もうずいぶん前の話なんですが、ミシュランさんの3大R&D部門の一つである「日本ミシュランタイヤ 太田サイト」に訪問させていただいたときのレポートをお伝えします。
きっかけは、オーテック30周年記念車「マーチBoleroA30」用のタイヤとして「ミシュランパイロットスポーツ3」を装着しているって話です。
こうしたスポーティーな走りと快適な乗り心地を両立させるタイヤ開発の一端を覗くことはできるのでしょうか??
期待に胸を膨らませてのサイト訪問です。
こちらがミシュランパイロットスポーツ3
はじめに、少しミシュランさんについてご説明をすると…
誕生は1889年、元々は農機具やゴム製品を作る会社から始まりました。ミシュランの企業ポリシーは“モビリティの継続的な発展に貢献すること”。例えば自動車の黎明期においては、クルマを所有している人も故障を恐れてなかなか街の外まで出かけることはなかったそうですが、ミシュランは“クルマでもっと旅をしてください!”との思いから、郊外のガソリンスタンドや修理工場、宿泊地などの案内を載せたガイドブックを作ったりもしていたそうです。これが現在の「ミシュランガイド」の発祥なんですね!
そしてミシュランのタイヤ作りの哲学は“一つだけの性能を満たすのではなくあらゆる性能を満たす”つまり、安全性・耐久性・グリップ性・ハンドリング性など、タイヤに求められるあらゆる性能を水準以上のパフォーマンスで備えかつ調和させた、トータルパフォーマンスに優れたタイヤを作っていくことと伺いました。
今回訪問させていただいた「日本ミシュランタイヤ 太田サイト」は、1991年にできたアジア圏で最初の研究開発センターになるそうです(基礎研究まで行う開発拠点は、他にフランスとアメリカに1か所ずつ、世界で3つあります)。
当初は日本の厳しい環境でのスタッドレスタイヤの研究開発をメインで行っていたそうですが、今日では日本のユーザーに厳しくチェックされる「静粛性・コンフォート性能」の研究も含めた、ミシュラングループ内でもトップクオリティを誇る研究開発拠点ということです。 こうしたお話をミシュランさんよりレクチャーいただきながら、オーテックの紹介も交えつつ、開発担当者の方とのざっくばらんなお話をさせていただきました。
マーチBoleroA30のタイヤ選択の話では、まさにミシュランのタイヤ作りの哲学が、オーテックのA30の足回りの開発者の想いにピッタリとマッチしたことが、最良のコラボレーションを生み出したのだということをひしひしと感じることが出来ました。
さて、話も盛り上がったところで、実際のコンセプトタイヤを制作する現場を見せていただく時間になりました。
サイトツアーの概要説明を受けてから、いよいよスタート!ゴム独特の香りがする施設内は、製造現場に慣れているオーテックの人間にとっても新鮮な感覚です。
まず最初に見せていただいたのはミキシング工程です。 天然ゴムにカーボンやオイルなどさまざまな材料を混ぜて、タイヤのゴムを生成します。ミキシングが完了して出てくるゴムの温度は約150℃にもなるそうで、ミキシング機械から抽出される真っ黒なゴムの塊は、これがタイヤになるとは思えない姿です。
次にアツアツのゴムをシート状にして冷やす工程を経て、こんどは押し出し機でゴムをトレッドの形に押し出す工程があります。
ここで形成されるゴムはまだ形状が安定していないので、一度伸びてしまったら形が崩れてしまうため、非常に難しい工程とのことです。
そして、コンセプトタイヤ作りに欠かせない様々なトレッドパターンや素材のトライアルを行う説明を受けました。ここが太田サイトの胆となる部分ですね!。
次は成型工程で、タイヤの骨格を作る非常に重要な工程になります。ここでタイヤの中心線を基準に正確にトレッド面を貼りつけるなどの作業があります。その作業は機械により高度に制御されているため、写真でお伝えできないのが残念です。
最後にタイヤを加硫する工程です。ここでは金型にトレッド(接地面)やサイドウォール(タイヤ側面)が押しつけられて最終的な「タイヤ」の形になりますが、今回は機械が動いているところは見られませんでした…残念!この後に検査が行われますが、非破壊内部検査による詳細なチェックを経て完成となる訳です。
ミシュランさんの太田サイトは、コンセプトタイヤを作るという、いわゆる“デザインされたものを初めて形にする”という大切な役割を持った拠点です。様々なトライを繰り返しながら、ミシュランの哲学を具現化されていることを、とても興味深く拝見させていただきました。
ミシュランさんどうもありがとうございました!
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オーテック創立30周年記念車 | クルマ
Posted at
2016/10/25 19:34:42