• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ノイマイヤーのブログ一覧

2023年12月11日 イイね!

2022年式アリアB6感想文

2022年式アリアB6感想文●量産BEVのパイオニアが放つ世界戦略車第二弾
世界で初めてのBEV量産車の栄光を日産がリーフで勝ち取ったのが2010年の事だ。リーフの他に三菱i_MiEVも発売されてにわかにBEV普及の空気感が出た。世界的に原油価格も高くなり、1バレル100$を超えるなど、エネルギー価格の高騰がリーフに対して追い風になると思われていたが、実際は2016年頃までに40ドル/バレル辺りまで落ち込むことでICE(内燃機関)車の息の根は止まらず、電動車はトヨタホンダを中心とするHEVが中心的な役割を果たしていた。



BEV目線だと、2015年のディーゼルゲートでEVに光が射したかに思えた2017年。日産は2代目リーフを発売し、航続距離の延長が行われたものの、ボディ系に投資されずビッグマイナーチェンジレベルの変更しか加えられなかった。

以後の6年ほどで目新しく勢いのあるテスラや中国の国策によって手厚く保護されて急成長し、競争力を持ったBEV群、自らの不正によってEVシフトを余儀なくされた欧州勢のブランド力を使った新型車攻勢にシェアを奪われてしまっていた。

日産はリーフだけでは戦えないと判断し、2019年の東京モーターショーに2台の市販車に繋がるコンセプトカーを出品。日本で普及の可能性が高いBEVコミューター+αの「サクラ」と2020年代のトレンドに沿った上質なSUV「アリア」の2台である。

世界的なトレンドを意識すれば、クロスオーバーSUV事は当然の事である。アリアはBEVが航続距離の問題を解決するためにバッテリ容量を増やすことにしたので、大型の車体とコスト転嫁を考えて更に高価格帯の高級SUVとしているが、世界の競合メーカーを考えても高価格帯のラインナップが充実している。

ボディサイズは下記の通り。



VW ID4とよく似た諸元で「大きい電池積みたい」「側突から電池守りたい」「どうしたって電池のせいでフロアが高くなるからSUVルックでバランス取りたい」という思惑が伝わってくるが、現在の世界中のBEVは、ガソリン車とのバリエーション違いでない場合はこういう諸元に収斂(しゅうれん)してくるのは面白い。

デザインは最近の日産のトレンドの中でも一層モダンでスタイリッシュになった。特に内装はスッキリした横一文字インパネや広々とした左右連続フロアなど見た目に従来の車と異なる価値が分かる様になっている。デザイン重視の弊害もあるが、ショールームアピールは抜群であろう。

着座するとやはり大きなバッテリーを床下に積むBEVらしく高床式である。ペダルポジション付近は寸法が確保され、以降スロープ上に駆け上がり、Rrシート足元付近ではバッテリーの存在を感じずには居られないほどフロアが高い。確かにセンタートンネルがないのでフラットなフロアだが、その売り文句に騙されてはいけない。

この点、各車考え方がバラバラで、初代リーフの時は電池が分厚いことは仕方ないので、一部をへこませつつ絶対的には高床とし、ヒップポイントは通常の2BOXカー相当なのに踵から着座点までの段差が不適切なほど小さかった。

近年の新型車を見ているとBEVシフトを睨んで予めフロアを高くしている車も散見される。ICEもラインナップされているのにBEV優先で最善では無い着座姿勢に統一されるのは残念だ。

さて、アリアのように航続距離も確保したいBEV専用車としてはあくまでも電池優先で線を引きたいところだ。その意味でアリアのクロスオーバーSUVというエクステリアデザインはBEVの弱点をカバーするには向いている。腰高でも「当たり前」だと思って貰えるのは大きい。

写真は日産ギャラリーの写真集から入手した。




アウトランダーと較べるとロッカー正面からフロア正面の段差が小さいことが分かる。乗降性だけなら、足さばきに有利で低い方が良いのだが、着座姿勢の不利さはこの写真からも分かる。後席に座って見ると太腿裏がシート座面から離れて浮き上がるので、大人を乗せた長距離ツーリングだと疲労しやすいだろう。ID4だと、シート座面角度が立っているのでもっと踵から着差点の段差が小さく、だらんと座らせる割に着座姿勢が乱れないのが抜かりない。更にbZ4Xは類似したパッケージングだがシートはアリアのように角度が寝ており太腿裏が浮く。この様にBEVとしての横並びの中に入るがICE含めたあらゆる車との比較をすると決してアリアは全方位で優れた乗用車では無い。

かつてはしご形フレームにボディを架装して成立していた乗用車が、ペリメータフレームなどを採用して低床化に努めてきた。モノコック化、その後のFF化によってこれらの模索は決着がついたようであるが、再びBEVシフトによって自動車の基本的な課題が再登場するというのは、歴史は繰り返すとでも言えば良いのか。駆動用バッテリーの薄型化の為の研究開発は自動車の各機器レイアウトのためには重要である。

走らせると、BEV高級SUVらしく速くて静かな運転体験が可能だ。ハイテク感のある内装から見る景色が加速によってスーッと流れていくのは中々快感である。

操縦性や乗り心地に特筆すべき点は無いがこの加速と静粛性があればディーラーで試乗したお客さんは1ブロック走っただけで「これはすごい、感動した」となるだろう。最近は試乗して買う人も随分減ったそうだが、納車後も所用でお客さんを乗せれば「この車スゴイですね」とお世辞抜きにほめられて鼻高々かも知れない。

商品力は高いと私は思っているが、問題はアリアが「買えない」と言うことである。現在ラインナップされてるのはB6という航続距離が短い方のFFのみである。



挙げ句の果てにB6のFFですら受注停止に追い込まれている。

サプライチェーンの脆弱性は日産に限ったことでは無いが、かつてケイレツを解体してグローバルサプライヤーから大量一括取引をすることでコスト削減を図った手法によって海外のトラブルや外交上の問題などが日本での自動車生産に影響を及ぼすようになっている。

価格はリーフ60kW仕様と近接している。プレミアム感あふれる内外装と天秤にかければ個人的にはアリアを選びたい。

ID4とは価格帯が被っているが、装備が見合う上級を選ぶと648.8万円と高額になる。bZ4Xは最近になって一般向け販売を開始した。こちら大きな駆動用バッテリを積み航続距離も567km(先日追加されたFF_Gグレード)を誇り、は3-4ヶ月で納車可能とされている。しかし550万円スタートという価格はアリアより高く、乗ってみると走り出した瞬間から騒がしく。パッケージングも甘く、更に内装もコストは掛かっていない。つまりバリューフォーマネーでは明らかにアリアの方が良いので競合性がない。普通に買える車だったら国内の販売や利益に対してかなり貢献しそうな車であった。(既に過去形)

●まとめ

日産がリーフの経験を活かして開発したアリアはBEVに求められる要素を備えながら、高級車らしい内外装も与えることでリーフと較べて価格は高いが手を出しやすい商品だった。

しつこいが、BEVで欲しい走りの質感はクリアしているので、日産ファンでこの価格帯の車が買える人なら候補に加えて頂いても良いかなと思える。



BEV故のフロアの高さは競合横並び上許したとしても、自動車として守りたいドラポジや加速時のマナーはもう少し改善を望みたい。問題はそれ以上に受注を停止しており販売拡大が見込めないことだ。発表から3年後の2022年に販売開始した時点で鮮度が落ちている。そこに納期1年以上となると待っているのが馬鹿らしくなる人も居るのでは無いか。
Posted at 2023/12/11 16:11:59 | コメント(5) | クルマレビュー

プロフィール

「クアドリフォリオと言う言葉に二度見。」
何シテル?   06/22 12:02
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2023/12 >>

     12
3456789
10 111213 14 1516
17181920212223
24252627 282930
31      

リンク・クリップ

合衆国のVW文化、その4 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/30 17:44:50
ゴールデンスランバー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/26 09:45:46
ぶらり・・・ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/25 20:59:03

愛車一覧

トヨタ カローラ トヨタ カローラ
1989年式(マイナーチェンジ直前) カローラGT。 ヤフオクで発見し、 不人気車ゆえに ...
トヨタ RAV4 L トヨタ RAV4 L
1996年式 標準グレード。 私が小学生だった1994年、RAV4が颯爽と登場した。私 ...
トヨタ プログレ トヨタ プログレ
2000年式 NC250。 長年、趣味の先輩達と車談義を重ねる中で定期的に「プログレは ...
シトロエン DS3 シトロエン DS3
2011年式 スポーツシック・エディションノアールII。 ラテン系ホットハッチ(プレミア ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation