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2013年06月11日

上総・天津小湊をめぐる房総紀行 その3 鯛の浦・太東崎・玉前神社

上総・天津小湊をめぐる房総紀行 その3 鯛の浦・太東崎・玉前神社
天津小湊での徒然をまだ記している。

承前
上総・天津小湊をめぐる房総紀行 その2 南無妙法蓮華経の里編

天津小湊の街を優しく包んでいる内浦湾は鯛の浦とも呼ばれている。
両者はほぼ同一地帯であると言って良いだろう。
なお、地元では「妙の浦」と呼ばれている。いつしか「鯛の浦」の名称が、伝説や鯛の生息に即した呼称(後述)ゆえか、一般的になっている。

さて、鯛の浦の漁民たちは鯛を決して釣って食に供すことは無いといわれている。
であるからこそ、鯛が豊富に生息しているという論理でも良さそうだが、鯛は本来は深海性の回遊魚で、水深の浅い場所で一箇所に定住(?)しているというのは、実は極めて不思議なことで、未だにその理由は解明されていない。
そう、学術的に解明されていないとのことなのだが、一体なぜ鯛の浦の鯛だけは、一般の鯛とは異なる棲息形態をなしているのだろう。



上の写真をよくご覧いただきたい。
海の中に黒色の物体が見えるかもしれない。これが鯛である。
餌を撒くや否や、大量の鯛が船に近寄ってきた。これは本当に尋常ではない数であったが、或いは気候や波の高さ、海水の透明度等によっては、もっともっと大量に鯛が現れるのだろう。

先の学術的解明よりもある意味鮮やかに疑問を解決してしまう方法が実はある。
天津小湊ときってもきれない日蓮に関する誕生伝説がある。
日蓮が生誕したおり、鯛の群れが大挙して鯛の浦で跳ね、その生誕を祝福して、蓮の花を咲かせたという。
日蓮という偉大な人間(仏)を祝福するために鯛が踊り跳ねてきたとなれば、それで納得がいくと思う。
私は伝承や伝説の類をすぐさま迷信扱いすることは好まず、何かしらの意味合いがあってこそ、これらが構築されたと思うから、完全に腑に落ちなくとも、伝説・伝承を聞いて納得できる。信じるとか信じないという二分法とはちと違う。

さて、それゆえに実直な地元の人々は鯛の漁を決してしないわけなのだが、禁猟のみならず、誤って網にかかった鯛の葬式まで挙げることもかつてはあったそうだ。
昭和の時代だからつい最近のことである。
また、月に一度はこれら鯛たちのための供養を行なうそうだ。
この辺りは一神教世界とは大いに異なり、また他の多神教圏以上ともやや位相を異にした、生きとし生けるものを皆尊重し敬うという日本の美学が見事なまでに息づいているように思えて、微笑ましい。

鯨供養など、我々は常に生活のために犠牲にさせてきた動物たちを慰霊してきた。
これは神道の穢の考えから生じた怨霊思想とは別個の、有史以前から続く日本の伝統的な習慣のように思える。
根拠は日本が島国だったことと、南方(フィリピンなど)から渡来した先祖も多くいた可能性もあるということを言及するに留めておこう。私自身にも実は明確な根拠は今のところ持っていない。

むろん、天津小湊では、鯛は日蓮の化身ともいわれているから、殊更に大切に扱うという面はあるだろう。
そのことを考慮に入れても、私にはとても微笑ましく思えてくるのである。
因みに、インド仏教では植物は無情とされて、生き物とみなされていない。
生きとし生けるものの範囲がインドと日本の仏教では異なることに留意したい。

話しを戻そう。
鯛の浦を遊覧する船があるのだが、この時にちょうど雨が強くなり、波が高くなったため、鯛の生息地に向かうだけとなったが、それだけでも十分に堪能できたし、乗ることができて良かったと思う。
僅か四人の乗客だったが、下船後には日蓮宗徒と僧侶が行列をなしていて、数回に分けて乗船したとしても、これは相当に窮屈な遊覧(?)になるのではないかと思ったが、もしも敬虔な宗徒であれば、上人の化身を拝めるわけだから、こんなことはどうってことはないのであろう。
私は宗徒ではないので、閑散とした船で湾と沖の境目くらいまで行けた僥倖に感謝したい。

遊覧船は決して小舟ではないのだが、写真を撮るのが難儀なほどに船が揺れに揺れた。
とはいえ、私にはとても刺激的で鯛の群れと共にもっともっと激しく揺れていたかった。





日蓮にまつわる伝承や史跡は誕生寺や鯛の浦において他にもたくさんあるし、近隣にゆかりの地がたくさんある。
だが、私はこのときどちらかといえば、荒々しき海原に荒々しき日蓮の生き様・人生を重ね合わせるという類の感傷は持ち合わせておらず、鯛の浦遊覧と誕生寺参拝後は、太平洋を沿って海を北上することにした。




誕生寺を出ようとした辺りに雨が一番ひどかったが、直に止み、そして晴れ間さえ見えるようになった。
九十九里の南端とされる太東崎の高台に付いた頃には、大眺望を眺めることができた。ただし、この頃はまだ曇天だったせいか、太平洋の大海原は晩秋頃の日本海のようでもある。
崖の上にそびえ立つ見晴らしの良い場所で、千葉から太平洋を一望するのであれば、銚子の犬吠埼とここ太東崎が良いと思う(ただし、太東崎までの道路は狭く傾斜もあるので注意されたい)。オススメの場所としておく。





太東崎をほぼ境にして、北側は九十九里浜に代表される広大な砂浜へと海岸線は変貌し、天津小湊のようなリアス式海岸は見られなくなる。
どちらも自然が織り成した造形ゆえに魅力があるが、およそ対照的な広大な砂浜とリアス式の双方が堪能できるのもまた外房地区の魅力の一つであろう。

いよいよ海から逸れる。再び半島の内陸に入っていくのである。
内陸部とはいえ、まだまだ海沿いの潮っ気がほのかに香ってくるかのような、上総の国の一の宮であった玉前(たまさき)神社に立ち寄った頃には、実に爽やかで穏やかな風が吹き、太陽が顔をそっと出して優しい光を投げかけ、時折、霧雨のような微細な粒の雨が、明るい空を目に見えないほどの小ささで浮遊し、肌に付着するという塩梅で、この上なく心地よかった。
こうしたこともあり、この神社への印象はとても良かった。

相当格式の高い古式ゆかしい社ではあるが、パワースポットとしても注目されているらしく、女性に優しい神社なのだそうである。
春分の日の日の出ラインに位置しているそうだから、エネルギーとしては申し分ない位置にあるのだろう。
なお、玉前神社から富士山頂、竹生島、出雲大社と見事に直線に繋がることが知られている。こういう例は日本に限らず珍しいことではないが、実に不思議である。



さて、この不思議な直線地帯の東端に位置する玉前神社は、春分という一年の始まり(太陰太陽暦すなわち旧暦では春分を一年の始まりとする。我々もチャイナ同様に明治時代始めまでは、いわゆる旧正月の時期に元旦を迎えていたのである)であり、昼間と夜の長さがほぼ等しくなる(昼のほうが若干長いとされている)ときであり、さらにそのような日に初日の出をいち早く浴びることができる玉前神社は、やはりそれなりに霊験あらたかといえるかもしれない。



太平洋とは別れを告げ、いよいよ本格的に内陸部に入る。
往路と異なり、上総地方でも平坦な地が続くところを来訪することにした。
旅行後にドイツの友人に写真を見せたのだが、ドイツの風景のようだと驚いていた。
時期的なこともあり、広漠で青々しいのどかな田園風景の折々が、ドイツの平原に似ているのかもしれないが、詳しくはわからない。私はドイツに行ったことがないし、彼が住んでいるドイツ北西部というと、ライン川と薄暗い平地と若干の森があるというイメージが強い。
それはともかく、これは日本人の性であろう。
都会モンのクセに(だからこそ?)、こうした風致に感嘆することしきりだったのだが、この辺りは項を改めて述べてみようと思う。


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Posted at 2013/06/11 05:48:24

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この記事へのコメント

2013年6月11日 16:26
船旅やってるんですか(・ε・? 台風の影響か、波がキツそうです~。
てかさっきハイドラで神奈川の南部の半島で目撃しましたよ(笑)
コメントへの返答
2013年6月11日 23:08
今日は船旅はしていませんが、東京湾フェリーに乗ってこようかしら^^

今日は午後から三浦半島にいましたよ!
日の入り付近のときに雨足が強くなっただけで、雨にも降られず、相模湾も東京湾も穏やかな印象を受けました。

時折、誤差で変な場所に現れるんです。龍飛崎にいたときは、ハイドラ上では北海道の北斗市にいることになっていましたし、海ほたるPAにいるのに、都心部のバッジをゲットしたこともあります(笑)

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