夏休みの中盤、何気なく娘に
夏休みの宿題の進捗状況を尋ねた所、
読書3冊を除いて完了しているっ
て言う返事が返ってきました。
読書って何?
と聞くと、
偉人の伝記とか読むんだそうですが、あえて
「マンガでも良い」って言われたんですね。
えっ?読書で伝記なのに、漫画でいいの??
昭和40年生まれのオッサンは普通にそう「意外だな~」と感じますわな・・・
ところが、
娘の口から衝撃の発言が・・・
「今、伝記って漫画しかないんだよ」
(°Д°)ハァ?
そんなバカな!?
そんなワケあるか!!
馬鹿な事言ってないで、
せっかく読書なんだから活字の本読みなさい!
好きな偉人の本なら買ってやるから!
・・・
と、強く言ったんですわ。
そしたらああた・・・
「パパぁ活字の伝記ってホント無いんだよ~マンガでいいでしょ」
って本屋に行った
娘が泣きを入れてきたわけですよ。
そこまで言われると、夏休みの期間も有る事だし、仕方ないか・・・って事で
マンガでもいいって言ってあげましたけど・・・
内心、流石に探し方でも悪いんじゃないかと思ってたんです。
ところが・・・
先日、
本屋に寄ってみたらこの状態ですよ!?
一棚の伝記モノコーナー、これ全部マンガです(^_^;)。
それどころか、
歴史モノまで全部マンガですよ。
活字の伝記なんて全然見当たりません(笑)。
いや、
マジで見当たらないんですね。
これにゃぁぶっ飛びました。
娘は
嘘言ってなかったんですね(^_^;)
ゴメンね娘。
んでですね、
更にぶっ飛んだのは書いてある内容ですわ。
異様に
美化して書いてあるんですね(^_^;)。
一番ぶっ飛んだのは、誰でも知ってる大作曲家
ベートーベン。
我々が馴染みのある
音楽室にある肖像画はこれですが・・・
伝記マンガのベートーベンはこうなります
(^_^;)・・・
え?長瀬智也?
完全に一致ワロタ。
何のTOKIOだよ・・・
中身をパラ見したら、
妙にベートーベンが明るくて情熱的だし(笑)、
ベートーベンって気難しい上にお世辞にも美男子とは言えない男で服装も無頓着だった「変人」で有名な人だよ?
ちなみに
手塚先生のベートーベン。
違い過ぎワロタ(爆)。
私は先日
スティーブジョブズの伝記の漫画化の話をブログアップしましたけど、ジョブズ位なら
「現在の人」だから写真や動画も残ってるし、行動や生活に関しても生き証人が居るので多少の美化はあっても直ぐに修整が効きますけど、
100年200年前に死んだ人とかじゃ確かめようがないし、
美化しちゃえば美化しちゃっただけイメージが定着しちゃいますよね??
それじゃなくても「伝記」って美化が激しいんですよから・・・(^_^;)。
ベートーベンとかは音楽室の肖像画が有るのでまだ修整が効くとして・・・
クレオパトラとかキュリー夫人とかエジソンとかはどうなのよ?(^_^;)。
クレオパトラの伝記を開くと、
ふわふわの黒髪巻き毛ロングヘアの可愛い萌え美少女が元気に活躍する姿が描かれてた・・・(^_^;)。
えっ?
こんなに具体的に判ってる物だったっけ??
第一、ロングヘアっておかしくね?
あの当時の女性って、みんな髪をひっつめて短くしていたのが流行だったし、エジプトの王族の特徴的な「おかっぱ」はカツラなんじゃ?って説もあるのに??
最初から最後までふわふわロングヘアの美女って・・・エリザベス・テイラーの映画の見過ぎ???
そもそも「世界三大美女」とは言われているけど、
本当に美人だったかどうかなんて誰にも判っていない筈では・・・確実にクレオパトラのモノと言われている
肖像はコインに描かれたレリーフだけだし、それも不鮮明で何がなにやら判らない。
服装や髪の毛や生活様式なんて色々な説が乱立してて、
そもそも墓すら発見されてないから居たかどうかも確定的な証拠なんて無いのにこんな
具体的に描いちゃっていい物なの??
更にクレオパトラの血を分けた妹なんてフワフワの茶髪のロングヘアの意地悪そうな美少女に描かれてましたけど・・・最近になって墓と思われる遺跡が発掘されて、遺骨から復元が行われたようですが・・・
アフリカ系とギリシャ系の混血で顔はこんな感じではないか?ッて言われてます。
これがクレオパトラの妹だとする学説が有るんですが、これを元に
姉を類推するとしたら・・・言われるほど絶世の美女ですかね??
キュリー夫人は何だか研究者なのに
セレブな読者モデルの奥さんみたいだし、
ちなみにこちらが実物、新渡戸稲造が実際に会った時には「見栄えもしない愛想の無い人物」だと思ったそうな(^_^;)。
エジソンなんてこの状態です。
「ピカチュウゲットだぜ!」って言っても全然違和感が無い(笑)。
更に
酷いのは戦国武将だなぁ・・・
みんな実物は背が低い(鎧などの研究による)
ちんちくりんだったのに、何だか
マンガでは物凄い体格が良く描かれてる、
誰見ても8頭身位有りそう(笑)。
織田信長(笑)。
何処の「特攻の拓」だよ(爆)
これが加藤清正だそうだ(爆)
少女漫画でこのままエレキギター弾いても全然違和感がない(^_^;)。
これじゃ、歴女も生まれるだろ・・・まるで戦国武将の
伝記コーナーが戦国BASARA状態なんだもん(^_^;)。
確かに
マンガは解り易いし、
きっかけとしては良いかも知れない、でもそもそも歴史的に
謎が多かったり確定情報が余りにも少なかったりする部分を漫画家や監修者が補完したりし過ぎると、画像情報なだけに
誤ったイメージを定着させかねないんじゃなかろうか?
要するに
わからない部分は「フィクション」になってしまわざる終えないのに、あたかも
「伝記」だの「歴史」だのってビジュアルとして子供達に
見せちゃって、
「こうゆうものだ」
って認識を形作ってもOKなの??
特に何百、何千年前の
歴史上の人物っていうのは危険だと思うんですよ、例えば
ピラミッドを作ったクフ王。
チョット前まで
多くの奴隷を使役して沢山の犠牲の元に豪華な自分の墓を作らせた恐怖の王・・・みたいな事が
まことしやかに言われていたけど・・・・
昨今の研究では
洪水で国土が水浸しになる雨季の農業等を出来ない時期に、民衆に仕事を与えるためのピラミッドで、宗教的な公共物を作るという公共事業だったって説が出てきました。
そうなると
王家の財政を犠牲にしてでも善政を行った王様ってイメージになっちゃいます(^_^;)。
数十年研究した成果や新説によって
王のイメージは180度違ったものになっちゃうんですよ、
クレオパトラとか織田信長とかだって同じじゃないんですかね??
更に、
小学生向けでマンガ以外が実質選べないって言う状況もあんまりよろしくないと思うんですよね・・・。
マンガは画像情報も有るので、
イメージが固定しちゃいがちって言うのは有ると思うんですが、「こうゆうものだ」と言う
目に見える「回答」を与え過ぎてて、疑問をさしはさむ余地が無いんですよね。
例えば、クレオパトラの胸飾りが有ったとします。
文章で書けば、
「ビーズと金糸銀糸を編みこんだ胸飾り」と言う表現にして、読み手に
「どんな胸飾りだったんだろう?」と言う想像と研究の余地を与えて、
その後に発見された遺物や学説に対して許容範囲を作る事ができますけど・・・
しかし、
マンガでスカラベの胸飾りがカラーで描かれてたら、
「あ、クレオパトラってこうした胸飾り付けてたんだ」って思われちゃいます。
ところが、服装から髪色から肌の色、装飾品まで
現実には何も判って無いんですから、これは
実は全部想像ですよね??
しかし、
「マンガにする限り描かなくちゃならない」訳で、実は
殆どが虚構って言う事もも有るんじゃないですかね??
虚構を
フィクションとして見る側が了解していれば良いんですけど・・・・
「伝記」として販売されているのに、小学生の子供にそれって出来るんですか???
どうしてこうなったのか?
要するに
活字じゃ売れないからだと思うんですよ(笑)。
解り易くとか歴史的事実の取っ掛かりにとか色々な言い訳は私も思いつくけど、
ラノベのイラストの出来次第で何倍も小説の売り上げが変わるそうですから、要するに
イケメン・美女・美少女で、流行のマンガ調の絵にしとけば売れる訳です。
でもさー
それってガキンチョへの媚じゃないの??
ちょっと甘やかしすぎなんじゃない??
食卓の幼児化とかも言われてるけど、
大人が子供に擦り寄って、子供の言いなりになって「あれがいい、これがいい」で
操縦されてたんじゃねぇ・・・そりゃ、
可愛い女の子の絵やイケメンの武将の絵を見てた方がガキとしても楽しいだろうけど、
学ぶってそうゆう事じゃねぇ気がするんだけどねぇ。
活字の伝記は紀伊国屋書店でやっとこさ若干数発見しましたけど、
殆んど絶滅状態ですね。
私はマンガが好きで好きで大好きで、
マンガの可能性には非常に期待してますけど、
フィクションとノンフィクションの見分けが付かない状態での確定情報の提供みたいな行為にはチョット疑問を感じます。
あんまりにもショックだったので、娘と買い物帰りの車の中で色々と自分の衝撃度を話し合っちゃいました。
ちなみに
学校の図書室の伝記も2/3がマンガだそうです・・・うーむ。
世の教育者の方々はこれでヨシとしてるんですかね???
読まないよりはマシ?
でもさー
読みたくない奴に読ませる必要なんて無いんじゃないの?
俺なんて何も言われなくても読んだけどなぁ・・・
そうまでしてやんないといけないものなの??
サッカーやりたくも無いやつにやらせたりしないよね?
野球も同じだけど。
やりたくないし興味も無いのに長続きしないよね?
こんなマンガとかで
お膳立てして釣っても、読書なんてしないし、結局
解ったつもりになってるだけで実は何も解らないんじゃないのかなぁ・・・
伝記に限らず読書なんて
「知識の探求」そのものに興味を持たせる事が必要なんじゃないのかなぁ・・・
きっかけが必要だ「とは」思うけど、
「嘘や誇張」をきっかけとして見せてしまうのは・・・
何とも
本末転倒のような気がするのは私だけ??
やる気が無い奴はバカでいいんじゃねぇの??
俺が歳をとったってことなのか・・・
うーむ、
ショックすぎて愕然とした本屋での出来事でした。
<そろそろ時間切れ、僕が最後だ、君にコレを教えよう。>
*PS*
しつこく書いてしまう・・・
何だか読みなおしてみると、闇雲に心配してるだけで支離滅裂かも?思ってしまいました(^_^;)。
要するに私はあまりにも目に見える形で確定情報を提供することにより・・・
↓
それが解答と思ってしまう。
↓
それ以上疑問に思わず、調べたり探求したりしない。
↓
学習漫画と言いながら、「学習」の機会を失わせているのではないか?
と、危惧しているのです。
特に近代以前の歴史上の人物については、不確定要素が高すぎて危険だと思うんです。
ジョブスの伝記のブログの中で、エジソンの関連に触れた部分のように、文章の伝記ですら物凄く美化や好印象が激しいのに、外見まで好意的に書いてしまうと、変に神格化とか崇拝者とかが生まれて本質が見えなくなったりしてしまうのではないか?更に小学生レベルでそういった懸念を払拭する程に精神的に成熟してはいないのに、こうした手法は問題ではないか?と思うわけです。
人間は他人に対する評価を行う場合多くの部分を「見た目」や「外見」に頼って評価する動物です。
そもそも見た目が悪い人たちを美化したら、本質から逸脱しやしませんか?
そう言いたいわけです。
更に、バカでいいんじゃないの?ッて言う部分に関しては、食卓で骨なしの魚が供されるように、子供に媚びて大人が子供の嗜好に合わせる様な風潮は、非常に問題だし、魚という食品の食べ方、食事のマナーの部分で大人の振る舞いを見ることにより学習している部分があるのに、元から断っちゃうとそうした学習機会も得られず、結局無知なままで居る大人子供になりかねない。
周囲がバカに合わせるんじゃなく、バカ用の選択肢も、利口用の選択肢も有るように、大人(出版社側)も売れりゃいいってスタンスじゃなくて、学習漫画を標ぼうするのなら学習機会をスポイルしないような節度が求められるんじゃないの?ってことが言いたいんです。
伝記が殆どマンガなんて異常ですよ。
最近この手の白痴的教育が増えてますけど、それやるくらいならやらなくていいので、商業コミックの方で「表現方法」として頑張って欲しいですよ。
それなら「戦国BASARA」でも「セイントお兄さん」でも良いんで。
むしろ、表現の自由が失われる危機が有るというのに、こうした白痴教育じみた方策が大手を振って「学習漫画」とか言いながら存在している事自体に危機感感じますけどね・・・私は。
そうかと思えば、昔からある絵本とかを「差別的」とかで排斥したり、一体何をしたいんですかねぇ??
ホント、疑問ですわ。
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Posted at
2013/08/27 06:24:02