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2010年08月10日

甲州笹子越え・大菩薩ライン越え その1

甲州笹子越え・大菩薩ライン越え その1
甲州(山梨県)笹子を越えると、だいぶ遠くに来たなという気がいつもしている。
笹子自体は東京から100キロを越えた程度の場所で、僻遠の地というわけではないが、このように感じてしまうのも、未だに天嶮の地である雰囲気を濃厚に漂わせているからに違いない。

実際に笹子の峠は古より天嶮の地であった。
甲州街道という現在でも交通の要衝となっている幹線道路があるが、江戸期において、笹子峠の横断は困難を極めたという。
現在では高速道路・一般道路・鉄道それぞれにトンネルが出来ているが、トンネル区間が非常に長く、やはり笹子を越えると、遠くに来たのだなという実感は決して色褪せることがない。
風致も東京と相模を結ぶ大垂水峠より笹子の手前までは、山がちな狭隘の地だったのが、笹子峠を越えた瞬間に、急に開けた平野部となる。甲府盆地である。
この風致的な差の大きさというのも心理的な旅の遠近感覚を規定しているように思える。

笹子はトンネル工事の難所でもある。現に明治政府は現在の中央本線を建設するときに、笹子の天嶮を避けて、現在の富士五湖(山梨南東部)に迂回するルートも検討したという。
自動車で笹子峠の難所越えを解消したのが、昭和33年のことである。
自動車道として初のトンネルが笹子の山々を刳り貫いて出来上がったのだ。
より正確を期すのであれば、それ以前にも笹子隧道というトンネルがあった(昭和13年開通)。



ただし、この隧道は険しい笹子峠のほぼ頂上部に設けられたトンネルに過ぎず、依然として山をよじ登り往来をしなければならなかった時代が戦後まで続いたのだった。
ただし、笹子の山はよほど天嶮のようで、この隧道が建設されていなければ、獣道を辿って、往来する不便を甘受しなければならなかった。そういう意味で隧道には歴史的意義が大いにあるし、往来住民にとって歓迎すべき出来事だったのかもしれない。
現在は峠に家屋らしきものはなく、往年の賑わいを確かめる術もない。往来する自動車や人々もほぼ皆無と言っていいだろう。
灯りも無く、非常に閑散としている。
未だに熊が出没する地域であり、登山には相応の覚悟を要する。



わずかに、峠の中腹に矢立杉という有名な杉があるのだが、自動車で訪問できるような感じではなかった。この点、私の調査不足かもしれないが、笹子を連ねる自動車道を逸れた場所にあり、矢立杉に入るための駐車場のようなものが見当たらないのだ。

峠を甲州盆地方面、つまり甲府方面(西側)に下る。峠道の終わりに江戸期に大名が宿泊した本陣を構えていた宿がわずかばかりの風情を残して家並みを残している。その家並みの一角に「旧甲州街道」という道しるべがあったので、辿ってみることにした。道路は普通乗用車でも通れる幅だが、傾斜は険しく狭隘であるため、敢えて通ることはお勧めしない。
ただし、この「街道」をてくてくと運転していくと、近代建築とは、かくも巨大で荘厳なものなのかと実感させてくれるような場所に出会う。中央高速である。
因みに、その場所は狭隘な土地にわずかばかりの畑があるだけの土地である。
巨大な橋梁上には無数の自動車が並び、山々を逐次駆け上り、駆け下がるといった所作をすることもなく(シシフォスの神話のごとく)、快適に山をトンネルで抜け、山と山の間の谷はこのように橋梁で交通することができる。
近代建築の偉大性を感じる瞬間である。
確かに、合理性や利便性を追求する反面、風情を減じさせてきたという批判もあるが、一体風情とは何なのだろう。おそらくは江戸期くらいの農村共同体のことを我々はせいぜい風情として懐かしんでいるだけであり、農耕が成立する前の原始林で覆われた不気味な自然空間のことを風情とは呼ばないのであろう。
中央道の巨大橋梁が風情として、人間の懐かしみという感情の琴線に触れる日は近いだろう。大型建築により、国土を開発するという時代は一先ず先細りであるから。



【続く】

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Posted at 2010/08/10 22:11:32

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