私がロードスターにこだわる点の一つに20年の変遷を見るとても良い教材だからです。
最近はクルマのブランドが出ては消えの時代にあって、作り続ける。それは非常に大変な事だと思います。
(ロードスターの父:ロータス・エランでさえ、名前はエランでもFRからFF、MRへと違った質のクルマに変貌してしまいました。)
その魅力の一部でもお伝え出来たらと思い日記にしました。
1989年7月3日に発表(同年9月1日発売)された初代NAロードスターはバブル期にあって他社のクルマ(スポーツカー)がボディーサイズの大型化や装備の充実による重量増加が当たり前の時代にあえて軽量、コンパクトと付加価値としてのオープンカーは当時の人にはとても新鮮に見えたのは間違い無かった事実だと思います。
(私が乗って楽しいクルマとしては最高ランクのスポーツカーだと思います。(ひいき目に見えますが本当に楽しいクルマです。マツダレンタカーではロードスターのマニュアルトランスミッションもレンタル可能です。))
ライトウエットスポーツを最大のこだわりとし、最新のコンビューター解析技術により設計された専用モノコックボディー、セッティングの自由度の高いダブルウイッシュボーン、ボディー剛性とエンジンレスポンスを向上させるパワープラットフレーム、走りのシーンに見合うだけの最低限のバワーとコストダウンの為、あえて専用設計エンジンを捨て、常用的エンジンの選択、そしてシンプルなオープン機構の採用、専用ファクトリーにこだわらず一般乗用車の生産ラインを使用して作る等、こんにちのロードスターの基礎を築いたのがNAロードスターです。
(偉大な功績です。)
乗って見るとロードスターの走りに対するピュアさが一番伝わってくるモデルでもあります。
しかしこの時期、日本のクルマに対する環境の変化がロードスターの最大の難題になって行きました。
それは安全基準が厳しくなり重量増加が避けられなくなった事と環境問題による排気ガス問題、ユーザーのニーズ変化に対応するクオリテェーの向上等だったのではないかなぁ~と思います。
(ロードスターはニーズの変化を的確に捉えた数少ないクルマです。その変遷はNAロードスターは限定モデルとオプションの多さでしょう。またNBロードスターではカスタマイズ戦略で自分のオリジナルカーを生産して行きました。NCロードスターはカスタマイズ戦略とリトラクタブルハードトップの採用です。これらの戦略がユーザーを飽きさせないクルマにするのも重要な要素です。)
この変遷はエンジンにも現れています。
初代NAロードスターは当初1600㏄の120PSでしたが、その後安全基準による重量増加を補うべく1800㏄の130PSにパワーアップ。
その後、試行錯誤をした決定、最終後期型のシリーズ2が私が思う最高のNAロードスターに進化しました。
(試行錯誤の変遷:1800㏄になり(シリーズ1)トルク増を高速安定性を確保する為、ファイナルギア比をそれまでの4.300から4.100へと変更、ナチュラルなトルクを出す為に線形スロットルを止め、非線形スロットルに変更し、向上した部分とマイナスな面が1600㏄時代を基準にするとやや劣る結果となりました。
その後、俗に言うシリーズ1.5では非線形スロットルを線形スロットルに変える措置をとってアクセルのピッキング(アクセルレスポンス)は向上したものの、高回転域でのレスポンスが今一つ。
そこでシリーズ2ではファイナルギア比を4.100から4.300に戻し、排気量アップに伴い1600㏄時代の切れのあるレスポンスを再現する為、軽量フライホィールを採用し、燃料調整をもっと緻密にする為、コンピューターもそれまでの8ビットから16ビットにして約4000rpm以上からレスポンスの向上をしています。)
そして1998年1月8日、2代目になりNBロードスター新たなるロードスター伝説の幕開けでも有りました。
とは言えこの頃の日本経済は冷え込むばかりでマツダとしても経営危機をむかえておりました。
(ロードスター廃止論までささやかれる中、開発者達の努力により、よりコストダウンをして新しいモデルをしなければなりませんでした。)
NBロードスターは新型とは言えボディーや足回りは基本NAロードスターのものを補強や改良がメインにモデルチェンジになりました。
(人によってはビックマイナーチェンジとマツダの当時の経営を批判する人がいましたが、私がこのNBロードスターを乗る限り、紛れもないビックフルモデルチェンジであったと思うほど性格の違うクルマに仕上がっています。(走りの人馬一体は受け継がれております。))
NAとNBの外観上、最大の違いはライトがリトラクタブルヘッドランプか固定式ヘッドランプかでしょう。
またスペック上はエンジンは1600㏄(125PS)と1800㏄(145PS)の二本立てになったのと1800㏄は6速マニュアルトランスミッションになった事がスペックアップです。
内装も洗練され、それまでの直線的なインパネ周りから曲線的なものになり、カップホルダー(使い勝手は悪いものですが。)も装着された事やシリーズ2からは灰皿がなくなった事は時代のニーズ変化に対応する為だったのかもしれません。
その後、2000年7月18日にはシリーズ2が発売。
1800㏄エンジンには吸気側に可変バルブタイミング機構を付けて160PSを実現しました。
このエンジンはボディー補強に伴い重量増加を補うために中速域でトルク向上して、より使いがっての良い方向に味付けられたシリーズで以降のモデルもターボモデル以外はこの可変バルブタイミングエンジンが主流になりました。
その後、2001年12月13日にナンバー付きレース用に1600㏄のモデルをベースに発売されたのが「NR-A」モデルです。
(2002年から茨城県筑波サーキットで「ロードスターパーティーレース」が開催され、「NR-A」モデルにロールバーや牽引フック、4点式シートベルト等を着けただけのレースのため、気軽に参加出来るのが最大の魅力でもあります。)
そして2005年8月25日に発売された新型ロードスター(NCEC型)はマツダ・RX-8のコンボーネンツを共有し新しいシャシ-を投入、エンジンも従来の1800㏄と1600㏄の2ユニットから2000㏄の一本だてになりました。
また新型ロードスターは足回りもリヤサスに従来のダブルウイッシュボーンからマルチリンクに変更しホィールベースも2330㎜に拡大、エンジンはフロントミッドシッブレイアウトになり、さらに進化したロードスターになった事は間違いないと思います。
内装もドア部分に取り付けられたカップホルダーや女性が冬場のオープンドライブで重宝するシートヒーター(オプション)の採用、緻密は温度設定が出来るエアコンは足元をより温かくするアイテムでする。
またオーディオは7スピーカーのBOSEがオプションで選べクローズドとオープン時の音量も自動設定され、さらに手動式オープンモデルと電動式ハードトップオープンモデルも選択可能になり幅広いユーザー層に対応出来るモデルとなりました。
このようにマツダ・ロードスターは時代の流れに対応し、またロードスターらしさと言う「人馬一体」の精神を受け継ぐ、まさに日本が世界に誇れる「サラブレッド」ではないかなぁ~と私は思います。
今回、日記の最後に…
頑張れ、日本
頑張れ、日本の自動車産業
頑張れ、マツダ・ロードスター
と熱いエールを送りたい