域に入ることが出来る。市街地ではルーズと評したATだが、高速道路の速度粋ではロックアップクラッチが繋がる為、右足との接続感が急激に良化する。アクセルオフでもMTの様に減速できるほどドライバビリティが良かった。エンジンの動力性能が十分あるので目を三角にして追越し車線をぶっ飛んでいく実力も持っているものの、私は制限速度内のんびりドライブを楽しんだ。

そこで気づいたのは横風が強い高速道路でも安定している点だ。わざわざ車高を上げているが、そのことによる不安感は全く無く、幅広い車体、長いホイールベースと車重が良い影響を与えている。市街地走行では引け目に感じていたディメンションの大きさは全て高速道路で圧倒的にな強みに変換されていった。

高速燃費はディスプレイ読みで12km/L程度であった。加減速の少ない高速道路を一定の回転数で定常走行すれば車重の重さによるネガが出にくいシチュエーションと言える。



ちょっと驚いたのがNV性能の高さゆえ、オーディオの音量を上げなくても下道で合わせた音量で十分音楽が楽しめたことだ。RAV4だったら30%くらい音量を上げないと聞こえないのだがこういう基礎的な性能もプレミアムカーならでは。ここでクルーズコントロールのスイッチを入れた。40kmh~200km/hという幅広いレンジで使えるもののまだレーダークルコンではないので、車間距離は自ら保つ必要がある。元々高速道路の移動はXC70は得意とするところでそもそも疲れないため、高速道路で悠々とクルージングできればそれでも十分運転支援になる。

名阪国道に入るとXC70の良さがさらに際立つ。RAV4やデミオで走ればボコボコのアスファルトや橋の継ぎ目で強い衝撃がキャビンに伝わるが、XC70は豊かなストロークを活用して快適そのもの。乗り心地の良さは市街地から高速まで一貫して良い。

トレーラーがハザードランプを点灯させながら20km/h程度で登る坂道がある。周囲の車は速度を維持する為に変速して登るような場面だが、XC70は少しアクセルを踏み足すだけで悠々と流れをリードして登っていく様子は実に痛快だった。とっさの追い越しなどの限られたシチュエーション以外は比較的低回転で静々と走っているのが似合う。



結局2時間半以上運転して実家へ辿りついた。長時間の移動でも家族全員の疲労が少なく、私の腰も全く痛くならなかったのは大型シートの恩恵か。(ちなみにLS500hでも3時間ほど乗ると腰が痛くなった)



●ワインディング感想
帰省からの帰りは私が若き頃から腕を磨いていた80号線を使って愛知を目指した。ヘアピンカーブの連続区間をXC70はグイグイ登っていくがスローなステアリングゆえステアリング操作が忙しい。アクセルを踏めば力強く加速するものの、ピックアップが緩慢なので複雑な線形のコースを繊細にスロットル操作する走り方には合っていないと気づいた。そんな非名阪をのんびり走っていると、昭和二年竣工の五月橋に辿り着いた。



奈良県初の鉄橋とされる五月橋は戦時中の鉄の供出も免れ、風雨に耐え、維持され永らく活用されてきた。この橋の隣には新しい橋が建設中で、いずれ新しい橋が竣工した暁には旧い橋は撤去されるだろうと友人から聞いた。維持管理も大変で新しい橋を作る予算もついたのだから、撤去した方が良い。変に残して何かあったときに責任が取れない。と考える人が居てもおかしくは無い。外野と中の人では事情が異なるだろうから。でも何らかの形で残すことは出来ないのかなと寂しく感じた。



昭和二年当時は大正三年生まれの亡き祖父がまだ少年だった。そんなときに既に国道25号線が存在し、こんなに立派な鉄橋があったということは凄いし、昭和二年に出来た橋を令和二年になっても渡れることにロマンを感じ、静かな感動を覚えた。先人たちの偉業を讃えたい

(2020年末、橋は撤去されていました。合掌)

ちょっと寄り道を楽しみながら山の中を走ると、緑の景色にパールホワイトのXC70が良く映えて気持ちよくなってくる。荒れた路面や舗装が壊れた路面でも気にする事無く走破できる最低地上高と豊かなサスストロークが役に立つ。
ちょっとしたアウトドア感を味わうにはXC70は最適だ。



後日、XC70に似合わない事は承知でいつものテストコースへ。長い上り坂でアクセルを深く踏み込むと3000rpmを目安にシフトアップを重ねていく。あっという間に高い速度域に達するが、14年生スタッドレスタイヤとラックのガタが怪しいステアリングとこの先のコーナーの事を考えて早々にブレーキペダルに足を乗せた。若干スポンジーなタッチかつ、パッドが社外のダスト対策品の為、欧州車らしい脳みそがずれる様な制動Gは味わえないが、しっかり踏み込めば車重1750kgの巨体の運動エネルギーは熱に変換される。



ステアリングの手ごたえを確かめながらコーナーを曲がり、出口に向かってスロットルを踏み込むと、心地よい5気筒サウンドが車内に響く。わざわざ床まできっちり踏めればレッドゾーン手前まできっちり加速するが、ATとのマッチングを考えると早めのシフトアップでも十分楽しめる。

ドドーっと加速して早めの減速、コーナーを曲がりきって次のコーナーへ突き進む。途中、路面の凹凸が大きい箇所があるが、豊かなサスストロークとロングホイールベースなどが相まって普段なら強烈なショックがくるはずの路面をマンホールを踏んだくらいの程度のショックで通過した。

高級車として求められる「一定の速さ」が与えられ、そのパワーを受け止められるシャシーを持っているが、あくまでも「たしなむレベル」に留まる。ステアリングはスローなセッティングだし、サスもクロスカントリーゆえ悪路走破性も満たさなければならず、身のこなしに重さを感じるのも事実。例えば普段は飛ばさないが、必要に迫られ仕方なく速く走らなければならない時、XC70は大きく破綻する事無くワインディングを攻めていける。これは、フードの剛性を使って操安性能向上に寄与するツインフードロックやガッチリしたサスタワーバーなどで鍛えられた基礎体力があるからだろう。




この個体は、オーナー曰くラックのガタの影響で中舵角で維持しようとすると「カクッカクッ」と強めのトルク変動が手に伝わってきて気持ち悪いので、極力一定に操舵し、また一定で戻すような運転をすれば上記の癖を多少回避できた。

山道が楽しい車の場合「もう一本、もう一本」と走りたくなってしまうが、XC70の場合、実力は高くとも一回走れば十分という結果になった。

●まとめ
平日は仕事が忙しく負荷が高い状況であったが、XC70の持つゆったりとした雰囲気と小さいことは気にしない大らかな味わいのある走りに救われた気がする。

お借りしていた一週間でXC70が持つ魅力の一端に触れることが出来た。90年代のステーションワゴンブームの主役はスバルレガシィだったのは誰もが認めるところだが、その向こうには御神体としてのボルボがいた。90年代中期にはトヨタハリアーに端を発するモノコック構造のプレミアムSUVが現れたことで急激にSUVが数を増やす中でXC70は少々急ごしらえで慌てて作った様なイメージもあった。



そんな中であってもXC70はSUV的な遊び心を表現してながらも、きっちりと高級ステーションワゴンとしての実力が感じられた。仕事で疲れた夜に駐車場で私を待っていてくれるXC70。乗り込んで金庫の扉のように重いドアを閉めると、下界から切り離されたXC70の世界が待っている。帰宅する道中、何も考えたくないなという時にXC70は何も考えなくても安楽に自宅に辿り着ける。無論自動運転というわけではなく、自分で運転する。狭い住宅地でなければ許容レベルで運転し易く、ルーズなATがそれなりに走ってくれ、荒れた路面もいなしてくれるので随分と楽をさせてもらった。

休日のお買い物や帰省の際も同乗者にも余計なストレスを与える事無く早く快適に目的地へ連れて行ってくれた。高速道路では、いたずらにE/Gを回す事無くスムースに加速してくれるし、上り坂に入っても少しアクセルを踏み足すだけで十二分に走ってくれた。もちろんその際の荷物も何の制約も無く、全てを飲み込んでくれる包容力にも助けられた。



既に15年前の車と言えども細かい要素は一般的な現行車を凌駕しており、技術的な見所も少なくないのに、全て黒子に徹している。XC70は能ある大柄な鷹なのである。ただし、能ある鷹はそれなりの対価を要求する。

私は一週間で1112.2km走って127Lのハイオクガソリンを給油した。つまりトータルで8.75km/Lという燃費になる。1700kgを越える車重と直列5気筒ターボエンジンの走りを考えれば真っ当な数値だし、何よりもカタログ値の9.0km/Lにほぼ匹敵していてカタログ値に対して嘘が無い立派な結果なのだ。



しかしリッチではない私はXC70の優雅な走りに感動する一方で、心を殺し、白目をむきながらハイオク満タン給油していたのだ。新車で578万円のXC70を手に入れること自体が一般人には簡単ではないが、例え格安でXC70の中古車を手入れたとしてもそれなりの所得が無いとXC70と共に優雅な時間を過ごせない。

それでもXC70に乗ってのんびり高速道路を走らせているとあたかも自分が落ち着きのある大人になったような錯覚がしてきてむずがゆくも少し気分が良いのだ。そして車を降り、重厚なドア閉まり音を聞くと「父さん母さん、僕も立派になったでしょう?」と。SUV全盛な中でもスタイリッシュで室内も広く、動的性能も優れたこんなヴォルヴォに乗るワタクシカコイイ―なんて錯覚を覚える。

私はこの文章を書いている今も車は出来るだけ小さい方が良いと信じているが、そんな私でも「大きい車には大きい車の世界があるんだな」「こういう車を買って刺激・ストレスフリーな生活も良いな」などと私を惑わせてくれたのはXC70の魅力であり実力なのだろう。昨今の新型車がこぞってエモーショナルばかり訴求し、「エモーショナル疲れ」している私にはこんな風に地味でありながら心安らぐプレミアム性にこそ上品さと格の違いを感じた。



新しい世界を見せてくれたN兄さんに感謝。

●追記
カーディガンズのPVでこんなの見つけました。

そう、酷い扱いですが旧型コロナ。
Posted at 2020/03/13 01:19:32 | コメント(1) | トラックバック(0) | 感想文_ボルボ | クルマ
2013年09月22日 イイね!

2013年式ボルボV40SE感想文

●長生きできそうなクルマ

私のみん友かつリア友である「たっくるVS」さんの
初新車であるV40に6時間以上、300km以上という
超ロング試乗をさせていただいた。

以前、ディーラーで試乗したときの感想文はこちら

でもやっぱりじっくり乗って見ないと見えてこないものがあった。

●市街地では―でっかい。でも扱いきれないほどではない―
さて、我が家まで迎えに来てくれたたっくる氏。
DS3と並べて見てすぐ感じるのは「格の違い」だ。
自分が普段乗っているBセグのDS3と比べて
CセグのV40はパッと見て車体が長く低重心だ。




Cセグ-プレミアムのライバルであるゴルフ(いつの間にかプレミアムに)や
Aクラス、1シリーズやCTはどれもハッチバックでありながら
そこそこフードの長さを主張するデザインが多い。
こういう立派な印象というのはBセグでは味わえない豊かさだと言える。
これからはAピラーを前出ししてワンモーションフォルムにするデザインから
Aピラーを後ろに引いて視界と力強さを主張することがCセグのトレンドになると予想される。

乗り込んでエンジンをかける。
パワーシートを調整しフレームレスのインナーミラーを調整する。
インナーミラーがフレームレスでガラス面が見切りになっているところが面白い。
これはガラスの角Rを丸くして二次衝突
(車が衝突して、減速したキャビンに乗員が慣性で衝突する現象)に
関する法規を満足するようにすることで
今までにはない視界の広さと先進感を持たせたものだ。
トヨタ86も採用しているが、こういう40年くらい変わっていない部分が変わると新鮮だ。

習熟のためゆっくりと住宅街を走らせて
車幅ギリギリの路地を90度ターンなどさせてみる
全幅1785mm、最小回転半径5.7m
全幅1800mm、最小回転半径5.2mというスペックから想像するよりも
扱い易いが確かに幅を感じる





ドアミラーから見える光景の少なくない範囲を占める
ふくよかなRrホイールアーチ。
その光景は一度だけ運転したフェアレディZを想起させた。

例えば側面がフラットなノアのようなクルマと比べると
扱いにくいという結論になるが、所詮このようなものは慣れで済まされる範疇である。

カウルが低いので運転席から左フェンダー付近を見ることは
逆にカウルが高くなりがちなBセグよりも有利と言えそう。

こういう道路はV40が本領を発揮するステージではないが、私が乗った感想としては
「買って後悔するほど使い勝手は悪くない」と言える。

●往路の高速道路―T4で十分。特出した出力がスポーティ―
自宅から5分で高速道なので早速V40を高速道路へ連れ出す。
重量がそこそこ(1420kg)あるものの、十分にパンチのある加速が出来るので
合流ではついついアクセルを踏みすぎてしまうくらいだ。
100km/h時のエンジン回転数は2500rpm付近と、業界の標準値。

高速域では透水性舗装の路面を走る限りかなり静粛性が高い。
橋脚の目地も綺麗にクリアしていく姿は優雅だ。

特に自分DS3と比べるとホイールベースが長いことによって安定感が格段に違う。
曲がりたがるDS3とは違い、ステアリングも比較的どっしりとしていて
手を添えているだけで真っ直ぐ車が直進するのは気持ちがいい。
この「真っ直ぐ走りたがる特性」は運転者対して大いにやさしい特性だ。
私は恥ずかしながらこのV40以外のボルボ車を運転したことが無い。
ボルボ試乗もっともスポーティと書かれていながら、私自身は
スポーティネスを感じる以上にラグジュアリー近いという印象を持った。

確かに速い、そしてスタイリングも誰にも似ていない挑発的なものだが、
CT、1、A、ゴルフに乗ったときの印象から比べればV40は、
キビキビ感よりもゆったり感を感じるというのが私の感想だ。
高速クルーザー、これがV40に対する私の感想だ。

●山道試乗―得意ではないがボデーのしっかり感を感じる―
高速を降り、山奥の300番台国道へV40を走らせる。
ワインディング路を走らせると高速クルージング型の
V40のキャラクター
が一層良く感じられた。






比較的道幅が狭いため、コーナーのライン取りの自由度はあまり無い。
高速型のステアリングなのでキビキビ感が特にあるわけではないが、
切ったら切った分だけ曲がり、普通の人の普通の走りなら
硬すぎず柔らかすぎず、絶妙な乗り心地を提供してくれる。

こういう時にグイグイ曲がってくれないとスポーティではないという人が要る。
しかしV40は要請があれば曲がるが、基本的には「真っ直ぐ走りたがる」車なので
180psという高出力エンジンを搭載しているにも関わらずグイグイ行きたいと
あまり感じさせなかったのは意外だった。

ちなみにDS3はクイックなステアリングと
ハイグリップタイヤでグイグイ曲がっていくタイプ。
その分轍でステアリングを取られたりもするが、
DS3と比較すれば確実にV40は曲がりよりも真っ直ぐが得意な車といえる。

CTで似たような道路を走らせたが、ステアリング操作時のアジリティはCTの方が顕著だ。
絶対的なグリップの無いエコタイヤが破綻するまでの領域では
切れ味鋭いカミソリのようにコーナーに切り込んでいったのが印象的だ。
(しかし、電気式CVT特有の加速フィールが残念)

V40の場合は余裕のある加速力でグッと加速し、
コントローラブルなブレーキで減速し、
ステアリングをグッと切れば相当ハイレベルなペースで
ワインディングをクリアする実力を備えている。
「真っ直ぐ走りたがる」を強調しているが、曲がらないわけではない。
切ったら切ったなりに曲がろうとしてくれる。
さすがに、最大限ロールさせてコーナリングさせているときに段差を超えると、
ドシンと言う衝撃がキャビン進入することを許してしまうが、
進路が乱れるようなことにはならない。
ただ、曲がりたがる性格ではないため、
グイグイ曲がらせて楽しむ車ではないことは事実だ。
飛ばさない普通の人がちょっと速めのペースで
気持ちよく走らせる程度なら全然問題にならない。

V40はT4エンジン車は6段DCTを採用しているが、
Dレンジのままだと若干ビジーシフト気味になるシーンがあった。
そのような時はSレンジに入れておけば問題が無い。
同じルートをゴルフ6で走行したことがある。
この時はゴルフはこっちの意思を先読みしたかのような変速を見せて驚かせてくれたが、
V40の場合はちょっとそこには及ばない印象だ。マニュアルシフトを試みると、
レバーの位置が私のドラポジでは手前過ぎてカチッと決まらないなど、
ちょっとスポーツドライビングに不向きな部分も見られたが、このあたりは慣れが解決するはずだ。
このクラスだと、パドルシフトがAやCTでないと装着されず、
ゴルフや1(116には着かない)では選べないため、V40も水準内に位置している。

●夕暮れ時の市街地―ここが主戦場―
いくつものヘアピンカーブを抜けて山を下り、地方の一般道路、
地方都市の市街地走行を行った。




少々狭い道路も意外と幅寄せしやすいのは、
ウォッシャーノズルが3つあり、
このセンターが目印となることで車両感覚の助けになっている
からだ。
Aピラーを引いてフードの存在感を出すデザインは
こういうところで運転のしやすさにつながっている。

夕暮れ時、この時間帯は交通事故が多い。それは交通量も多く、
家路に急ぐ車がすこしあせっているからだろう。更に視界も悪く、
一日の活動の結果、疲労も蓄積している。

文字にして書くとこのように恐ろしいシチュエーションを
私たちは何気なく走行しているのだと気づく。

いつもより、リスクが大きいシチュエーションこそがV40が輝くステージと言える。

セーフティパックがオプションで装備されたV40は赤外線レーザーとカメラで絶えず
前方を見ている。先行者が急制動をかけて車間距離が縮まれば赤いランプが
ウインドウシールドに映りこみ運転者に警告を促す。
更に車間が詰まると赤いランプの幅が広がり、面積でリスクが増大したことを示してくれる。
ちなみに、更に車間をつめると警告音が鳴り、
自動ブレーキがかかるらしい。(さすがにそこまで試せない)

また、レーダーによる追従機能を使えば、先行車と一定の車間距離をとって走ってくれるが、
注意すべきは、カーブ路などで先行者が離脱したと誤判定してしまう状態では
カーブの手前で急加速してしまうという、この手のシステムに共通する弱点なので注意が必要だ。

極端な山道で無い限りは全速度で追従するので
発進から停止までのアクセル、ブレーキ操作は車にお任せでOK。
こういう装備品は近年、低価格化が進み装着される車が増えてきた。
日本を走るドライバーのほぼ全員が
「自分が交通事故の加害者になるかもしれない」というリスクを抱えて運転している。
このなかで、リスクを低減してくれる装備は個人的に惹かれるものがある。
暴力的な加速とか死の香りに魅せられる動きと
全く逆のベクトルだが、こちらも相当魅力的だ。
周囲で車を買う人でATしか乗るつもりが無い人にはこういうレーダーブレーキを薦めている。

たっくる氏と私は、地方都市ローカルのハンバーグを堪能して帰路につくこととする。




●夜の高速道路ツーリング―秀逸な装備、お茶目な装備―
帰りは100%高速道路で帰宅することにする。
アダプティブクルーズクルーズコントロール(ACC)を100km/hに設定して走らせると、
それはもう安全に周囲との車間を確保しつつ走り続けてくれる。

交通量が多いとき、走行車線は80~90km/hで流れていることが多い。
こんなとき、従来のクルーズコントロールではこまめに減速、復帰の操作が必要だが、
V40のACCは操作は不要。

ハンドル操作に専念するだけで良くなる。
更に、V40にはレーンディパーチャーアシスト(LDA)が装着されている。

これは、車両が道路の白線を認識し、そこからはみ出しそうになると、
警告を出し、さらにステアリングに振動とトルクを与えてドライバーに
注意を促すものだ。

65km/h以上で作動するため高速道路での使用がメインとなるが、
私自身、長距離高速走行ではふとした瞬間に白線を踏んでしまうことがある。
今回のドライブでは二回ほどシステムのお世話になってしまった。
もちろん、散漫運転をしたつもりは無い。しかし人間は間違いを犯す生き物だ。
だからこそ、テクノロジーによるアシストは本当にありがたいものだ。
EPSだからこそ実現できる装備といえる。

まだ、レーンチェンジ・マージ・エイド(LCMA)という装備も「使える装備」だ。
これは車両側面に設置されたレーダーが並行する車線を走行する車両の有無を判別し、
車両があるときはAピラー根元の三角パッチの警告灯が点灯し、
さらに方向指示器を使用したときには音で警告を与えるものだ。

この装備は特に北米のように車線の幅が広い高速道路で必要なものと伝え聞くが、
日本の高速道路、バイパスでも有効性を実感した。

さらに、アクティブ・ハイビーム(AHB)を活用した。
これは現行型のカローラアクシオにも装備されているが、
対向車や先行車が居ない時は自動的にハイビームで走行し、
対向車や先行車が現れたときのみロービームに切り替えるものだ。
帰りの高速道路は交通量が少なく、AHBを活用する機会に恵まれた。

一般的に私たちは夜間、ロービームに入れっぱなしで走行しているのだが、
道路交通法的には対向車がいなかったり、先行車が居ない時はハイビームが原則。
夜間、交通量が少ない道路を走るときは
ハイビームを基本として走らなければならないが、切り替えは面倒。

なかなか器用にハイ/ローを切り替えるが、その動作は頻繁であった。
また、対象でないものを検知してロービームに切り替えてしまうお茶目な一面があった。
私は「Vちゃん、頑張れ」と言いながらAHBを応援してしまった。
トヨタのアダプティブ・ハイビーム・システムの様にハイビームながら、
邪魔板を自動で動かして対向車や先行車を
眩惑しない装備の方が進んでいるが、まだ少数派の装備だ。

帰りは少し遠回りをさせてもらい、
アップダウンのきつい高速道路や長い直線のトンネルで
超高速域の試乗もさせてもらった。
ライバルに対して余裕のある高出力エンジンの存在は本当に頼もしく、
下品に車間距離をつめてくる高級ミニバンなどはその気になれば一瞬で
フレームレスのインナーミラーから消し去る実力を秘めている。

●ハイパフォーマンスの割りに低燃費
300km以上走破して給油した。
燃費はオールA/Cオン状態でリッター14.1km/L。
カタログ値は16.2km/Lであるから、達成率87%と優秀な数値だ。




VWグループは数年以内にNAエンジンを全廃し、
過給ダウンサイジングエンジンのみにする戦略を発表した。
パイオニアとはいえ思い切った発表だが、
フルラインターボのMMCを思い出したのは私だけだろうか?
(VWの発表はNA全廃だからフルラインターボ以上に過激)

この過給エンジンは確かに同程度の出力のNAエンジンよりも
燃費は良いが、カタログ値と実測値の乖離が大きいと
ユーザーらから訴訟沙汰になってしまったメーカーもある。

2.5Lクラスのエンジンを積む国産モデルと比較すると、

日産ティアナ(VQ25DE 185ps/232Nm)が11.4km/L、
トヨタマークX(4GR-FSE 203ps/243Nm)が11.8km/L。
4気筒エンジンで比較すると、
トヨタマークX Zio(2AZ-FE 163ps/222Nm)が12.4km/L、
スバルレガシィB4(FB25 173ps/235Nm)が14.4km/L、
マツダアテンザセダン(PY-VPR 188ps/250Nm)が15.6km/Lというレベル。

国産エンジンはレギュラー使用可と言うアドバンテージがあるが、V40の優位性が分かる。


●Cプレミアムセグメントで独自の存在感を放つ存在
6時間以上、300km以上に亘ってたっくる氏のV40 SEを堪能させてもらった。

V40はとにかく運転支援に注力した真の「ドライバーズカー」である。
ドライバーズカーと言えば運転者の思うままのハンドリングとか
高速性能とかスポーツ性能を謳うことが多かった。

V40は動力性能は水準より高いが、ブレーキがめっぽう良く利くとか、
コーナリングがすごいと言う印象は無く、平均的といえる。
しかしながら、運転支援技術がライバルを凌駕している。

こういう運転支援技術が世に出るたびに「過剰であり必要ない」
「ドライバーの質が下がる」などという声が聞かれる。
昔読んだ本によると、確かに人間にはリスク補償行動といって、
技術によってリスクが減れば更にリスクを高める方向に行動しがちになる特性がある。
だからといって、明日からエアバッグを廃止し、衝突を感知するとステアリングから
ナイフが飛び出てくる車を作れといっているわけではない。
リスクをとる人も居る一方で、安全をとる人も確実に居る。
技術の発達はトータルで安全性を引き上げる効果があるという。

この意味ではV40の運転支援技術は肯定されるべきだし、
車が本来持っている自由自在に操れる楽しさが
微塵もスポイルされていないことは私自身が保証できる。

タイトルは長生きしそうな車としたが、運転支援のおかげで
事故に遭うリスクも低減でき、高速安定性も高いので
カリカリすることなくリラックスして人生を過ごせそうな印象を受けたからだ。

スポーティな成分が足りないという人もいるだろう。
しかし、最新のV40は価格の安い標準車に上級グレードのSE、
そしてCUVのクロスカントリー、尖ったスポーツグレードのRデザインがある。
この中でのSEだからこれ以上のスポーツ性が必要ならRデザインを選べばよいのだ。

走りの1シリーズ、ショールームアピールのAクラス、燃費のCT、
質実剛健な走りのゴルフ、と並ぶ中でV40は独自性のあるデザインと
パワフルなエンジン、比類なき安全性能が特徴で
カタログや短時間の試乗では分からない部分を確かめた結果、
V40も魅力がかなり高いことが確認できた。

ボルボも欧州メークとあって彼の地では市場縮小で苦労している。
こうした中で、個性的な車を送り出している姿はうらやましく思う。

買ったばかりの新車をこれほどまでに堪能させてくれたたっくる氏には感謝したい。
今度はDS3で思いっきり走ってみて欲しい。
Posted at 2013/09/22 15:24:48 | コメント(4) | トラックバック(0) | 感想文_ボルボ | クルマ
2013年02月24日 イイね!

2013年式ボルボV40感想文

2013年式ボルボV40感想文


VOLVO V40
「安全性能が個性」
●欧州メークのコンパクトCセグメントが押し寄せてくる
欧州の新車販売状況は90年代初頭に調査が始まって以来、
1月としては最低の成績となっているらしい。
そもそも、不況のせいで民衆の消費意欲が低いなか、
欧州の政府が実施したスクラップインセンティブで
一時の台数は増えたものの需要を先食いしてしまっていて、
しかも、欧州は自動車メーカーが多く競争も激しい。
(あのアメリカ合衆国ですら3メーカーあれば十分?なのだから)

工場を削減したいのは山々だが、
たくさんの雇用を喪失してしまうわけだから
簡単に工場を閉鎖することは困難を極めるだろう。

そうなると、彼らは欧州以外で車をたくさん販売するために知恵を絞る必要がある。
台数が出るであろう中国をはじめとする新興国も当然重要だが、
日本でも販売を伸ばしたい。

今回ボルボが日本で販売を開始したV40は、
そもそも三菱自動車と合弁で車両生産をしていたネッドカーで生産されていた
S40/V40のネーミングを復活させたものである。
(ちなみに三菱カリスマとプラットフォームが共通)

今回の復活にあたり、欧州の本流たるCセグメントのHB車として生まれ変わり
欧州では2012年にデビューを果たしている。
(ちなみに今度はフォードフォーカスやアクセラとプラットフォームが共通らしい)

日本ではゴルフが良く売れており、
実はトヨタが世界戦略車と位置づけて開発したオーリスよりも販売台数が多い。
現在のわが国ではメインで売れているのがBセグメントのHBである。
車幅が1700mmを超えてしまう欧州調CセグメントのHBは
まだまだ日本メーカーの車が不得意な分野と考えられる。


一方で、マーケットは完全に二極化してしまって
ひたすら車両価格が安くて燃費がいいエコカーと
こだわりを持った人が買うプレミアムカーと二分化してしまった。

こうなると、もともと割高だが、こだわり層への
アピールが強い輸入車は有利に仕事が進むわけで、
ベンツAクラスも戦略的な価格を引っさげて日本での販売を開始している最中だ。

V40は世界初の歩行者エアバッグや50km/hまでなら追突しないシティセーフティの
装備など安全装備の充実度合いの高さを売りに市場に参入してきた。




●北欧のモダンなハッチバック
ショールームに案内されて実車と初めて対面した。

なかなか凝縮感があってかっこいいデザインだと思う。
ショルダーが張っている部分などがボルボらしく感じるが、
私のようなおっさんがボルボに抱くような水平貴重のプロポーションではなく
躍動感のあるウエッジシェイプのプロポーションは
確かにスポーティで若い人をひきつけそうだ。

ちょっとまえのC30はパーソナルカーとしては
もっとスポーティでもおかしくなかったのに、
かなりすっきりした意匠となっていたのとは対照的だと感じた。




グリルを見ると見慣れない樹脂カバーが目立つ。
これはシティセーフティという「ぶつからない技術」のためのレーダーなのだという。
日本の自動車メーカーの技術者が見たら
「あんなところにつけたら目立ってしまい、見栄えが悪くてエラいさんに怒られる」
と卒倒してしまうだろう。

ゴルフは完成度が高いけど、みんなが乗っている・・・。
Aクラスや1シリーズはちょっとギラギラしているしな・・・。
ジュリエッタほどエロエロなのはちょっと・・・・。
という痒いところに手が届くキャラクターだと思った。

●あのお泊りを期待したのにバスタブで寝かされるやつでしょ?

それはノルウェー。(分かる人だけ分かってください。)




こういうのを雑誌ではハイセンスなスカンジナビアンデザインと
書くのだろうが、ディスプレイとレジスターのあたりがちょっとごちゃごちゃしすぎている。
センタークラスターがすっきりしているのにセーフティパッドのボリューム感がありすぎて
素人が感じる北欧的な清涼感には一歩届かなかった印象。

4つのダイヤルとセンターのボタン群はちょっとHMI的には疑問が残る。

ちょっとオッと思ったのはリア席の座り心地。
ベルトラインが後ろの行くに従い上がる関係で
決して広々感をアピールするつもりがなさそうなくせにきっちり座れる。
特に太ももがあたる部分の角度が適切でこれは疲労が少なそう。
ヘッドレストの位置も非常に適切で気持ちいい。
つくづく真面目だなぁと思う。

また、シフトレバーは斬新な照明がインテグレートされていた。
V40は室内の照明色が切り替えられるようになっており、
シフトレバーもそれに追従して切り替わるらしい。

シフトパターンが刻まれたシフトノブ自体が発光すれば、
法規上必要なシフトパターン表示機構とその照明が廃止でき、
センターコンソールもATとMTを分ける必要がなく、
部品種類数削減にも一役買っている。
しかしながら、残念なことにボルボの担当者はこれに気をよくしてしまい、
サイドブレーキを右ハンドル用に移動させることを忘れてしまったようだ。
左ハンドル用の位置のままの為、
操作にはセンターコンソールを越えて手を伸ばす必要がある。

電子式のPKBにすればよかったのに・・・。

V40はボルボ初のTFT液晶製スピードメーターが採用されている。
まさしくレクサスのLFAそっくりなデザインで驚いた。
カリブのテールライトも引用された実績があり、
ボルボはトヨタデザインの良き理解者なのかもしれない。





V40のスピードメーターは針も文字盤もすべてTFT液晶が映し出す画像である。
ECO、ノーマル、パフォーマンスの3種類のインターフェースを楽しむことが出来るが、
他社の様な本格的なドライブモードセレクトという訳ではない。

内装全体としては標準グレードはブラックの布シートが標準。
上級グレードは部分本革のシートが標準でオプションで本革が選べる。
さすがに北欧の車らしく上級グレードには布シートであっても
シートヒーターが標準で備わる。

ちょっと変わっているなと思える点がある。
上級グレードにおいて内装色を白か黒か、或いは白ベースの黒、
黒ベースの白など色々と選べるシステムがあるのだが、
ルーフヘッドライニングが白一色しかなく、センターピラーガーニッシュも
上下で分割の構成になっているにも関わらず上下で同じ色しか選べない。

一般的な車種の場合はベルトラインでピラーガーニッシュを見切っていて
ベルトライン下はドアトリムと同系色、
ベルトライン上はルーフヘッドライニングと同系色にすることが多い。
V40の場合はピラーガーニッシュが黒くなる仕様を選ぶと、
黒い柱が白い天井に刺さった不思議な見栄えになってしまう。
デザインの意図なのかもしれないが、誤組付けと疑われるかも。

V40のインテリアは他社と比べると独自性の強さが垣間見られる。
好きな人にはたまらないと映るかもしれない。

●誰も見ないような細かい部分もチェックしてみた。

ドアを開けてみると、その準外板面が非常に美しかった。
外から見てすっきりした印象にするには
非常に手間のかかることをしている可能性が高い。
たとえば、ドアのシール性能やヒンジ配置を工夫しなければ、
或いはドアカーテシランプのスイッチを廃止するなどの
コストをかけなければすっきりとした見栄えにはならない。
V40の場合はドアヒンジに高級な型鋼ヒンジが採用されていた。

一般的な車のヒンジはプレスヒンジというものが使われているが、
V40は高級車などに採用が多い削りだしの型鋼ヒンジが使われている。
この方が小さな面積で取り付けができ、見栄えにも
デザイン成立性にもうれしいし、剛性も上がり性能も高くなる。

一方、ルーフを見てみると、レーザー溶接を使って
サイドストラクチャとルーフを接合している事が分かるが、
その合わせ目は外から見たところ、
ヘラ仕上げでシーラーを打っているだけのようにしかも見えない。
ドイツ車のように合わせをロウ付けして美しくに仕上げて
継ぎ目のないボデーをアピールしているわけではなく、
多くモヒカン構造をとるモデルのようにモヒカンモールをつけて
段差を目立たないようにするわけでもない。
こんな構造をしているのは商用車の日産キャラバンと
新興国向けのトヨタエティオスくらいのものだ。

この二車はいずれもスポット溶接でサイドストラクチャとルーフを接合しているために
打点スペース(凹形状)が幅広く、見栄えは意識していないが、
V40はレーザー溶接を採用することでその幅を最小限に縮めている。
この構造はモヒカンモールを廃止できるし、ロウ付けで神経を使う作業もない。
コストという面では有利に作用するだろう。
見栄えに関しては幅を狭くすることで影響なしと考えたと思われる。
この構造はショールームに展示されていたS60も採用しており、
これがボルボのやり方なのだろう。
この見栄えが気になる場合はオプションのパノラマルーフを選択すれば、
ガラスルーフが端までカバーするため問題にならないことが確認できている。

Cセグメントではいくらでもお金をかけて良い訳ではなく、
どこかをアピールするためにはどこかを切り捨てなければならない。
もちろん、性能が切り捨てられることは原則としてあってはならないが。

●乗ると分かるライバルとの違い
試乗させていただいた。
試乗したのは上級グレードのT4 SE。
パワーシートを調整してスタートスイッチを押す。

走り出してすぐに感じるのはエンジンのパワフルさだ。
1.6Lの直噴ターボという欧州車のど真ん中ともいえるエンジンだが、
ライバルと比較して明確に力強さを感じる。

メルセデスのAクラスやBクラスと比較すれば明らかに優れている。
出力が180psということもあるが、その実力は2.4L級といったところか。
カタログ燃費は逆にメルセデスのエンジンを上回っており、魅力度が高い。



試乗コースの関係でそれほどスポーティな走りは出来なかったが、
6速DCTはスムースで特に不満を感じることはない。
スポーティなパワートレーンが奢られている割にはパドルシフトが付かない。
BMW1シリーズに続いて惜しいところだ。

走行中、ウォッシャーノズルが運転席から見えることに気づいた。
近年、見栄えのためにウォッシャーノズルをフードとカウルルーバーの
空間に隠す処理が多く見受けられるがV40の場合、
潔くフード上にカラードのノズルが鎮座している。
わざわざボデーカラーに塗装しているわけだからお金もかけているのだが、
恐らく世界初の歩行者エアバッグのためにそうせざるを得なかったのだろう。

よく見たらノズルは3つも付いている。
走行中思いっきりワイパーを良く使う私には非常に魅力的に感じた。
なぜなら視界の確保はもっとも重要な安全に対する行動だからだ。
また、走行中の目印にもちょうど良かった。

そしてV40が最もアピールしたい装備であるセーフティパッケージを体感した。

1.追従機能つきクルコン
2.ヒューマンセーフティ
3.ドライバーへの注意力低下警報
4.レーンキーピングエイド(斜線逸脱警報+修正)
5.アクティブハイビーム
6.ブラインドスポットモニター
7.道路標識認識装置
8.BSM(車線変更時に後方に居る車を検知する)
9.クロストラフィックアラート


という9つの秘密道具がセットになっている。

今考えうるほとんどの安全装備がセットになっていると考えてよい。
2のヒューマンセーフティというのはミリ波レーダーとカメラを併用して
前方の警戒に当たり、緊急時にブレーキをかけてくれる。
この手の装置が弱点とする歩行者も10人までなら検知してくれるのが驚異的。

別オプションの歩行者エアバッグとセットでわが国の交通死亡者数の36%を占める
歩行者保護へのアクションは日本メーカーも見習うべきところがある。

走行中、クルコンを設定すると前車に追従して加減速に追従する。
また、信号で停止すると一緒に停止してくれる。
このとき他社と異なるのはデバイスによって停止した後で
そのまま停止状態を維持できる
点である。

他社製品は停止するとシステムが解除されてクリープで前に進んでしまう。
考え方によっては判断が分かれるだろうが、これが他社との違いである。
また、信号が青になった際はステアリングの復帰ボタンで
再度システムを利用することができて扱いやすい。
さすがにパイオニアだけあって制御中のフィーリングは自然である。

2020年までに新しいボルボ車において
交通事故での死者と重傷者を0にするという
ビジョン2020を掲げるボルボの本気度が伝わってきた。
カーテンエアバッグを前車標準にすると高らかに宣言した後で
こっそりと撤回してその理由をユーザーのせいにしてるメーカー
と対照的だ。

もちろん、こんな素晴らしい装備もドライバー自身が今までどおり
注意深く運転していれば必要の無い装備だろう。
しかしながら、人間なら一度位は運転でひやりとした経験があることと思う。
そこをケアしたいというのは人間なら誰でも魅力的に映るはずなのだ。

20万円という安くはないオプション価格だが、
安全な車に乗りたいという顧客の要望には最大限応え得る内容だと感じる。
個人的にはUP!やムーヴのように自動ブレーキのみでも十分な内容だと思うが、
V40のやりきった感のある全力投球っぷりも見ていて清清しい。

●なぜナビがないのだ
これまで燃費のCT200h、走りの1シリーズ、商品性のAクラス、
と勝手にレッテルを貼ってきたがそこに「安全のV40」が参入してきた。
後出しということもあり、商品的には弱点もそれほどなく
ブランド力の無さも「知る人ぞ知るハイセンスな北欧ブランド」
と解釈すればプラスに変えられるはずだ。

カタログとにらめっこして買うべきグレードを探すことにした。
最も安くV40を買うには標準グレードのV40(269万円)に
フロアマットすら付け無い場合287万円と出た。

269万円という車両本体価格はDS3のスポーツシックと同じ価格である。

ゴルフコンフォートライン(279万円)よりも10万円も安い。
これは狙ってつけられた価格なのだろうが、非常に戦略的だ。
VWも次期ゴルフの価格設定は非常に悩ましく感じることだろう。
ブランド価値を考えると割高につけられるはずだが、
上位ブランドだと思っていた他社製品が明らかに値下げしているからだ。
V40の269万円からという価格は本当に安い。Aクラスの284万円も驚いたが、
ボルボはさらに価格競争力がある。

この標準グレード、16インチアルミホイールが標準で選べ、
ステアリングも本革が標準。8スピーカーのオーディオも標準で
シティセーフティ(自動ブレーキ)も標準装備されている。
V40の魅力である安全装備を追加したとしても
セーフティパッケージ(20万円)+歩行者エアバッグ(6万円)で
295万円という価格になる。
(現在、セーフティパッケージは発売特典でただなので実質275万円だ)

カーナビは20万円だと雑誌で読んだので本体価格315万円、
ライバルのプレミアムブランドよりも遥かに安い価格で
パワフルな走りと先進の安全デバイスが手に入るじゃないか!

・・・と鼻息が荒くなったのだが、残念ながらそうでは無い。

T4にはカーナビがつけられない設定になっている。
本国ではつけられる設定になっているらしいが、日本向けT4には
どうしてもカーナビがつけられず、
モニターはあるくせにもう一個ポータブルナビが必要だというのだ。
なんじゃそら・・・

カーナビは軟弱ものが見るものだ!という男気のある方も居られるだろう。
だが、現代の乗用車にとってカーナビはあって当たり前の必需品になりつつある。
しかもせっかく液晶ディスプレイが標準装備されているにも関わらず、
ナビが付いていないというのは先代アクシオのイケてないバックモニターを想起させる。

しかし、この不可解な設定はインポーターの戦略のようだ。
上級のT4 SEには20万円でカーナビの設定があり、
インポーターはこれを売りたいがために
敢えて標準グレードのナビ外しを行ったというわけだ。

ちなみにT4 SEの本体価格は309万円で標準グレードの40万円高。
この価格は1シリーズと並ぶレベルだ。
T4からT4 SEになることで追加される装備は

・キセノンヘッドライト(CTベースで10万円)
・パワーシート+シートヒーター(マークX推定で7.5万円)
・部分本革シート(オーリスベースで12万円)
・クルコン
・パークアシスト(3万円)
・スカッフプレート
・リアアームレスト+リアカップホルダー
・17吋アルミホイール(CTベースで3.6万円)


想定価格36.1万円を差し引いても残りの装備で
3.9万円というのはどうにも割高だと感じられる。
これは実質的に「カーナビをオプション設定できる権利代」と考えていいだろう。

他社の上級グレードはもう少しサービスしてくれているようにも思えるがV40はどうだろう。
269万円でターゲットの目を引いて
上級グレードに目移りさせる作戦を使うにしてももう少し上手なやり方があるはずだと思う。

ちなみに、V40のT4 SEにカーナビ(20万円)、セーフティパック(20万円)、
歩行者エアバッグ(6万円)で335万円となる。(実際はキャンペーンで315万円)

この仕様で支払い総額はざっくり353万円。
269万円~というスタート価格から考えると支払い総額はずいぶんな開きがある。

恐らく、発売後しばらくたつとテコ入れのために
カーナビが選べるように仕様変更が入ると予想する。

標準グレードにカーナビとセーフティパック、歩行者エアバッグがついて295万円、
初回輸入分でセーフティパック20万円分をサービスする余力があるのなら
キセノンとオプションの別デザインアルミホイールで17インチにインチアップして
300万ポッキリなんてやればみんな確実にこちらを選ぶと思われる。

それをやっちゃうと利益が出なくなるというのは理解できるが、
V40の持つ走りの力強さと安全装備の充実度と比べると
仕様設定の稚拙さがどうしても気になってしまう。

もちろんセーフティパックや歩行者エアバッグを諦めれば価格は26万円安くなる。
しかし、V40の魅力の多くを占めるこの安全デバイスをつけないのであれば
V40をわざわざ選ぶ理由は希薄になるのではないかと考える。


今後の動向に注目したい。
Posted at 2013/02/24 23:04:13 | コメント(4) | トラックバック(1) | 感想文_ボルボ | 日記

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「これって、、、、(ペロッ) ウォッシャー液だ。漏れとるやないか!定番らしいですね。会社の他のデミオXDマニュアルユーザーも2年前くらいに交換してました。」
何シテル?   08/09 11:32
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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