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ノイマイヤーのブログ一覧

2014年06月30日 イイね!

秋ヶ瀬 水溜祭

6/29の秋ヶ瀬に行って参りました。

前日の28日。
白変家にお子様が産まれたということで
病院に行って赤ちゃんを抱っこさせてもらってきました。

駐車場に着いたらサニカリさんが
B15サニーの隣に駐車してありました。
やることはみんな一緒。

写真撮ってやろ!とカメラを向けたら
デジカメの調子が悪く、こんな写真になってしまいました。




貞子が出てきそうな・・・・・・。
叩きまくったら直りました。さすがNASAも認める修理法。

夕方、白変と長男たみお君と一緒に温泉へ。
その後11時過ぎに出発。
既に雨がサッと降った後で嫌な予感。

時間はあるので、今回は下道メインで行くことにしました。
ラジオ深夜便を聞きながら深夜の国道を走ると気分が乗ってきます。
R23がR1とつながり非常に便利になりました。
ペースメーカーのトラックの後ろを着いて気持ちよく巡航し、
4時間ほどでR246裾野へたどり着きました。

中井PAで2時間睡眠。
その後は海老名JCTから圏央道へ。



開通したばかりでちょっと走って見たかったんですよね。
1時間くらいで埼玉の終点にたどり着きました。

松っつーさんのお勤め先で朝食を採り、
加須市にある父の実家でホースで軽く洗車。
ちなみに祖母は脚の関節を手術して絶好調でした。
祖父もあの世で絶好調のはずです。

埼玉県内のスタンドで満タンにしましたが、
エコ走行が効いて久しぶりの18km/L達成。
その後、記録に満足してしまってA/C全開(笑)

遅刻気味で会場に到着。





私の心に刺さり、写真が撮れた車たちはこちら




白変さんの機材を用いたA/C修理、
だいとらさんやぽみゅぽみゅさんの
新車にも試乗させてもらいました。












当日は天気が悪く、
恐らく幾人もの80/90車オーナーが参加を見送ったと思われますが、
水浸しと言うより、半分浸水した駐車場に終結したオーナーたちは
転んでもただでは起きないと言うか、その悪条件すら展示の手法として
応用しようとする試みがありました。




これですよ。まるでカタログ写真みたい。
小道具がニクイ・・・・・。

途中、スコールに見舞われましたが、
雨に耐えた後は水溜りがパワーアップ。
かわるがわる水溜りの中に車を止めて撮影会が始まりました。














私もアホみたいに何枚も撮影してしまいましたが、
かっこいい写真と言うのは難しいなと思いました。
センス無し。勉強します。




本当のカタログ写真をネット検索したのですが、
これを撮影しようとしたらものすごい水の量が必要になります。
散水車1台で足りるのだろうか・・・・・。

車を出すときはちょっと水しぶきを上げて遊んでみたが、
思いっきりベルトがキュルキュル鳴ってて超恥ずかしかった・・・・。

暗くなった後はサイゼリヤにて二次会。
サイゼリヤてたいがーさん垂涎物のテラノと遭遇。



私は月曜日にお休みを頂いたので二次会ラストまで参加しましたが、
私は若干しゃべりすぎてしまいました。反省。
解散後は駆け込みで温泉に入り、疲れを癒して岐路に就きましたが、
港北で撃沈。朝起きてのんびり帰りました。



途中、カローラは12万キロ達成。
8年前に4万km弱で購入したので、
年間1万kmペースで乗ってしまいました。
浜松からは下道で帰りちょっぴり節約。


それにしても本当に楽しかった。
また参加します!

参加者の皆さん、私とお話してくださった皆さん、
写真を撮らせていただいたオーナーの皆さん、
本当にありがとうございました。

次回感想文をまとめて掲載予定ですが、
だいとらさんの新車のみ先行して感想文を。



●カワムラ ダイバー

だいとらさんが新しい車を買ったということで、
緊急試乗させていただいた。



40年ほど前の原動機無し自転車。

カワムラという今は自転車を作っていない会社の
男性向け高級スポーツ自転車ダイバー。
今のロードバイクのようなスポーティな装いとは異なり、
自動車やオートバイを投影したようないかにも
メカ好きの男の子が好みそうなデザインである。

例えば前輪の泥除けFrのエンブレムなどは
戦後の実用車によく見られる処理でありながら、
ヘッドライト(しかも手元で操作できるスイッチつき)や
変速機(ハンドルではなくフレームについている)など
自動車やオートバイを意識させる装備が満載だ。









だいとらさんのご厚意で試乗させてもらった。

乗車してまず感じるのはサドルの高さだ。
自身の脚が短いのだと言うことを否応無しに思い起こさせる
この着座位置は、つま先立ちを要求するが
サドルの位置はこれ以上下げられない。
つまり、ダイバーが子供向けと言うよりも
中高校生あたりをターゲットにしていることが分かる。

漕ぎ出すが、なかなか軽快に走り始めた。
調子に乗って旋回しようとしたときに
ペダルをこいだ脚に前輪が当たるという現象を確認した。




自動車免許を取るまでのチャリ生活で
このような現象を確認したことがなかった。
ペダルを踏む足の位置は土踏まずくらいが
自身の普段のポジションだったが、
ダイバーの場合、親指の付け根くらいと
ペダルを当てねばならないようだ。
試乗後調べたところ、
自転車のペダルは足の指の付け根の膨らんだ部分で
漕ぐのが最もエネルギー効率が高いそうで、
ダイバーのペダルと前輪の位置関係は
理屈の上では正しいのだった。

平坦路のみの試乗であったが1キロほど試乗した。
軽いギアで発進し、最上段に変速するが、
現在の副変速機つきのマウンテンバイクよりも
結果としてローギアードなセッティングだ。

初夏の清々しい風に吹かれながら
自分の足でペダルを回して走る体験は久しぶりで
映画「おっぱいバレー」に出てくる
少年たちのような気持ちになった。
(風圧を感じるほど飛ばさなかった)



短時間の試乗ではあったが、
消費者心理・所有欲を激しく煽る
1970年代の空気を色濃く残し、
自転車市場が飽和する前の空気を感じることができた。
Posted at 2014/06/30 23:31:40 | コメント(2) | トラックバック(0) | イベント | 日記
2014年06月21日 イイね!

2014年式パッソ+ヴィッツ マイナーチェンジ感想文

2021年10月 加筆修正、リンク追加




●2014年式パッソ感想文
~ハート以外も磨いて!頼むから!~




●安up!
パッソ。
デュエットのFMC版として2004年にデビューしたパッソは健康的なパッケージングと新開発の1KR-FE型エンジンを引っさげ、女性の心を鷲掴み。

↓初代パッソの感想文はこちら
パッソ

2010年には初のFMCを実施し、よりフェミニンカーとしての地位を築いた。ライバルは軽自動車というキャラクター上、燃費と分かりやすさが最重要視される。二世代目は従来の標準車に加え+Hana(ぷらすはな)という、「華やかさ」を訴求したシリーズを追加した。

「カワイイ」を追加した専用内外装は男性が乗るのが気恥ずかしいほど。なんと美肌を実現する美容グッズまでディーラーオプション設定してしまった。「女性は性能にはこだわらず本当に欲しい物は割高でも買う」という傾向を見込んでライバルに対し、走る曲がる止まるの性能や質感を落とす代わりに、色と気遣い装備を他社よりも輝かせることにしたのだ。

相場よりもずいぶんと割高な+Hanaは若い女性には大人気を博した。現に会社の後輩、会社の同僚の妹など20代前半の女性がカラフルな+Hanaを愛用している。一方でパッソ標準車は重要な顧客層であるシニア層からの支持を失いつつあった。+Hanaに対する標準車は、ごくごく最低限の装備しか持たない上に、コストのためかぼんやりしたデザインで価格訴求以外の魅力に乏しい中身になっていた。

2014年、初のマイナーチェンジを受けた。+Hanaは元々好評を得ているので従来どおり「カワイイ」を加速させればよい。



一方、シニア層からの支持を高めるべく、標準車は自動車らしさのアップを狙った。具体的にはヘッドランプの角を少し尖らせバンパーをup!を意識したカールおじさん風に変更。





上級グレードにはメッキモールをつけて自動車らしく見えるようにした。私はup!を高パッソと表現したが、何も賛否両論のカールおじさんバンパーまでパクらなくて良いじゃないか・・・安up!と言われたいのだろうか・・・・。とにかく、標準仕様はテコ入れが入った。

マイナーチェンジした新パッソの広告コピーは「ハートを磨け!」との事。クルマのハートとはエンジン!新パッソの1000cc3気筒エンジンは1KR-FEの型式は変わらないものの、大幅改良を受けて「タンブル流を生成する新形状の吸気ポート、クールドEGR、高圧縮比化などにより最大熱効率37%を達成。新エンジン搭載車はアイドリングストップ機能や、さまざまな低燃費技術とあいまって、従来型比で最大約30%の燃費向上を実現。」(ニュースリリース写し)実際の新パッソの公称燃費は27.6km/Lと第三のエコカーと呼べる燃費を実現した。





白変氏ブログ1
白変氏ブログ2

技術的なことは白変さんブログが詳しいので参照いただきたい。

トヨタのすごいところは熱効率37%というディーゼルエンジン並みの高効率エンジンをパッソというエントリーモデルに投入してしまうところかも知れない。私が学生の頃、習ったのは「ガソリンエンジンの熱効率は2割強、ディーゼルは3割強」みたいな教えられ方をしていたが、知らない間に技術は地道に発達していたのだ。ただ、どんなすごいエンジンが搭載されようともクルマとしてイケてない場合それは宝の持ち腐れと言える。

そこで急遽パッソに試乗することとした。

●キャラクターは不変
試乗したグレードは+HanaGパッケージ。さすがにCMをバンバン放映しているだけあって試乗車は1000ccが選ばれている。

車体色はピンク。内装もピンクゴールドでなにやら雑貨屋さんの中にいるような感覚。内装は完全にプラスチック一辺倒で特にドアトリムのプルハンドルは見た目には分からないが、操作しようと手をかけるとなんと手が触れる部分はリブむき出し。確かにインジェクション成型一発で出来上がるのだからコスト競争力は高いが、手で触れるところにそこまで割り切ってしまう部分は理解しがたい。






また、シートポジションを合わせた時に気付いたが、ベンチシートはシートバックが平板で肩甲骨のサポートが皆無だ。背もたれを立てて正しいドラポジを取るよう努めたが、ヘッドレストと頭部の距離は開き気味だった。安全面では褒められたものではないが、これはむしろ髪の毛を後ろで縛るポニーテールの女性には好都合かもしれない。

知り合いの女性は普段ポニーテールだが、運転のときにポニーテールのままだと肩が凝る(首を前に出さないとヘッドレストと髪が強干渉する)ため、運転時はヘアゴムを外しているのだと言う。しっくりこないシートバックがそこまで計算されているとしたら、私は評価しないがトヨタの気配りはすごいと言うことなのだろう。

始動してミラーを調整し、走り始める。国内の5ドア車で最小サイズを誇るパッソは狭い路地で取り回しが非常に楽だ。各ピラーも現代のクルマと比較すれば細い部類に入り、運転しやすい素質を備えている。特にベルトラインが低いのが良い。女性は男性よりも小柄な人が多い。スタイル優先でベルトラインを闇雲に上げると、小柄なドライバーでは死角が増えて危険性が増す。パッソのスタイリングは正しいと感じる。

ひたすらに軽いステアリングをシュルシュルと回して通りへ。流れに乗るため加速すると、まぁまぁの加速。69psで910kgというスペックでは軽ターボ以上の加速を期待してしまうが、NAで低速トルクがある訳ではないので実際はそんなに力強い加速はしない。1名乗車なら、許せる範囲なのかもしれない。

制限速度60km以内の一般道路ではほとんど計器盤内のECOインジケータが点灯している。瞬間燃費計が無いので燃費の良し悪しは分からないが、CVTの制御は完全に燃費指向型。

一般的な加速~定常走行時の振る舞いは、早めにロックアップON。アクセルを緩めると一気に減速比を高めて「ドッドッド」と3気筒の振動を容赦なく車内に入れる。その振動のレベルはMT車ならシフトダウンするよな、という程度。

加速する際にアクセルを踏み込むとロックアップが外れてエンジン回転数がポーンと上がり加速を始めるが、またアクセルを緩めると不快な振動がキャビンを包む。変速ショックの無いスムースなCVT!という売り文句だが、頻繁にロックアップのオンオフを繰り返し、定常走行時したらしたでE/G振動で揺すられるCVTの適合責任者は一回、自分でパッソを購入して毎日乗って見ればよいのではないか。

軽自動車の場合、常用回転数が高めなのでこうした振動は出にくいが、パッソをはじめとする低排気量CVTの登録車はこうした傾向が特に強い。しかしながら、30年以上昔のシャレードはきちんとバランスシャフトをつけていた。そろそろこの不快な振動も技術で解決する時が来ているのではないか。

ちなみにパッソにはアイドルストップシステムが装備されていて、うまく働けばアイドリング中の不快な揺れを源流対策でキャンセルすることが可能だが、どういうわけかパッソはキャビンが快適な温度の間もアイドルストップしにくい。運よくアイドルストップしても、ブレーキの踏力の変化に敏感すぎて私が停車中に少しドラポジを直しただけでエンジンがかかってしまった。私以外のドライバーも含めて信号待ちに踏力を一定に保っているドライバーがどれだけいるのだろうか。離した時はいざ知らず、踏み込んだだけでエンジンがかかってしまう挙動には閉口した。

とにかく3気筒特有の振動を消そうとする努力の感じられないパッソに対して私が出来る快適な運転方法は、発進時は目標速度をオーバーシュートするまでロックアップを外しながら加速。アクセルをスッと抜いて惰行。(CVTの制御で燃料カットするギリギリの回転数で転がる)速度が落ちすぎたと判断すれば再びロックアップを外して加速。この繰り返しで走ることとなるが、果たしてエコ以前にスマートな運転なのだろうか。

カタログ値を出すためだけの適合ではなく、例えばインパネに「エクセレントドライブスイッチ」的なものを設定してみてはどうだろうか。そのボタンを押せばEPS、CVT、電スロの設定が普通に走れるような適合に変わる。エンジンを始動すればエコモードにリセットされるよう作れば、問題は無いだろう。パッソほど動力性能を無視したいのならそれ位しても良い様に思う。

自動車専用道路を試乗した。加速車線では全開加速を試したが、NAの軽よりは速い。アクセル開度は高めだが市街地走行で感じた振動は感じない。マイナーチェンジでタイヤのサイズが大きくなった結果、フワフワした不安感は随分と影を潜めた。(交換費用が安い80タイヤは魅力的だったが)インターチェンジから流出する際、舵角を大きめにコーナリングしたが上体のサポートが無いシートのため少々不快に感じた。まぁ、うるさいことを言わず速度をしっかり落とすべきなのだろう。

●発泡酒を目指すビールは選ばれるか?
初代のパッソは優れたパッケージング、1KR-FEと4ATの組み合わせで力強さを感じる走りは、軽自動車との違いをしっかりとアピールできる商品だった。ところがモデルチェンジを機に「軽自動車化」「シニア商品化」が進んだ。



ディーラーの店長級の知人が言っていたパッソ論が興味深い。
「パッソとヴィッツのお客様は違います。パッソの購入者は娘に車を買って親が多いです。例えば大学入学を機に娘が免許を取り、車を買ってあげる(心配だから軽ではない)時に娘さんがかわいい!と選んでいただけるような車。だから、ボディは扱いやすく無くてはいけないし、シートも小ぶりでいいんです。娘さんがワタシにも運転できそう!と思ってもらえればいいのです」との事だった。

確かに長年車を売ってきた人の言葉には重みがある。

しかし、このパッソで軽との競合に勝てるのか。販売台数で言えば、例えばミラ(e:s、ココア含む)やアルト(ラパン含む)に負けている。安くてお洒落なお買い物クルマ、というだけなら軽自動車で十分だ。パッソが果たすべき役割は「登録車としての格の違いを見せること」・・・なのではないのだろうか。



発泡酒がビールの味を再現しようと努力するのは分かるが、ビールが高い税金をかけられたまま発泡酒の味わいを目指してどうするのか。だったら最初から発泡酒で良いのだ。パッソはビールとして産まれたのだから、価格は安くとも発泡酒では味わえない魅力を訴求すべきだと自分は思う。(例えば乗り味や、衝突安全性など)

●安「心」感は磨かなくていいのか?
安全装備も法規対応のVSCやRr席ヘッドレストや3点式シートベルトは装備されているものの、軽ですら5万円で付けられる衝突軽減ブレーキが設定されないばかりか、サイドエアバッグ+カーテンエアバッグは5.3万円のオプション価格とヴィッツの4万円よりも1.3万円高い価格設定をしている事も説明がつかない。鞭打ち軽減シートは1.0Xグレード、X-Vグレードには装備されない上、小柄な女性にこそ必要なアジャスタブルシートアンカーも全グレードで未装備だ。

信頼性分野でよく出てくるALARPの原則が言うところの「リスクが許容可能な領域ではないが、最高科学技術水準を以ってしても許容可能な領域までリスクを低減できる現実的な技術が無い、或いはリスク低減にかかるコストが実現されるリスクの低下と比較して著しく不相応であることが証明された場合に可能な限り最小限のリスクまで低減することで可とする考え方」に当てはまると言い切れるのだろうか。

例えば、衝突軽減ブレーキはレーダーを取り付けるためラジエーターサポートの変更が必要なので、マイナーチェンジ企画時に時代を読みきれていなければ間に合わない。企画が始まった時点で未来を見通す事ができなかったということだ。さらに、アジャスタブルシートアンカーはどうだろうか。実車を確認するとセンターピラーガーニッシュに予め「入れ子構造」(金型を組み合わせスタンプのように部分的に入れ替えて二品番を打ち分ける技術)を織り込んでいて、アジャスタブルアンカーがいつでも設定可能な状態になっていた。法規制が厳しくなるまでは笑顔でしらばっくれる気なのか。トヨタはカワイイだけでパッソのモデルライフを乗り切るつもりなのだろうか。

1000ccでありながら、+HanaのGパッケージなどは税抜き139万円という高価格。最低限のカーナビを付けてマットとバイザーをつけたら支払い総額176万円。確かにup!より安いが、FITの13G-Lが買える値段だ。ついついクルマを走行性能で評価しがちな自分には理解が難しいクルマであった。






●2014年式ヴィッツ感想文
~鉄は熱いうちに打つべきだったという印象~



●SAIに続く大幅テコ入れマイナーチェンジ

クルマのモデルライフを考えると、
フルモデルチェンジ→一部改良→マイナーチェンジ→一部改良→次期モデルへ
という流れが一般的である。

マイナーチェンジでは人気のある車種は変更箇所はヘッドライト、Frバンパー(含むラジグリ)、ホイールカバー、Rrコンビランプ、Rrバンパー、内装色、シート地、などの部品がアップデートされる。仕様は実際の売れ行きを見て最適化したり、乗り味をブラッシュアップすることがある。一方で、比較的大規模なマイナーチェンジを実施する車種もある。思いつく限り挙げた。

1.9代目クラウン
バブル絶頂期に発売したが、丸くて厚ぼったいRrビューに不満集中。
130系ライクなRrコンビランプ採用のため、Rrクオーターパネルの金型新設。





2.8代目カローラ
バンパーを上下に分割化して維持費低減を狙うも理解されず。
内装の質感不足も指摘されて、Rrクオーター新設。インパネ新設。




3.2015MY北米カムリ
売れ行きは良かったが、現代ソナタの猛追に対抗するため
ガラス、ドア以外の目に見えるパーツ維新。丸っこいデザインに。




4.現行SAI
初代プリウスを思わせるずんぐりむっくりしたスタイルが不振の理由だと考えた。
シャープな印象にするため、前後灯火類新設、フード、フェンダー新設。
サスセッティングを変更して車高を下げた。




上記はモデルライフが長いためにビックマイナーチェンジした車種を除いている。(例:レクサスLS、アプローズ、初代デミオ、エスティマ・エミ/ルシ)

さて、本題のヴィッツは4月にマイナーチェンジを受けた。お察しの通りビッグマイナーチェンジなので、売れ行きは芳しくなかったのだろう。2010年冬に発売したが、デビュー当時は女性中心のカワイイ中心から男性客を呼び戻そう、というテーマで背が低く男性っぽいスタイリングを選んだ。ヘッドライトを後のオーリスで発表されるデザインテーマ「キーンルック」を先取りしたような横基調のヘッドライトを採用。

全席中心のコンパクトカーの使用状況を考えて、後席リクライニング廃止。天井中央のドームランプ廃止、Rrドアのディビジョンバー廃止、するなど装備を見直して原価管理を行うだけで無く内装照明色をアンバーに切り替えるなどなどイメージの刷新を図った。機能面でも一部グレードにアイドルストップを採用し、センターメーターをコンベンショナルなステアリング前に移し、ワイパーをシングルタイプ(ウェットアーム)に変更した。月販目標台数は10000台だった。

当時の感想文はこちら

販売の結果を比較すると、
2010年 ヴィッツ:122,248台  FIT:185,439台
2011年 ヴィッツ:128,725台  FIT:207,882台
2012年 ヴィッツ:105,611台  FIT:209,276台
2013年 ヴィッツ: 85,903台  FIT:181,414台
と、FITには歯が立たないどころかモデル末期の2代目よりも売れていない。

アクアが好調な上、ライバルのスイフトやデミオよりは売れているものの、元々カローラを抜くベストセラーだったヴィッツがこの状態なのは市場で支持されていないということだ。そこでマイナーチェンジとしては大幅手直しをすることとなった。

変更ポイントをまとめると
1.1300ccエンジンの維新
燃費はリッター25.0km/L達成。
2.外装はキーンルック採用
ヘッドランプ、Frバンパー新設、Rrコンビランプ新設
3.内装はインパネ維新
小物入れ追加、シート地変更、Uにアームレスト採用
4.走りの質感向上
スポット溶接追加 NV性能向上

3代目FITの意欲的な作りもあってヴィッツもようやく巻き返しに出ることとなった。

●欧州に強くインスパイヤ(笑)された外装
フロントマスクはヘッドライトとグリルの連続感が強調されることでワイドでシャープな視覚効果を与えていてなかなか魅力的だ。バンパーも下端の色の切れ目はトヨタファミリー共通の処理。ほうれい線のごとくくぼみはわが愛車DS3そっくり。ちゃんとディーラーオプションで光るらしい。

イメージカラーのルミナスイエローは、元気一杯の黄色。全体の印象は先代のルノールーテシアを思わせた。






元気一杯のルミナスイエローはオプション色で3万円もする。パールホワイト以外の魅力的な色をオプションカラーにすることは近年国産メーカーが取り組んでいるが、ヴィッツは全17色という豊富なカラーバリエーションを持っている。ルミナスイエロー以外にはパールホワイトとチェリーパールという濃いピンク色がオプションカラー。

残りの5色はJewela専用のシャイニーデコレーション専用のオプションカラーである。一般的にボディカラーを増やすと色物部品(ドアミラー、ドアハンドル、バンパー)の部品種類が増えてしまい、在庫を嫌うトヨタとしては最も避けたい事態だが、過去にも述べたように女性にとって色は最重要ファクターの一つ。色が気に入れば他に目をつぶる、という傾向を考えると何としてでも色を増やしておきたいのが商人の心である。

そこで生産ラインで塗装してしまうボディ、前後バンパー以外の色物部品はメッキで単色化してしまおうというのがこのシャイニーデコレーションである。こうすればボディカラーのバリエーションが増えることによる色物部品の種類を増やすことなくカラフルなクルマを顧客に提供できるわけだ。マイナーチェンジ前はシルバーに塗られていたが、これはいかにもショボいと気付いたのかマイナーチェンジでメッキを奢ったことで安っぽさは軽減された。結果、追加料金無しで選べるカラーは9色となっている。(FITと同数)

また、グレードによってランプとグリルの組み合わせが異なるのだが、個人的にはFグレードのメッキなしで黒がヘッドランプとグリルを貫いている方がシャープに見えて良い。

Rrコンビランプもエアロスタビライジングフィンが採用され、立体感があるデザインに改められた。外形自体はマイナーチェンジ前と変わらずRrバンパーも変更なし。このほか、Rrライセンスガーニッシュも形状が改められてワイドで伸びやかな印象になった。

外装がアップデートされたことでようやく当初の狙い通りの欧州Bセグコンパクトに似た佇まいになった。ちなみにモデリスタバージョンは先のヴェゼル感想文で触れたBセグクロスオーバーをヴィッツでもやってしまっている・・・。



●インパネを作り直してまで改善した内装
従来型ヴィッツの最大の不満は内装の収納不足だったという。グレードマネージメントを意識して助手席前に広大なオーナメント(化粧板)を設けていた。ドアトリムと連続したカラーリングの加飾をつけてグレードマネージメントするつもりだったが、そのオーナメント部分はハメ殺しで収納スペースをロスしていた。元々3代目ヴィッツは欧州で主流の1Lのボトルを車内に持ち込めるようにセンターコンソールを大型化するなど収納に対して全く配慮しなかったわけではなかったのだが、日本市場で当たり前と思われている収納スペースが備わっていなかった事が痛かった。ライバルのFITは元々ヴィッツよりもスペース重視のコンセプトでありウルトラシートなど収納することに対してコダワリの強いモデルだった。

そこでヴィッツは思い切ってインパネを新設。インパネアッパーに収納を追加。



思い切ってドアトリムとの連続性を断ち切った。このためドアトリムまで新設の憂き目に遭っているが、そんなに印象が変わっていないのが残念だ。空調レジスターまで新設されてなかなかの変更点なのでもう少し違って見えるように出来なかったのだろうか。



他にもプルハンドル一体のP/Wスイッチベゼルもシルバー塗装された他、廃止されたルームランプが復活し、Frシートの車両内側の目隠しがレベルアップされた。特に目隠しは車両外側同様、射出成型の部品となっていたが、現行ヴィッツがデビューした際に硬い不織布製に置き換えられた。個人的にはこれが大層安っぽく、一刻も早く廃止すべきと考えていたが、ようやく改善された。



上級グレードではインパネアッパーにクロームメッキのモールが入るほか、ドアインサイドハンドルもメッキになるなど多少の配慮はある。メーターもカローラハイブリッドの流用ながら変わった。1300ccの新エンジン搭載グレードに限りタコメーター、ガラケー譲りのTFT液晶が着いた新メーターが採用された。



●新エンジンは十分良く走る
実際に試乗させてもらった。試乗したグレードは1300ccのFグレード。一般の人が最も購入するであろうボリュームゾーンである。走り出して感じたのはデビュー直後のモデルと比べて静粛性が向上していることだ。マイナーチェンジ前は、Uグレード以外は軽と大差ない静粛性であったが、マイナーチェンジを受けた新型はレベルアップを感じた。また、乗り味もブラッシュアップされ舗装の悪いパッチワーク路でもタイヤ、サス、ボディ、シートで振動を吸収できていた。このあたりは先に試乗したパッソと大きく異なる点でヴィッツはしっかり進化することができた。

自動車専用道路へ車を走らせた。法定速度の領域まで加速するも、さすがに1300ccのヴィッツは十分な加速性能を持っている。車重1000kgで99psということで、かつての1500ccのカローラに匹敵する動力性能を1300ccで得ることとなった。新たに1NR-FKE型と名づけられた新エンジンは

・アトキンソンサイクルの採用
・高圧縮比(13.5)
・クールドEGR(排気再循環)
・電動の可変バルブタイミング機構「VVT-iE」
・効果的なタンブル流を生む吸気ポート形状
・ピストンスカート表面改質などの低フリクション化
・掃気効率を高める4-2-1エキゾチックマニホールド
・ウォータージャケットスペーサーによるシリンダー壁温コントロール

…という新技術が織り込まれているが、1300ccという排気量で横並びを見るとホンダFITやマツダデミオとよく似ている技術が使われている。このあたりが現代の低燃費エンジンの肝なのだろう。熱効率は38%と量産ガソリンエンジンとしては世界トップクラスとの事だ。確かにこれはすごいことだ。



デミオのスカイアクティブがデビューしたてのころ、試乗した際は見た目のスポーティさとは裏腹にエンジンの力強さが足りない印象が強かった。スペック的にも84PSと1300ccクラスとしては控えめな実力に感じていた。フィットの場合はヴィッツ以上にしっかり力強い走りが可能だった。

高速走行をしていて風切り音が小さくなっていることに気付いた。マイナーチェンジ前の場合、シングルワイパー自体の風切り音が非常に大きいことに閉口した。マイナーチェンジでカウルルーバー形状に変更が加えられ、キックアップ面が追加された。この面を使って気流を飛ばしてワイパーに当たる気流を減らす効果がありそうだ。見栄えは悪化したが静粛性が向上したことは喜べる。

走行中燃費計をこまめにチェックしていたが、高速走行中はリッター20km/Lを少し超える水準で推移しており、長距離はかなり脚が長そうだ。アイドルストップがなかなか出来ない点はパッソと同じ。

●マイナーチェンジ効果はあったのか?
まずはデータをご覧頂きたい。

2014年3月 ヴィッツ11,890台  FIT:31,921台
2014年4月 ヴィッツ 4,924台  FIT:15,621台 
2014年5月 ヴィッツ 6,580台  FIT:12,984台

どう贔屓目に見てもFITの方が売れている。4月は消費増税の反動でFITやハリアーなど一部の人気車以外は軒並み前年比でダウンしている。5月でやっと持ち直しているが、FITの半分しか売れていない状態だ。

確かにテコ入れマイナーチェンジで欧州車のエッセンスを盗み、見た目は良くなった。内装も不満が集中していたインパネを新規に起こして収納は増えた。エンジンも新開発した最新鋭のものを入れ、乗り味も良くなった。(ただし、アジャスタブルアンカーや衝突軽減ブレーキなどの安全装備品の充実度は明らかに劣っている。)

ただし、結果としてFITの方が売れているのはなぜなのだろうか。FITの方が2013年8月にフルモデルチェンジを実施したばかりで勢いがあっただけでは無いはずだ。事実モデル末期の年の2013年8月でもヴィッツはFITに負けている。後は販売店の数というファクターもある。ホンダは販売チャンネルを統一したため、FITを扱うディーラーの数はヴィッツを扱うネッツ・トヨタ店よりは多くなる可能性がある。

ヴィッツの数を増やすには、アクアとのカニバリゼーションを覚悟してEUで販売しているハイブリッドモデルを追加するなど思い切った変更をしないとFITを超えることは難しいだろう。事実それをやったカローラは随分と台数が伸ばした。

月販目標台数は8000台と控えめだが、まずはその台数を着実に売れるようにこまめな特別仕様の追加や仕様の適正化を図る必要があるだろう。確かにヴィッツはマイナーチェンジでテコ入れが図られて随分とコストをかけてもらうことができたが、FITの強さは尋常ではない。結果論で語ることは申し訳ないが、この程度の内容は最初から織り込んでおくべきではなかったか。

私自身も実際に試乗したりカタログを見る限り商品としてはFITの方に魅力を感じるし、夏にはSKYACTIV-Dを引っさげてデミオがフルモデルチェンジされてしまう。なかなか厳しい戦いを強いられそうな予感がする。

個人的にカタログを見る限りは1.3F以外はどうにもしっくりこないため、お勧めグレードは1.3Fにスマイルシートセット付き。それより上のグレードの割高感が強い。Uは1500ccのカローラより高く、RSはかつてのMR-Sに手が届く価格帯。幾らアベノミクスで所得を上げたとしても、クルマの価格が高いままだと庶民から車は離れていくばかりだと思うがどうだろうか。

今のままだとCMに人気タレントを起用してクルマの魅力以外で勝負するか、値引きを大きくして安さで売るか、法人フリートユーザーに大量に押し込むかの3択程度しか残っていない。

2010年以前はiQのP/Fをストレッチしてリムジンみたいに広い革新的なヴィッツが世に出てくれるものなのだと信じていたが・・・・。攻めるべきときに攻めなかったことが悔やまれる。




Posted at 2014/06/21 00:11:22 | コメント(2) | トラックバック(0) | 感想文_トヨタ・レクサス | クルマ
2014年06月12日 イイね!

1974年式コロナ・マークIIGSL+1979年式セドリックSGL-E感想文

2021年「マークII+セドリックから改題」、リンク修正、一部加筆修正。

新舞子の集まりに顔を出してきました。本当は朝から行きたかったのですが、会社の労働組合のお仕事でイベントの手伝いをしていましたのでDS3で夕方に会場へ向かいました。

そこにはいつものメンバーが居り、いつものように車談義を繰り広げていたのでした。そして試乗会開催。今回は1970年代初期と末期のハイオーナーカーに乗せていただきました。




●1974年式コロナ・マークII GSL感想文








マークIIは海外輸出を重視したトヨペットコロナのフルモデルチェンジ版として企画されるも、別車種として発売されたのが始まり。このRX22と呼ばれるモデルはマークIIとしては二代目にあたる。1972年にフルモデルチェンジされているが、これは初年度登録が1974年の前期型。(排ガス規制未対策の48年式を翌年新規登録した個体)

ツインキャブを装着した2000ccの18R-B型エンジンを搭載しているのことで資料によると115ps/600rpm、16.0kgm/4000rpmという実力。現代のクルマで言えば1500ccクラスの性能を発揮している。当時としては高性能なOHCエンジンを採用しているが、高速道路網が発達し、合法的に100km/h出せる環境が整ったことで従来のOHVもハイカムシャフト化をするなど高回転が得意なエンジンも出始めていた。

カローラ、コロナがある程度本流のオーナーカーであり、クラウンはまだまだ法人ユーザーも少なくなかった時代、マークIIはパーソナル感覚を重視したハイオーナーカーとしてコロナ以上クラウン未満のポジションを与えられた。

クラウンがフォーマル重視で跳べない(お客さんも着いて来ない)分、マークIIは思い切ってクーペライクなファストバックスタイルを取り入れて大衆の憧れを集めた。現車は車庫保管と思われる美しいコンディションを保った個体。アクセサリーも多数装着されているが、特にレザートップが70年代チックでかっこいい。

コツが居るのでエンジンだけオーナーに始動してもらい、乗り込む。ドラポジは低く座り背もたれを寝かせたポジションがしっくり来る。フロアが高く、ルーフも高かった1960年代の本流とは違い、マークIIは少しスポーティ(当時はスタイリッシュと同義語)な姿勢を要求する。内装はセリカ/カリーナに端を発するスポーティなトヨタスタイルだ。タコメーターはもちろん、油圧系、電圧計も装備されている。現代のクルマと比較すると、ヘッドライトやワイパーはレバー式ではなくプッシュプル式になっている部分が最近免許を取った若い人には新鮮に映るかもしれない。(私の実家や親戚のクルマもレバー式のクルマしか無かった)



姿勢を決め、ミラーを調整しマークIIを発進させる。1速、2速とシフトアップするが慎重に運転してあげればごくごく普通に走る。このあたりは私が幸運にも運転したことがある同時期のトヨタ車とよく似ている。内装もスポーティで挑戦的。3000rpm程度まで引っ張ってシフトアップすると、現代の交通ペースにも十分対処しうる動力性能を発揮する。確かに2000ccとして考えれば動力性能の期待値は下回るが、これは現代の技術者の努力の賜物だ。もちろん、アクセルを踏み続ければ100km/hまで容易に達するし、その速度を維持してストレスなく走り続けられる。

窓を全て下ろしてハードトップの心地よいクルージングを味わう。50km/h~60km/h程度がスイートスポットだと感じた。春の風がキャビン内に吹き込むが、その開放感たるやオープンカーには敵わないが現代の太いピラーで囲われた乗用車では味わえないものだ。トヨタは1965年のコロナハードトップで既に2ドアピラーレスハードトップを実用化しており手慣れた仕事の一つなのである。

ハンドリングは現代の目で見ればダルな部類に入るかもしれない。現代では一般的なラックアンドピニオン式はまだ採用されておらず、ウォームアンドセクターローラー式を卒業し、ボールナット式が標準となりつつある時代だ。当時は悪路も残っており、キックバックが少ない方が好まれたこともあり、クイックで向きを変えやすいハンドリングはまだまだ異端であった。現代の良路ではステアリング操作量は多めだが、その分のんびりとしたクルージングができるのは美点だ。



フードを開けて見せていただいた。排ガス規制前と言うこともあり、エンジンコンパートメント内は対策デバイスが入りやすいにあらかじめ大きめに作られているとの事だ。ダブルウィッシュボーン式のFrサスのため、フェンダーエプロンはつるんとした形状で現代人の目に見慣れたストラットタワーは無い。エプロン自体に目をやると、比較的目立つ位置にシワが寄っているのが認められた。シワ取りビードや座面を設定すれば解決するようにも思えるが、当時はこのように目に触れない部分はシワをOKとしていたのだろう。現代のクルマの製造技術は目を見張るものがあり、人の目に触れないフロアなどでないとシワは見つからないほどになっている。ちなみに、シワがあっては何故まずいかを性能上問題になるかと言う観点で考えてみると、繰り返し応力がボデーに入った場合、しわの曲率が急な部分に応力が集中して亀裂のきっかけになることも考えられる。当時は今よりも板厚が厚いのでそれほど問題にならなかった可能性はある。

また、現代の車ならサスタワーより前は軽量化のため板金が存在せず、フロントサイドメンバーの横にフェンダーライナーの裏面が露出した殺風景な景色が一般的だが、コロナ・マークIIはしっかり覆われておいる。こういう部分を細かく見ていくのも面白い。



●1979年式日産セドリック SGL-E感想文




何となく自分のルーツと近い感じがするドリンコートさんの愛車セドリック。430と言えば無く子も黙る名車中の名車だが私のような人間が乗ってもいいのだろうか?という葛藤が100ミリ秒。折角の機会だから乗せていただこうと言うことでドライバー席へ。



運転席は落ち着いた雰囲気。現代の目から見ると、アメリカンな雰囲気の漂う直線基調のインテリア。コックピット風だったマークIIはパーソナルカー狙いだが、セドリックはエグゼクティブや保守的な富裕層が乗るフォーマルな高級セダンだ。だからスポーティネスを感じさせる装備はほぼ皆無だ。

ステアリングスポーク、インパネ、計器類は長方形をテーマにしている中、空調の操作のみ円いダイヤルスイッチなのが面白い。いわゆる絶壁インパネだがベンコラへの展開を考えてのことだろう。優雅でひたすら無駄な曲面で構成する高級感もあるが、セドリックの高級感は毅然とした直線基調。六法全書のような厳粛さを高級感と捕らえているように感じた。

私がハンドルを握りセドリックを発進させた。3名乗車状態だが、まずまず走る。エンジンはL20E。排出ガス規制後のエンジンでネット調べではグロスで125ps/17.0kgmとの事。当時既に存在したターボほどの加速は見せないが必要十分な加速を発揮する。静粛性はさすがに高く、ひたすらに柔らかいサスの味付けが更に高級車を感じさせる。厳粛な内外装、柔らかいサスセッティングがとても当時の高級感を感じた。乗り味に角が無いし6気筒エンジンが元々持っているスムースさも相まってのんびり走るとリラックスして走れそうだ。



動的性能は車齢30年近傍のクルマに求めすぎるのはいかがなものかと思われるが、加速以外の動力性能は十分である。刺激は無いにせよ3速ATのトルコンのおかげで頑張りながら坂道を登ってくれるはずなのだ。平坦路では高速道路の流れをリードすることは容易だが、シャシー性能がそれに追いついていない。ステアリング操作に対して車体がグラリと大きくロールする。レーンチェンジも少し早めに操舵するとタイヤが意外なほど早く鳴く。刑事ドラマの効果音のようだ。

現代のドラマでも不自然なスキール音がSEとして追加されている場面に遭遇するが、昔は普通に撮影していればキーと言うスキール音が出たのだろう。国産車のダイナミック性能が向上し、めったにスキール音を出さなくなった昨今、わざわざ追加しているのではなかろうか。

調子に乗って周囲の安全を確認した上で「刑事(デカ)ターン」を敢行。大きくUターンしてダイナミックな絵になる光景は正直、ギャラリーで見たかった。調べて見ると、当時お手本にしていた高級車=憧れはアメリカ車。カプリスなども乗り味はひたすらソフトでコーナリングはあまり重視されていなかったようだ。というのも、アメリカは長距離を真っ直ぐ走るニーズがあり、路面が悪かったのでソフトな乗り心地が望まれたのだ。アメリカ車を目標として作られた当時の高級車は、現代の目から見ると不可解に映るが、全く持って高級車の定石どおりだったようだ。



徐々に道路も良くなり、アメリカ車を手本にするより欧州車を手本にするようになった。それに伴いダイナミック性能も向上し、キビキビ走る高級車も産まれたが、1970年代終わりの価値観で設計されたセドリックは、2014年の現代に当時の精神を伝えている。もちろん、セドリックにもターボもHTもあり来るべきトレンドにも対応しているが、今回市場させていただいたセドリックは端正な直列6気筒セダン。高級セダンが本当に高級品として大衆から憧れの存在だった時代を思わせる。本当に貴重な体験をさせていただいた。ドリンコートさんに感謝。






●いま国産高級セダンはテコ入れされている


2014年、高級車市場は完全に輸入車に喰われている。今までクラウンやセドリックを買っていた人がベンツやBMWやアウディに乗っている。・・・というのも、伝統あるブランドのエントリーモデルがグッと魅力的になり価格的にも手が届く存在になったからだ。

こうなると、国産高級セダンは辛い。トヨタはレクサスで対抗しているが、リベラルなアメリカ以外では苦戦している。(それでも続けるべきだと思うが)ホンダはアキュラの国内導入を諦めたが、アコードの拡販を狙い「クオリティセレクト」なる店舗を展開し始めた。ここでは高級セダンに進化したアコードHVの試乗車や展示車をじっくり検討できる。日産もスカイラインにインフィニティバッヂをまとい既存ディーラで売る奇策に出た。

要するに高級車は利幅が大きい。軽と原価の厳しいコンパクトエコカーばかりを売っていても企業としての利益を追求することができない。そこでアベノミクスで財布の紐が緩くなった消費者に再び高級セダンを選んでもらおうという試みがなされているのだ。スタートラインに立ったばかりのホンダと日産は正直辛い。買いやすくなった輸入プレミアムセダンは、商品力が高い。価格も戦略的でかつて輸入車が手の届かなかった世代の憧れとしても、裕福な若年層のファッションアイテムとしても引きが強い。国産はファッション性やブランドの記号性では劣る。しかし、石の上にも三年。努力を続ければいつしか顧客を取り戻せると思う。(欧州車を買った自分が言うなという話もあるが)

輸入車の弱点はサービス体制の弱さがある。オイル交換や車検整備の単価が国産とは桁違いに高い。(例えばオイル+フィルタ交換の費用は、 国産車は5000円くらいに対して、欧州車は2万円弱)細かい不具合も国産よりは多いので、近年、商品性に魅力を感じて輸入車を選んだユーザーも、維持費の高さとマイナートラブルに嫌気がさすユーザーが相当数出るのではないかと予測される。(身近にそういう人がいる)

国産メーカーはこのタイミングで、きちんとした高級車を提供できればまだまだ商機はあると思われる。特に、海外で売るには苦しいが小型セダンに挑戦すべきだと思う。5ナンバーサイズにこだわる事は難しいかもしれないが、かつてのプログレのような車は作れないのだろうか。今のところ競合はA3くらいしかない。FRに拘らなくていいからA3を超えるような優雅なセダンを出すべきだ。ただし、意匠には思いっきりコストをかけ、かつてのようなセダンの様な良好なプロポーションを訴求してはどうか?(このあたりはマツダが奮闘しているがプレミアムブランドではないのでアクセラでは少し弱い部分がある)元来の美点である信頼性と手ごろな価格に欧州に引けをとらないデザインとセンスを磨けば国産高級セダンは復権できると信じている。

1970年代の高級車2台に試乗してそんなことを考えた。・・・実際のメーカーの人はこんなこと既に考えつくして、実現できない壁がどこかにあるんだろうなぁ。

(2021年追記:2021年になると欧州メークのセダンに駆逐されてついにトヨタがクラウンをFFにするという噂が現実味を帯びてきた一方でマツダが直6FRのP/Fを開発してプレミアムブランドを本気で目指し始めているが順調とは言えそうに無い。いずれにせよ2014年の段階で私は既に国産セダンに危機感を抱いていたし、プログレが気になっていたのだなという個人的な発見があった)


Posted at 2014/06/12 23:37:46 | コメント(4) | トラックバック(0) | 感想文_車レビュー | クルマ
2014年06月01日 イイね!

昭和のホンダミーティング

昭和のホンダミーティング










浜松へ昭和のホンダ車ミーティングへ酸化してきました。

昨日、久しぶりにWAXがけをしたカローラは(今のところ)クーラーも良く効き快調でした。

一通り会場内を散策し、いつもの皆様と談笑。
楽しい午後のひと時を過ごしました。

心に刺さった車はこちら

R23の蒲郡は新しい道路が開通していて非常に走りやすかったです。
蒲郡市内を抜けなくてよいのはありがたいです。

今月末は秋ヶ瀬。楽しみやなぁ・・・・・。
Posted at 2014/06/02 00:18:46 | コメント(2) | トラックバック(0) | イベント | クルマ

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何シテル?   08/10 16:35
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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